Fate/WizarDragonknight 作:カラス レヴィナ
「……ココアちゃん……」
本当に、ココアが銀のヒューマノイド___ウルトラマン
その事実に目を丸くしながら、ウルトラマンが少しずつ歩み寄って来る。
ウルトラマンはウィザードと龍騎を見下ろして、静かに頷いた。
「味方になって……くれるのか?」
ウィザードに対する答えは、手だった。
ライダー組に差し伸べられた手。ウィザードは躊躇うが、それよりも先に「よっしゃ!」と龍騎が手を取った。
「だったら、俺たちと一緒に戦おう!」
「真司!? 何を……」
「何心配してんだよ」
「だって、トレギアと同じだろ?」
ココアの体に乗り移り。
ココアの体で戦い。
そして何より、トレギアと体の構造が著しく似ている。少なくとも、同族なのだろう。
「信用していいのか? コイツとトレギアと、一体何が違うんだ?」
「大丈夫だって。この前公園でだって一緒に戦ったじゃねえか! それに」
龍騎は光の戦士へ、面と向かって言った。
「やっぱ、こういうのは助け合いだろ!」
「……」
「俺は、疑うよりも信じてみたい。心配すんな!」
「……」
ウィザードは、しばらく黙る。やがて、ウルトラマンの手を取った。
「イライラさせてくれる……!」
トレギアは首を掻きながら、二体の闇へ命令した。
ファウストとメフィストは、それぞれ駆け出す。
それを身構えながら、ウィザードはウルトラマンへ言った。
「いい? ココアちゃんを傷つけることだけはしないでよ」
ウルトラマンは肯定の意を示す。
「よし……じゃあ、行くよ!」
「っしゃあ!」
「________」
ウルトラマンが構え、龍騎がドラグセイバーを振るう。
二体の闇に対して、ウィザードと龍騎が抑える。そのまま、座席を蹴り飛ばしながら、ウルトラマンから離れていく。
一方、ウルトラマン。彼の前には、ゆっくりとトレギアが歩み寄っていった。
「前回は、君の宿敵たちを差し向けたから……直接手合わせするのは初めてでしたか……お手柔らかに頼むよ」
ウィザードと龍騎は客席の奥へ。そして、ウルトラマンはステージ側へ走っていく。
当然、それぞれの敵たちもまた、同じように追随する。
ステージにて、トレギアとウルトラマンは格闘戦を続ける。
「_______!」
「はあああああっ!」
ウルトラマン、トレギアの両者は、ともにジャンプし、空中で激突。その勢いは、倒れた機材を押しつぶし、より破壊の跡を刻んでいく。
やがてウルトラマンを蹴り退けたトレギアは、ウルトラマンの手より放たれた高速の一撃を蹴り飛ばす。
だが、ウルトラマンにとって、その一撃は攻撃を目的としたものではなかった。
ウルトラマンのボディが、赤く染まっていく。銀の
そして、その右手が虹色の光を灯していく。
左腕を交差した後に右手で円を描き、天高く突き上げる。すると、見滝原ドームの全体___紗夜、モカ、チノが入らないように、光のドームが作り上げられていく。
「これって、この前の……真司!」
「ああ!」
ウルトラマンの視界の端では、ウィザードと龍騎が二体の闇のヒューマノイドを、逃がさないようにと食い止めている。
そして、空間を包んでいくウルトラマンの亜空間は、全ての戦闘員たちを、その内部に封じ込めた。
「ここは……」
「以前、あのウルトラマンとやらと一緒に戦った異空間だな」
ウィザードと龍騎は、見滝原ドームから変化した空間を見渡しながら言った。
常に空がオーロラ混じりの夕焼けに見える世界。足場には、ミニチュアのような砂製の建物が無数に並び、その内部からは光が発せられている。
「俺たちごと……?」
「ここなら、きっと他に被害がないからだろうね」
ウィザードは、上空でトレギアとぶつかり合うウルトラマンを見上げた。
ウルトラマンは一瞬だけウィザードたちへ視線を投げたが、すぐにトレギアとの戦闘に戻る。どうやら彼は、ファウストとメフィストに関してはこちらに頼るつもりらしい。
「本当に……味方なのか……?」
「! おいハルト! 来るぞ!」
龍騎が叫ぶ。彼の言う通り、ファウストとメフィストがこちらへ走ってきていた。
「こっちも行くぞ!」
「っしゃあ!」
二度目の気合。龍騎に続いて、ウィザードもまたソードガンを振るう。
「だあああ!」
龍騎のパンチと、メフィストの鉤爪が激突。火花が飛び散った。
「行け! ハルト!」
「ああ!」
ウィザードは龍騎の肩を伝ってジャンプ。メフィストの上より、ウィザーソードガンを振り下ろす。
だが、横から入って来たファウストの蹴りがそれを防ぐ。
「っ!」
ウィザードは退避とともに回転。腕からの無数の光線を放つファウストの攻撃を回避し、逆にソードガンをガンモードに切り替える。
無数の銀の発砲だが、それは逆にメフィストのアームドメフィストからの光弾によって防がれてしまった。
そんなメフィストの背後には、両手に雷を迸らせるファウスト。行き交う雷を極限まで広げ、圧縮して発射。
「ハルト、どけ!」
雷鳴がウィザードへ届く前に、龍騎が割り込む。両腕にドラグシールドを装備し、ファウストの攻撃と相殺した。
「ぐあっ!」
転がる龍騎。だが、ただで倒れたわけではない。起き上がれながら投げられたドラグセイバーが、メフィストのアームドメフィストを破壊した。
すると、メフィストの目に怒りが宿る。
交差した両腕の間に闇が去来し、大きく腕を回すメフィスト。黒い闇が赤く転じ、ウルトラマンとは似たL字型に腕を組む。縦の腕より、赤い光線が発射された。
『ストライクベント』
『フレイム シューティングストライク』
それに応じて、ウィザードと龍騎は、ともに遠距離の攻撃を行う。
ウィザーソードガンの銃口に魔力の炎が溜まり、龍騎の腕に付けられたドラグクローにも炎が宿る。
同時に、ドラグレッダーもまた、二人を囲むように旋回する。
「だああああああああああああああああああああっ!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
「______________________!」
それぞれの力は均衡。
やがて、合計三つの力は、亜空間を揺るがす爆発となり、ウィザード、龍騎、ファウスト、メフィストも衝撃波により地面を転がる。
そして、手放してしまったウィザーソードガンとドラグセイバーが地面に突き刺さる。
「真司、大丈夫か?」
「ああ……なんとかな」
ウィザードと龍騎は起き上がりながら、ファウストとメフィストを睨む。
彼らは、今度こそトドメを刺そうと、再びそれぞれの光線の発射準備に入る。
もう後先は考えていられない。
そう考えたウィザードは、地面に突き刺さる二本の剣と敵を見比べる。
「真司! これ、借りるよ! トドメ任せた!」
そう言うが速いが、ウィザードは駆け出す。突き刺さったウィザーソードガンとドラグセイバーを抜き取り、ファウストとメフィストへ踊りかかる。
ウィザーソードガンを回転させながら牽制し、さらに上からドラグセイバーで斬りつける。ファウストの必殺技が龍の斬撃により消滅し、ファウスト自身もまた大きく後退した。
「まだまだッ!」
さらに、ウィザードはソードガンの手を開き、ルビーを読み込ませる。
『フレイム スラッシュストライク』
ウィザーソードガン。そして、ドラグセイバー。ウィザードの体から走った炎の魔力が二本の刃に炎が宿り、ウィザードの剣は、炎の演武となる。
「はあああ……ッ!」
コマのように回り、二体へ攻撃したあと、ウィザードは二本の剣を掲げる。
激昂したメフィストが、格闘技を駆使して攻めてくる。
だが、右手のウィザーソードガンで彼の拳を防ぎ、左手のドラグセイバーでその胴体を切り裂く。怯んだ隙に、二本の剣で反撃する。
「今だ! 真司!」
「っしゃあ……!」
すでに龍騎は、カードをカードデッキから引き抜いていた。
龍騎のカードデッキと同じ紋章が描かれたカード。龍騎はそれを、開いたドラグバイザーに入れ、そのカバーを被せる。
『ファイナルベント』
それは、龍騎最強の一撃。
そのプロセスは、両手を突き上げるところから始まる。
龍騎の周りを回る龍へ捧げる舞とともに、龍騎が腰を落とした。
「はああああ……だっ!」
両足を合わせ、龍騎がドラグレッダーとともに飛び上がる。
当然、ファウストとメフィストがそれを看過するはずもない。それぞれが攻撃を加えてくる。
「邪魔はさせない!」
ウィザードはウィザーソードガンとドラグセイバーを振り回し、闇のヒューマノイドたちの光線を食い止める。炎の演舞が篝火を散らしながら、闇のウルトラマンたちの攻撃を妨害した。
その間にも、龍騎はすでに遥か上空へ舞昇っていた。体を回転させ、ファウストとメフィストへ右足の蹴りを向けた。
「だああああああああああああああああ!」
迫り来る、火龍のミサイル。
それに対し、ファウストとメフィストは慌てて光線を放つ。だが、すでに万全の状態の必殺技を、二体がかりとはいえ、急ごしらえの技が破れる道理はない。
さらに、ウィザードが追撃と二本の剣を交差して振る。放たれた炎のエネルギーもまた、ドラゴンライダーキックと同時に命中。
ファウストとメフィスト。トレギアのよって召喚された闇のウルトラマンは、二つの炎によって爆発。世界を呪う悲鳴とともに、亜空間より消滅した。