Fate/WizarDragonknight   作:カラス レヴィナ

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五章開始! いきなり本編スタート!
今回も、是非お楽しみに!


5章
節分フェア


「節分フェア! 始めるよ!」

 

 ある日、そんな声で目が覚めた。

 

「……何? おはよう……」

 

 松菜ハルトは、重い瞼を擦りながら起き上がる。

 朝日が差し込む喫茶店。今日もラビットハウスの朝は静かだったはずなのだが、同居人の保登心愛(ほとココア)に静けさは似合わない。

 

「ほらハルトさん! 起きて起きて!」

「ぐああ……」

 

 寝起き早々、ココアに肩を揺さぶられながら、ハルトは悲鳴を上げた。

 

「起きてって……何?」

 

 重い瞼を擦りながら、ハルトは布団の隣に置いてある腕時計を手に取る。

 まだ日が昇るか昇らないかの時間に、ハルトの目が飛び出した。

 

「まだ朝の六時じゃん! なんでこんな時間に起こしたの?」

「だって、今日は節分だよ! 今からラビットハウスの飾りつけをやるんだよ!」

「節分……?」

 

 そういわれて、ハルトは次にスマホに手を伸ばし、日にちを確認した。時刻の下には、なるほど確かに節分の日と書かれていた。

 

「うん分かった。ラビットハウスとは関係ないねおやすみなさい」

 

 そう言って、ハルトは再び布団にくるまる。ココアはがっしりと布団を掴み、

 

「ハルトさん……起っきろ~~!」

 

 笑顔で布団を剥ぎ取り、窓を開けた。

 窓を開けた途端、見知らぬ世界などありえない。入って来たのは、今のハルトにはナンセンスな二月の寒風。

 すでに着替えてきたココアと違い、布切れ一枚のハルトは、悲鳴を上げた。

 

「ぎゃああああああああああああああああああああああ!」

 

 ハルトの悲鳴が、ラビットハウスの朝に響いた。

 

 

 

「ハルトさん! おっはよー!」

 

 降りてきたハルトを迎えたのは、元気な少女の声だった。

 ココアよりも年下ながら、この店には彼女と同い年ということで通してある。鍛えた筋肉ながら、その四肢には無駄が一切ない。短く切り揃えた髪と、一部を黒いリボンでまとめている。

 

「おはよう可奈美ちゃん。やっぱり朝早くでも元気だね……」

 

 元気な顔付きの少女、衛藤可奈美(えとうかなみ)は、机の上に大きな紙袋を置きながらほほ笑む。

 

「ハルトさんこそ。こんな時間に起きるなんて珍しいね」

「ココアちゃんに叩き起こされたんだよ……むしろ、俺よりココアちゃんが早起きなことにびっくりだけどね」

 

 ハルトは階段を駆け上がっていったココアの後ろ姿を見ながら呟いた。

 

「いつもは結構寝坊するのに……。そういえば、可奈美ちゃんはいつも早いよね」

「本当は今も朝の鍛錬に行く時間なんだけどね。あ、でも準備が終わったら行くよ。ハルトさんも一緒に行こうよ」

「この後? まあ、仕込みも終わってるし開店時間まで暇だからいいけど……それより、何でココアちゃんこんなに朝早くから?」

「今日から節分フェアやりたいんだって」

「節分ねえ……喫茶店なんだし、雰囲気合わなさそうなもんだけどね」

「そんな固いこと言わないの。こういうお祭りは皆でやるから楽しいんだよ!はい、ハルトさん。これお願い」

「ん?」

 

 言われるがままにハルトが可奈美から受け取ったのは、赤い丸紙だった。中心から上の部分には丸い覗き穴が開いており、頭頂部には二本の角らしきものが生えている。

 

「これって……もしかして……」

「ハルトさん、鬼やってね」

 

 可奈美がにっこりと笑顔で言った。

 

「え? お、俺?」

「こういうのは男性陣がやるって相場が決まってるからね」

「まあ構わないけど……ココアちゃんにもやらせてあげなくていいのかな? ほら、チノちゃんに喜んで豆ぶつけてほしそうじゃない?」

「心配ないよ! お面も一杯あるから! あ、あと、色々飾りつけも今のうちにやっちゃおう?」

 

 可奈美は紙袋から鬼の仮面を両手に持ちながら言った。

 洋風のラビットハウスに和風の鬼ってどうなんだろうかと思いながら、ハルトは可奈美から鬼の仮面を受け取った。

 

「……」

「ハルトさん?」

「折角だし……こうしてみたらどうだろう」

 

 最初の鬼の仮面をつけたハルトは、その角部分にまた鬼の仮面をつけた。

 

「三つ首の鬼」

「うわっ! 祓わなきゃ」

「そう言ってナイフを御刀みたいに人に向けるのは止めなさい!」

「あはははは! 冗談冗談!」

 

 可奈美は手を振りながら言った。

 

「それより、早めに準備しておこうよ。私は飾りつけやるから、ハルトさんは先に顔を洗ってきて」

「……」

「え? ちょっと、ハルトさん? どうしたの?」

「果たして可奈美ちゃんに飾りつけを頼んでいいものかと」

「ちょっとお!」

「だって、君いまでも散らかってるんでしょ? 部屋」

「少しは片付けてるから! ……ほんのちょっとは……?」

 

 結局、反対する可奈美を押し切り、ラビットハウスへ和風のアレンジをするのは、ハルトの仕事になった。

 一方のココアはというと。

 ラビットハウスの看板娘、香風智乃(かふうチノ)を起こそうとして、その寝顔を見てうっとりとしているところを、準備終了後に発見された。

 

 

 

「ラビットハウス! 節分フェアだよ! ウェルカムかもーん!」

 

 ココアのその言葉から、節分フェアは始まった。

 質素な木造喫茶店であるラビットハウスは、あちらこちらに鬼と豆箱の飾りが付けられている。

 自らも鬼のような服装をしながら、入って来た常連客を案内するココア。

 

「あらあら。ココアさん、何だかいかがわしいお店みたいですね」

 

 穏やかな笑顔でとんでもない感想。

 その感想が出てくるのも無理はないと、ハルトは思った。

 頭に角を模した神の筒を乗せるのはまだいい。鬼の仮装をするというのだから、それは自然だろう。

 節分フェアをやりたいとココアが宣言したときから、何となく嫌な予感はしていた。黄色い虎柄の、まさに鬼といった感じの衣装。へそを出した上、上は左肩だけにしかかかっていない。結果、右肩から腕にいたるまでの全体の白い肌が露わになっている。

 しかも、その虎柄は下着を着ていないのか、体形まで外からくっきりと見えてしまう。ラビットハウスに来てから早五か月、彼女は異性の目に無関心すぎではないだろうか。他にも、外寒いのにもし出ることになったらいいのかとか、警察に見つかったらオーナーが怒られるとか、もし男性客が来たらそのまま対応するつもりなのかとか、その他もろもろツッコミたいことが山ほどあった。

そんなココアへの言葉をぐっと飲みこみながら、ハルトはカウンターから声をかける。

 

「いらっしゃいませ、青山さん。いつものでいいですか?」

「お願いしま~す」

 

 そう言いながら席に着く常連客の小説家、青山ブルーマウンテン。おそらくペンネームであるが、本名は聞いたことがなかった。

 青山さんは、ココアをじっと見つめており、「あらあら……」と改めて観察している。

 

「ココアさん、改めて見てもやっぱり凄い衣装ですね……」

 

 しゃがんだ青山さんは、ごく自然にココアのショートパンツの裾を摘まみ上げた。

 思わぬところに露わになったココアの太ももに、ハルトは小さな悲鳴とともに顔をそむけた。

 

「うわわ! 青山さん大胆!」

「少しは嫌がってよ!」

 

 ハルトの注意も、ココアは「えへへ」と受け流す。

 ハルトはそのまま、注意の矛先を続けている青山さんへ向けた。

 

「青山さんも! そういうことは、このお店でやらないでください!」

「ええ?」

「お待たせ!」

 

 だが、ハルトの注意が終わるより先に、ココアと同じ衣装がもう一人現れた。

 

「この服も結構可愛いね! 今日だけは千鳥も持ってくれば、棍棒にも見えてもっと似合うんじゃないかな?」

「……可奈美ちゃんまで来た……」

 

 ハルトはため息をつきながら、同じく鬼の虎柄の服を着たココアを睨んだ。

 

「ハルトさん! どう? この服似合うでしょ?」

 

 可奈美は腰に手を当ててその姿を見せつける。

 ココアと同様、鍛えられた肉体。

 だが、ココアとは違い、本来まだ中学生であるところの彼女は、色々と危ない。ココアと比べて少し褐色になっていたりとか小ぶりな体とかココア以上に無防備だとかで、ハルトは何とか可奈美に服装を戻してもらうように逡巡した。

 

「可奈美ちゃん、似合うのはいいけど、やっぱりこの衣装は目のやり場に困るんだよね」

「どこが?」

 

 ココアと可奈美、二人の鬼は揃って首を傾げた。

 もういっその事ありのままのことを言ってしまおうかと決断するよりも先に、青山さんが割り込んだ。

 

「今日のラビットハウスは最高ですね。このいかがわしさ、フルールにも負けてません」

「「ありがとうございます!」」

「いや喜んでどうするの二人とも!」

「だって、褒められたんだよ? ね? 可奈美ちゃん」

「うん! 誰だって褒められたらうれしいよ」

「オッケー分かった君たちその衣装のまま外出してきなさいついでにそのままチラシ配りでもしてきなさい。俺が何を気にしてるのかがよぉおおおおく分かるから。はい、いつものコーヒーです」

 

 節分フェアの二人に注意ばかりしているせいで完全に忘れていた。

 ハルトは、いつものコーヒーを青山さんの机に置く。

 

「ありがとうございます~」

 

 ニコニコ笑顔で、原稿用紙を取り出す青山さん。職業小説家というところで、しょっちゅうラビットハウスにも来てくれている。

 だが、ハルトがコーヒーを青山さんのテーブルに置いた瞬間、ココアが「違うよ!」と叫んだ。

 

「な、何?」

「今日は節分だよ! お客さんにも、節分なことをやってもらわないと!」

「節分なことってなに? そのいかがわしい衣装で十分じゃないのお姉様」

 

 だが、ココアの暴走は止まらない。

 どこからか豆の箱を取り出したココアは言った。

 

「豆まきやろうよ!」

「良し分かった。可奈美ちゃんもココ……お姉様もそこに並ぼう。俺と青山さんで片っ端から退治してやる」

「さあハルトさん! 鬼は外!」

「何で鬼が豆投げてんの!?」

 

 そう言って、ラビットハウスには豆がまかれ始めた。

 ハルトという鬼一人に対し、豆を投げるのは三人。

 狭いラビットハウスの中だが、そのまま易々と退治されるのは、ハルトにとっても面白くない。

 

「仕方ない……少し本気でやりますか……! 変身!」

 

 ハルトはそう宣言して、頭にかけている鬼の面を顔に下ろす。ぐっと狭くなった視界だが、それでも豆を投げる動作に入った可奈美たちの姿は捉えられる。

 もっとも、ラビットハウスの可動範囲の不自由さが、普段のハルトから動きの半分さえも発揮できなくなっていく。

 結果、ハルトの体にはあれこれと豆をぶつけられ、ハルトは悲鳴とともに退治されることになった。

だんだん、ハルトもそれなりに本気になってくる。

 体を捻らせて豆をよけ、ハリウッド顔負けの身体能力に、ココアと青山さんは拍手を送った。

 

「すごい……ハルトさん、結構動けるんだね」

「そのままやられるのも癪だからね。せっかくだし、鬼側にも豆撒かせてよ。鬼は内、福は外ってね!」

「ハルトさん、完全に鬼になりきってる!」

「よ~し! 青山さん、私たちも頑張ろう! 妹である可奈美ちゃんを守るために!」

「はい!」

 

 ココアの言葉に、青山さんもまた元気に豆を投げる。

 ハルトは机の合間を跳び、逆に飾りつけに置いてある箱と豆袋を取り、逆に投げ返す。

 やがて、ハルト対可奈美、ココア、青山さんの豆の投げ合いが続き、どんどん床に豆が増えていく。

 そして。

 

「何やってるんですか?」

 

 その声で、ラビットハウス全体が凍り付いた。

 見て見れば、ホールにラビットハウスの看板娘が降りてきたところだった。

 試験勉強のため、今日はシフトを外れていた少女。水色の長い髪が特徴の小さな少女、香風智乃(かふうチノ)がジト目でココア、可奈美、そしてハルトを見つめていた。

 

「あ、チノちゃん!」

 

 だが、少なからず不機嫌になっていることに気付かず、チノの自称姉鬼は彼女に近づいた。

 

「今、節分フェアやってるんだ! チノちゃん、私に豆撒いていいよ? ほらほら! 鬼は外って!」

「ココアさん……これは……」

 

 だが、チノは明らかにココアの言葉は耳に入っていない。

 ぷるぷると体を震わせ、ラビットハウス全体に響く大声で___チノちゃん、大声出せるんだ___叫んだ。

 

「しっかり片付けて下さい!」




コウスケ「うっし! 今日の朝飯はコイツだ!」
響「わーい! 海苔巻き! ごはんが美味しい!」
コウスケ「恵方巻な?」
響「バクバクバクバク」
コウスケ「食うの速えな! 今年の方角とか見ねえの?」
響「ん? 何?」食べかけ
コウスケ「あ……響、そういうの気にしない人なのね……しゃーねえ。締まらねえけど、このまま今日のアニメ紹介行くぜ!」



___ここは地獄! 地獄! 素敵な地獄! 地獄、じご、じご、じごくだよ~!___



コウスケ「鬼灯の冷徹!」
響「1期が2014年の1月から4月、2期が2017年の10月から12月と2018年の4月から7月の分割2クールになってるね!」
コウスケ「地獄の鬼たちによる、色々ブラックなコメディだぜ! お役所仕事も大変だなあ……第一話から桃太郎が出てくるように、皆が知るような童話とかの人物も出てくるぜ!」
響「へー、地獄も色々あるんだね。私もちょっと見に行ってみようかな?」
コウスケ「一般的にその発想はあり得ねえと思うがな……ほら、地獄の皆さんも苦労してんだから、無駄な仕事を増やすんじゃねえ!」
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