Fate/WizarDragonknight   作:カラス レヴィナ

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これにて五章完結!
登場人物紹介が終わってから、六章に入ります!
六章まだそんなに決まってないけど!



エピローグ

「何……!?」

 

 少女は、突然の物音に驚いた。

 敷き詰められた私物の袋。

 それを書き分けて、蒼い人物が部屋に転がり込んできた。

 一瞬その正体を探ったが、顔を上げたその仮面に、安堵の息を吐いた。

 

「トレギア?」

「ああ、マスター……」

 

 蒼い、異形の人物。

 トレギアの名を持つ彼は、ふらつき、私物の袋を跨りながら近づく。

 

「どうしたの? トレギア?」

「マスター……悪いが、少し手を出してくれないか?」

 

 トレギアは少女の返答を待つことなく、その右手を掴んだ。

 トレギアとの楔である令呪が刻まれたその手。その手首に、みるみるうちに新たな黒い刺青が刻まれていく。

 

「これは……?」

「令呪だよ。以前私が別のマスターから奪ったものを、少し作り変えたものだ」

「……? トレギアがいるのに、どうしてわざわざ新しいものを?」

「まあ、気にするな……」

 

 トレギアは顔を抑えながら、呪い殺したような声で続ける。指で顎を撫で、

 

「少し……腹が立っただけだ」

 

 

 

「それじゃあ、行こっか」

 

 清香の言葉に、コヒメは頷いた。

 

「うん。ハルト、かなみ。ありがとう」

 

 コヒメはぺこりと頭を下げた。

 あれから数日。清香の入院から、刀剣類管理局に美炎と清香、そしてコヒメの所在が明らかになることとなった。可奈美がいることを隠し通すためにも、彼女たちは刀剣類管理局に戻るほかない。

 

「……あ! 電車」

 

 それは、可奈美以外の刀使たちを見滝原から引き離す車両。

 静かにドアが開き、中から乗客が降りてくる。

 

「それでは衛藤さん。松菜さん。お世話になりました」

「お世話になりました」

 

 清香とコヒメがお辞儀する。

 美炎は言葉に詰まりながら、それに続いた。

 

「ほのちゃん。私とコヒメちゃんは、先に行ってるね」

 

 美炎の肩を叩いた清香は、先に電車へ行く。コヒメも美炎の顔を覗き見ながら、清香に続いた。

 だが、美炎の前に流れていくのは沈黙。言葉も見つからず、二人はただ黙っていた。

 やがて、電車の発車ベルが鳴り響く。

 

「「あ」」

 

 それに対し、可奈美と美炎は同時に声を上げた。

 やがて互いに言葉を見つけられず、美炎が先に口を開けた。

 

「そ、それじゃあ、また……」

「待って美炎ちゃん!」

 

 今まさに、発とうとする美炎へ、可奈美は呼びかけた。

 振り返った美炎へ、可奈美は抱き着く。

 

「か、可奈美!?」

「……一緒に戦えて、嬉しかったよ」

 

 可奈美は、ぎゅっと美炎の体を抱きしめる。

 驚いていた美炎は、やがて可奈美の肩を叩く。

 

「うん。わたしも、嬉しかったよ」

 

 美炎は、静かに可奈美を抱き返す。

 

「でも、本来美炎ちゃんは聖杯戦争なんかに関わるべきじゃない。美炎ちゃんの戦いは……」

「うん。分かってる。わたしは、コヒメを守るために戦う。そのために、今は戻る。それでそこから、コヒメが大丈夫だって説明するから! 分からないことだって、諦めたくない」

「うん。きっと、コヒメちゃんが私たちとの懸け橋になれば、それこそヤマタノオロチ……ううん。ツクヨミとの共存だって出来るかもしれない」

「その未来は……きっと、煉獄さんだって望んでいるはずだよね」

 

 やがて二人の刀使は、どちらともなく、拳を突き出す。

 握った拳。それを突き合わせる。

 それはまさに、可奈美にとって全ての始まり。岐阜羽島駅の改札口で美炎と交わした約束そのものだった。

 

「じゃあ、戻るね。可奈美」

「うん……」

「あ、でもわたし、もう参加者じゃないから……見滝原を行き来できるようになったんだよ。だから、助けが必要だったらいつでも呼んで!」

「うん……! わかった! がんばる! あと、帰ったらまたやろうね、立ち合い!」

「……っ! うん……! あ、じゃあもう一回、再戦の約束、しよう!」

 

 美炎の言葉に、可奈美は笑顔を見せる。

 

「うん! 約束!」

 

 可奈美のその声に力がこもる。

 

「今度、また試合しようね!」

 

 やがて、発車時間となる。

 車両の窓から手を振るコヒメ、美炎。お辞儀を返す清香。

 ハルトの前で、可奈美が走っていく。

 

「必ずだからね! 絶対、また、試合しようね!」

「うん! 約束したからね!」

 

 窓を開けて、美炎も手を振る。

 やがてホームが途切れても、可奈美は電車が見えなくなるまで、手を振り続けていた。

 

 

 

 ヤマタノオロチの封印跡地。

 そこに、帽子の青年は訪れていた。

 

「へえ……ここが、例の怪物がいた……」

 

 ソラ。

 ハルトと因縁浅からぬ彼は、ぐるりと地下空間を見渡す。

 マグマがあった箇所も完全に冷めきっており、人智の及ばない深さのそこには、すでに明かりもない。ファントムの体でもなければ、きっと何も見えなかっただろう。

 目的地は一つだけ。

 修復された社と、その底にある、今はただの古井戸の形をしたそこへ、ソラは足を近づけた。

 

『君はなぜここに来たんだい?』

「いいじゃん。折角君のお友達から、こんなのもらっちゃったんだから」

 

 ソラはそう言いながら、手にした黒いそれを手玉する。

 懐中時計を思わせる、手のひらサイズの黒い機械。かつてハルトが、アサシンのマスターと戦った時も重要なアイテムとなったものと同種である。

 

『モノクマか……彼はどうやら、君を()いているようだ』

「嬉しいね。でも生憎。僕は聖杯戦争に参加するつもりはないんだ」

 

 ソラはそう言いながら、フロアの中心……自然に発生した社に立ち入る。

 その足元に、静かに黒いアイテムを置いた。すると、その表面には、まさに時計のように針が浮かび上がる。

 

『へえ。でも、モノクマが声をかけたということは、君にはそれなりに叶えたい願いがあるということではないのかい?』

 

 アイテムが読み込みをしている間も、キュゥべえの問いかけは続く。

 暇つぶしだと考えなおしたソラは頷く。

 

「あるよ? でも、その願いを叶える方法ももう見当ついている」

『……? そんな簡単な願いなのかい?』

「ああ」

 

 ソラはにやりと笑みを浮かべた。

 

「君だって知ってるでしょ? 賢者の石(・・・・)がどこにあるのか」

『……それこそ、聖杯戦争に参加するのがもっとも手に入りやすいと思うけど』

「それじゃ面白くない」

 

 やがて読み込みが終了したそれは、その絵柄を変えた。

 

「そんなことよりも。聖杯戦争を見て、楽しみたい。かき乱したい。あと、僕が動いたら彼がどんな顔をするか見てみたい。だから、これをもらったんだ」

 

 機械の内部がそのまま描かれたものから、赤い蛇の顔へ。

 それは。

 

『ヤマタノオロチ』

 

 そのガイダンスボイスを鳴らした時計を、ソラは掴み上げる。すると、封印の中から、ヤマタノオロチの力がどんどん吸い込まれていった。

 

「だから。また、遊ぼう? ハルト君……」

 

 口角を吊り上げたソラ。

 その笑い声だけが、地下空間に響き渡っていった。

 

 

 

次回予告

「私は許さない……!」

「見ろよほら、哀れだろ? あんたのせいだよ。アンタに負けたから……だからあたしはこんな顔になった。だったら! あたしとおんなじ顔にしてやんよ!」

「ということは、次はわたくしが最期の時を迎えるのでしょうか?」

「トレギアの中から氷川紗夜の生命反応が検出されているんだけど!?」

「祭祀礼装が……解かれた!?」

「この惨状……人が暴れたってレベルじゃないよね?」

「話が通じる相手じゃない! ここは、戦うしかないよ!」

「これで最後にしようか……ハルト君……いや、ウィザード!」

「君を、救いに来たんだ」




刀使ノ巫女の話を作ろう

とじとも終了までには

朗読劇までには

今年中には

当初の予定からめっちゃ遅れてしまいました
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