Fate/WizarDragonknight   作:カラス レヴィナ

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初期はドラゴンスタイル使わない路線でしたけど……
やっぱりここまできたらドラゴンスタイルにならないと!


"just the beginning"

 深紅のウィザード。

 ローブ全体に至るまでに、深紅の魔力がその体色を染め上げるほどに強くなっている。

 そしてその胸元には、ウィザードとドラゴンが同一存在であることを示すように、ドラゴンの眼を施した装甲が付けられている。

 

「フレイムドラゴン……だと……?」

 

 その姿を見て、アマダムは驚く。

 

「そんな姿で、この私に……勝てるものか!」

 

 アマダムは右手に巨大な鉤爪を生成した。

 大きく振るい、ウィザードへ斬りかかるアマダム。

 ウィザードはそれを避け、回転蹴りを加える。

 一瞬よろめくアマダム。さらにウィザードは、肘を中心とした格闘でアマダムに攻め入る。

 

「やあっ!」

 

 大きく振るわれた蹴りが、アマダムの脳天に炸裂。

 だが、それ程度でアマダムの優位は変わらない。素早い動きで振るわれた鉤爪は、あちらこちらに大きな傷跡を刻み込んでいく。

 だが、それを見るウィザードは、そのルビーの面の下に赤い眼を光らせる。

 その瞬間、ウィザードの動きが機敏になる。

 腰を低くして、爪を頭上に通過させる。

 

「はあっ!」

 

 その動きは、今までのウィザードと比べて機敏。

 ファントムの力を全身に宿したそれは、大きく上昇した素早さでアマダムを翻弄する。

 

『コネクト プリーズ』

 

 攻撃を続けながら、ウィザードは手慣れた動きで指輪を発動。

 偽物が落としたウィザーソードガンを回収し、アマダムが反応するよりも先にその背中を切り裂く。

 

「ぐおっ!?」

「まだまだ!」

 

 ウィザードは、アマダムの鉤爪を掻い潜りながら、連続でアマダムの体を切り裂いていく。火花を散らしながら悶えるアマダムへ、ウィザードはソードガンの手のオブジェを開いた。

 

『キャモナスラッシュシェイクハンド キャモナスラッシュシェイクハンド』

 

 開いた掌から、ウィザーソードガンの待機音声が流れてくる。

 新たに作り直されたルビーの指輪で、ウィザーソードガンの手と握手。

 

『フレイム スラッシュストライク』

 

 これまでのスラッシュストライクとは比較にならない勢いの炎の量。

 赤は色濃く紅蓮となり、そのままウィザードは剣を振り下ろした。

 

『ボー ボー ボー ボー』

 

 炎はこれまで通り、刃が飛んで行く。

 だが、剣の軌跡は、その形がドラゴンの頭部を模した形となっていく。ドラゴンの唸り声を上げながら飛ぶそれは、アマダムが反撃として発射した光弾を飲み込みながら、だんだんとアマダムへ迫っていく。

 

「しゃらくさい!」

 

 光弾によって軽減した威力の刃は、アマダムの鉤爪で掻き消されてしまう。

 だが、すでにウィザードは走り出しており、新たな指輪を発動させていた。

 

『コピー プリーズ』

 

 ソードガンへ複製の魔法を使用。左手にも持ったウィザーソードガンで、二本の剣で同時にアマダムへ斬りかかる。

 演舞のように舞いながら、そのすべてのフレーズにおいて的確にアマダムの体を切り裂いていくが、アマダムが反撃として出した光の弾が、ウィザーソードガンを弾き飛ばす。

 

「!」

 

 隙を掴んだアマダムが、その鉤爪でウィザードの体を切り裂いていく。

 

「ひっ! ひひひひひッ!」

 

 優勢になった途端、アマダムは笑い声を上げた。

 

「所詮はフレイムドラゴン! 私に敵うはずもない程度の能力、勝さるはずがない!」

 

 アマダムはさらに力強く攻撃をしてくる。

 体から何度も火花を散らしたウィザードへ、さらにアマダムはトドメとばかりに光弾を発射。

 だが。

 

「はああ……!」

 

 その前に、ウィザードの手には炎が沸き上がる。

 指輪を使わずに発生した炎。その腕を振るうと、炎が光弾ごとアマダムを吹き飛ばした。

 

「何!?」

 

 驚くアマダム。

 ウィザードは更に、両手で大きく円を描きながら、合わせた手で突き放す。

 放たれた炎が大きく放射され、アマダムの全身を焼き尽くしていく。

 

「何だ、今の攻撃は……!? 指輪を使わないウィザードの攻撃だと……」

「この姿は、ウィザードだけじゃない……」

 

 放った体勢から、直立に戻りながら、ウィザードは言い放つ。

 

「ウィザードと、ファントム。二つの力を融合させた姿だ!」

「ぬぬぬ……!」

 

 アマダムは再び光弾を連射する。

 それに対し、ウィザードの面がまた赤く輝く。

 

「はあああっ!」

 

 赤い炎が描いた円から、さらに炎が噴出。

 火山のような噴射に、さらにアマダムは地面を転がった。

 

「ば、バカな……!?」

 

 転がったアマダムが、ウィザードを驚愕の目で見つめている。

 

「べ、別個体とはいえ、フレイムドラゴンごときに……この私が……っ!?」

「次、行くよ……!」

 

 ウィザードは魔法の指輪へ手を触れようとするが、突如としてその動きが止まる。

 

「……?」

 

 ホルスターに近づけた手が、何かの異変を察知した。

 ウィザードはその反応を頼りに、指輪を手に取った。

 

「ようやくこの魔法が使えるってことだね」

 

 それは、これまでウィザードが使うことができなかった、新しい指輪。

 ウィザードは、その指輪を右手に付けた。

 

___これを作ったのは、体が入れ替わった時の可奈美だったな___

 

 ずっと手を握り、祈っている可奈美。彼女へ仮面の下で感謝しながら、ウィザードはベルトの音声を再び鳴らす。

 

『ルパッチマジックタッチ ゴー ルパッチマジックタッチ ゴー』

「何かのきっかけが必要だったのかな……」

 

 ウィザードは二度、指輪と可奈美を交互に見やる。

 全く分からないこの指輪。だが、今はそれが何よりも一番の魔法だと感じられた。

 

『チョーイイネ スペシャル サイコー』

 

 魔法陣が体を通過し、その効力をウィザードの体に表していく。

 フレイムドラゴンへの変身と同じように、ウィザードの体からドラゴンの幻影が飛び出し、その体に再び取り込まれる。

 (ウィザード)に宿るドラゴン()この声(指輪によって)目醒めた(呼び起こされた)のは、ドラゴンの頭。胸から現れたドラゴンの頭部は、ウィザードの意思とは独立して吠える。

 ウィザードは、足をステップさせる。すると魔力の作用によって、ウィザードの体は音もなく浮かび上がる。

 

「だあああああああああっ!」

 

 ウィザードの胸から生える龍の顔から、炎が吐き出される。

 それは、これまでのウィザードが持ち合わせていたあらゆる魔法よりも強力な炎。抵抗しようとしてきたアマダムを焼き尽くす。

 

「ぎゃああああああああああっ!」

 

 炎の奔流。

 それは、アマダムの体を焼き付くし、次々と焼き消していく。体を徐々に灰化させ、やがて爆発させていった。

 アマダムの体が炎に包まれていく。それを見届けたウィザードは、静かに着地した。

 

 

 

「はあ……はあ……」

 

 ウィザードの体を赤い魔法陣が通過し、松菜ハルトの姿に戻る。

 膝を抱えながら、ハルトはアマダムがいた場所を見つめていた。

 

「やった……のか?」

 

 すでに、その姿がないアマダム。

 残り火だけが、焦げ跡に火を灯していた。

 

「ハルトさん!」

 

 その声は、可奈美。

 ハルトの体を押し倒し、抱き着いてきた彼女は、顔を胸に埋めてきた。

 

「よかった! よかったよお!」

「か、可奈美ちゃん……」

「う、うん。よかった。よかったから離れて。なんか、色んなものが付いちゃうから」

「だって……!」

 

 涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、可奈美は顔を上げた。

 

「ハルトさんが、私の知ってるハルトさんで……!」

「うん。そうだね」

 

 ハルトは可奈美の頭を撫でて、一度引き離す。息を整えながら、アマダムがいなくなった。

 

「仮面ライダー……か」

 

 ハルトはその言葉を再び口にする。

 もとより仮面ライダーを名乗る真司と士に向き直るハルトは、赤い眼から戻すことなく続けた。

 

「いいよ。やるよ。仮面ライダー。皆の希望を守るために」

「ハルト……! ああ! お前も今日から仮面ライダーだ!」

 

 真司は自らの拳を叩き、ハルトの肩を叩いた。

 

「ああ。改めて……これからもよろしくね、真司!」

「っしゃあ! 仮面ライダー同士、力を合わせよう!」

 

 大喜びの表情の真司。彼と拳を突き合わせ、ハルトは大きく息を吐いた。

 

「ま……まだだ……」

 

 その時。

 その声に、ハルト、可奈美、真司、士は一斉に顔を強張らせる。

 さっきまで消滅していたアマダムが、ボロボロの人間態で、その姿を現していた。

 

「お前、無事だったのか……!」

 

 ハルトはそう言って警戒する。すぐに指輪を出せるところに手を伸ばすが、アマダムが前のめりに倒れ込むのを見て、動きを止めた。

 

「……アマダム……?」

「私は……まだ……!」

 

 すると、アマダムの周囲にどす黒い魔力が集まり出していく。見えないはずのものが、あまりの濃度で黒く見えるほどになったそれは、次々にアマダムの体に吸い込まれていく。

 

「何、これ!?」

「これは……魔力!?」

 

 ハルトはその黒い流れを見ながらそう断じた。

 

「多分、自然界にある魔力……いわゆるマナを吸収しているのか……!」

 

 やがて、アマダムの体が次々と濃い魔力で大きくなっていく。

 そして。

 

「うおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

 そして、膨大な魔力を肉体とし、異形となったアマダムが吠える。

 さきほどまでの怪人態とはまた違う、見上げるほどの巨大な姿。その肩より雄々しき翼を広げ、吠え猛るドラゴン。ハルトのファントム態と同じく、西洋の邪竜とも呼ぶべきその怪物は、左右二枚ずつ、四枚の翼を大きく広げた。

 

「あれは……!?」

「なんてこった……!」

 

 真司と士が言葉を失う。

 アマダムの大きな咆哮は、山と空気を震わせた。

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