Fate/WizarDragonknight   作:カラス レヴィナ

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今回は目まぐるしく状況が変わります。


混戦

 龍騎のドラグセイバーが、バングレイのバリブレイドと激突する。

 龍騎はそのままドラグバイザーで押し付けるが、バングレイは龍騎を受け流した。

 

「このっ!」

「任せて真司さん!」

 

 龍騎の肩を掴んで、友奈がバングレイへ飛び蹴りを放った。だが、バングレイは全く動揺することなく左手の鎌で防御した。

 

「うそ!」

「甘えんだよ!」

 

 バングレイはそのまま、龍騎の背中を斬り裂き、右手で友奈の首筋を掴んだ。

 

「えっ!」

 

 バングレイはそのまま友奈を蹴り飛ばした。

 

「さてさて。いい記憶だ。もらうぜ!」

 

 バングレイはそのまま右手を掲げる。すると、水色の光とともに冬の空に怪物の姿が現れる。

 

「な、なんだあれ!?」

 

 龍騎が唖然とした声を上げるのは、誰もが頷くのだろう。

 龍騎、友奈の頭上には、巨大な白い怪物が現れたのだった。

 空洞の開いた円形の、白い怪物。頭上の空を覆いかぶさるほどの巨体のそれ。

 

「バーテックス……!」

 

 友奈がそう呟いたのが聞こえてきた。

 龍騎は彼女の方を向いて、言った。

 

「バーテックスって、友奈ちゃんの世界の敵か? それがどうしてここに……?」

「あいつは……あいつは……ッ!」

 

 友奈は普段の彼女からは想像もつかない険しい顔でバーテックスを見上げている。

 バーテックスは、上空から炎の玉の雨を降らせる。それは、街を破壊し、火の海に変えようとしてくる。

 

「させるか!」

 

 龍騎はカードデッキよりアドベントカードを引き抜く。自動で開いたドラグバイザーの挿入口に、そのカードを差し込んだ。

 

『アドベント』

 

 起動する、ドラグレッダーへの命令権。それは、ドラグレッダーを周囲の炎の相殺より、バーテックスへの直接攻撃を優先させるものだった。

 バーテックスの火球を、ドラグレッダーの火炎放射が吹き飛ばす。そのまま赤い龍は、白の化け物と上空での決戦に持ち込んでいった。

 

「よし……うわっ!」

「おいおい、よそ見してんじゃねえぞ!」

 

 安心しきった龍騎は、その背中にバングレイの斬撃を許してしまった。

 地面を転がった龍騎は、思わずドラグセイバーを取りこぼす。

 

「真司さん!」

 

 追撃を仕掛けようとするバングレイを、友奈が食い止めた。彼女はそのまま、素手でバングレイとの戦闘にもつれ込む。

 止まった青い宇宙人へ、龍騎は蹴りを放った。

 

「真司さん、大丈夫!?」

「ああ、助かった……。来い、ドラグレッダー!」

 

 龍騎は肩を回し、契約モンスターを呼ぶ。

 咆哮とともに降りてきたドラグレッダーの頭に飛び乗り、龍騎は友奈へ告げた。

 

「友奈ちゃん! バーテックスは、俺が何とかする!」

「真司さん!? でも」

「友奈ちゃんがアイツを相手にするの、大変なんだろ? だったら、俺がやるから!」

 

 龍騎は友奈が止めるのも待たず、ドラグレッダーとともに上昇していく。

 だがその時。

 

「うおっ!?」

 

 地上から湧き上がる爆発。

 新たに生まれたばかりのグール、ビービ兵が紙くずのようにまき散らされ、その中から二種類の翼が飛び立った。

 

「危ない! ドラグレッダー!」

「___________!」

 

 ドラグレッダーが、赤と白の飛翔体より退避した。

 

「何だ、空中でも面白そうなことになってんじゃねえか」

 

 ファントム、フェニックスとサーヴァント、エンジェル。それぞれが背中に飛行手段を持ちながら、互いを攻撃していた。

 フェニックスはエンジェルからバーテックス、そして龍騎とドラグレッダーへ視線をずらした。

 

「いいねえ。お前らもオレを楽しませろ!」

 

 炎の斬撃が、龍騎へ向かう。

 ドラグセイバーとぶつかり合い、フェニックスは笑みを浮かべた。

 だが。

 

「このっ!」

 

 龍騎はフェニックスの剣をかわし、その肩にドラグセイバーを切り入れる。

 

「ぐっ……へっへ」

 

 だが、フェニックスは、肩にかけられるドラグセイバーを掴む。

 

「いいねえ。中々いい攻撃じゃねえか!」

 

 フェニックスはカタストロフを振るい、龍騎に迫る。

 だが、その前に足場であるドラグレッダーが顔を下げたおかげで、龍騎はカタストロフの刃から逃れた。

 

「何!?」

『ストライクベント』

 

 さらに、龍騎は右手に赤い龍の籠手、ドラグクローを召喚する。

 

「はああ……」

 

 ドラグレッダーの頭を踏み台にして飛び上がり、フェニックス、そしてバーテックスよりも上を取る。

 

「だあっ!」

 

 昇竜突破(ドラグクローファイア)。ドラグレッダーとドラグクローより放たれた炎が、空中で混じりあい、より大きな炎となる。

 バーテックスの火球、フェニックスの炎。威力の多くを相殺されるが、それも龍騎は織り込み済みだった。

 

『ファイナルベント』

 

 昇竜突破が掻き消された時、龍騎はすでに切り札を発動させていた。

 再び龍騎の足元に飛来するドラグレッダー。簡易的に舞を捧げ、ドラグレッダーの鼻先を足場にジャンプ。空中で回転しながら、蹴りの体勢を二体の怪物に向けた。

 龍騎の背後にそびえるドラグレッダー。その口より放たれる炎を感じながら、龍騎は叫んだ。

 

「だああああああああああああああっ!」

 

 ドラグレッダーの吐息とともに炎となるドラゴンライダーキック。それは、立ち向かおうとするフェニックスを容赦なく貫いた。

 

「ぐあっ……そんな……! オレが、こんな奴に……!」

 

 紅蓮の炎をまき散らしながら、不死鳥のファントムは爆発する。だが、その後バーテックスに至る時には、すでに龍騎のドラゴンライダーキックは消耗しきっていた。

 

「ドラグレッダー!」

 

 だが、それも織り込み済みであった。自らの契約モンスターの名前を呼び、赤い龍がバーテックスと取っ組み合う。

 

「頼むぜ……うおっ!」

 

 着地したところで、龍騎はその体に大きな斬撃を受ける。

 

「悪くはない。だが、私には遠く及ばない!」

 

 エンジェルがニヤリと笑みながらこちらに歩いてくる。

 

「くう……必殺技を打った直後に襲ってくるやつがあるかよ……うわっ!」

 

 エンジェルは龍騎の苦言に耳を貸すことなく、その鎧を引き裂く。

 

「愚か者が。戦いにそのようなことを気にする輩などいない。散れ」

 

 エンジェルは、深紅の宝珠を取り出し、胸のスロットに装填した。

 

「スカイックオーブ 天装」

 

 発生した竜巻が龍騎を襲う。

 

「ぐおっ!」

 

 風と雷に巻き込まれる龍騎は、そのまま残ったビービ兵を片付けている響のもとに飛ばされた。

 

「いつつ……」

「真司さん、大丈夫?」

 

 追撃しようとしたビービ兵を殴り飛ばした響に助け起こされた龍騎は、「ああ」と頷く。

 

「何とかな。それより、これ……」

 

 立ち上がった龍騎は、現状に唖然とする。

 エンジェルに吹き飛ばされたのは、ビービ兵軍団のど真ん中だった。

 無数のビービ兵がどんどん追加で発生していくその様は、見ているだけで戦慄を覚えた。

 

「これはやばいな……」

「大丈夫! 最速で最短で、突破します!」

 

 龍騎の言葉に、響は拳を叩いて答えた。

 

「心強いな。よし、俺も負けてらんないな!」

「行きます!」

 

 響はそのまま、ビービ兵たちと格闘を行っていく。龍騎もドラグセイバーでビービ兵たちを切り倒していく。

 その時。

 

「うっ……」

 

 響が突如として膝を折る。

 龍騎は彼女に駆け寄り、助け起こそうとした。

 

「おい、大丈夫か?」

 

 龍騎は響を助け起こそうとする。だが、彼女の肩に触れた途端、龍騎のコスチューム越しに彼女の高熱が伝わった。

 

「熱っ……!」

 

 仮面ライダーとして強化されている肉体でさえ拒否を示してしまう温度。見れば、彼女の体からは蜃気楼さえも上がっているように見えた。

 

「ほう……」

 

 それを見ながら、エンジェルはほくそ笑んでいた。

 

「これは面白い。貴様、どうやらオーパーツが反応しているようだな」

「オーパーツ?」

 

 唐突なエンジェルの発言に、龍騎は首を傾げた。

 

「おい、一体なんの話だ!? 響ちゃんに何をしたんだ!」

「があああああああああああああ!」

 

 響が悲鳴を上げた。龍騎を突き飛ばし、目が金色の輝きを宿し始める。

 

「『カラダ……ヨコセ……!』っくううう!」

「響ちゃん!」

「ほう……マスターよ。見ろ」

「ああ?」

 

 エンジェルの声に、友奈と戦闘中のバングレイが反応した。彼女を突き飛ばし、「何だ!?」と応じる。

 

「ランサーのサーヴァントが、貴様が求める力を見せてくれるそうだ」

「おお!? バリマジか!?」

 

 バングレイは友奈との戦闘を投げ出し、響のもとに駆け付ける。

 龍騎は彼を抱き留めようとするが、バングレイは龍騎を見るなりバリブレイドで斬りつけた。

 

「邪魔だ!」

『ガードベント』

 

 だが、それを見切った龍騎は、すでに龍の盾、ドラグシールドを装備。バングレイの攻撃を防いだ。

 

「やめろ! 響ちゃんに手を出すな!」

「バリ邪魔すんじゃねえ! 俺の獲物だ!」

「ふん。ではマスターよ。彼女は私が狩るが、よろしいか?」

「ふざけんじゃねえ! 俺の狩りの邪魔は許さねえってのが、お前と手を組む条件だろうが! ベルセルクの剣は、俺が狩る!」

 

 だが、彼らがいがみ合っている間にも、すでに状況は動いていた。

 すでに響の光はより強く、大きくなっていた。

 それは、雪が少しずつ降り始めた見滝原の空を、雷鳴で彩るほどに。

 

 

 

___そして、まったく同じタイミングで、遠く離れた見滝原遺跡で火山が噴火したのだった___

 

 

 

「がああああああああああああああああ!」

 

 観測史上稀に見るほどの大きな雷が、響に光来する。

それは、残ったビービ兵をすべて消滅させ、龍騎の体も大きく電撃を与えていく。その中で黄色と白のガングニールは、それによってその姿を変えた。

 

「響ちゃん……!?」

 

 その変化に、龍騎は言葉を失う。そしてバングレイは、「そうだよ、これだよ! もう一回、コイツが見たかったんだ!」と喜びを露わにしている。

 

 やがて、落雷地点の光が消え、響の姿が露わになる。

 

「響ちゃん……?」

 

 友奈も、可奈美も口をぽかんと開けている。

 そこにいた響は、先ほどまでの拳で戦う闘士の姿ではなかった。

 銀色の甲冑、稲妻の模様がついた兜。

 そして、背中に背負われる、雷を形にした巨大な剣を持つ騎士だった。

 

『___カラダ、ヨコセ___!』

 

 それは、響の声ではない。

 彼女の口から、無数に加工したような音響が聞こえてくる。

 だが。

 

「___ない、こんな___こんな衝動に___だとしてもおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

 再び、彼女の周囲に雷鳴。やがて、黄色の光が砕かれ、そこには普段と変わらない顔つきの響がいた。

 

「はあ、はあ……こんな暴走、へいきへっちゃら……」

 

 荒い息だが、響はしっかりと龍騎を見返していた。

 そして。

 

「うおおおおおおおおおおおおおお!」

 

 響は、雷の剣、イナズマケンを掲げる。

 乾燥した空気が、ピリピリと悲鳴を上げる。

 雲もない空へ、地上から雷が打ちあがった。

 

「ぶっ飛ばす!」

 

 響はイナズマケンを振り回し、エンジェルを弾き飛ばす。

 地面を転がったエンジェルは、そのまま響と大きく引き離された。

 サーヴァントを退けた響の目線の先は、巨大な怪物、バーテックスだけだった。龍騎も彼女の目線を追って見上げると、ドラグレッダーが奮闘しているが、なかなか攻めあぐねていた。

 

「サンダースラッシュ!」

 

 響は、イナズマケンを大きく振る。空を走る雷光が、バーテックスの吐き出す火球を相殺し、本体にも少なくないダメージを与えている。

 

「貴様!」

 

 エンジェルが響へ激昂する。

 

 剣を振り上げ、響を襲おうとするが、龍騎はその前にドラグセイバーで受け流した。

 

「邪魔はさせない!」

「ベルセルクは俺のもんだ!」

 

 バングレイもまた、響を狙う。龍騎はバングレイには蹴りを放ち、ドラグレッダーを呼ぶ。

 

「お前、俺の狩りを邪魔する気か!?」

「狩りじゃない。これは、皆を守るための戦いだ!」

「下らん!」

 

 エンジェルが吐き捨てる。

 

「この星もまた、この私が破壊してくれる!」

「させない! 勇者チョップ!」

 

 その声は、二人の敵の背後から。

 桃色の勇者が、勢いよく飛び降り、二人の異形の首筋に手刀を当てていた。背後からの強襲に対応できなかった二人は、そのまま前のめりになり。

 

「っしゃあ! ナイス友奈ちゃん!」

「バリッ!?」

「ぬうっ!」

 

 龍騎のドラグセイバーの二連撃の餌食となった。

 バングレイとエンジェルは防御したが、彼らはもう飛び上がった響には届かなかった。

 

そして、バーテックスの上を取った響は、イナズマケンを掲げながら叫ぶ。

 

「我流・超雷電大剣(サンダーボルトブレイド)!」

 

 左右に一振りずつ。そして、トドメに中心への一撃。

 巨大な落雷を伴う剣は、巨大なるバーテックスを跡形もなく切り刻み、爆発させた。

 

「渡さない……!」

 

 爆炎より降り立った響。

 ベルセルクの力を纏った___それは、サンダーベルセルクと呼ばれる姿___響は、イナズマケンをバングレイとエンジェルへ向けていった。

 

この力(ベルセルクの剣)は、あなたたちには絶対に渡さない!」

 

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