刀使と紡ぐ物語   作:生き甲斐探す

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今回は説明&設定公開がメインです。

結構、説明って難しい。そしてかいていて詰まらない。

次回かその次かに親衛隊が大暴れする予定です。


穢れた真実

可奈美が襲撃者ニ名を仕留めた頃、岩倉早苗は折神家を後にしようとしていた。

 

「柳瀬さんは何時までここに?」

 

「私は…うちの羽島学長がいるまでの間はここにいると思う…」

 

「そんなんだ。私は…今日帰るんだ。…本当は十条さんと帰りたかったんだけどね…来るとき一緒だったし。」

 

「…私もです。…お互い頑張りましょう。」

 

「はい。今日までありがとうございました。また…」

 

別れ際、舞衣は一人になる不安を押し退け笑顔で見送る。

きっと二人は同じ思いだから。

 

 

「岩倉さん!私、一つ確信している事があるんです。」

 

「二人を連れてった人は、信頼できるって。きっとあの人は陰陽師だから!!」

 

せめてお互い辛いのなら堪えるよりも信じよう。

それを伝えたくて舞衣は叫んだ。

 

 

「!?うん…私もです!」

 

 

 

岩倉早苗の表情が心なしか晴れた気がした。

 

 

 

 

 

「…ここで雨宿りか?」

 

「ハァハァ、流石に雨に当たり続けると体に障る。可奈美も疲労が溜まってるみたいだしな。」

 

 

山道を駆けた先にポツリと建つ荒屋を見つけた三名は、雨天のため雨宿りを試みる。

 

可奈美の目から光が消えた後の話だ。

 

長船女学園の刺客を撃破した可奈美だったが、その次の瞬間にはその場に力尽き倒れてしまった。

 

迅移により加速していた姫和が、可奈美を刺客から救出し今に至るというわけだが…

 

 

 

「…天馬。先程の可奈美、お前はどう考える?」

 

「んん~?さぁな。だが、刀使(そっち)の事情はよくわかんねぇが、てめぇらを見てる限り陰陽師(俺たち)起源(もと)は一緒だ。」

 

「元とはなんだ?それに…以前から気にはなっていたのだが、結局陰陽師とは何者だ?」

 

「……先に言っとくぞ、陰陽師(俺たち)の目的は刀使(てめぇは)とは違う。陰陽師(俺たち)の起源は何百年も前だ。」

 

「昔、蘆屋道満の手によって1匹の化け物が創り出された。化け物(ソイツ)は後に()()()()と呼ばれるようになるんだが、化け物(ソイツ)は人を喰らい力を付け、並大抵のやつじゃ払えなくなった。」

 

 

「だが、その最初のケガレは封印される事となる。」

 

「女陰陽師、安倍晴明によって。」

 

()?どういう事だ…確か…歴史書では男だと云われていたはずだ。」

 

「…ソイツは影武者…聞いたことくらいはあるだろ?歴史じゃよくある話しだ。」

 

 

 

彼は続ける。

 

「当時、最強と謳われた安倍晴明は十六歳にして自らの力を貸し与えた眷属、十一人と共に穢れの王討伐を試みる。」

 

「結果としては勝利。だがその代償に、安倍晴明は穢れの王に乗っ取られちまった。」

 

「その後安倍晴明は、穢れの王を自分ごと封印し、地下深くに潜ったと言われている。」

 

ギリギリ残った意識でな、彼の目は懐かしむ様に語る。

その表情は穏やかで普段の彼とは違う印象を受けた。

 

「俺たち陰陽師は、今も尚幽閉されている安倍晴明を救い出すためにある。」

 

「俺達の使命は安倍晴明を救出することだ。」

 

 

「……なら何故私を助けた?」

 

「お前の事だ。利害もないのに助けはしない。」

 

陰陽師の目的の為か、それとも私的理由か…

 

 

何故その問が生まれたのか。

答えは簡単だった。姫和は天馬に少なからず疑問を抱いていたからだ。

 

確かに不可解な点は多い。それでも信じると決めたから、彼女は問う。

 

「さぁな。ただの気まぐれだよ。」

それだけ返すと彼は口を噤んだ。

 

天馬には当然姫和を助けた理由があったのだが、ここでそれを話すわけにもいかない。説明するのも面倒くさいと感じていたりもする。

 

何れは話さなければならない。けど今は口を紡ぐ。

 

 

姫和自身もはぐらかされる前提で聞いていた。それでもわかった上で知りたいことがあった。

 

 

「な!?ここまで話しておいて…白を着るつもりか?」

 

無下にされた怒りが爆発する矢先、ゴソゴソっという物音が話を脱線させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

本日大活躍だった可奈美のお目覚めだ。

 

「ふぁーあ……」

 

 

「ん?あぁ、起きたか可奈美ィ?…」

 

「うん。…身体が重いや…」

 

そこで不意にかけられた声、可奈美の起床を示す声の方向を振り向く。

 

「!?どうした!?どこか痛むのか?」

 

 

「ふぇ…何の話?」

 

 

「何ってお前…泣いているじゃないか。」

 

 

可奈美の頬をつたう涙。本人の顔立ちからして痛み苦しみで泣いているわけではないだろう。

 

その涙は天馬にも引っかかる所がある。

 

天馬の経験上理由のない行動ほど怖いものはない。

 

今回は動作ではないが…ただその涙には不穏な雰囲気を感じた。

本能が語る。そこに何がいると。

 

 

「?」

 

(…守護者の記憶でも見たか?…)

 

守護者というのは言ってしまえば背後霊のようなもの。

 

一般に、人に憑いている歴代陰陽師の霊のことだ。

 

本土であれ土御門島であれ、陰陽師を名乗るための絶対条件は自分に呪護者が憑いていることだ。 

 

その呪護者の持つ実力そのものが呪力であり、呪護者にしている者ほど、高い呪力を有することになる。

 

呪力の高さこそ陰陽師の強さに直結する。

つまり陰陽師の力の根源。

 

 

天馬のここ数日の見立てでは刀使と陰陽師、その目的こそ違えどもその本質は同じだと見ていた。

 

その予想だと、刀使にも守護者が憑いているということだ。

 

つまり、刀使の写しなどの行為は呪力を媒体のして成り立っている事になる。

 

 

 

守護者の記憶を見る、それ自体はよくあるケースなのだが…

 

それは悪夢の類だ。先程の覚醒のようなものではない。

 

今回は明らかにケースが違う…

 

理解の出来ぬ領域にあるその現象は不安を見に留めることになる。

 

…疑問を拭えない気持ち悪さが残るが、それで留まれば先に進めない。

 

 

「…自分の触ってみろ。」

 

トントンと頬あたりを示す天馬。

 

キョトンとした目で触ってみると確かに濡れていた。

 

「あれ?どうしたんだろう、私。…なんだか懐かしい夢、見てた気がするんだけど…」

 

 

可奈美の身に何が起きたのかは天馬ですらわからなかった。

 

 

 

「姫和ちゃん。お話があります。」

 

 

「話?」

 

 

「さっき、姫和ちゃんの剣を受けたとき姫和ちゃんの思いを感じたんだ。」

 

 

「なんて言うんだろう…重たい?みたいな感じ。」

 

 

「威力とかそんな話じゃなく、今までで一番重たい。」

 

 

「何の話だ?」

 

 

「私、気づいたんだ。姫和ちゃんの剣には意志が乗ってるんだって。目的を成し遂げたい。だから重たい。」

 

 

「御前試合の時ね。私すごくワクワクしてたんだ。どんな試合になるんだろうって。」

 

「姫和ちゃんのことで頭がいっぱいだった。けど…姫和ちゃんは私のことなんて見てなかったんだね。」

 

「頭にきたんだ。」

 

「頭に?」

 

 

「あの時、姫和ちゃんに無視されたこと。」

 

「あと、黙ってみてたら姫和ちゃんが殺されちゃうことにも…」

 

思いも依らぬ言葉に目を見開く。

 

 

 

 

「確かに私には覚悟がなかった。」

 

 

 

「けど、今は違う。さっき姫和ちゃんに突き放されて一つ決めたことがあるんだ。」

 

「私の剣が守る剣なら、私は姫和ちゃんの目的と姫和ちゃんを守る。」

 

可奈美の宣言。それは人生を棒に振るという事だ。

とても姫和一人で償う事のできない問題。

 

「なッ!?わかっているのか?それは人斬りの手助けをするという事だぞ。」

 

姫和は少しでも可奈美を遠ざけようとする。自分のする事の後ろめたさからくる思いかもしれない。

 

ただ、こっちに来るなと。

 

だが、可奈美は真っ直ぐ前を見て自信満々に否定する。

まるでそれが正解だと言わんばかりに。

 

「違うよ。姫和ちゃんはご当主様…に化けた荒魂を斬る。」

 

「それ以外は私が斬らせない。それが私の覚悟だよ!」

 

 

「……私が折神紫を狙う理由。今話す。」

 

 

「可奈美…二十年前に起こった大荒魂の事件を知っているな?」

 

「確か…江ノ島に現れた大荒魂を折神紫と今の五箇伝の人たちで討伐した…」

 

 

「あぁ…その討伐班に私の母はいた。」

 

「え?」

 

「資料には残っていない。当然だ……世に知れ渡る事実は虚偽だらけだから。」

 

 

「今いる折神紫は偽物。…奴の正体は討伐されたと言われている大荒魂だ。」

 

 

 

「大荒魂は邪悪、純然たる穢れそのものだった。」

 

「そして…多くの刀使が犠牲になった。刀使だけじゃない。作戦に参加した一般人も犠牲になっている。」

 

「それが奴だ。」

 

「そして、数多いる刀使の中で唯一奴を討ち滅ぼす力を持っていたのが母だ。」

 

 

「だが…完全には討ち滅ぼせなかった。奴は折神紫に成り済まし生き延びた。」

 

 

 

「刀使のちからを使い果たした母は年々目に見えて衰えていった。父に先立たれ、精神的にも追い込まれていった母はいつも悔やんでいた。」

 

 

「そして去年、私の見守る中息を引き取った。」

 

「その夜私は誓った。母の…母さんの命を奪ってまでも人の世に居座り続ける奴を私が撃つと…」

 

先程から手に握りしめていた封筒を握りつぶす。

細い指が震え、悔しさを顕にする姿勢に思わず感傷的になってしまう。

 

 

 

「お前の言うそれは、確かに半分は刀使としての使命感からくるものだ……だが、もう半分は私怨だ…」

 

 

「だから…付き合う必要はない…」

 

 

「…そうだね、」

 

目を細め、姫和の震える肩を支え手を添える。優しく丁寧に、壊さないように姫和の心に寄り添う。

 

「重たそうだから、半分私が持つよ。」

 

天馬はそのやり取りをただひたすら見守っていた。

 

 

 

 

 

「わぁー。雨上がったね。」

 

 

「そうだな…」

 

 

「寒ぃな…流石に雨が冷たい。」

 

 

 

「ならば先を急ぐぞ。雨で誤魔化さたかも知れないが、追手が来ている以上長居は御免だ。」

 

 

 

 





守護者の話。できれば覚えといて下さい。

後々、いじるので。
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