刀使と紡ぐ物語   作:生き甲斐探す

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だいぶ時間がかかりました。

細かい設定を考えてたら…

どうぞお読みください!


暴れ舞う

「ブァァァ───────っ!!!」

 

 

辺りを黒い蝶が舞い覆う。黒い闇が包み込む。悲痛を訴える叫び声が鳴り止まぬ。

微弱に残った意識は荒魂を対象へと導き殲滅を試みる。

 

 

「ゴフゥ───ギギュ……と…とわ…しめ…ます…」

 

ドゴッバゴッハジャァ───

 

地形が変形しそうなほど凄まじい騒音が鳴る。

 

荒魂を使役する異例の刀使の導きに従い統率力を持った蝶の群れが暴れているのだ。

 

木を押し倒し、障害物を器用に掻い潜り目標へと迫り襲う。

 

「いや〜、やばいデスね!」

 

「うげーっあの蝶々!さっきよりも増えてるよっ!」

 

「────て言うかっなんでそんなに余裕そうなの!?二人共っ!」

 

 

「馬鹿言うなっ────エレン(コイツ)が余裕なのはわかんないっ──────しかも俺はめちゃくちゃく焦ってるっ!!」

 

迅移の高速でも振り払えぬ蝶の群れ。

土地の不慣れさ、視界の悪さを鑑みるとここは撤退しかない。

 

だが…

 

 

「逃げようったってコイツら、回り込んで囲んでくるぞ!」

 

 

そう簡単に見過ごしてくれるほど皐月夜見は甘くない。

 

蝶の無尽蔵のスタミナをフル活用し持久戦に持ち込んでくる。

 

 

 

 

 

「…このままじゃジリ貧っ!」

 

「─────なら…時間を稼げっ…」

 

「──────え?ちょっ、待ってっ!」

 

いきなりの提案もとい無茶振りは流石に予想外過ぎる。

可奈美は高速移動中でも分かるほど全力で辞めろと懇願する。ただでさえ疲れが溜まっているのだ。無理に決まっている。

 

 

だが、薫は、可奈美の静止を無視し明後日の方向へと突っ走り出してしまった。

 

疲労困憊の上虫が苦手な可奈美は涙目で訴える。

 

「俺とエレンを倒したお前だっ!大丈夫だ!だからエレンと二人で耐えてくれっ!」

 

 

「─────ちょ、ちょっと───待ってってぇ」

 

「エレンちゃん……あの人本気でどっか行っちゃったよっ!!!!」

 

 

 

「あ〜あ、行っちゃいまシタね。」

 

 

「でもまぁ仕方ないデスね…いつもの事デスから…通常運転デスねっ!」

 

「いいっ!?────あれ、いつものことなんだ…焦ってるとか言ってたのに…」

 

ウウッと唸る。

 

 

 

「ええっ───いつもやる気ないように見えてこういう時だけ積極的なんデスよ────マッタク────」

 

 

「でも確かな事は─────やる気を出した薫はゼッタイ何とかしてくれる─────そう言うことデス!」

 

 

「ハァ──────じゃぁっ信じるしかないね!」

 

「作戦の方向性が決まったことでっ!」

 

 

「さてかなみんっ!第二ラウンドスタートデ〜スよ!」

 

 

 

 

逃げることはできない。だから立ち向かう。エレンと可奈美は立ちふさがる。

 

薫を信じて。

 

 

 

 

 

「さあっ勝負…デス!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……アイツ…絶対に許さねぇ…荒魂は……あいつらは…

 

 

 

 

「道具じゃねぇっ!!」

 

先程珍しくやる気を出し啖呵を切った薫は現在激おこぷんぷん丸だった。

 

怒りの理由は荒魂の乱用。それに道具化。

 

憤りを糧に、先の戦場とは真逆に位置する山の麓のあるポイントを目指し薫は全力疾走で向かう。

一刻も早く皐月夜見から荒魂を救うために。

 

 

 

 

 

 

 

 

益子の家は代々一匹の荒魂を密かに飼い親しんでいた。

 

 

もとは何時だろうか。始まりは荒魂の起源に近しい。

 

 

益子家初の刀使、薫の先祖。最初に荒魂と刀使の関係性に疑問を持ったのは彼女だった。

 

 

彼女は分かり合おうとした。荒魂を試し続けた。

 

そんな中、歳月が過ぎ一匹の荒魂と出会った。

 

 

狼のような見た目のそれは、牙をむき出し人を襲う普通の化け物のように見えた。

 

だがそれは違ったようだ。

 

明確に違うと感じ取ったのは刃を交えた時だった。

 

 

心優しき彼女にはその荒魂が泣いているように感じられた。

 

だから彼女はこう言った。

  

 

「…(うち)に来い…わたしがお前を笑わせてやるっ」

 

 

 

 

 

その魅力的な笑顔と胸の千房に惚れ込みその荒魂はついていった。

彼女の理由は簡単だった。分かり合うきっかけになると思ったから。

それとその荒魂からは悪意と殺意は感じられなかったから。

 

 

 

それから長い時間が立ち人と暮らした荒魂は益子の家の霊獣となった。

 

 

後にその荒魂はねねと呼ばれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねねっお前も手伝え!」

 

 

 

「ねっねねね〜!」

 

 

 

怒りを胸にひたすら走った薫はクレーターのように凹んだ大地にたどり着く。

そこには黄色をモチーフにした巨大なからくり仕掛けの箱が中心部に佇んでいた。

 

その先、いや。その奥に手を伸ばす。

 

すると薫の体が箱に取り込まれる。正確には薫を中心に再展開される。

 

 

 

それは本来の姿に戻ると言ったほうがいい。本来の禍々しさを無くした、神聖な色に。

 

 

光の内から姿を表す少女の身には緋色に輝く鎧が身につけられていた。

 

その緋色を纏う少女はその名を口にする。

 

それは特別祭祀機動隊にしか許されない力。

 

その身に纏う兵器の名を。

 

「…S装備…装着完了っ!」

 

 

再び来た道をかける。同じ荒魂を使役する者として許せないものがあるから。

 

 

 

 

 

 

 

戦況は変わらずだった。いや、薫が抜けた分先程より劣勢だった。

 

 

 

荒魂の多重融合により理性を失いかけている親衛隊第四席、皐月夜見は制御も操作も存在しない。

 

 

ただ本能的に敵を叩き潰しにかかる。

 

「─────グァァァァァッッァ」

 

それは人の次元に留まることなく暴れ続ける。

 

更に、薫離脱後幾度か打撃に斬撃を喰らわせたがほぼノーダメージと見受けられる始末。

 

 

「ウワォッ─────鬼デスか?」

 

 

 

その禍々しい覇気は内に留まらず外側まで侵食し始めいいる。その証拠に彼女の額あたりから鬼を連想させるドス黒い角が生えていた。

 

 

 

その不気味に蠢く化物はエレンを標的に選んだ。

 

 

「────────金剛身っ───」

 

 

間一髪のタイミングであえて受け止め腰を落とす。

 

 

「から〜の────みぞおち殺しっ!」

 

 

「ふふーん 刀使の得意技は剣術だけじゃないデスよ!」

 

 

加えて彼女の細いみぞおちに金剛身で無理やり強化した拳をヒットさせる。

ドゴッと鈍い音がした。

 

 

「フーッ…これで流石に……おわ……り…ぃ!?」

 

 

それを喰らい崩れ落ちる姿を確認しエレンは警戒を解いたのだが、それが次の瞬間、仇となる。

 

   

 

「エレンちゃんまだっ!」

 

「!!!」

 

 

親衛隊は止まらなかった。理性を完全とまではいかないが喪っているそれはノロの塊を螺旋状に乱回転させ、エレンの方へ投げつける。

 

 

「ガハッ───!?」

 

 

それはエレンを吹き飛ばし木の幹に結いつける。

 

ノロの形が変わる。それは一種の鎖だ。それがエレンを縛り付け身の自由を奪う。

 

 

「あつ……い?」

 

「エレンちゃんっ!」

 

「わたしのことは無視でダイジョーブデース!」

 

エレンを庇うように視界に入り込む可奈美。

 

それを見て夜見は標的をエレンから可奈美に変更する。

 

ゾワッと背筋に走る緊迫感に思わず身構える。

 

「(来るっ)」

 

ザザァ────

 

黒い蝶の群れが夜見の手の動きに合わせ突撃してくる。

 

 

可奈美はそれを器用にバックステップで避け夜見のスキを伺うが、蝶の攻撃は止まない。

 

蛇のように不規則かつ的確な攻撃に放浪される。

 

 

 

それだけでも手一杯なのだが、気がかりは先程攻撃を受けてしまったエレン。何やら細工のあるノロ状の鎖に縛られてしまっている。

 

(エレンちゃんの事もあるのにっ)

 

 

「───────ハァッ」

 

 

斬──────焦りに負けた可奈美は無策にも迎え撃つ。無意味な事は重々承知の上だ。

 

木の幹に脚をかけ身をねじり蝶の群れを引き裂く。

 

やはりと言うべきか予想道理手応えはない。荒魂の群れが御刀をすり抜け一切を無効化しているのだ。如何にすごい太刀だろうとそれでは攻撃手段がない。

 

「うそっ!?」

 

だが予想外は今この瞬間訪れた。

引き裂かれたそれはまた再形成し、新たな群れを生み出したのだ。手数の増えた敵に可奈美の抵抗の余地は断たれた。更に悪化する戦況に打つ手を失いつつある。

 

「お…わり………でぇす──────ギギギッ」

 

 

 

「ギィァ────────ガフッ!?」

 

 

 

「悪いっ遅くなった。だから──────早く終わらせるっ!」

 

 

ガギ──────ン

 

終了宣告とともに襲いかかる夜見の体が中に舞った。

 

そしてコンクリートを削るような音が可奈美の耳に入る。

 

 

「さぁてっ形成逆てーん!だぜ!!」

 

 

S装備を身に纏う少女の参戦は戦況を一変させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




個人的に天馬が出てこない回はなかなかに特徴がないと思っていたりします。

レアな作品にしたい(願望)
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