刀使と紡ぐ物語   作:生き甲斐探す

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安定の下手さですが、お願いします。


穏やか

 

 

 

 

 

柔らかい感触を感じる。抱きしめられているようにあたたかい。布団心地よくて離れたくない。自宅で一人蹲るあの頃、一度も感じなかった感覚だった。

 

 

長きに渡る一人暮らしの習慣とは恐ろしい。普段朝早く起きる生活をしていたため、二度寝しようにも中々に寝付けない。

 

 

 

そのような日常生活の影響もある。そして、日々の厳しい鍛錬の成果もあり、もともと豆な性格の彼女には一度目覚めれば起きなければならないという義務感が生まれていた。

 

 

 

 

今回もその類で、自然と意識は覚醒へと向かってしまう。そして、なんとか眠気に抗い目を開けると、そこは見知らぬ天井だった。

 

 

「……ここは?」

 

 

 

 

まだぼんやりする。喉が乾いた。頭痛もする。あれからどのくらいの時間が立ったのだろう。

 

 

 

まず最初に、ベットに寝かされているのがわかった。

 

 

次に服が変えられていることに気づく。思い返せば、あのときの服は血と泥で汚れとても来ていられるようなものではなかった。そう考えると有り難いが、内心恥ずかしいと思う。

 

 

「……傷が癒えている…?」

 

 

(可奈美たちは無事だろうか。確か、一緒に救助されたはずなのだが……)

 

 

そして一番危惧すべき事態を推測する。そして勢いよく身を起こした。辺りを見回すとそこは何もない個室だった。

広さは畳8条程。家具はなし。見晴らしよし。

 

 

「折神家の追手か!?────いや…違う気がする。」

 

が、それを疑うのには材料と証拠が少なすぎた。まず折神の追手ならば姫和を確保した時点で拘束、あるいは処刑しているはずだ。そもそも治療してくれるはずがない。

 

 

(そもそも救助に来た男性は方法さえわからないが、医療してくれたはず…あれがそうだったのか…)

 

だが姫和の負った傷は完治に一ヶ月は必要な重症だったはず。それが今、完治している。

 

それはなぜ…やはりあの不可解な光が…

 

 

と思考散々、そうこうしているうちに扉の奥から足音が聞こえた。

それは一つやニつではなく数人分のものだ。それに反応し身構える。念には念をと言うやつだ。だがその危惧は不発に終わる。足音の主はよく見知った元気な少女だった。

 

 

 

 

「あ、姫和ちゃん。起きたんだ!」

 

 

「可奈美。無事だったか。それに…舞草の」

 

 

「あぁ、俺たちもいるぜ。まぁ死にかけたがな。」

 

 

「危なかったデース。もう少しでエンマ様に会うところでシタ。」

 

 

「おいっ、縁起の悪いこと言うなよ。マジでヤバかったんだからな。俺たち。もう帰りたい。」

 

 

 

「…私はどのくらい倒れていた?」

 

 

「まぁ丸一日って所だ。」

 

 

 

「俺たちも昨日の夜に起きたところだ。」

 

 

 

 

「可奈美、お前本当に大丈夫なのか?」

 

 

 

「いやー、それが」

 

 

「コイツなら、相当元気だぜ。なんせこの馬鹿広い艦内を爆走するくらいだからな。」

 

 

「艦内?ここはそもそも何処だ?」

 

 

「え~と、ここはデスね……なんと!!我々、舞草の所有する、潜水艦の中デース!!」

 

 

「イエ~イ!なんてね!」

 

 

潜水艦、まず予想外の単語が出てきた。確かに時折揺れることもあったが、ここが海中なんて誰も想像しないだろう。

 

 

 

「ならいい、元気そうで何よりだ。」

 

 

「そう言う姫和ちゃんは元気ないね。疲れちゃった?」

 

 

「あぁ、すまない…色々と飲み込めてないことが多くてな。それに…頭が痛い。水中とわかった途端、耳も痛くなってきた。」

 

 

 

「気圧的な問題かも。私のようなも最初、同じ感じだった。」

 

 

「正確には水圧なんだけどな。」

 

 

 

「姫和ちゃん。お水飲む?」

 

 

可奈美が心配そうに見つめてくる。そういえば、起きてから何も口にしていない。本当によく気が利く。

 

私が不調を訴えたらすぐに優しくしてくれる。

思えばずっと助けられてばかりだ。

 

 

 

「そうだな。水飲んで、体調よかったらシャワー浴びてもいいそうだ。よかったなー。」

 

 

「お夕食も楽しみにしててくだサーイ!」

 

甲斐甲斐しく世話してくれる三人を見ると落ち着く。戦いで高ぶった心が落ち着きを取り戻していくような。

それがまた一段と心地よくて気が楽になる。まだ出会って間もない二人と、その二人より少しだけ長く過ごした二人。……ん?……二人?

 

 

 

 

 

「そうだな…頂こう。だがその前に、天馬はどうなった?」

 

 

 

 

「天馬さん?まだn……んん!?」

 

薫は途端顔をニヤつかせ、話す可奈美の口をで押さえた。そして部屋の隅に連行する。

 

その様子に姫和は疑問符を覚えた。

 

 

 

「まぁちょっと待てよ。」

 

「そうデース。ネタばらしはマダ早いデスよ。」

 

「…流石に教えてあげたほうが…あの様子じゃ気づいてないみたいだし。」

 

「だーかーら、それが面白いんだって。」

 

「そーデスよ。もうちょっとだけですカラね。」

 

 

 

コソコソ話を続ける三者に嫌気が差した姫和が痺れを切らし話しかける。

 

 

 

 

「おいっ…何の話をしている。」

 

 

それを聞きすでに方針を固めた二人は動き出した。続けき後を追うように可奈美も続ける。

 

 

 

「あぁ、悪い…それで何の話をしてたんだっけか?」

 

「何も何も…天馬はどうしたと───?」

 

 

「エターナル。お前、必死にアイツの胸に抱きついてたもんなー。そりゃなぁー。」

 

 

「あ、それ私も見まシタ。」

 

 

 

「なかなか情熱的に見えたぜ。」

 

「仕方無いだろっ、あいつは…」

 

 

「助けてくれた恩人だもんな。心配だよな?」

 

 

「いやっ 別に……そ、そんなわけじゃないんだ。だが、あまりにも急に倒れたからっ。あのときは生きているかわからなかったし…、それに、……」

 

 

 

 

急に顔を赤面させる姫和。夜見と交戦したときは冷静でなかった為気にしなかったのだが、今となってみればなかなか際どい接触もあった。それを思い出すと無性に恥ずかしくなったのだ。

 

 

 

「姫和ちゃん、可愛い〜〜!」

 

 

「ワオッ、ひよよん顔真っ赤デース。かわいいデスね!」

 

 

 

「ひよよん!?そもそもっ!赤くなってなぁい!!」

 

エターナル、無いぺったん、ぺたん娘に並ぶ新たなニックネームもそうだが、恥ずかしさのあまり全否定する。

 

全力で否定するのだが、今の彼女の色は客観的に見ても真っ赤に染まっている。理由はともかく、普段の落ち着きのある雰囲気はどこに行ったのやら。手で顔を隠し首を振る姿は、戦乱に巻き込まれつつある少女たちの心を乙女に滾らせてゆく。

 

 

そしてそれはエスカレートしていき、見ている彼女たちの心境も穏やかではなくなっていった。なんせもとが相当の美人だ。

 

そんな彼女の頬を赤らめ恥ずかしがる姿はどこか心をくすぐるものがある。

 

まぁ要約すると、恥ずかしがる女の子かわいい〜〜!ということである。

 

 

 

 

 

「いやー、でも、そんな可愛い反応されたら…逆にこっちが恥ずかしくなっちゃうよ。ね、薫ちゃんっ」

 

 

「だな。うんうん。これ以上はな、」

 

 

「ひよよん、天馬クンにお姫様抱っこ、シテもらってましたからね!」

 

 

「うそ〜!」

 

「へぇ〜〜!」

 

 

 

「おいっ!そんなこと…な…い…ん?…何だコレ…」

 

否定しようと起き上がってみたら、手に何かが触れた。

その感触は人肌の温もりを感じた。

 

嫌な予感がする。

その予感は的中してしまった。

 

 

 

「んなっ!?」

 

 

思わず奇声をあげてしまう。

温もりを手探りで追い行き着いた先は細い腕だった。

さらに布団にくるまったそれを追いかける。

 

 

「まぁ、お気づきかと思われますが…一応、エターナルさん。貴方の王子様(笑)の、天馬さんは現在、貴方様のお側におられます!」

 

 

「トッっても疲れてるみたいなので、起こしちゃダメですよ!」

 

 

 

ニタニタと小悪魔的な笑みを浮かべエレン、薫、可奈美の三人は笑ってみせた。

 

その事からおおよその事態を理解する。

 

心臓が加速する。顔がさらに赤くなった。りんごみたいに。

 

 

 

 

「な、ななな、なにを!?」

 

 

 

 

 

 

「あー、俺たちもそんなピュアな反応されると思ってなかったし、そろそろ帰るわ。」

 

 

「お大事にデース。夕食までには出てきてくださいね。」

 

 

「姫和ちゃん、頑張って!!」

 

 

 

「おいっ!まて!いつからだ!?いつからなんだ!?そもそも何を頑張る!?」

 

 

その後、ボンッと爆発音が部屋から聞こえたが、大丈夫と信じて部屋をあとにした。

 

 

 

 

「何であんなことになってたのかな?」

 

 

「ヒヨヨンのことデスか?え~とソウデスね…確か…」

 

「全部あのロン毛のお偉さんの悪戯だ。」

 

 

「まぁオレはそういう悪戯よくするから共感できるけどな。あー、それより早く部屋に戻ってゴロゴロしよーぜ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぜ…こんなことになっている?」

 

ようやく落ち着きを取り戻した姫和は現在葛藤中だった。

姫和自身、まだ体も辛く今すぐにでも横になりたい様な体調なのだが、それを妨げるものがある。そう。現在進行系で規則正しく寝る少年のことだ。

 

 

なんせベットで寝ようにもそこには同年代の男性が眠っているのだ。先程までも一応ベットをともにしているのだが、無意識的な出来事だった。だがこれからも一緒に寝るとなるとそれは自ら望んでベットを共にするという事になる。

 

 

ベット方を再び見ればやはり規則正しい寝息が聞こえる。

 

 

「おおよそ、質の悪い嫌がらされなのだろうが、なぜ私のような…」

 

 

「……!」

 

 

ふと思いついたかのように姫和は自分の体を嗅ぎ始める。

 

 

「クンクン……ん、お風呂、入ろ。」

 

 

どうせこのまま待機していても結果は同じだ、ならばいっそ開き直って気分転換をする。それも悪くない。

 

運が良ければ、戻ったときに天馬が起きているかもしれない。そうなれば堂々とベットを使える。

 

 

「……そうだ。」

 

彼が寝ている今なら、彼に思うことをすべて話せるかもしれない。そう思いたち彼の眠るベットに腰を掛けた。

 

まじまじと顔を覗き込む。思えばこうしてゆっくり他人の顔を覗き込むことは少なかった。それにそんなことをしている余裕もなかった。

 

 

「本当に…女性みたいな顔立ちだな…」

 

 

「少し…羨ましい。」

 

 

 

 

「私の中で、なぜ()()()と疑問に思っていたが、今は気にしないでおくことにする。」

 

 

 

それは累のマンションでの出来事。天馬の奇妙な指示のことだ。あの時はそのせいで反応が少し遅れた。そして死にかけた。だからここ数日、話さずにはいたが疑問に思っていた。天馬が信用に足る者かを。だが、その疑いも晴れた気がする。命を懸けて戦う彼の姿を見たらそう思うしかなくなった。だから、とびきり頑張って告げた。謝るのは違うと思ったからこう告げたのだ。

 

 

「天馬、無理をさせたのかもしれない。すま……いや、ありがと。」

 

 

最後に少女は少年に耳打ちした。とびきり可愛い感謝を伝えるために。

 

 

そして囁いた後は、そそくさと逃げるように部屋を出ていった。

 

 

 

急いで部屋をあとにした少女は知らない。耳打ちをされた少年の耳が真っ赤に染まっていることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

「てーん馬!おひさッ★★!」

 

船室もといなんとらや、天馬の眠る一室に長身長髪の男がズカズカと入り込んできた。見た目はとても若く見える。

 

そして声の主は天馬の耳元で囁いた。

 

 

「おーきて♡」

 

 

それでも起きようとしない天馬の頬に向け長髪の男は唇を近づけた。天馬とて、男からの接吻なんざ嫌でしかない。このまま目を瞑っていても結果は同じかと思い目を覚ます。

 

「起きないと…襲っちゃうぞ!」

 

 

 

「───わかった!!やめろっ!!」

 

 

「やあっ★おひさ!」

 

 

「おひさッ★ じゃねぇぞっ……てめぇ。」

 

 

そう。目の前に現れた彼は天馬のよく知る人物。彼に十条姫和救出を指示した本人だ。

 

 

 

「てめぇ、色々聞きてぇことがあるんだが…先ずは、殺されてぇのか?んん~!?」

 

 

 

「ちょっ、ちょ待って!何に怒ってるのさ、さっきから。」

 

 

「何で俺の横で姫和が寝てたんだよ?」

 

 

「面白いと思ったから。どうせ天馬の好みはあの子でしょ。」

 

 

「答えになってねぇ。誰が横で寝かせたんだよ!」

 

 

「………僕で〜す!」

 

「……」

 

 

「え、ちょ、ちょっ、待った。…マジ?────ごめんって。」

 

 

ブチッと血管の切れる音がして、気づけばその目の前の男をヘッドロックしていた。

 

 

「グェぇぇぇぇ─────、ちょ、本気でギブ、ギブッ!!」

 

 

 

「はぁはぁ、やりすぎだよ、本気で死ぬかと思った。」

 

 

 

「なら死んどけよ。」

 

 

 

 

睨みを利かす天馬。その目には怒りを感じる。主に長身ロン毛の存在に。余計な事しかしない目の前の男に。

 

 

「わぉ、怖いなぁ。…無理をさせたかもしれない…ありがと─────だってさ。かわいい〜〜顔真っ赤ぁ!」

 

 

 

「おい。」

 

 

「天馬。実はあの時起きてたでしょ。このムッツリ。」

 

 

 

 

 

「おいっ!!てめぇ、調子に乗んのも───」

 

 

「まぁ、調子にも乗りたくなるさ。なんせ今日を、僕は…僕たちはどれだけ待った事だろうね。」

 

 

目の前の彼はからかう調子を辞め、真面目な顔つきになった。そして彼はこう告げたのだ。

 

 

 

「天馬、もう時期叶うかもしれない。僕たちの悲願。」

 

 

 

「……」

 

 

「……続けろ。」

 

 

 

「うん、続けない。」

 

 

「はぁ?!」

 

 

「それも含め後で話すよ。それより、天馬。お風呂入ってきて。…すごく臭い。」

 

 

 

 

 

 

 

その後、浴室で天馬と誰かが遭遇するのはまた別のお話。




なんとか書き終えた。

少し休憩回のつもりです。
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