ボクはトモダチを守る理想を求めていた。
そんなボクの理想に賛同してくれた
ボクはカレと共に闘った。
しかしボクは、ボクらは敗けた――一人の少女とそれに付き従う
最初は信じられなかった。
ボクらは敗けるはずがなかった。
なぜならばボクは特別な存在で、カノジョは平凡な存在のはずだったからだ。
けれども今のボクはボクらが敗けた理由を知っている。
確かにカノジョは平凡だ、けれどもあの頃のボクには無かった「ヒトのココロ」がカノジョにはあった。
しかもそれは並大抵のものでは無い。
カノジョにしか無い、カノジョだけの強き「ヒトのココロ」がボクの理想を打ち破ったのだ。
だからきっとレシラムはカノジョを選んだのだろう。
強き「ヒトのココロ」を持ち、真実を追い求める「善」の存在であるカノジョにレシラムは付き従ったのだ。
ボクがその事に気付いたのは、カノジョとの闘いに敗れ、ゼクロムと共にこのイッシュ地方を旅していた二年の間のことである。
その旅路でボクは「ヒトのココロ」の存在を信じることができるようになった。
もちろん、まだボクの中にそれがあるとは限らない。
けれども、確かにその種が芽吹いたことをボクは信じている。
その後、カノジョと出会うことはできなかったが、変わりに同じような強き「ヒトのココロ」を持つ少女に出会うことができた。
その少女はメイと言った。
メイはとにかく凄かった。
不甲斐ないボクとは違い、イッシュを征服せんと再び立ち上がったボクの父ゲーチスに果敢に立ち向かった。
ボクの目から見てメイはカノジョと違い才能に溢れていた。
正義感に溢れ、イッシュを守る理想に燃え、その在り方はまるで昔のボクと通じるように思えた。
けれどもメイはボクとは違う理想の戦士だった。
メイは誰かと協力することで力を発揮するヒトだった。
そこにはヒトも、ポケモンも関係はなく、メイは誰かを惹き付けるチカラがあった。
それがメイの持つ才能だった。
因みにボクもメイに惹き付けられた一人のヒトである。
そしてメイがゲーチスの野望を破ってイッシュの平和を守り、イッシュ最強のチャンピオンになった後、ボクは今まで一緒にいてくれたゼクロムをメイに連れて行くように頼んだ。
ゼクロムとの別れは辛かったが、今のボクにカレは相応しくない。カレはメイといるべきだとボクは理解していたからだ。
そして、ボクはゼクロムやメイと別れた後、今度はこの世界を旅するようになった。
目的はこの世界のどこかにいるカノジョに出会うため。
もう一度あって今度はカノジョに「アリガトウ」を伝えたい。
「……そういえばボクはカノジョの名前を聞いたことが無かったね。フフッ」
目的を一つ追加しよう。
今度カノジョと出会ったら名前を聞こう。
そして今度はボクと友達になってもらおう。
また……会えるときが楽しみだ。
しかし、ボクは結局カノジョと会うことはできなかった。
その後すぐに、ボクは光の奔流にのまれこの世界を後にしたからだ。
あぁ、全く、思い通りにならないなね。
そう思いながらボクは目を瞑った。