M3が事務棟内の部屋の扉を開けるとそこには、ボロのロングコートを着て落書きされたヘルメットにフルフェイスガスマスクの男が、服が破けボロボロの状態でほとんど裸同然の朱いツインテール髪の人形に機械式の首輪を着けている場面という、明らかに絵面的にアウトな光景が目の前に広がっていた。
運び屋とCZ75は突然扉を開けたM3に顔を向けるが、二人共に興味をなくしたのかそのまま運び屋はCZ75に首輪を装着し、CZ75もそれを甘んじで受け入れていた。
「……酷すぎます。 な、なんですかこの光景は、というかもしかしてこの人が」
「喜びなさい、この男がM3の買い手よ、よかったわね。 私はこんなのに絶対買われたくないけども」
M3の後からED-Eを抱えながら現れたスケアクロウはこのひどい光景に呆れながら言う。
……どうやらED-Eは抵抗を諦めたようだ。
「なんだよ、アタシに同情でもしてんのか? ちっ、いいんだよ。 この首輪は自分で頼んだんだ」
「鉄血のハイエンドモデルである私を目の前にしても、その態度とはなかなか見上げたものですね」
スケアクロウに対して凄むCZ75、ED-Eを胸元に抱き寄せて撫でまわしているスケアクロウも威厳もあったものでもない様子だったのだが。
「というか、その首輪はなんなんですか…… え? ど、奴隷用首輪!?」
M3の問いに運び屋は答えるが、しかも爆弾付きという解答に再び目のハイライトが消える。
隣にいたレックスに顔を覗き込まれるが、その視線はなにか同情されてるような気がした。
「……わ、私もそれを付けられるんでしょうか」
運び屋に首を横に振り否定されM3は安堵するが、何故CZ75にそんな物騒な首輪を取り付けているのか聞くと、彼女自身が人間に対して感情的になり攻撃しないように自制の為だという。
また、M3のように所有権が運び屋にあるわけでなく、CZ75は未だにI.O.P社とG&K社に所有権がある状態な為、勝手なことをしたりモハビ・エクスプレスに下手な探りを入れないようにという意味もあった。
CZ75はもう古巣に戻る気はないようだが。
そしてM3とCZ75が運び屋に連れられて来たのは備品保管庫、そこにはラウルが備品の整備をしているところだった。
外出する時には装備している顔を隠すためのヘルメットもしておらず、爛れた素顔を晒していた。
突然の訪問、しかもその内のCZ75の裸同然の恰好と首に着けられた奴隷用首輪を見て唖然とする。
CZ75もラウルの素顔に一瞬驚くが……
「アンタよりヒデェ顔の奴の相手させられたこともあるし……別に気にしないよ」
「初対面からご親切なフォローありがとよ。 なんか前も似たような台詞を言った気がするがボス、雇った人形は一体だって聞いてたが?」
運び屋はラウルに事の経緯を説明するが、それを聞き続けるたびにラウルの顔が険しくなっていく。
「どこにでもそういう奴らはいるもんだが、そんな連中にファットマンを売ろうとしたのかボス…… まぁ、そこは置いておくとしてお嬢ちゃんの恰好をなんとかせんとな。 その為に来たんだろ?」
「ファットマンって何……です?」
「小型核弾頭ランチャーだってさ」
「…………」(M3の目のハイライトが消える)
頷く運び屋に、ラウルは棚から女性用の衣服を二着取ってくると一着をCZ75に、もう一着を運び屋に渡す。
「しばらくこれを代わりに着とくといい。 今着てる意味があるのか分からん布っ切れは代わりに預かろう。 すぐにボスが直す」
「直す?」
そう言われて衣服を着替えるCZ75、人形とはいえ女性の着替えと言うことでラウルは気を利かせて後ろを向いているが、相変わらず平然とそのままで佇んでいる運び屋にM3は怒る。
「……運び屋さんって本っ当にデリカシーがないですよね! CZ75さんが着替えてるんですからラウルさんみたいに後ろ向いててください!」
「別に今更、裸見られても気にはしないんだけどよ……」
とにかく、CZ75のボロボロになった衣服とラウルに渡された女性用衣服を受け取った運び屋は衣服をニコイチ修理*1し始める。
明らかに素材や生地が違うはずなのに
「ほら、ついでに銃も直してもらいな」
今度は壊されてCZ75自身と一緒にロッカーに放り込まれていた半身でもある銃、Cz75とラウルから渡された別の9mmピストルを運び屋はバラしていくと使える部品を組み合わせて
「あ、明らかに規格の違う銃ですよね……」
「マジかよ、どうやってんだそれ」
「長い年月にわたって銃の整備してるが……俺にもわからん、ボス以外にはな」
そうして運び屋から返された衣服と半身である銃を手に取るCZ75は驚愕する。
「途中から
「……ほ、本当に直ってますね」
唖然とする人形二人だが、ふとM3が呟く。
「も、もしかして……人形にも同じことできちゃうんじゃ……」
「ばっ、馬鹿! 余計なことを言うな!」
運び屋の動きがピタリと止まった様子に、ラウルが慌てる。
「えっ? え? その腕に装着したノコギリみたいなの……な、なんですか!?」
「おい! 無言で近づいてくるのやめろ! ……だからやめろって言ってんだろ! いやぁああぁ!?」
片腕に円形ノコギリをくっつけたような機械式アームガントレット、インダストリアル・ハンドを装備し、人形二人に近づいてくる運び屋。
M3は怯え、CZ75は若干トラウマがぶり返すわで二人はパニックになるのだった。
「ハァッ、ハァ……もうイヤだコイツ、本当にやる気だった」
「こ、この人……本当に信じられない……」
ラウルの制止と、人形二人の必死の抵抗でなんとか止まった運び屋に呆れ果てるラウル。
「ボス、あんた何の為にCZ75を助けたんだよ……」
そんな様子を気にも留めない運び屋は、今度はCZ75のサブウェポンとなる武器がいるとラウルに言う。
「……さっきのことはまるで無視かよコイツ、でも何かくれるっていうのなら投擲用の斧とかない? 得意武器だったんだけど」
「投擲斧? それならあれが余ってたな」
そうしてラウルが持ってきたのは刃の部分が青く光った機械式の斧だった。
「プロトンアックスっていうやつでな、標的に当たると小規模なEMP爆発を起こす。 ロボットや人形とかに効果が高い、鉄血相手にするならこれがいいんじゃないか?」
「鉄血人形相手に効果がある武器じゃなくて、人間に対して殺傷力があるやつとかないのか?」
「……ボスがお手製のトマホークを作ってたような、作り方でも教えてやったらどうだいボス?」
「い、いいなぁ……私は手榴弾しかないのに」
ラウルとCZ75のやり取りを眺めながら、ちょっと羨ましそうに呟くM3に気がついた運び屋はゴソゴソと手持ちの荷物から手榴弾を取り出し手渡した。
どうやら特別に運び屋がくれるらしいと少し期待したM3だが、その手榴弾は十字架のように白い線が書かれているだけの特に変わった感じがしないものでありガッカリする。
「はぁ、勿体無くて結局使わないから一個あげるって……言われてもですね。 3つ数えて投げろ? 4でも2でもいけない? 5はもってのほか? ……ば、馬鹿にしてるんですか!」
途中から声を荒げて怒るM3に気が付いたラウルは、M3が握らされてる手榴弾を見てぎょっとする。
「……M3の嬢ちゃん、悪いことは言わんからそれを絶対近くや屋内で投げるなよ。 というかできれば使うな」
「……?」
その後、M3は運び屋とラウルから、そのありがたい
クエスト完了
■完了:運び屋に会う
■完了:(オプション)鉄血人形と会う
【Jury Rigging】
運び屋は、種類が近いタイプの備品であればそれを使ってニコイチ修理することができる。
互換性があるのか怪しい物も、運び屋にかかれば不思議と修理部品となるのである。
どうやってるのかって?
……それは運び屋にしかわかりません。
【インダストリアル・ハンド】
装着式の機械式アームに電動ディスクソーが取り付けられた工業用ツール。
本来武器ではないが、格闘武器として使うことができる。
DeadSpaceかな?
【プロトン・アックス】
正確にはプロトン・スローイング・アックス。
投擲用ではない両手持ちタイプの斧もある。
機械系にEMP効果を及ぼしてダメージを増幅させ、ロボットや人形、パワードスーツとかなんかにも特効効果がある。
見た目は某機動戦士の敵MSが装備しているヒート・ホーク。
【ホーリー・フラググレネード】
強烈な爆発と威力を誇る手榴弾、ぶっちゃけると核手榴弾。
「聖なるピンを外し、3つ数えろ」
「以上でも以下でもなく3つ数えるのだ」
「数えるのは3つ」
「4でも2でもいけない。5はもってのほかである」
「3つまで数えた時点で、手投げ弾を敵に放り投げなさい」
「目障りな敵がくたばるであろう」
「アーメン」
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