FALL OUT GIRLS   作:WarBoss

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ジャッジちゃん好き。


ザ・ブロートフライ 二世誕生

 そこには強固な分厚いガラスに被われた広い空間があった。

 かつてのそこは水族館内の巨大な水槽であったが、今はもはや水は無く、今は罅割れたタイル床に乾ききった岩石と放置され生い茂った草木が見えるだけだ。

 だがよく見るとその水槽であった場所の中心部に一つの巨大なナニカがあり、その周りには空の注射器や様々な薬品の空き瓶、そしてコーラの空き瓶が辺り一面に散乱している。

 

 それはどうやら虫の蛹のようで時折微かに動いていた。

 やがて微かな動きがやがて徐々に大きくなっていくと、ついに蛹に皹が入り割れ始めた。

 割れ目からは白い光が漏れ出し、どんどん割れ目が大きくなっていく……

 

 そしてついに白光の正体が蛹から変態を遂げた。

 

 

 

 

 

 本来ありもしない地区に改竄し勝手に銘打った場所、L38地区のM.E(モハビ・エクスプレス)社の拠点である廃棄された小さな複合レジャー施設群。

 かつては子供連れの家族が楽しんでいたであろう場所が、日に日にロボット達によって補修や造設をされもはやグリフィン基地よりも物々しい様相になっていた。

 今日もロボット達が黙々とそれぞれに課せられた命令に従い働いている。

 

 その一角である小さな動物園内の飼育施設内で、M3はビッグホーナーと呼ばれる巨大な山羊のような生き物に餌をやりながら、そのロボット達の様子をぼんやり眺めて考えていた。

 何故このロボット達はこれほどまでに毎日必死に補修やら補強をし続けているのだろうと……

 

「何をぼんやりしてるんだい! この後はバラモン、その次はゲッコーの餌やりだよ!」

 

「す、すいません!」

 

 横から怒鳴ったのは麦わら帽子を被った青い肌のミュータントであるリリー、怒られ咄嗟に謝るとテキパキと他のビッグホーナーの餌やりをこなしていく。

 

 初めてリリーを見たM3は多少驚きはしたもの、それまでにあった出来事のほうがインパクトがありすぎたせいもあり、その後はすんなりと受け入れてしまっていた。

 リリー自体も面倒見が良く、時折攻撃的になったり精神的に不安定になったりすることもあったが、平常時には時に厳しくも普段は優しくM3に接してくれていた。

 

「まだまだ他にも腹を空かしている子達がいっぱいいるんだ。 早くしておやり」

 

「は、はいぃぃ!」

 

 必死に餌やりをしていくM3を眺めながらリリーは満足したようだ。

 

「頑張ればやれるじゃないかい、今後は向こうの世話も任せてみるかね」

 

 そう言いながらリリーは水族館がある方へ視線を向けた。

 

 

 

 ──その瞬間、その水族館の屋根が爆音と共に吹き飛んだ。

 

 

 

「なっ、何ですか!? 一体何が……ん?」

 

 気付いたM3も慌てて見ると、そこには白く眩く輝き発光している巨大な飛行物体が不規則な軌道で飛び回っていた。

 

「……は?」

 

 そして目を凝らして眩しく輝くその正体に、思わずM3はおもわず目をこすりながら我が目を疑った。

 

 それの正体は巨大な蝿だった。

 眩しく白光している巨大な蝿が上空を飛び回っているのだ。

 

「また坊やのペットが脱走したのかい。 何度目だいまったく!」

 

「……ああ、ロボット達が毎日補強してるのってそういう……というか、アレがペット……や、やっぱりあの人頭おかしい」

 

 いつものようにデタラメな展開に目のハイライトを消すM3と、動揺は無くいつものことのように呆れているリリー。

 そして、何故毎回忙しなくロボット達が施設の修理や補修をしているのかなんとなく理由を察した。

 

「な、なんなんですかあの光ってる巨大な蝿は……」

 

「あれはブロートフライだよ。 だけど、あんなには大きくはなかった筈だけどねぇ」

 

 ブロートフライは放射能汚染に適応し巨大進化した蝿のクリーチャーである。

 とは言え本来は1mにも満たないサイズの筈であるのだが、運び屋が育てる際にありとあらゆる薬物を投与し、挙句の果てにヌカ・コーラ・クオーツまで大量投与した結果、規格外なサイズでヌカ・コーラ・クオーツの様な白く発光したまさに伝説的なブロートフライが爆誕したのであった。

 

 

 ──後の運び屋曰く、かつての強敵と再び相まみえたかったので自分で育てたらしい。

 その時それを聞いたM3とCZ75は思わず無言で戦術人形の出し切れるフルパワーでボディーブローを叩きこんだ。

 運び屋は全くビクともしなかったが──

 

 

「一体何事ですか……」

 

 騒ぎを聞きつけたスケアクロウが現れ何事かと顔を出してきたが、空を不規則に飛び回り白光する飛行物体(ブロートフライ)を見てかつての脱走事件のトラウマが蘇り元々白い顔がさらに蒼ざめる。

 

「あのイカれ、今度は何を脱走させましたの!?」

 

「わ、私に怒鳴られても困ります!?」

 

 スケアクロウとM3がパニックになりながら言い合いをしているのをよそに、空路飛び交っていた問題のブロートフライはそのまま飛び去っていった。

 

「おや、向こうに飛んでっちまったよ」

 

「あの方角は鉄血の支配領域ですわ…… 代理人に至急連絡してあの忌まわしい蟲を討ち取ってもらいましょう!」

 

「で、でもアレって運び屋さんのペットって話じゃ……」

 

「アレをペット呼ばわりする神経がわかりませんが、どちらにせよ鉄血の領域に侵入してきた時点て只の敵です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後すぐさまスケアクロウからの連絡による言伝により、鉄血の支配領域内にてその総責任者とも言える代理人から、その中枢の防衛を任されているジャッジに通信が繋がれた。

 

『信じがたい話ではありますが、一匹の蝿がこちらの領域に向かっていることが寄越された情報からわかりました。 情報の精査や分析に関しては信用できる伝手からです』

 

「ふん、まさか我々の本営に直接単騎で乗り込もうとする無謀で愚かしい奴がいるとはな、例のAR小隊という連中の一人か? それとも以前情報にあった404小隊とかいう工作員の類か?」

 

『いえ、蠅です』

 

「ふん、なんだただの木っ端か…… 馬鹿馬鹿しい、何故わざわざ私にそんなことで通信連絡を寄越す? 直下の部下に指示して片付ければいいだけだろ」

 

『いえ……ですから比喩的な意味ではなく本当に蠅なんです。 勿論ただの蠅ではなさそうですが』

 

「んん? 何を言っているんだ代理人、訳が分からんぞ?」

 

 代理人はスケアクロウから聞かされた内容を率直に伝えているのだが、そのせいで余計に要領を得ない様子のジャッジだった。

 とにかく再度、代理人はジャッジに誤解のないように一から説明していく……

 

『ということで目下上空を飛行しながら此方に向かって来ていると思われます。 相手は虫ですから何時気まぐれで方向転換してもおかしくないですが、警戒はするべきでしょう』

 

「ふん、前からあの地区に関しては気に食わんかったが、生物兵器を送り込んでくるとはな」

 

『曰く、育てた本人からするとペットが脱走しただけらしいですがね』

 

 代理人からの、その言葉を聞いてジャッジは頭を抱えて深いため息を吐いた。

 

「ご主人は何故あのクーリエとかいう奴と意気投合できるのか未だによくわからん…… 代理人は教育係だろう、それでいいのか?」

 

『主様がそれをお望みとあらば……教育上悪いのは否定しませんが』

 

 再びジャッジが溜め息を付いた後、近くに控えていた部下の人形に指示を出す。

 

「L地区方面のBラインに警戒レベル1ランク上げる様に通達しろ! Cラインはジュピター砲の仕様を全対空に切り替えろ!」

 

「それでは地上防衛ラインの火力支援に穴が空きますが……」

 

「かまわん、たかが蝿一匹なれど空からの襲撃には絶対に警戒せねばならん」

 

「はっ、了解しました! L地区方面の各ラインとブロックに直ちに通達致します!」

 

 ジャッジの指示を通達するために退室していく。

 

『それでは、その後の警戒は頼みました』

 

「……この情報をよこしたのはスケアクロウだろ? 私は何も気にしないさ、只言っといてくれ、クーリエの腹に一発入れといてくれってな」

 

 

 ──その後、スケアクロウは運び屋に渾身のボディーブローをぶち込んだが、やはり運び屋にはビクとも効かなかった。




Q.なんでこんなアホな話にしたん?

A.蝿といえば夏の風物詩かなって♪(クリーチャーに人形が陵辱されるの書きたい)


【ブロートフライ】
巨大進化した蝿のクリーチャーで、見た目もそのままどデカイ蝿である。
同じく巨大化したラッドローチと双璧をなすfalloutのマスコットクリーチャー、一応食用にできる。
卵や孵化した蛆を遠距離から射出し直接産み付けてくるという絵面的にとてもキツイ攻撃をしてくる。
かつて運び屋がいた土地では雑魚クリーチャーの筆頭であったが実は最上位種にとんでもない規格外がいる。

この話を読んでる方の情報はどんなもんでしょ?

  • ドルフロ知ってるけどFallout知らん
  • ドルフロ知らんけどFallout知ってる
  • 両方とも知ってるぞ
  • 両方とも知らんぞ
  • この界隈のコラボは知ってる

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