クーリエ・シックス様
差出人:鉄血工造
代理人
あなたを詐欺罪と器物損壊罪で訴えます!
理由はもちろんお分かりですね?
あなたがマスターを話術で騙し、更には防衛拠点を破壊したからです!
覚悟の準備をしておいて下さい。
ちかいうちに訴えます。
裁判も起こします。
ジャッジにも問答無用できてもらいます。
慰謝料の準備もしておいて下さい!
貴方は犯罪者です!
頭にに弾丸をぶち込まれるのを楽しみにしておいて下さい!
いいですね!
星が見えず暗闇の夜空の下、破壊され燃え続けるジュピターが無残に破壊された鉄血人形の残骸達を照らす。
そして周りを照らす光源がもう一つ、白く発光する蠅の怪物ブロートフライ。
それに対峙する鉄血人形のハイエンドモデル、ジャッジは目の前の敵を冷静に観察する。
(見てた限りでも相当防御が固いようだな、攻撃力も馬鹿にできないがシールドで防げる範囲だ)
目前で滞空するブロートフライを睨みながら観察する。
ジャッジの基本戦闘スタイルは、エネルギーシールドで防御を張りながら背中に取り付けられた連射式ツインオートキャノンによる命中精度の高い射撃を行うやり方であり、普段はオートキャノンの装弾発射にかかるエネルギーをシールドのほうにまわし防御を固め、配下の鉄血人形に援護させるというのが常套手段だった。
(相手取るだけなら私一人だけで十分か)
飛び回るブロートフライの回避能力に対しては命中精度の高いこちらの武器で十分に相手取れると思われた。
「ギギィ!」
ジャッジはブロートフライから目を離さないようにしながら隙を窺っていたが、先に動いたのはブロートフライの方だった。
ブロートフライは突如急上昇飛行をし一気にジャッジの頭上を取ると、すかさず尾尻から卵を射出し鋭い一撃を撃ち込んでくる。
「ハッ! 所詮は虫の頭で考えた容易い奇襲だ! やってみろォ!」
その一撃をシールドで受けようとするジャッジ、上空に向かって平面三角形のシールドが現れ攻撃を阻もうとする。
だがその威力は予想以上のものだった。
ブロートフライの一撃を受け止めたシールドは容易く耐えたがその衝撃エネルギーはそのままジャッジに圧し掛かかり、凄まじい負荷を掛けた。
「ぐっ! この威力は対物ライフル以上だな…… だが、その程度では脅威には程遠い!」
ジャッジはお返しとばかりにメイン武器のツインオートカノンをフル連射してブロートフライにとにかく撃ち込む、ブロートフライは変則的な軌道を描きながら飛びまわり回避しようとするが、オートカノンの自動追尾機能にはなすすべもなくほとんどの射撃が命中、だがブロートフライはジャッジからの射撃をくらい続けながらも平然と逃げ回り続けていた。
「当たりはしてもまるで効かんだと!?」
ジャッジの周囲を廻るように左右上下と自在に逃げ回るブロートフライ、装備されたツインオートカノンが忙しなく自動追尾をしながら撃ち続けるがやがて──ガチンッという音を立てたかと思うと射撃が止まった。
「ちっ、弾切れか!」
オートカノンが弾を全て吐き出した後、オートリロードを始める。
「ギチチチ!」
その様子をみて嗤ったかのようにブロートフライは鳴き、尾尻から卵を撃ち出しジャッジを撃ち抜こうとするが、それもまたシールドに阻まれる。
だが、ジャッジが射撃攻撃をできないと理解しているのか、回避行動から動きを止め続けて何度も攻撃を撃ち込み続ける。
度重なる薬とヌカコーラ・クォーツの多量投与により変化したブロートフライは巨大化と共に外皮が恐ろしく硬化し、また産み出され射出される卵も同じく驚異的な硬度と比重、更に放射能をも帯びており、それは嘗ての旧世代での戦争に使用されていた劣化ウラン弾と同等かそれ以上に脅威であった。
「くっ! っぐっ! ぅあっ!?」
ジャッジはシールドを展開して防御するが、続けざまに撃ち込まれるブロートフライからの攻撃の衝撃と反動に耐えきれず徐々に押され始める。
これは守備を得意とするハイエンドモデルであるジャッジだからこそ耐えれているとも言えるが……
「ぐぅっ! くそっ、もう一度地に伏してろ!」
「ィギッ!?」
背中と脚部に内蔵された噴射装置で空中に飛び上がり、ブロートフライに向かって飛び蹴りを撃ち込む。
シールドに使うエネルギーをも回し、全てを集約した一撃が顔面に叩き込まれ、ブロートフライは一瞬昏倒し墜落。
「ついでにこれでもどうだぁ!」
更に噴射装置と落下の勢いを利用して落ちていくブロートフライの腹部に追撃の蹴りを入れながら地面に叩きつける。
地に落ちたブロートフライはジャッジの踏み台となったまま動かなくなった。
「っはぁ、はぁ…… 手こずらせてくれる! これで最後だ、くたばれ!」
シールドに使っていたエネルギーを全てリロードを完了したツインオートカノンに充てて、下にいるブロートフライに銃口を向けて至近距離で撃ちまくるジャッジ。
鳴り続けるオートカノンからの怒涛の射撃音、撃って撃って撃ちまくる。
吐き出される弾丸が全て真下のブロートフライに撃ち込まれ、ついにまたも弾切れの音がし射撃が止まる。
怒涛の射撃により硝煙や土煙で視界が遮られるが、周りに漂っていた硝煙の霧が徐々に晴れてくるとそこには穴だらけのズタズタになったブロートフライが──
「そんな馬鹿なっ、無傷!?」
──いるはずだった。
そこにいたのはジャッジからの至近距離の全力掃射を受けたはずのブロートフライ、だが手負いどころか何一つ傷を負っていなかった。
「ギャギィイイ!」
「なっ! うぐぁあっ!?」
次の瞬間にブロートフライは自らの腹に乗るジャッジを六つの脚で拘束し捕まえ、脚それぞれが抱き込み締め潰そうとまた引っ張り引き千切ろうとする。
その力は鉄血人形のハイエンドモデルをも容易く凌駕し抗うこともできないもので、ジャッジの衣服が引き千切られ、肉体も引き裂かれる。
「ぅあがぁ!?」
「ヂギギギイイ!」
肩が裂け、人工血液が勢いよく噴き出し、ブロートフライは更に血を啜ろうとその裂けた傷口に噛み付いた。
「っぅああああああぁああ!?」
ジャッジの電脳にダメージと痛覚のオーバーフローによる警告が出る。
痛覚を切ろうとするが、あまりの痛みにより冷静さを欠きそれもほとんどできていない。
そして、ブロートフライはジャッジを無理やり引き寄せて腹部に尾尻を押し付ける。
「ぃいやあ、やめろ! ぃ嫌だ! やめてぇ!」
あまりのダメージと痛覚の負荷により、普段隠していた幼い性格が一瞬露わになるジャッジ、これからされる行為を想像し必死に抵抗しもがく。
この密着した至近距離ではシールドは意味をなさない、その為必死に噴射装置を使い密着状態から逃れその瞬間、隙間にシールドを張った。
──ズガンッ!
「あがぁっ!?」
その次の瞬間、ジャッジはシールドに直撃した衝撃をモロにうけて凄まじい勢いで吹き飛ぶ。
彼方の後方に吹き飛ばされるとそのまま地面に落ちるが、勢いを殺し切れずに何度もバウンドしながら更に地面を転がり続けやがて勢いはなくなり止まった。
「……ぅあっ」
酷い有様で地面に横たわるジャッジ、微かに日が昇り始めて空が明るくなりその悲惨な姿が晒される。
元々生地の少なかった衣服はほとんど破け、裸同然でそのさらけ出された素肌はズタズタに引き裂かれて血だらけの姿、武器であるツインオートカノンも片方が破壊され無くなっている。
ブロートフライから距離を空けれたがもはや意味をなさない。
ブロートフライが飛び上がる音が聞こえ、その羽音がジャッジに近づいてきているのがわかった。
日の光によって暗闇に眩しく光っていた姿が徐々に見やすくなり、その悍ましい見た目を完全に曝け出す。
「ぃゃ……」
暗い夜では自ら発光していた見にくく視認し辛かった怪物の全貌を遂に見たジャッジは完全に戦意を喪失していた。
「ギィイッ!」
倒れ伏すジャッジの真上まで飛んできたブロートフライは真下のジャッジに向かって卵を撃ち込もうと狙いを付け──
──ガズンッ!
「……うぐぁあっ!?」
「ィギ?」
──ジャッジの顔面を掠めて着弾した。
威力が威力だけに、顔の真横に着弾しただけで脅威だったが直撃はなんとかまのがれていた。
ブロートフライは首を傾げるような動作をしながらもう一度ジャッジに向かって射出するが……
命中せず、周囲の地面に着弾し跳ね上がった土と砂塵がジャッジにかぶさっていくだけだった。
「ヂヂギ?」
「ぅあっぁ、もうやめてぇ……いやだぁ」
メンタルを完全に折られたジャッジは攻撃をわざと外し弄ばれてると思い込み、頭を抱え縮こまり怯える。
だがブロートフライが更に攻撃をしようとするその時、別方向から声が掛かる。
「そこまでだ化け物! 総員射撃開始!」
その直後に四方八方から数多の射撃がブロートフライに降り注ぐ銃撃の嵐。
「ヂィ!?」
「次! ブルート班かかれぇ!」
突如の攻撃に混乱するブロートフライに、更に追撃がかかる。
いつの間にか接近していた鉄血の人形の
その対装甲に特化した刃は徐々にではあるが確実にブロートフライの外皮を斬りつけダメージを与えていた。
「ギィ!? ギギチギヂヂ!?」
今まで傷付けられた経験がなかったブロートフライは混乱しつつも必死にブルート達を振り落とそうとするが彼女達も負けじと必死に取り付きナイフブレードを突き立てる。
「ジャッジ様を確保! 撤収!」
ジャッジはそのブロートフライの状況見上げながら唖然としていると、別の鉄血人形達が姿勢を低くしながら現れ引きずられて行く。
「ジャッジ様! ご無事で……くっ! 申し訳ありません我々が不甲斐ないばかりに……」
「ぅく、お前……あのドラグーンか?」
引きずられながらやがて残骸の物陰に移されたジャッジが顔を合わせたのは先程助けたはずのドラグーンだった。
ドラグーンはジャッジのその有様を見て沈痛な表情をする。
ドラグーンはジャッジに助けられた後、散り散りになった鉄血人形たちを招集指揮して再び戻り戦力を立て直していた。
ジャッジと戦って意識がそれているうちにブロートフライを囲むように射撃が得意なタイプの鉄血人形たちを配置していき、対峙してわかったブロートフライの尋常ではない装甲に対抗するために、こうして快刀としてブルート達を集め、ぶつけたのだ。
集められたブルート達はジャッジの為に廃き捨てられる覚悟で今もブロートフライに追い縋り刃を突き立てているが、殆どは脚に引き千切られるか振り落とされた後に卵を撃ち込まれて飛び散っていた。
「大丈夫です。 絶対に無事ジャッジ様を送り届けてみせます!」
「っ!? ドラグーン! オマエ何を──」
「あら、やっとお目覚めかしら?」
一瞬で視界が切り替わり、目の前にジャッジと同じハイエンドモデルのドリーマーが現れた。
気が付けば何故か鉄血陣営の治療施設内に寝かされていたジャッジは唖然とする。
「──え?」
突然のことで混乱するジャッジの様子に愉しそうにドリーマーは説明する。
「アナタ、運び込まれてきたはいいけど、メンタルモデルがズタズタでお話にならなかったから少し中を弄るついでに覗かせてもらったわぁ」
「私は一体……いや、あの化け物はどうなった?」
「アナタを追い詰めた虫ケラのことかしら? アレなら日が昇りきった途端に飛んで逃げていったらしいわよ、どうやら夜行性だったみたいねぇ」
ニヤニヤと嗤いながらもしっかり答えるドリーマー、いろいろと言い返してやりたかったジャッジだが、喉まできたそれを飲み込みもう一つ気になっていたことを聞いた。
「……あのドラグーンはどうした?」
自分を助け出してくれた部下のことだ。
「あら、何言ってるの? ちゃんと今も手を繋いでるじゃない、フフ」
そう言われて初めてジャッジは自分の手が何かを握っていることに気がついた。
握っていたのは肩から切り落とされた一本の腕だった。
ジャッジちゃんが防衛能力に優れているのは実は彼女のために部下が必死になって頑張って守ってくれる説。
なお、その後に片腕が取れたドラグーンが様子を見に来たことによりドリーマーにからかわれたと気が付きブチ切れる模様。
そしてその後も迷惑な蝿がリリマルさんの【うちの新人は色々うるさい】での『うちの新人は、空でもうるさい』の回でご迷惑をお掛けしている模様です。
【伝説のブロートフライ 二世】
かつて運び屋が遭遇した強敵を再現するために生み出された狂気の産物第2号。
ありとあらゆる薬物とヌカ・コーラ・クォーツを大量投与された結果、通常のブロートフライから常軌を逸した新たなる伝説が生まれた。
ヌカ・コーラ・クォーツ漬けになったせいで異常な皮膚の硬さを持っており、対物ライフルの銃撃も容易く弾き、射出される卵もイカれた硬度と比重で更に放射能汚染されているもんだから劣化ウラン弾とほぼ変わらない迷惑な威力を持っている。
強力な暗視能力を持っており夜戦では上空からほぼ全てを視界に捉えることができるが、逆に明るい場所ではほとんど視えない状態になってしまう。
因みに先代はヌカ・コーラ・クォーツなしで薬物投与のみで作り出されたと思われる。
緑色に発光しながら射出される強烈なプラズマはとんでもない破壊力で多くの犠牲者を粘液に変えた。
その強さは運び屋が出会った中でもトップクラスの強さであり、正しく伝説級。
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