運び屋とCZ75がL38地区に帰って来た後日、M3とCZ75は事務棟の一室で疲れ切った顔つきで二人してソファーに座って項垂れていた。
「はあぁぁ、マジで疲れた」
「お、お疲れ……様です。 はぁ……」
「本当に余計なことしかしねぇな運び屋は……」
「ま、まぁ人手が増えるんですから……いいんじゃないでしょうか?」
「その人手も、今頃何やらされてるかまったくわかんないけどな」
少し気まずそうにしながら言うCZ75は、運び屋に連れられてS地区で起こった……いや、運び屋が起こした事を思い出していた。
S09地区で人形密売組織の男を回収したその日、運び屋は他にも人形を買って帰るという滅茶苦茶なことを言い出したのが始まりだ。
戦術人形にせよ自立人形にせよ堂々と売りに出されているようなものではないのは当たり前で、そんなのをどこで買うというのか……I.O.P製以外の人形にでも当てがあるんだろうかとCZ75はその時は思っていた。
蝶事件のせいで今や人形メーカーのシェアはI.O.P製がトップだ。
別メーカーもないわけではないが、逆に珍しさ故に中古扱いでは更に価格が跳ね上がっているというのもよくあり、それこそ気軽に買えるものではない。
人形の大量受注と生産を行えるのは、I.O.Pか今は無き鉄血工造ぐらいで他のメーカーはほぼオーダーメイドというのが常であり、そういった人形をわざわざ手放して売りに出されることは滅多にないことだ。
戦術人形から武装解体された自立人形を買うにしてもI.O.P社を通さなければならないのが通常であるが、普通に買おうとしてもそう簡単に買えるものでもない……人形密売組織があるぐらいであるのだから。
とにかく人形を買うとなるとI.O.P製しかほぼ選択肢はないだろう。
「グリフィンの前線基地を巡って買いたたくとかやっぱ頭おかしいよアイツ……」
「売る方も……だと思います……」
「ホント、胸糞悪いな……」
そう、運び屋はグリフィンの前線基地を虱潰しに回って人形を売ってくれないかと交渉したのである。
G&K社の人形達はI.O.P社との提携の元に配属されており、それを勝手に売り買いするのは規約違反になる。
グリフィンがI.O.P製の人形を解体や放棄する時はI.O.Pに返却するのが規約で決まっているからだ。
だがS地区、特に09地区等は鉄血との前線の激戦区であり、多くの基地や指揮官が配属されている。
そしてその指揮官の中には人形を戦果の為に平然と使い捨てるのもいれば、無理やり性欲の捌け口にしたりと道具以下の扱いをする者もいた。
もちろん運び屋に売る指揮官もいた。
回収してもらい、少ない資材やコアを得るよりも売る方が得だと考えた指揮官は運び屋の交渉に応じたのだ。
「それでさ、連れてこられた奴の中にずっと泣いてた奴いただろ、誓約してたらしい」
「え? そ、そんな」
その人形を売った指揮官は決して人形を使い捨てるような非道な人間ではなかったが、なんというか意思が弱く頼りない男だった。
その結果、運び屋の話術に流され売ってしまったのだ。
「正直、アタシ達人形を都合よく使い捨てる奴よりムカついたよ。 殴ってやろうと思ったけど本人に泣いて止められちまったけど……」
「……それでもその指揮官は」
「オドオド慌ててるだけだでそれ以上何もないさ」
不機嫌顔をするCZ75だが、それよりもやはりその連れてこられた人形達が今どうなっているのかが気になっていた。
人形密売組織の男と共に、同じように首輪を着けられて運び屋に連れて行かれた人形達……今頃どの様なことになっているのかCZ75には想像がつかなかった。
「M3はアイツ等がどこに連れて行かれたか知ってるか?」
「い、いえ、立入禁止区域に行ったことぐらいしか……」
「あの機械仕掛けの蠍共がうろついてるところか、一体何をやらせてるんだか」
「す、すいません! ……お役に立て……なくて」
謝るM3にCZ75は苦笑しながら宥めて言う。
売られた人形達には同情するが、所有者から実際に売られてしまった以上、結局はCZ75にどうにもできない話だった。
「謝んなよ。 アタシはもちろん、情報収集が得意だって豪語してるスケアクロウもあの場所に何があるのか知らないんだし」
「……そういえばスケアクロウさんも何か大変そうでしたね。 すごい疲れたような顔してました」
「あー、たしか運び屋が育ててたっていう蠅が逃げ出して鉄血側を荒らしたんだっけ? なんだよそれ、マジわけわかんねぇ話だな」
「あの蠅にはビックリしました……それで運び屋さんが帰ってきて早々に、ブチギレたスケアクロウさんが襲い掛かってましたよね……」
「まったく運び屋に効いてる気配がなかったけどな、仮にもハイエンドモデル人形のボディーブロー受けて平然としてるってどういうこったよ…… S09地区の時も思ったけどやっぱりアイツ人間じゃなかったわ」
「な、何かまたあったんですか?」
CZ75はソファーに寝そべりながら足を投げ出しながら頭の後ろで手を組む。
そして遠い目をしながらM3の疑問に答えた。
「S09地区の基地を巡ってる時にさ、たしか対鉄血レーダー基地だったかな? グリフィン内では結構有名な大きい基地があるんだけど、そこにも運び屋が交渉しに行こうとしたわけなんだけどさ」
その時に起こったことを思い出しながら話を続けるCZ75、その表情はなんというか色々複雑な表情であった。
「近づく事前に外からその基地の様子を探ろうとして運び屋が双眼鏡で覗こうとした途端、その瞬間に双眼鏡が銃弾で弾き飛ばされたんだ」
「それって、事前に狙われてたってことでしょうか?」
「そういうこったろうな、ご丁寧に双眼鏡が落ちる前に更に二発撃ち込んで弾きやがった」
「うわ、なんですかそれ……か、完全に警告されてるじゃないですか」
どの方向からどれぐらいの距離で撃ち込まれたかはわからないが、未だ戦場に出たことがないM3でもそれを見せつけた狙撃手が生半可な腕前ではないのはわかった。
「だけど問題はその後だよ……運び屋の奴、何事もなかったかのように双眼鏡を拾ってそのまま基地の方を覗きやがったんだよ」
「え、えぇ……たまに思うんですけどあの人って心臓に毛が生えてるどころか
「それどころか
「そ、それでも貫通しなかったんですね、あのヘルメット……」
「愛用のヘルメットが凹んで珍しくご立腹だったけどなアイツ」
M3は運び屋がいつも被っている落書きされた古いヘルメットを思い出しながら呟く。
CZ75が言うには、どうやらあの古めかしい装備を運び屋は大変お気に入りらしい。
「それで……結局どうしたんです?」
「あの基地には交渉できる余地がないとか言って早々に撤収しやがった」
「いつも空気読まないのにそういう部分だけ鋭いというか……潔いですよね、あの人」
「……そうだな」
CZ75はそう言いながらその時のことを思い出した。
話には出していなかったが、その時に運び屋の周りにいたのはCZ75だけでなく買われた人形達と人形密売組織のあの男がいた。
そして、運び屋が頭を撃たれた直後にヘルメット以外にも片腕の手甲が凹んでいたのを実は見ていた。
(あの時、運び屋の隣にあの男がいたけど……もしかして狙われてたのはあの男でそれを庇ったのか?)
だがあの運び屋が態々あの犯罪者崩れの男を庇ってまで利用する理由は?
今どこにいるか知れない人形達と犯罪組織にいた男、そして連れて行かれたであろう先の立ち入り禁止区域。
CZ75は運び屋、そしてモハビ・エクスプレスが一体何をしようとしているのかが気になって仕方がなかった。
もう某P基地に怒られてもいいやという勇気(開き直り)
焔薙さんの【それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!】でのエピソード『SuperSASSの敗北』にて裏側が語られております。
……えっ? 何この大げさな反応(困惑)
【Heartless/Cardiac Arrest】
運び屋の心臓は取り外され、人工物に置き換えられている。
それにより毒物は無効化され、回復用薬物の効果が増大している。
そしてそれを感知できてしまうロボットや人形は混乱して急所攻撃を的確に行えない。
実はお気軽に心臓を入れなおすこともできる。
【Brainless/Big Brained】
運び屋はなんやかんやあって脳味噌を抜き取られたりした挙句に、反発する自身の脳味噌相手に対話したり和解したりで元の頭の中に戻った。
脳味噌を抜き取られた時点でおかしい? 何故対話できる? それは、NVゲーム本編をプレイしてどうぞ……
結局、運び屋は脳の手術効果により頭に重傷を負わなくなり、薬物中毒に対しても耐性を得ることとなった。
ついでに頭部に装甲値が追加された。
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ドルフロ知ってるけどFallout知らん
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両方とも知ってるぞ
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