オリキャラの名前とか考えるの苦手なのよね……
ここはL38地区の中の立入禁止区域、その更に地下深くにある場所。
周りでは人間と人形とロボットが入り混じって忙しなく掘削作業をしていた。
「D班リーダー! 稼働効率が88.3%に下がっている、状況報告を!」
薄暗い空間の中でホバー浮遊する球体ボディーに三本のアームと三つのセンサーアイを持つロボット、Mr.ハンディーが男と人形に詰め寄っていた。
首輪を着けられた戦術人形スコーピオンは、隣にいる同じように首輪を着けたリーダーと呼ばれた、元人形密売組織のブローカーの男に言う。
「リーダー、もう正直に言っちゃったほうがいいんじゃない?」
「言ってどうにかなるもんかよ」
「でもさ……Mk23はもう限界だよ」
「それでも働かせろっていうのが運び屋の指示なんだよ」
浮かない顔をして食い下がるスコーピオンを無視して男は言う。
そしてMr.ハンディーはなお問い質す。
「もう一度聞く! なぜ稼働効率が落ちている! 許容範囲を大きく下回っているぞ!」
「……Mk23のメンタルがもうズタボロなんだよ。 少し安静にしてあげれないの?」
「っ!? おい、勝手に──」
問い詰めるMr.ハンディーに答えるスコーピオンに焦る男、そしてその言葉を聞いたMr.ハンディーの反応は冷たいものだった。
「作業の妨げになっているならば廃棄処分を管理者に申請しておく! 報告御苦労、解散してヨシ!」
「えっ!? ちょっと待ってよ!! 少し安静にしてあげたら大丈夫だから!!」
「チッ、だからよせと言ったんだ……」
Mr.ハンディーとの問答の後に二人は地下内の飲食コーナーのカウンター席でヌードルを啜りながら悩んでいた。
「……ゴメン、あたしが余計な事言ったから」
「お前ら人形がどうなろうと知らん、だがお前達を任されてるのは俺だからな……不味いな」
「え? 美味しいと思うけど?」
「……そういうことじゃない」
いや、たしかに美味いのだが……
人工物や合成物を使用していない正真正銘の小麦粉だけから作られたヌードル。
元々アウトローだった男からしたら口にすることが滅多にできない食べ物だった。
ここの欠点と言えば、今もカウンターの向かい側で料理をしている頭の上にコック帽をのせたロボットがそれしか作れないことだが。
旧世代のSF映画から出てきたようなレトロ風ロボット、プロテクトロンと呼ばれているタイプのこのロボットは、先ほど問い詰めてきたMr.ハンディー以上に融通が利かない。
「たしか、うどんって言うんだったかこれは」
人形の内の一人に聞いた目の前の食べ物の名前を思い出しながら、麺を啜る。
その横でスコーピオンは顔を俯かせてボソリと言った。
「……でもさ、Mk23見てると辛いんだ」
「今の環境は人形にとっては楽なもんだろ、俺なんか生身の人間なのに現場で働かされてるんだぞ」
「リーダーは偉そうに指示してるだけじゃん。 他の男連中は文句を言わずに私達と同じように重労働してるのに」
運び屋に買われてきた人形達と共に、元ブローカーの男は今いる地下での掘削作業に従事させられていた。
男は一緒に連れられて来た人形を指揮するように言われ、人形達でまとめられた通称D班と呼ばれているグループのリーダーをすることとなったのだ。
一体何が目的での掘削かは男には到底想像がつかなかったが、ロボットや人形どころか男のような素性の知れない様な人間も駆り出されていた。
男以外の人間は何とも気味の悪い連中で、ほとんど言葉を話さず口を覆う拘束具のようなマスクやゴーグルをしている者達ばかりで何一つ文句を言わず働いていた。
「戦術人形のお前達を指揮する奴がいた方が効率がいいって運び屋が言ったんだから仕方ないだろうが……」
人形……特に戦術人形は指揮されることによって大きく本領が発揮される。
基本的にI.O.P製の戦術人形は感情豊かであるが故に個が強く、人形達だけでは連携が取りにくい傾向にあり、その為にG&K社等の人形を多用しているPMCは指揮する人間を置く。
蝶事件による鉄血の問題もあり人形が人形を指揮するということを避けているという理由もあるらしいが……
「指揮するならMk23のことも気を遣ってあげてよ!」
「下手なこと言って状況を悪化させたのはお前だろう!」
二人が話しているGr Mk23は、グリフィンの指揮官と誓約していたにも関わらず運び屋に買い取られてしまった人形だ。
そのことのショックにMk23は日々泣き続け、既にメンタルモデルは限界にきていた。
今までは他の人形達が庇ってフォローをしていたが、スコーピオンの一言で不味い流れになってきていることに男は内心焦っていた。
(ロボット共は融通が利かない、このままだと本当にMk23を廃棄しようとするだろう。 そうなれば今まで纏まっていた人形達が反抗して俺の立場は余計に悪くなるぞ……)
男はMk23のことをそのまま放置しようとしていた、他の人形達が慰める中でそのまま大人しく衰弱するなら事を荒立てずに済むからだ。
だがもしMk23が廃棄されてしまえば、口を滑らしたのはスコーピオンだとしても男は人形達に責められるだろう。
人形達の中には男が人形密売組織の元ブローカーだということを、CZ75から知った者もいる。
そして、いよいよ人形達をまとめ上げることができないとなれば、男は運び屋に不要であると切り捨てられる道しかないであろうと……
「とにかく一度戻ってMk23をどうにかするしかない」
「どうにかするって、どうするのさ」
「幸い誓約出来たほどのスペックがある。 本来なら班の中で一番動けるはずなんだから、それを本人に証明してもらうしかないだろうさ」
「そんなの無茶だよ!」
「無茶でもやらせるしかない、このままだとあいつは廃棄される」
そう言いながらカウンターテーブルの上にこの地下で疑似通貨として支給されている
「ナニニシマスカ」
「美味しかったよ。 また頼むねタカハシ……って待ってよ!」
「ナニニシマスカ」
スコーピオンは同じ言葉しか繰り返さないプロテクトロンに振舞ってくれた料理のお礼をしてから男の後を追っていった。
だが二人がMk23の元を訪れた時には既に遅かった。
Mr.ハンディー達が殺到し、人形達がMk23を守るために前に立って庇っていたのだ。
「くそっ、最悪だ……大佐まで来ている」
「本当に最悪、私……あいつ嫌いだよ」
Mk23を庇っている人形達に怒鳴りがなり立てている他のMr.ハンディーとはカラーリングが一際違うロボットを睨むスコーピオン。
そのロボットと人形の一人であるM21が激しい口調で言い合い始め両者共に一触即発の状況に慌てて、二人は双方を止めるために近づいて行った。
「この売女共が! とっととその役立たずの人形を引き渡せ!」
「煩いよ! どっかに行きなよこのタコ!」
激しく言い合う双方の間に入るように会話に割り込む男とスコーピオン。
「何事だい、なんとも穏やかじゃないじゃないか大佐」
「M21も少し落ち着きなよ」
そのままM21はスコーピオンに宥められて少し落ち着きを取り戻すが、大佐と呼ばれたロボットは尚もがなり立てている。
大佐はMr.ガッツィーというMr.ハンディーの軍用型バリエーションモデルであり、軍用ロボットであるせいなのか戦術人形に対抗意識を燃やしており目の敵にしていた。
その上、非常に口が悪いせいで人形達にとってかなり嫌われ恐れられていたロボットだった。
「D班リーダー! 早くこの鉄屑共をどかして、捨てられた程度で卑しく泣き喚いているその雌犬をこっちに寄越すんだ! 人形共の見せしめに目の前でバラしてやる!」
「ぅう、ダーリン……いやぁ……捨てないで、嫌ぁ」
「今っ! 何って言った!」
大佐の暴言で更に泣き出すMr23に、再び怒り心頭になるM21と周りで庇っていた人形達、それに反応して攻撃的になり始めるMr.ハンディー達……
事態は一触即発の状況であった。
Capは命よりも重いTEIAI地下王国。
【Mr.ハンディー】
まるで空飛ぶタコかクラゲのような風貌で、様々なサポート役として民間向けに普及していたロボット。
家庭用メイドロボとしても売りに出され活躍していた。
三本のマニピュレーター先にはそれぞれ物を掴む為のアーム、そして回転鋸と火炎放射器が取り付けてあるタイプが主に多い。
非常に感情豊かなAIも売りの一つで、人形達にも引けを取らない様々な性格があり、また軍用や医療用等の専用モデルタイプが存在している。
【プロテクトロン】
古いSF映画から出てきたような実にレトロな見た目のずんぐりむっくりな人型ロボット。
Mr.ハンディーと同じように民間向けのロボットだがAIの融通の利かなさ等から家庭にはあまり普及しなかった模様。
標準的なタイプは両腕にレーザー武装を内蔵しているものが多い。
【Mr.ガッツィー】
Mr.ハンディーの軍用バリエーションモデルであり、装甲も武装も格段に違う為、カラーリングが違う程度の認識で戦いを挑むと手痛い攻撃を食らうことになる。
軍人気質なAIをしているタイプが多く、誠実な性格からスラングで罵倒しまくってくるような荒い性格まで様々である。
軍用であるが故に武装は様々あるが、プラズマ武器が多いようだ。
地下での修羅場にリーダーは……
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落ち着いて話し合おう(Speech)
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一番働けるのは彼女だ(Science)
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彼女を元通りにしてみせる(Repair)
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野郎オブクラッシャー!<攻撃>
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ジャポニーズ ドゲザ