□輸送物をI.O.P本社に届ける
□(オプション)404小隊の戦力を無力化する
核汚染で放棄された旧市街地を三つの影が進んでいく。
正確には一人と一体と一匹だが……
一人は厚手のロングコートを着込んでいてコートの隙間からはコンバットアーマーらしいものを装着しているように見え、頭部はヘルメットとフルフェイスのガスマスクを装備しており側頭部には補助用のセンサーアイらしきものが取り付けてあった。
全体的に使い古しの装備なのかところどころ修復の跡がみられ、ヘルメットなどは何か落書きがされているようだった。
一体はおそらくはドローンか鉄血製のスカウトのようなロボットだろう。
人の頭より一回り大きなサイズの丸いボディーにセンサーやアンテナが取り付けられ浮遊している、こちらも少し古ぼけたようで金属製のナンバープレートが張り付けてあった。
そして一匹は犬だった。
……いや、犬とはわかるのだがどうにも普通ではない、体半分が機械化されており四肢もそのまま生身なのは前足一本だけ、そして更に普通ではないのは頭部だ、脳味噌が半球状のクリアケース内部で保護されて浮かんでおり丸見えだった。
このグループ、モハビ・エクスプレスの運び屋【クーリエ・シックス】とアイボットと呼ばれているロボット【ED-E】、そしてサイボーグ犬であるサイバードッグ【レックス】は旧市街地を通過しようとしていた。
<! ──!>
旧市街地の荒れた十字路を横切ろうとしたときED-Eは短い警告音と強めのビープ音を鳴らし進むのをやめた。
「ウゥゥゥ~! ワンッ!」
レックスも続いて唸り声を上げて吠える。
運び屋は片手を上げてED-Eとレックスを宥めて、左腕に装着されたデバイスPip-Boy 3000のディスプレイを確認すると、どうやらこの先で敵対反応のある何者かが待ち伏せをしているようだと分かる。
ああ、そんな情報も聞いていたなとこの先の相手をどう対処するか考える。
相手はまだこちらには気づいてはいないようだが、敵対反応は4つ……確か404小隊は四人でチームだったと聞いていた運び屋は戦術人形お得意のダミーはいないと理解し、ならこちらも
「さぁって、早くこんな任務終わらせて帰りたいところだけども」
UMP9はそう軽く言いながらも廃墟ビルのガラスのない窓口から監視を続けていた。
ビル内部の部屋は荒れ放題で窓にはめられていたであろうガラスも床に散らばっている。
「こんな汚染地帯にいたんじゃ、帰ってすぐ指揮官に近づくこともできないよ……」
ここは放射能に塗れた土地、人形である自分たちはともかく人間である指揮官には微量な放射線でも毒になる。
今この世界の人間は昔に比べ大きく減少している中で、少しでもリスクのあることは避けるべきだ。
「きっと指揮官は気にせず迎えてくれるんだろうけど、そんなことさせられないしね」
そう言いつつUMP9の顔はすごく嬉しそうだった。
今所属している基地の指揮官の顔を思い浮かべ、そしてその隣には姉のUMP45が本当の笑顔でいる……そんな光景を思い出したからだ。
あの45姉が心を開いているそれだけで嬉しい、いやあれは多分ベタ惚れだと思う。
「45姉も思わせぶりな態度で誤魔化さないで、もっとアピールすればいいのに、AR小隊の奴らも最近グイグイきてるし」
そんな一人言をブツブツと言っているところに通信が入る。
『……たぶん標的だと思うのが近づいてるよ ……ふぁ』
『今寝たらマジでそのまま置いてくわよ』
『言われなくてもわかってる……』
G11と416から通信、ついに接敵するようだ。
しばらくするとUMP9もそれらしい影が視界に入った。
「45姉、こっちも目標を視界にとらえたよ」
『OK それじゃ作戦開始といこうかしら』
通信をした後、UMP45の合図がでた。
UMP9の役割は416とG11が目標に対して銃を突きつけて脅しという名の交渉をしている間の周囲の監視、それに失敗した場合の援護射撃だ。
「りょーかーい、じゃあさっさと終わらせようっと」
笑顔でしかしながらも油断ならない目付きで銃を構え、UMP9は416とG11コンビとモハビ・エクスプレスとの対面を見守っていた、その時だった。
──パキッ
「っ!?」
UMP9は振り向き外への監視から自分のいる屋内の警戒に一瞬で切り替える。
音がした、ガラスが割れる音、いや部屋中に散乱している割れた窓ガラスの破片を踏み砕いた音だ。
だが部屋には誰も……
いや微かに揺らめく何かが──
「うちの子達には手を出させないよ!!」
その野太いガラ声を聞いた瞬間、UMP9は強烈な衝撃を喰らって壁に叩きつけられた。
「ぐぁ カハッ!?」
UMP9の口から人工血液が吐き出され、痛みを検知するエラーがいくつも警告する。
そして揺らめく何かが正体を露わにした。
その姿は青い肌をした巨漢で、ボロの麦わら帽子とサングラスゴーグルそして手にはUMP9を殴りつけた武器であろうヘリコプターのプロペラを繋ぎ合わせたような大きなブレードを持っていた。
「ッE.L.I.D感染者!?」
「ああ、わかってるよ! レオの言う通りにこのお人形ちゃんをバラバラにしてあげるよ!」
なにかしらの通信をしているのか、いや自分に言い聞かせてるように話しながら青い肌の巨漢はUMP9に対してブレードを振り下ろそうとする。
だがUMP9は口元の人工血液を袖で拭うと笑顔で言ってやった。
「足元に落とし物だよ」
その瞬間、巨漢の足元に転がっていた閃光手榴弾がすさまじい光と音をたてて爆発!
「!? なんだい!? これはどうなってるんだいレオ!?」
サングラスゴーグルのせいで閃光による目潰しはあまり効果がないようだったが、同時に発せられた轟音は十分効果があったようで青い肌の巨漢はパニックに陥っていた。
UMP9も咄嗟に目を瞑って耳を塞ぎ防御し、多少音を防ぎきれなかったが普段から使い慣れていた為、すぐさま立て直して自身の半身であるサブマシンガンUMP9を向け引き金を引こうとする。
「聞こえない 聞こえないよ! レオの声しか聞こえない、どうしちまったんだい!?」
だが、パニックを起こした青い肌の巨漢は叫びながらステルス状態になり部屋から姿を消したのだった。
暫くすぐ撃てるように銃を構えながら警戒するがあの巨漢のいる気配がない、どうやら逃げたと判断したUMP9は緊張が解けて壁を背にずるずると姿勢が崩れ落ちた。
「……とりあえず退いたのかな ……ゴホッ やばいなぁ、一撃でこれかぁ」
あの得物で殴りつけられたからまだよかったが、もしあれで切りつけられていたら今以上の危機か終わっていたことを思うとまだ運がよかったのかもしれない。
……もしくは相手に手加減されていたのか。
「とりあえず、監視の続きと45姉に報告しないと……」
『9!? 一体何があったの!?』
「ごめん、敵の奇襲を受けて一発もらっちゃった。 相手は光学迷彩を使ってた、45姉も他の二人も注意して」
UMP9がそう言いながら部屋の窓口から外を覗こうとした瞬間、犬の鳴き声と行進曲のような音楽が聞こえ、その直後に416とG11の鳴り響く銃声を耳にした。
更新も遅くて短いですが、ある程度書けた分を早めに投稿してその後まとまりそうだったらそれぞれ統合しようかと思います。
ドルフロ知ってる人前提で書いていますが、Falloutに関しては知らない人にはわかりにくくならないように心がけて書こうと思っています。
この用語とかわからんとかわかりにくいかなっていうのは報告くだされば後で訳注なり後書き解説しようかと思います。
【Pip-Boy 3000】
運び屋が腕に装備しているデバイス装置。
ステータス管理にアイテム整理、データログ保存、無線受信でラジオも聴ける。
他にも様々な機能が備わっている便利なガジェット。
そしてその機能の中でも特に際立つ機能にV.A.T.Sと呼ばれるシステムがある。
この話を読んでる方の情報はどんなもんでしょ?
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ドルフロ知ってるけどFallout知らん
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ドルフロ知らんけどFallout知ってる
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両方とも知ってるぞ
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両方とも知らんぞ
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この界隈のコラボは知ってる