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「……あぁー! やっぱり気になる!」
「は、はい?」
事務棟の一室での会話の後、突然にソファーから立ち上がったかと思うと叫ぶCZ75に、M3はどうしたのかと驚く。
「M3、アタシちょっとあの禁止区域ってとこに行ってみる!」
「え、えぇ!? 無茶ですって!? 私達じゃ追い返されるのが関の山ですよ……気になるのなら、運び屋さんが帰ってくるのを待って聞けばいいじゃないですか!」
「でもさ、M3はアイツらがどうなったか気にならないのかよ!」
M3も禁止区域へ連れて行かれた人形達がどうなったか気にならないわけではない。
だがどう考えてもあのロボ・スコルピオンが立ち塞がるのが目に見えている。
そして運び屋は人形達を連れて行った後、そのまままたどこかへ行ってしまった。
「い、いっそのこと、イエスマンさんにでも聞いてみては? 大体のことは答えてくれますし」
「……駄目だ。 アイツはなんか胡散臭くて信用する気にならない、それぐらいなら自分で見て確かめる!」
「まぁ……た、たしかに」
M3の提案は、即座にCZ75に却下される。
自らNOとは言えないと語るイエスマンだが、どうにも胡散臭い言動のせいでいまいち信用されていないのだった。
実の所は聞いてみるとあっさりと答えてくれたりするのだが……
一応、他にもラウルに聞いてみたものの、「ボスが話してないのなら俺からも言えん」とやんわりと返され、リリーは勝手に自問自答の言い争いを初めて話にもならなかった。
「……だけど、やっぱり無理ですよ……スケアクロウさんでも無理だったのに」
「くそ、なんか方法ねぇのか……ん?」
その時、CZ75がふと窓の外を見て立入禁止区域の方へと視線を向けると、ED-Eとレックスが一緒に立入禁止区域付近を横切って移動してるのが見えた。
だがロボ・スコルピオンが威嚇してきたり警戒してる様子は全くない。
「もしかして、行ける方法がみつかったかも」
「ど、どういうこと……です?」
窓の外を見ながらニヤリと笑うCZ75にM3は疑問を浮かべながら首を傾げた。
CZ75が思いついた方法、それは立入禁止区域で攻撃されないであろうED-Eとレックスを抱え運びながら突っ切るという案だった。
即興で考えた安易なアイデアだったが、ロボ・スコルピオンも周りをうろつくだけで攻撃してくる様子もなく、実際この方法は上手くいっていた。
ED-Eを抱えている所をスケアクロウに目撃されるまでは……
「いい加減に放しなさい! ED-Eが嫌がっていますわ!」
「うるさい! オマエこそ放しやがれ! 嫌がられてるのはスケアクロウの方だろ!」
「そんなことあるはずがないですわ! 私とED-Eとはお互い愛し合ってるのです! そうでしょうED-E?」
<~~!? ・―!?>
スケアクロウとCZ75がED-Eを掴んで引っ張り合っている様子を横目で見ながら、M3はレックスを抱え上げながら溜め息を付き、同じようにレックスも鼻を鳴らしながら鳴く。
「お二人ともED-Eさんが困ってます……も、もう少し優しく扱ってあげないと」
「ワゥン……」
「そうですわ! ED-Eを乱暴に扱うのをやめなさい!」
「だったらスケアクロウが手放せばいいだろ!」
<―!?>
お互い譲らない二人、この場所でED-Eを一瞬でも手放そうものなら一斉にロボ・スコルピオンが襲い掛かってくるので互いに必死である。
まぁ必死なのも無理はない……
ED-Eを奪い取るために強行してきたスケアクロウはお尻に、そして一瞬に奪い取られたCZ75もお尻に、それぞれ一発ずつロボ・スコルピオンのレーザーを撃ち込まれている。
後ろから見ればパンツ丸出しのなんとも間抜けな恰好になったが、レーザーを撃ち込んできたのが比較的小型のロボ・スコルピオンだったからこの程度で済んだだけである。
(な、なんていうか……しまらないなぁ)
ED-Eを取り合いながら進んでいくCZ75とスケアクロウのパンツ丸出しの後ろ姿を追いかけながらつい思ってしまうM3だった。
そしてついに辿り着いたのは立入禁止区域内で唯一の建物である展望台。
施設群の中でも一際高い位置にある、丘の上に立つドーム状の建物へ入った一行が見たものは、様々な機械と壁という壁に書かれた数式や文字。
それらに囲まれ、なんとも奇妙で見慣れないロボットのようなモノが浮遊しながら忙しそうに動き回ってる所だった。
その見慣れぬロボットのようなモノには三つのボロボロになったモニタースクリーンがマニピュレーターに繋げられており、一つは罅が入り壊れていたが他二つには目と口の画像が映されており全体的に見るとまるでそれが表情のように見える。
そしてそのもっとも奇妙な点はマニピュレーターにつながった球状の本体機械にはレックスの様に透明な球状容器に脳味噌が浮かんでいることだろう。
「なんじゃ、お前さんらは…… ん? ED-Eとレックスもどうした? 運び屋なら暫くここには来とらんぞ」
その脳味噌を浮かべた奇妙な機械の【Dr.モビウス】は、突然入ってきた三人の人形に少々驚きつつもED-Eとレックスがいるのに気が付くと警戒を解く。
「……その声、聞き覚えがありますわ」
「間違いない! あの蠍共から聴こえてきた声だ!」
ロボ・スコルピオンが発していた警告音声がモビウスの声であることに気付いたスケアクロウとCZ75が、今度は逆にモビウスに対して身構える。
「なんじゃい、ロボ・スコルピオンに追いかけまわされてきたのか? 警備モードは解いてたはずじゃが……おかしいの?」
「で、でも許可をもらった人以外は……この立入禁止区域に入ると問答無用で襲われるみたいです……」
身に覚えのない様子のモビウスにM3が及び腰で話すが、モビウスは更に身に覚えのない言葉に驚いた。
「立入禁止区域? ビック・マウンテンに居た頃じゃあるまいし、なんでそんなことになっとるんだ?」
「わ、私に聞かれても……こ、困ります」
「ワフ……」
モビウスとM3のやりとりを聞いていたレックスは知っていた。
薬物常習犯のモビウスが薬でハイになりロボ・スコルピオンを攻撃的にし、薬が切れる度にに記憶が飛んで、それを忘れていることを……
そして、それを部外者にとって危険だと判断したラウルが周囲一帯を立入禁止としたことを……
だが悲しきかな、レックスにそれを伝える術を持っていなかった。
「しかし、いつの間に女子供が増えとるとはの」
「アタシをガキ扱いすんな!」
「何言っとるどう見ても……ん? もしかしてお前さん達は人形ってやつか!?」
「そ、そうだよ……なんだよジロジロみて」
怒るCZ75の反応から気が付いたモビウスは、驚き興味津々で三人の人形達の回りながら観察し始める。
「そうか! この目で見るのは初めてだが、こいつは連邦の人造人間に勝るとも劣らない出来栄えじゃ! シンクタンクの連中が見たらさぞ悔しがることだろうな。 ん? なんでパンツ丸出しなんじゃ?」
「貴方がけしかけたロボットせいですわ!」
「そうだぞ! ふざけんな!」
それでも指摘されても恥じらったり隠そうとしないあたり、CZ75はやはり少し精神的に幼いように思ってしまったM3だった。
スケアクロウの方はとっさに片手で隠す素振りをしていたが……
(ED-Eさんの方には態と見せてますよね……)
色々と残念な気がしてならないスケアクロウ。
「と、というか、ここに他の人形達は来なかった……ですか?」
「あっ、そうだった! ここに他にも人形がいるはずだろ!」
「はて? 知らんぞ、そもそも人形なんて見たのはお前さん達が初めてじゃ」
M3の言葉に本来の目的を思い出したCZ75がモビウスに問い詰めるが、見に覚えがないと言う。
その様子をしばらく見ていたレックスは、ため息を吐くように小さく鳴いた後にED-Eに向かって短く吠える。
「ワンッ」
<―! ~~♪>
レックスの意図を察したED-Eは返事に音楽を鳴らしながら壁際のスイッチレバーに向かって、バチバチとアーク放電をし始めた。
しばらくするとどうしたことか、スイッチレバーの横に赤く点っていたランプが緑に変わり電子ロックが解除された。
そしてレックスは鼻先でM3を押してスイッチレバーの方へ向かわせようとする。
「え、え? こ、このレバーを下ろせばいいんですか?」
「バウッ」
「……わ、わかりました……こうかな?」
レックスに促されM3がレバースイッチを倒すと途端に下から機械音が騒がしく聞こえたかと思えば、部屋の中心部の床が2つに分かれてスライドしていきそこに地下へと続く階段が現れる。
「か、隠し階段……」
「おお、思い出したぞ。 たしかにこの前その階段付近で誰かが出入りしとったような……また運び屋がロボトミーでも連れてきたのかと思っていたが、惜しいことをした! 一体サンプルに借りればよかったわい」
「コイツ……てか見てなかったのかよ」
「ちょうど薬の時間でな、物音しか聴いとらんかったんじゃ。 どうだ、お前さんもメンタスいるか?」
「ど、どうも……」
「とにかく、先に進もう!」
モビウスから薬を渡される押しに弱いM3を横目に、CZ75は階段を下りで地下へ向かった。
「地下には何があるんですの?」
「知らん、興味がないのでな。 ワシはこの場で好きに研究をしとるだけじゃ」
スケアクロウの質問にも、モビウスは興味がないと言いそのまま戻っていき研究とやらに没頭し始めた。
「貴方なら知っているのかしら……ED-E?」
<~~♪>
だがED-Eは短く音を鳴らすだけでスケアクロウに答えることはなかった。
モビウスおじいちゃん、さっきお薬飲んだでしょ?
地下での修羅場にリーダーは……
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落ち着いて話し合おう(Speech)
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一番働けるのは彼女だ(Science)
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彼女を元通りにしてみせる(Repair)
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野郎オブクラッシャー!<攻撃>
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ジャポニーズ ドゲザ