FALL OUT GIRLS   作:WarBoss

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表側でどんなスタイリッシュバトルが起こっていたかは
白黒モンブランさんの【Devils front line】のエピソード『Act56 operation End of nightmare Ⅴ』を読むとよろしいです。

こちらは地味な裏側でございます。

これにて今回のコラボ回、一応の締めとなります。
他のコラボ参加者様方、ありがとうございました!
そして色々スマンカッタ……


Devil May Cry

 悪魔を次々と屠っていく運び屋の背中を追いながら基地内の通路を進み、MG4は銃を構えながら部屋の前を通るたびに部屋の内部をクリアリングしていく。

 運び屋はそんなことはまったく気にしておらず、時たま部屋から飛び出て奇襲をしようと襲い掛かって悪魔をまるで最初から知っていたかのように、片手に持ったソードオフショットガンを撃ち込み、それに怯んで動きが止まった所を別の手で持っていた斧の刃を叩きこんでいく様子はまるで家畜を作業じみて処理する屠殺である。

 

(噂程度にしか知らなかったけど、思った以上に規格外な方のようですね)

 

 恐らく上位種であろう悪魔が目の前に現れた時、二人で相手をするには規格外の敵にMG4は絶望すらしたが、何のことはない運び屋は更に規格外だった。

 ソードオフショットガンを撃ち込まれた上位種悪魔は、まるで一瞬気絶したかのように倒れ、その隙だらけな所に運び屋に斧を叩きこまれ、起き上がろうとすればまたもソードオフショットガンを撃ち込まれた。

 それを拷問のように繰り返された上位悪魔はやがて肉体を保てなくなり砂となっていった。

 

「この先が指揮官のいる……っ!?」

 

 運び屋とMG4はこの基地の指揮官のいるであろう部屋に入った。

 だが部屋の中はまるで爆発したかのような散乱っぷりで、床には何かしらの図形や文字が書かれており、窓があったであろう壁には大穴が空いていた。

 

 そして、気配を消しながら壁の大穴から外を覗くとそこには、おそらく悪魔であろう新種が三体、見た感じでは二対一のように対峙しており、その周囲ではグリフィンの関係者と思わしき人や人形が手をこまねいているようだった。

 

「っ! ……まさか、本当に魔の物に成り下がるとは、指揮官は遂に人を捨てたのですね」

 

 どうやら、その内の一体が指揮官だったモノらしい…… たしかに、よく見ればグリフィンの制服の破れた切れ端が一体の悪魔にくっ付いていた。

 指揮官だったモノは今まで見かけた悪魔にどちらかと言うと近い風貌であったが、ならば他のもう二体の悪魔は一体何なのか、状況がいまいち飲み込めない運び屋だったがこの状況を好機と判断、悪魔と呼ばれるミュータントと化した指揮官に“確実な死”を届けるためにあるものを取り出した。

 

 運び屋が取り出したのは、前にM3に一つ手渡していた聖なる手榴弾(ホーリー・フラググレネード)だった。

 この超絶な威力と範囲を誇る手榴弾で三体の悪魔諸共吹き飛ばそうという算段の運び屋、M3に手渡したのを含め3つしかない貴重な品だが、あの悪魔達を同時に相手にするよりは確実にマシだからだ。

 

「それは一体……聖なる手榴弾? 多分悪魔って言うぐらいだから効果絶大? 何を言っているのか分かりませんが、周囲にいる方々にも被害が及ぶのでは」

 

 それには及ばないと言う運び屋、尽くせる限りの爆発物の専門知識(Demolition Expert)を駆使して被害を拡大(Splash Damage)させれば()()()()()()、運び屋は平然とそう言う。

 つまり目撃者を全員爆殺して完全に口封じする気らしい……

 

「なっ!? 本気ですか!? 救援に来てくれたグリフィンの部隊をもろともなんて何を考えているんですか!」

 

 慌てて投擲の為に振りかぶろうとする腕を掴んで止めようとするMG4、だが彼女の人形としてのフルパワースペックをしても運び屋の腕の動きを微塵も止めることができない。

 もはやなりふり構わず、全身で必死に腕に抱き着いてかかるがそれでも何も腕の動きは変わっていなかった。

 

「っだっめ……っです! ッ止めてっ!」

 

 だが、運び屋が投擲の狙いをつけて手榴弾を投げようとしたその時、外の状況が変わる。

 

 三体の悪魔を囲んで手をこまねいていたはずの者達が、指揮官を他の二体の悪魔と協力し合い集中的に攻撃し始めたのだ。

 それだけではない、指揮官と対峙していた二体の悪魔が人間の姿になった……しかも、その内の一人はこの基地に入ろうとした際に見かけた黒コートの男だった。

 

 指揮官に対して止めることはなく続けられる熾烈な攻撃が続く中、更に空から響く声。

 

 

「てめぇらッ! そこを退けええええええぇッ!!!」

 

 

 手榴弾を放り投げる一歩手前の所で、運び屋の腕がピタリと止まる。

 基地内に入る前に出会ったイチイバルという少女が、上空から剣を真下に構え凄まじい勢いで急降下してきたのだ。

 巻き込まれるのを避けるために、指揮官の周囲にいる面々は素早く退避する。

 

 強烈な一撃を撃ち込まれ爆炎に包まれる指揮官。

 そしてその隙を逃さんとばかりに黒コートと赤コートの二人組の男達に剣で斬りつけられ片膝を着いた。

 

「す、すごい……」

 

 外の後継に運び屋の腕を放して唖然とするMG4、運び屋も数人が距離を置いたせいで全員を爆発の範囲にとらえることはできないと判断し腕を下した。

 

 もはや外での戦いは決着がついた。

 後は銃を構えている黒コートと赤コートの二人組がトドメを刺すだろう……

 だがそれが“確実な死”になるのか確信が持てなかった運び屋は、小さい小瓶を数本取り出しその中の液体を投げナイフの刃の部分に次々と垂らしていく。

 

 シルバースティング、トレンブル、ブリークベノムにマザーダークネス、更には毒雲のキスとダークダチュラ、ついでに炎の下剤。

 様々な猛毒に漬けこまれたナイフをまさにトドメの銃弾を打ち込まれる間際の指揮官に向かって目にも留まらぬ速さで運び屋は投擲した。

 

 ワッショイ! (Heave, Ho!)

 

 悪魔となった指揮官に二人の男が放った赤と青の弾丸が着弾すると同時に、運び屋が投げたナイフが眉間に大当たり(JACK POT!)する。

 指揮官は断末魔を上げ、死体すら残さず消滅していった。

 

「……終わったんですね。 これで」

 

 指揮官が“確実な死”を迎えたところでMG4が呟く、彼女の顔は非常に複雑そうな表情だった。

 運び屋は何も言わず、基地から抜け出す為にそのまま別の出入り口へ向かって行った。

 

 

 

 

 

 外では歓声が上がり戦勝ムードの中でイチイバルと呼ばれていた少女は、指揮官がとどめを刺され消滅した場所で何かが落ちていることに気が付く。

 

「ん? なんだこれ……ナイフか?」

 

「それに触れちゃいかんぞ」

 

 ボロボロになり腐食しているが、辛うじて形からナイフであろうことがわかったが、突然に少女の後ろから先程まで共に戦っていた老人の声がかかる。

 

「猛毒が塗ってある。 腐食性の毒以外にも恐らく動物毒等も混ぜ込まれておる。 触れただけで……いや気化したものを吸うのも危険だ」

 

「げっ、マジか……あの悪魔が最後に一撃かまそうとしてたのか?」

 

 不意打ちでも狙っていたのかと少女が疑問に思うところに更にもう一人から声がかかる。

 

「いや、粋な奴がサプライズしてくれたみたいだぜ」

 

 そう言ったのはあの指揮官にトドメの銃弾を浴びせた一人である赤いコートを着た男だった。

 

「ギルヴァも気づいてたみたいだけどよ。 誰だか知らないが最後の瞬間に、奴の眉間にソレをブチ込んだ奴がいる」

 

「悪魔に毒なんて効くのかよ、てか誰だよそんなの投げたのは」

 

「ここにいる連中じゃないぜ、基地の側からだ」

 

 赤コートの男と少女が話している傍で、老人がふと呟いた。

 

「もしや、話に聞いたモハビ・エクスプレスの運び屋ではないのか? 基地に入る前にそれらしい人物を見た」

 

「っ! そんなわけねぇっ! いつも嫌に感じるあの悪寒もしなかった!」

 

「顔見知りなのかは知らんが……お前さんのような手練れが怖気づくような奴ならば、気配を完全に消すのも造作もないのかもしれんぞ」

 

 老人と少女がそんな話を言い合っている中、落ちていた腐食したナイフはそのまま完全に崩れ落ちてしまい、ついには原型がわからなくなってしまっていた。

 

 

 

 

 

 こうして、11地区基地からの依頼による騒動は終わった。

 運び屋はついでとばかりに基地内を探索して金目の物を持ち帰ろうとしたが、残念ながら既に目ぼしい物は何者かに持っていかれ、残るのはロックが外されて空になったデータバンクや金庫しかなかった。

 だが何故か自分自身を依頼報酬としたMG4を運び屋は受け取ることはせず、セキュリトロン達を積み終えると早々に貨物トラックに乗って去っていったという。

 MG4が言うには運び屋自身で依頼を達成したかが確信を持てないからだということだった。

 その後、MG4はS10前線基地に赴きそこに身を置くことになった。

 

 だが、その頃からある噂が立つようになる。

 それは、S10地区で時たま奇妙な青いロボットを見かけるだとか、長い髪を二つに分けた銀髪の人形がそのロボットと一緒にいることがあるという。

 

 

 

 

 

 S11地区を走り去る輸送トラック、その中で運び屋は新しく生まれ変わったトラックの状態を一つ一つ確認していく。

 移動要塞に乗っていた女性、リホ・ワイルダーに半ば脅しつけて修理させたこのトラックは中々に快適で便利な機能がいくつもあり、色々余計な機能が満載のようだ。

 誰も座っていない助手席の上には、食べかけのアップルパイとソーセージが乗っていた。

 

 ふと運び屋は、基地を去る際にすれ違った人形……イングラムという名の人形に「それは美味しいのかしら?」と、聞かれたことを思い出し、食べかけのソーセージを横目で見ながら思った。

 

 

 

 ほとんど砂の食感と味しかしなかった、と……




クエスト失敗



Q.つまりどういうこと?

A.新鮮な情報はそれだけで価値があるって、それ一番言われてるから

Q.味って?

A.何を言ってるかさっぱりわかりませんね(すっとぼけ)



【Demolition Expert】
運び屋の扱う爆発物は通常の威力に比べて更に効率的になり威力に跳ね上がる。
自身や味方を巻き込む事故要因その一。


【Splash Damage】
運び屋の扱う爆発物の爆破範囲が更に広くなる。
自身や味方を巻き込む事故要因その二。


【Heave, Ho!】
運び屋の強靭な肩は投擲物をより速く遠くへ投げ飛ばす。
グレネードさえあれば、グレネードランチャーやグレネードライフルは不要の存在と化す。
ハコビヤ=サンのスリケンジツは実際スゴイ、イヤー!


【シルバースティング、トレンブル、ブリークベノム、マザーダークネス】
それぞれスコルピオン種と呼ばれる蠍のクリーチャーや、カサドレスと呼ばれるクリーチャーの毒から作られている。
毒による持続ダメージの他に、シルバースティングは筋力、トレンブルは戦闘技能、マザーダークネスは敏捷性と知覚をそれぞれ低下させる効果がある。


【毒雲のキス】
腐食性の毒で、重金属等が含まれている。
原材料がとある場所でしかとれず、しかも採りに行くことがかなり難しい為、実は希少品。


【ダークダチュラ】
原材料はダチュラルートという、別名チョウセンアサガオに類似する植物。
持続ダメージの他に知力も一時的に下げる効果がある。
興味本位で手を出すのはやめようね!


【炎の下剤】
下剤。
本来は動物毒を解毒するための飲み薬であり毒薬ではない。
材料はウォッカとハラペーニョと、ホワイトホースネトルという毒性を持つ植物の種。
だが断じて毒物ではない……が、飲むと効果として解毒の他に放射能汚染を少しばかり除染してくれる他、耐久が一時的に少し下がる。

この話を読んでる方の情報はどんなもんでしょ?

  • ドルフロ知ってるけどFallout知らん
  • ドルフロ知らんけどFallout知ってる
  • 両方とも知ってるぞ
  • 両方とも知らんぞ
  • この界隈のコラボは知ってる

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