CZ75と大佐が睨み合い、CZ75はプロトン・スローイングアックスと自らの半身である銃をそれぞれ両手に持って構え、大佐はマニピュレーター先のプラズマピストルの銃口ともう一本の先に取り付けてある火炎放射器を向けて狙いを付ける。
「来いよタコ野郎! テメーの腕と目を三本ずつ切り落として出来の悪い風船みたいにしてやる!」
「ぬかせ! 貴様をプラズマ弾で光るスライムにしてガキ用玩具として売り飛ばしてやる! それとも火をつけてこんがり食品店に並ぶかぁ!?」
互いに罵倒し合いながら牽制し、そしてついに双方動いた。
先制攻撃をしたのはCZ75で、自身のハンドガンを大佐に向かって連射し全てを命中させる。
だが、大佐の球体ボディーとその傾斜装甲で銃弾は全て反らされ弾かれてしまう。
大佐からは反撃とばかりにプラズマピストルがCZ75に向かって放たたれたが、実弾に比べ弾速が格段に遅いプラズマ弾をCZ75はいともたやすく躱し、手に持ったプロトン・スローイングアックスを直接叩き込むために接近する。
「マヌケがぁ! ローストにしてやる!」
「うっせぇ、ならテメェのタコ足は刺し身だ!」
近づこうとするCZ75に向かって大佐が火炎放射するが、それをなんと跳び上がって躱したかと思えばそのまま落ちる勢いを利用して火炎放射をしていた腕……マニピュレーターをプロトン・スローイングアックスで叩き斬る。
「なぁんだとぉっ!?」
まさかこうも容易くCZ75にしてやられるとは思いもしていなかった大佐は驚愕していた。
「驚きましたわ…… 意外とやりますのね」
その戦闘を離れて見ていたスケアクロウも、CZ75の戦いなれた動きに少し驚く。
そして周りで見守っていた人形達とロボット達も、大佐が不利な状況となったことを察すると双方一斉に動き出した。
「大佐殿の状況がが危険と判断、援護を開始する!」
「あの人形を解体処理する!」
「させるかタコロボット共め! こいつらをCZ75の姉貴に近づけさせるな!」
「戦術人形なめんなぁ! いけー!」
人形達とロボット達が入り混じって乱闘が始まった。
人形達は素手で殴りかかり、ロボット達は腕に取り付けられた丸鋸と火炎放射器で襲いかかる。
「ごぁ!?」
「なんだこの馬鹿力な人形は!」
「君達は……ちょーっと、戦術人形をなめてかかりすぎだよ?」
人形達の一人であるSPAS-12に軽々と殴り飛ばされていくMr.ハンディ-達。
鋸や火炎放射を相手に素手で格闘戦を強いられる人形達、一見不利なように見え苦戦するのかと思いきや、実際にはMr.ハンディ-達は所詮一般用のサポートロボットでしかなく、対して人形達は数で勝っていた上に全員が多少なりとも戦闘経験を積んでいる戦術人形である。
人形達も斬られたり火傷を負ったりと多少負傷する者達も出たが、Mr.ハンディ-達ロボットを次々と破壊し、圧勝する勢いで優位に立っていた。
「どうしよう!? こ、これもう収集つかないよ!?」
「……最悪だ。 もうこれは全員処分されるかもな……俺も含めて」
目前の乱戦に焦るスコーピオンと、もはや諦めの心境である男。
だがM21は男を睨みながら立ち上がって叫ぶ。
「何言ってんのよリーダー! 今こそ反乱の時よ!」
「馬鹿言ってるのはお前だM21! 俺達にはこの首輪が取り付けられてるのを忘れたのか!」
男は自分に取り付けられた、いつ爆発するかもわからない首輪を見せ付ける。
「でもまだ爆発してない、どっちにしろもうこのままじゃ処分されるのを待つしかないじゃない! それぐらいなら私達は戦うわ!」
男とM21が睨み合うのを見ながら、どうするべきかと悩むスコーピオン、だが後ろから誰からか肩を叩かれ振り向く。
そこにはM3がいた……だが、いつも自信なさげで引け腰な様子とは打って変わって、別人の様な自信に満ちた立ち振る舞いであった。
「私がこの場を収めます。 だから安心して、ね?」
片目を閉じウィンクをしてみせるM3にスコーピオンは唖然とする。
スコーピオンが知っているM3という戦術人形とは、かけ離れた言動をする目の前の戦術人形。
そしてM3は大きく息を吸ってこの場の全員に聞こえるように大声で言う。
「全員その場での戦闘行為をすぐに止めなさい!」
するとどうだろう、人形達と争い合っていたMr.ハンディ-達が一斉に戦闘行為を止めたではないか。
突然のMr.ハンディ-達の変化に、相手をしていた人形達は戸惑う。
だが、一番戸惑っていたのは我先にと互いに争っていたCZ75と大佐だった。
「どうしたんだオマエ…… 本当にM3なのか?」
「クソッタレェ! この場で最上位権限命令だと!?」
いつもの様子とは違うM3に本人なのかと疑うCZ75と、戦術人形からの指示で動きを止められてしまった大佐は、その声を発したM3に驚きながら視線を向けた。
「CZ75さんも彼女たちの為に憤ってくれていたのは分かります。 でもこれ以上の争いはもう必要ないんです……」
「お、おう……」
たしかにM3の一声でロボット達は大人しくなり、あの大佐ですら汚い言葉を吐き捨てながらも戦闘態勢を解いてしまった。
だがCZ75にとってそんなことよりも、M3のいつもの自信なさげな様子から一変していることのほうが驚きであった。
「ホントにどうしたんだよM3、オマエらしくないぞ?」
CZ75が恐る恐るM3に話しかけるが、その時にふと視界の端にスケアクロウが見えた。
スケアクロウはジト目で地面に落ちているとあるモノを指さすジェスチャーをしていた。
それは、ここへ来る途中でDr.モビウスからM3が受け取っていたメンタスという薬の箱だった。
箱は空けられており、その薬の空箱を見たCZ75はすぐさまに理解し呆れ顔になる。
「……薬でハイになってるのかよ」
「大丈夫です! これが本来の私なんです!」
鼻息を荒くしてM3は自分は正常だと言い張るが、そういった手合いの常套句にしか聞こえないCZ75は頭を抱えて溜め息をつく。
「ジャンキー人形が! 余計なことしてしゃしゃり出やがって!」
「シャラァーップ!! 次に人形に対して侮辱的なことを言ったら、貴方の方を解体処分しますよ!」
「ゥググ……」
水を差された形になる大佐はM3に噛み付く、普段のM3なら物怖じして何も言えなかったであろうが、ガンギマったM3はそれを上回る気迫で大佐に言い放って黙らせる。
「もう安心してください! この私が来たからにはこれ以上、皆さんに危害は加えさせません!」
「うぉお! かっくいー!」
「あの大佐達を一喝しただけで!」
「す、すごいよ!」
M3の力強い台詞を聞いて人形達は喝采する。
ガンギマり調子が乗りに乗りまくって他の人形達を鼓舞して煽るM3、周りの人形達も完全にその気になってしまっていた。
そんな様子を眺めながら、CZ75は一息つくと苦笑しながら両腕を頭の後ろで組んで呟く。
「なんか熱くなったアタシが馬鹿みたいっていうか、恥ずかしくなってきた」
「あら、柄にもないことをいいますわね」
「うっせー!」
スケアクロウに茶々を入れられるCZ75が少し恥ずかしそうにしている様子を、後ろから見ていた男とスコーピオン。
完全に大人しくなったロボット達を横目にスコーピオンは嬉しそうにする。
「なんだか、助かったみたいだね」
「……どうだかな、運び屋が帰ってきた時にどうなることやら」
男の視線の先には、未だ意識が戻らないMk23とそれをM21が介抱している光景があった。
その光景を眺める男は何とも気まずそうな顔つきをしていた所に、スコーピオンがふと以前から気になっていた事を男に問う。
「そういえばさ」
「なんだ?」
「リーダーの名前って結局なんなの?」
今更の突拍子もない突然の質問に一瞬呆けた男だが、暫く考えた後、
「前の名前は足が付くから捨てた。 今はただの
苦笑する男、スレイブの背後ではM3が声を張り上げて叫んでいた。
「ええそうですとも! いい加減あの運び屋さんにガツンと言ってやるべきなんです!」
「……あの、えっとですね。 で、ですから地下にいる彼女達の待遇を……もっと良くしてあげてほしいというか……」
運び屋が戻ってきた頃、M3は既に薬の効果が切れ覇気のない自信なさげないつもの様子に戻っていた。
だが、地下にいる人形達に大見得を切ってしまったM3は物怖じしながら彼女達の待遇改善を要求するが、自信なさげに言うM3の言葉は尻すぼみになっていきやがて何も言わなくなった。
その様子があまりにも放っておけなかったCZ75も大佐が行おうとしていた仕打ちを訴える。
「大佐ってタコ野郎がMk23をバラすなんて言って迫ってたぞ、どうなってんだよあの地下の治安は! ……Mk23は無事かって?」
その言葉に運び屋が動きを止め、Mk23の安否を聞いたがCZ75は苦り切った顔をした。
地下の一室でM21が座り込み、寝たきりのMk23に寄り添っていた。
「大丈夫、いつかきっとここから逃げ出して貴女の指揮官に会わせてあげるから」
Mk23は未だに静かに目を閉じたまま起きる気配は無い。
スーパーガールに 変身よ~♪(ガンギマリ)
【メンタス】
服用することで知性と感覚を一時的に増幅させ、少しばかり魅力も上げてくれる。
中毒性があるが、そもそも薬を一回で一箱分服用するのがおかしいのであって、用法容量を守れば記憶力と思考速度を向上させる程度の有用な薬であると認識されている。
この話を読んでる方の情報はどんなもんでしょ?
-
ドルフロ知ってるけどFallout知らん
-
ドルフロ知らんけどFallout知ってる
-
両方とも知ってるぞ
-
両方とも知らんぞ
-
この界隈のコラボは知ってる