FALL OUT GIRLS   作:WarBoss

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時系列分けたり、シーン分けたりして書くもんじゃないなと相当後悔してる。


Cross Road Blues

 416とG11がモハビ・エクスプレスのグループを目にした時、二人ともこの任務は簡単に終わると思っていた。

 一人はアーマーを着込んでいるようだがボロの使い古しで装備が潤沢とは見えないし、一体は小さな銃口が取り付けてあったがあまり戦力になるとも思えない、そして最後の一匹はサイボーグ犬で人に対しては訓練された犬というのは脅威だが戦術人形でしかも歴戦の特殊部隊である自分たちの脅威にはなりえるとは思えなかった。

 

「無駄弾を撃って脅す必要すらなさそうね、銃をちらつかせて終わりよ」

 

「いくらなんでも、甘く見すぎじゃないかな? ……すぐに終われそうではあるけど」

 

 G11は眠そうな顔を変えないまま言うが、常に完璧を自負する416は油断をするつもりはなかったが、ただ単純に相手を視て脅威になる要素を見出せなかったのだ。

 グループの主軸であると思われる最も注意するべきガスマスクの男はライフル銃のような装備は持ち合わせていないようで、隠していたとしてもサブマシンガンがハンドガンぐらいだろうと今までの経験からわかった。

 徒歩での輸送をするぐらいだ、嵩張る重火器はおそらく持ち合わせていないと判断する416。

 もちろん相手も隠し玉ぐらいはあるだろうが、それすらも対処してみせなければ404小隊は勤まらない。

 

「……でもさっきから十字路の真ん中に突っ立ってこっちに向かってこないよ」

 

「あの犬の嗅覚に引っかかったのかしら、風は吹いてないから風上にはなってないと思うけど」

 

『私から近づく、私の脅しで相手が降参すればよし、無理なら三人で制圧射撃して頂戴……当たり所が悪くて死んでもいいわ』

 

 会話中にUMP45からの通信が割り込む。

 二人は待ち伏せの為に廃墟ビルの入口角からずっと待機しており、ビルの最上階に近い部屋にはUMP9が同じように監視をしつつ待機状態だ。

 UMP45は他三人に居場所を伝えなかったが、それぞれを見張れる位置に陣取って指示を出しているのだろう。

 

「ふん、脅して終わりでしょうね。 十字路の真ん中に突っ立ってスナイパーの警戒すらしない奴よ、私がライフルだったら一発足元に撃ち込んでやるところよ」

 

「やってみる?」

 

 416の皮肉った言葉に、G11が反応する。

 

「……あんたの弾代バカ高いんだから、無駄撃ちはやめなさい」

 

 冗長を交えながらG11を窘める……

 だが、G11の目付きは本気のように見えた。

 さきほどからG11が珍しく緊張感というか警戒が続いてる気がする416。

 

(珍しいわね、G11が攻撃的だなんて)

 

 

 -バンッ!!-

 

 

 その時だった、上から強烈な爆音が響き渡る。

 

 発生源はおそらくUMP9がいた場所だ。

 そしてあの強烈な音は彼女の閃光手榴弾によるものだろうと416は瞬時に理解する。

 

「っ!? 9が交戦! 目標は45に任せて援護に向かうわ」

 

 すぐに416は屋内のに向かおうとするが……

 

「だめだよ、もう遅い、相手がこっちにけしかけてきてる」

 

「なにを──」

 

 G11の言葉に目標のいる十字路に目を向けると、そこにはモハビ・エクスプレスの運び屋が自分たちのいる方向に指を向けている所だった。

 

<~~~♪ !>

 

「アオーォン!」

 

 運び屋の隣に浮遊していたED-Eが短いテーマ曲のような音楽を流したと思うと、直後にレックスが大きく遠吠えをし、全速力で二人に向かって駆け出した。

 そして、走り出したレックスの周囲から同じような複数足音と唸り声がかすかにしていた、それは奇妙でレックスのような獣の唸りとはまた違った蛇の威嚇音のような唸り声だった。

 

「犬一匹、一発で完璧に仕留めてあげるわ!」

 

 416は全力で向かってくるレックスを狙い即座に発砲、銃弾はレックスに……命中しなかった。

 

「ギャワンッ!」

 

 代わりに銃弾に倒れたのはレックスとの射線の間に突如現れた獣だった。

 いや、正確にはステルス状態でいた獣が射線上にいたことに気付かないまま416が発砲したのだ。

 弾丸に倒れ息絶えた獣は完全にステルス状態を解除され姿を露わにする、それは何とも奇妙な姿でレックスのような犬に近い種のようだったが頭の部分がまるで爬虫類の……そう、蛇のようだった。

 

「なによあの生き物! あの犬といいなんなのよもう!」

 

「近距離ラインまで接敵された、しかもステルスも入り混じってる。 ……何匹かほかにもいる、とにかく撃つよ」

 

 G11は416に言いながら撃ち続ける。

 

「チッ! ダミーを連れて来ればよかった!」

 

 焦る416、榴弾を撃ち込もうにもレックスは代わりに銃弾に倒れた獣を置き去りしてどんどん距離を詰めてきており、もはやあまり有効打とはならないだろう。

 

 

 

 運び屋はED-Eの強化されたセンサー(Enhanced Sensors)によって404小隊の位置を把握していた。

 距離まではわからないが、数と方向は完全に見破ったといえる。

 運び屋はレックスと一緒に嗾けた獣の友達(Animal Friend)がうまく相手の意表を突くことは成功した様子を見て腕を組みながら満足そうに一人頷いた後、左腕に機械装置を装着して電源をいれる。

 その瞬間、運び屋の姿がおぼろげな輪郭を微かに残し消えた。

 そして、先に行動していた視えない彼女(Stealth Girl)を探すためにED-Eを置いてその場を去るのだった。

 

 

 

 UMP45はUMP9が敵の奇襲を受けたと通信を聞きすぐに監視していた場所を離れ駆け出していた。

 

(いくらなんでも甘く見すぎていた、それぞれツーマンセルで行動するべきだった!)

 

 自分が立てた作戦の見通しが甘かったことを後悔しながらUMP9がいる部屋に向かう。

 他の三人には伝えなかったが、結局はUMP45も同じビル内で監視をしていたのだった。

 今起こったような不測の事態に動けるように……

 

 全力で階段を駆け上がる途中、何かの音楽と犬の遠吠えが聞こえた。

 そして聴き慣れた銃声音が散発的に続く。

 

(あの銃声は416とG11ね、……仕掛けてきたか)

 

 416とG11に通信を繋ぐとすぐに二人の声が聞こえた。

 

『……近距離ラインまで接敵された、しかもステルスも入り混じってる』

 

「光学迷彩ステルスなんて! ただの一端運送会社とは違うとは思っていたけど……!」

 

『チッ! ダミーを連れてこればよかった!』

 

「416、G11! 接近してる敵を優先! 近接攻撃主体だから遠距離の敵はとりあえず無視!」

 

 すぐに二人に指示を出した後、UMP9にも即座に通信を繋ぐ、UMP9の状況も知るために音声だけでなくホログラムスクリーンもONにする。

 

「ごめん9、外の状況は観れる?」

 

『……ごほっ、いま覗いてるけど相手側の犬がこのビルに向かって走ってきてる。 護衛に光学迷彩の獣を何匹か引き連れてるみた……い。 ごほっ、ごふっ!』

 

 ホログラムスクリーン越しに応答するUMP9の口元には人工血液を拭った跡があり、話すたびに微かに血を吐きながら咳をしていた。

 

「9! 了解、これ以上は無理に……」

 

 UMP45はUMP9が自身の為にいかなる無理難題も平気でやろうとすることを知っている。

 安静にするように注意しようとした瞬間だった。

 

「またいたのかい! 今度こそバラバラにしてあげるよ!」

 

 微かに揺らめく何かが見えた。

 瞬時にUMP45は体を伏せると、その直後背後にあった壁が砕け散る。

 

「あんたが9が相手にしたって奴ね! 本当にE.L.I.D感染者まで飼いならしてるなんて!」

 

 揺らめく輪郭がなくなり徐々に消していた姿をさらけ出し全貌が明らかになる。

 UMP9を奇襲して遅いそのまま姿をくらました青い肌の巨漢、その名は【リリー】といい運び屋の仲間であるスーパーミュータントと呼ばれている存在だった。

 

「わかってるよレオ! 今度こそぶっ壊すよ!」

 

 リリーはヘリコプターから作ったと思われる武器、ベルチバードブレードをUMP45に向かって振り下ろす。

 

「戦術人形を舐めないことね! 見えていればそんな大雑把な攻撃当たらないわよ」

 

 いとも簡単に攻撃を躱し反撃に半身であるサブマシンガンの弾丸をリリーに浴びせる。

 

「イタイ!? 年寄りになんて仕打ちをするんだい!」

 

 銃弾を喰らいつつもまったく致命傷になってないどころか、怪我さえしているのか怪しいようにみえる。

 

(っ! サブマシンガンの限界ってところかしら…… でも、何故わざわざステルス状態を解いた?)

 

 リリーがもし姿を消したままで戦っていたら同じように見えないベルチバードブレードによる大振りの攻撃も避けることがかなり難しかったはずだ。

 実際にUMP9は先に奇襲を受けて一撃をくらってしまったが、姿は見たという情報を思い出す。

 

「どうやら長時間は使えないか、そこまで頭が回らないってところかしらね」

 

 そう判断したUMP45は発煙手榴弾を取り出し床に転がすと手榴弾から煙が噴き出しはじめる。

 狭い屋内に煙が充満し、互いの視界を遮る。

 

「なんだい!? 今度は見えなくなっちまったよ! どうするんだいレオ!」

 

 煙の中で大声で叫びながらベルチバードブレードを振り回す音が聞こえる中、UMP45は階段へ向かって駆け出す。

 

(あの図体なら移動が追いつかれることはなさそうだし、とりあえず先に9の所へ!)

 

 一気に階段を駆け上がりUMP9のいる部屋の階を目指すが、同時にUMP9から通信が入る。

 

『45姉! アイツの姿が見えない!』

 

「ちっ、逃げられた!」

 

 運び屋以外は時間稼ぎの捨て駒だと考えていたUMP45は舌打ちをせずにはいられなかった。

 

 目標に逃げられ任務は失敗、UMP9は重症だ。

 今所属している基地に居られないかもしれない、きっと帰還したら指揮官はUMP9の様に辛く痛ましい表情を見せて、404小隊の異動にも必死に抗ってくれる。

 でも、そうなれば無駄に終わるだろう。

 常に知られてはいけない極秘任務を負う404小隊と接触して逃げられるというのはそれほどまでに致命的な失敗だ。

 

「……どうすれば、どうすればいいの しきかん」

 

 その時だった、UMP45の正面に突如、姿を消していたはずの運び屋が現れたのは。

 

「……え?」

 

 その瞬間、UMP45の意識はシャットダウンし途切れた。




クエスト追加

□輸送物をI.O.P本社に届ける

■完了:(オプション)404小隊の戦力を無力化する



【Enhanced Sensors】
ED-Eのセンサーは広範囲にわたり、敵やそうでない非敵対的な存在を検知する。
それは壁の向こう側やステルス状態の相手でも関係なく、その情報は運び屋に共有される。


【Animal Friend】
野生動物は運び屋に対して敵対的にならず、戦闘の際は味方になり助力してくれる。
飼いならされた動物や、一部の動物の枠から外れたような生物には効果がない。


【Stealth Girl】
リリーはステルスボーイと呼ばれる光学迷彩装置の扱いを熟知しており、そのノウハウを運び屋に教えてくれた。
それにより、使用時間と不意打ちの効果が倍増。

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