G&K社本社の一室で、ヘリアントスことヘリアンと一人の若い少年指揮官が互いに机を挟んで難しい顔をして対峙していた。
「すまない、戦闘訓練用のは先約が全て埋まっていてドローンはまだ暫く貸し出せそうにない」
「……そうですか、はぁ」
少年指揮官は項垂れて溜め息を付く、ヘリアンは目の前の指揮官に気の毒と思いながらもさらに続けて言う。
「修理は終えたんだが、S地区方面からまた先約が入ってな…… 毎度待たせて君にはすまないと思っている」
「いいんです。 僻地の新米指揮官候補より激戦区のS地区の有望な未来の指揮官さんに使ってもらったほうが有用でしょうし」
そう言いながらも、少年指揮官は肩をガックリと落としていた。
鉄血からの攻撃があるのかも疑わしい程の僻地の指揮を任されたこの少年は、実はまだ戦術人形を指揮する立場にはない。
それは何故か?
その原因は先ほどヘリアンから貸し出しを断られた
G&K社では基地へ就任してからは、実戦経験が不足していると判断された指揮官は戦場に出る前にドローン相手の戦闘指揮訓練を経てから初めて戦術人形達の指揮を任されるのだが……
元軍属や他のPMCからスカウトや引き抜きで入ってきた指揮官はその限りではないが、近頃は
”前線にいる戦術人形に指示するだけなら必ずしも最初から実戦経験がある必要はないのでは”
という一部の上層部の考えから、能力はあるが経験がない新人指揮官がちらほらと増えてくるようになった。
さすがに何一つ経験がない人物がいきなり実戦で指揮するのはマズイということになり、ドローン相手の訓練をすることになるのが普通だ。
だが、このドローンを相手にしなければならない指揮官は大体はある問題にぶち当たることになる。
それがドローンの貸出待ちだ。
実はこのドローン、本社側で貸し出されている数は非常に少ない。
使われるのはほぼ最初の指揮訓練時ぐらいなもので、その後に使われることは滅多にない、その最初の訓練だけの為にいくつもドローンを保有しておくのは無駄だからだ。
しかも、一回の訓練で毎回壊される為に修理待ちになる上に、激戦区に配属される指揮官に優先して貸し出される。
「ヘリアントス上級代行官……どうにかドローン相手の訓練をパスすることはできないでしょうか?」
「難しいな…… 君の場合は本当に経験がないからな」
「なら、小規模な鉄血人形を相手に「馬鹿なことを言うもんじゃない」」
少年指揮官の言葉を遮るように、ヘリアンは厳しい口調で言う。
「その相手をする為の訓練だ。 人形に命令すればいいだけと勘違いした指揮官がこれまで何体の戦術人形を無駄に散らせていったと思う?」
ヘリアンの冷たい視線に耐え切れなくなり目を逸らす少年指揮官、その様子にヘリアンは溜め息をつきながら目を閉じ言う。
「しかし、このまま待たせ続けるのも悪いとは思っている。 ……そうだな、個別にドローンを保有している基地を当たってみよう」
「すいません、ありがとうございます」
力なく俯きながらグリフィン本社から出ようとロビーを歩いていく青年指揮官。
その時、横から声がかかる。
「おや、どうしました? 元気がないようで、お困りごとですか? ならもしかしてお手伝いできるかもしれませんよ!」
「えっと、君は?」
声をかけてきたのは青い塗装のボディーで下半身が一輪駆動式のロボット、セキュリトロンことイエスマンだった。
「なるほど、なるほど! それは実に気の毒な話ですね! ですがそのお話、もしかして力になれるかもしれません!」
「えっ、本当ですかイエスマンさん!?」
少年指揮官が駄目元で今困っている問題のことをイエスマンに話してみると、なんと解決策があるかもしれないという。
ロビーのど真ん中で会話をしている二人を他のグリフィン職員が避けて通って行く、その内の何人かは迷惑そうにしつつもそれ以上に関わりたくないのか注意しようとするも結局は避けて行った。
「私どもモハビ・エクスプレスは運送会社ですが、物資の買い付け買い出し、更には貸し出しもしています。 そしてその中でもオススメのレンタル品が、今私のボディーとして使用しているセキュリトロンです! ドローンと同じ行動サブルーチンをインストールしたこのセキュリトロン相手に訓練すればヘリアンさんも納得せざる得ないはずです!」
「でも僕にはレンタルできるような資金や物資を持てるほど…… それに壊してしまったら」
「ご安心下さい! 残念なことに最近は皆さん私を避けるようになってたのですが、貴方は久しぶりのお客様となってくれました。 なのでセキュリトロン本体の貸出代は今回は無料としておきます! かかる代金はセキュリトロンが使用した弾薬代だけ、壊れてしまった時の心配もご無用です! 貴方のような新米指揮官に配属される戦術人形がセキュリトロンを破壊しきれるとは思えませんし、自己修復機能も備わっていますので……ああっ、お気を悪くしたのならすいません! 何せ私嘘が付けないものですから」
イエスマンが捲し立てる中、最後の言葉に少しムッとしながら話を聞き続ける少年指揮官。
「とにかく、もし破壊されてしまったとしてもそれに関しては代金は頂きません。 あくまで訓練内での話ですがね。 それに支払いに関しても無事正式な指揮官となられてからお支払いできる時で結構です!」
「……つまりこっちが出費するのは実質的には消費する弾薬代だけということですか、うーん」
「このままでは正式な指揮官と認めてもらえず給金も少ないままなのではないですか? それと弾薬代も9mmサブマシンガン以外にもガトリングレーザーを使用することによって弾薬代が充電によって節約できますからお得になりますよ!」
暫く悩み考えた後に、少年指揮官はイエスマンの提案に応じることにした。
だが結果はセキュリトロン相手に初めての訓練を終えた人形は、散々な返り討ちに会うという悲惨なオチであった。
そもそも本来、訓練用のドローンは大体が反撃をしてこない的の役割なのだが、そんなことを知らなかった少年指揮官はそのまま同じく経験の浅い人形達でセキュリトロンに挑んだのである。
セキュリトロンのチタン合金製の強固なボディー相手に練度の低い人形達はまともにダメージを与えることが出来ないのはあたりまえで、その上にミサイルとグレネードを封印されているとはいえ摸擬弾薬ではないガトリングレーザーと9㎜サブマシンガンでの反撃をくらって大惨事になるのは当たり前の事であった。
はっきりいって辺境地区であるこの付近の鉄血の遊撃小隊を相手にする方がまだ勝てる要素があると言える。
「あのポンコツロボット生意気なの! おとなしく的になってろなの!」
「反撃してくるなんて聞いてねぇぜ指揮官……」
まさか反撃をくらうとは思っていなかった人形達の内であるM9とトンプソンが少年指揮官に文句を言う。
「み、みんな、ごめん!? まさかこんな強いロボットだったなんて知らなかったんだ……」
「いいえ、指揮官…… ですが、わたし達が力不足故の失態とも言えます」
「っ、たしかにな……」
謝る少年指揮官だったが、そのうちの人形の一人であったトカレフの一言に苦り切った顔でトンプソンが項垂れる。
だがM9は只管に納得がいかないのか更に文句を言いだすが、
「そんなの関係ないの! 的は的らしく撃たれてたらいいの!」
「ですが反撃もしてこない相手に勝つつもりだったのが、相手が撃ち返してきたのでダメでしたと言い張るのですか?」
「まぁ実戦でそんなこと言ってる奴なんて参戦させてもらえる訳はないよな……」
M9の言葉を断じるトカレフと自らの情けなさに自嘲するトンプソン、少年指揮官も自らの至らなさと情けなさで自己嫌悪に陥っていた。
だが直後にトカレフの一言でまさかの展開に進むことになる。
「あのセキュリトロンというロボットに勝ちましょう。 手加減なしのあのロボットに」
自分の中でMk2 OSのセキュリトロンの強さイメージとしては、正規軍のハイドラ相手に3~5体では楽勝できるイメージでいます。
戦況次第では長期戦とかだと自己修復できるセキュリトロンが更に優位なのかもしれませんがね。
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両方とも知ってるぞ
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