ロボットと人形の差ってこういう所だと思うのですよ。
ロブコ社製ロボット、正式名称はPDQ88b-セキュリトロン。
そのロブコ社を創立したロバート・エドウィン・ハウス本人が私設軍隊の為に開発したロボットであり、その頼りない見た目に隠されたスペックは一般配備されているような軍用の人形やロボット以上に恐ろしい性能が秘められている。
中距離から近距離射程用にそれぞれ右手に9㎜サブマシンガン、左手にガトリングレーザーと連射式グレネードランチャーが内蔵され、更には遠距離攻撃の為に肩部分にはミサイル射出用のポッドが内蔵された過剰すぎる程の武装火力。
チタン合金製の強固な装甲に守られながら、下半身に取り付けられた一輪式のタイヤだけでは想像がつかない程の走破性で敵を追い回す。
その上に自己修復機能まで備えており長期戦でも十分な性能を保ち続けることが出来る。
「そんな性能を持ったMkⅡOSを解放したセキュリトロンを相手にあなた達だけで相手をするっていうのだからこれはまた驚きです! はっきり言いまして勝てる確率は1──」
「御託はよろしいのでさっさと訓練を始めましょう」
イエスマンは自らのボディーであるセキュリトロンの性能を得意げに語るも、トカレフはイエスマンの言葉を断ち切る。
訓練用フィールドの中心地でトカレフの横左右に立つのはトカレフ自身のダミー人形二体、そしてその後ろにはそれぞれ一体のダミーと並ぶトンプソンとM9だった。
「そういうことだ、さっさと始めようぜ」
「おまえ生意気なの! とっととぶっ壊してやるなの!」
人形達に睨みつけられるイエスマン、だがやはりイエスマンは気にも留めずに話を続けていく。
「ええ、ええ。 もちろん構いませんとも! アナタ達だけでMkⅡOSのセキュリトロンにどう対抗するのかも非常に興味がありますので、ではダウングレードしていたOSを再度バージョンアップデートいたします。 それでは皆さんお元気で!」
そう言い終えた後、イエスマンの間抜けた笑顔が映された画面モニターのスクリーン画面はターゲットマークが映されたものに切り替わった。
目の前のセキュリトロンは先程のイエスマンの軽い音声から一変し威圧感のある野太い音声を発する。
「指示とターゲットを確認、武器の使用承認完了、攻撃開始」
指令室からその様子をモニターしていた少年指揮官はセキュリトロンが攻撃態勢に移った瞬間には人形達に声を張り上げ通信越しに指示を出していた。
『っ、M9は閃光手榴弾を、トカレフは援護号令を任せるよ!』
「わかったなの!」
「了解しました指揮官、トカレフTT-33自動拳銃、参ります」
セキュリトロンは容赦なく肩のミサイルポッドの防護カバーを開き射出しようとするが、その前にM9が投げ込んだ閃光手榴弾が爆発する。
I.O.P製戦術人形が装備する閃光手榴弾は通常の閃光と轟音による効果以外にも対鉄血の為に小規模ながらも
そのせいでセキュリトロンは一瞬ではあるが様々なシステム障害に陥り、相手を完全に見失う。
だがそれでもミサイルの発射は止められず肩のミサイルポッドから次々と射出されてしまうが──
「今です! 全員、回避行動を!」
M9の投げた閃光手榴弾によって誘導が狂ったミサイルは目標を見失い敵のいる方向へ撃ち込んだだけの大雑把な攻撃となり、トカレフの号令指示に従った人形全員は難なく回避する。
そしてミサイルが着弾した爆炎を背にしながらトンプソンはセキュリトロンに向かって撃ちまくる。
狙いの先はミサイルポッド内部に残るまだ発射されていないミサイルの弾頭だった。
「ちっくしょお! 当たれぇ!」
だがトンプソンの叫びも虚しく銃弾はミサイルの弾頭には命中せず、肩部分のミサイルポッドの防護カバーが閉じられてしまう。
諦めきれずに撃ち続けるも命中した銃弾は全て装甲に弾かれてしまい、セキュリトロンも反撃とばかりにガトリングレーザーを掃射、トンプソンは得意のフォースシールドを展開しながらとにかく銃弾をばらまき続けるが、フォースシールドの効果時間も尽きた途端にダミーがレーザーに撃ち抜かれて赤く燃え上がり一瞬で灰になる。
「一端退いて物陰に隠れなさいトンプソン!」
「ああっ、クソッ!」
トカレフに呼び止められ一緒にトンプソンも訓練用フィールドに設置された遮蔽物の陰に隠れる。
『最初の作戦は失敗か……』
「すまない、肝心なところでしくじっちまった」
『僕こそごめん、危険な作戦を任せて危うくまたトンプソン自身を……』
「そこは気にすんなよ、既に初戦で容赦なくやられてるんだし今更な話さ」
最初の狙いであったセキュリトロンのミサイルポッドを暴発させる作戦の失敗に落ち込む少年指揮官、気にする必要はないとトンプソンは宥めるが、実際の所は運良くダミーが標的になっただけで下手をするとトンプソン本体が灰にされている所であり、またムキにならずに作戦が失敗した時から即座に退避行動をとれば被害が無かったとも言える。
焦って自ら危険を冒したとトンプソンは自覚していた。
だが、そこまでしなければ恐らくあのセキュリトロンは倒せないだろうともわかっていた。
「ですが私達があのロボットに打撃を与えるにはミサイルを暴発させるしか道筋はありません」
一緒に隠れているトカレフはそう言いながら遮蔽物から顔を覗かせてセキュリトロンの方を見張る。
どうやらセキュリトロンは別方向に隠れたM9を標的にすることにしたのか、射撃攻撃からグレネード弾による爆撃に切り替わっていた。
遮蔽物があることなどまったく関係ないとばかりに次々と連射して撃ち込まれるグレネードにより周りの地表の土が爆ぜ上がり伏せながら涙目で頭を抱えて守るM9の上に降ってくる。
「うきゃあ!? 早くなんとかするなの!!」
だが幸いにもセキュリトロンは曲射を利用してグレネード弾を撃ち込む程のAI知性は無かったため、M9の上に土をかぶせるぐらいしか出来ていない。
M9が身を隠す遮蔽物が堪え切れる限りではあるが……
『大丈夫かM9! 今すぐ助けを』
「いえ、M9にはこのまま引き付けてもらいましょう」
『トカレフッ!? なにを言ってるんだ!』
M9の窮地に焦る少年指揮官だが、トカレフはその状況を利用して活路を見出そうとしていた。
「指揮官……私達は人形です。 指揮官は止むなき時には犠牲にする選択肢を考えるべきなんです」
『だ、だけどっ』
(……本当にあなたは指揮官としては優しすぎる)
最初にセキュリトロンを相手にして弾丸とレーザーの雨にズタボロにされて負けた日、バックアップから復帰した彼女たちが目覚めて最初に目にしたものは少年指揮官が目に涙を浮かべて謝る姿だった。
指揮官としてはあまりに幼く頼りない情けない姿の少年、グリフィンの指揮官ならば人形を駒として冷徹に使うべきだとトカレフは呆れていた。
だが同時に少年指揮官に対してとても温かいものを感じてしまうトカレフ、そしてトンプソンとM9も……
(けれども…… だからこそ指揮官の為にも私達を犠牲にしてでもセキュリトロンに勝たなくては)
トカレフが制限なしのセキュリトロンに挑もうと言い出した理由、それは自分たち人形を犠牲にしてでも訓練を成し遂げて少年指揮官に成長してほしいからに他ならない。
何度も同じ様にズタボロにされてバックアップからやり直すかもしれない、犠牲なしには絶対に勝てない相手だ。
だからこそ、時には人形を犠牲にしてでも戦果を上げなくてはならないと知ってほしかった。
「M9、このまま引き付けておいて頂戴」
「ふざけろなの! ……でも指揮官の為ならやってやるなの」
『そんな、M9!?』
「トカレフも引き付けるなんてあまっちょろいこと言ってんじゃないなの! このままぶっ壊してやるなのぉ!」
M9はそう叫びながら遮蔽物から飛び出し、ダミーを本体の前方に立たせて盾の代わりにしながらセキュリトロンへと突っ込んだ。
セキュリトロンは即座に反応しグレネードをM9に向けて連射するが、時限信管であった為すばしっこく動くM9には爆風が掠る程度で命中させることが出来ないでいた。
「敵の接近を確認、攻撃手段を変更します」
「やってみろなのぉおおおぉ!」
セキュリトロンはグレネードを射出していたアームとは逆のアームをM9に向けると内部から9㎜サブマシンガンの銃身がせり出し銃弾を吐き出す。
だがその銃弾は全て本体への盾となる為に全て受け止めたダミーを破壊するだけで止められ、ついにM9はセキュリトロンに至近距離まで接近した。
「接近戦プロトコルに従い、実行します」
「うきゃあっ!?」
しかしセキュリトロンは近づいたM9の顎にまさかのアッパーカットを繰り出し、殴り飛ばされたM9はごろごろと地面を転がされ放り出され、そのまま地面に這いつくばるM9にセキュリトロンは確実な破壊をもたらすためにグレネードを撃ち込もうとする。
『M9!? 大丈夫かっ!?』
M9の危機に居ても立ってもら居られない少年指揮官の声が通信越しに聞こえる。
だがM9は嗤って答えた。
「腕一本貰ったなの」
直後にグレネードを撃ち込もうと構えていたセキュリトロンの片腕が突然爆発して吹き飛ぶ。
M9は接近して殴り飛ばされる直前にアームに仕込まれたグレネード弾の射出口に閃光手榴弾を突っ込んでいたのだ。
「X-25ガトリングレーザー及びG-28グレネードランチャーが使用不可能。 装甲修復開始、武器の修復不可能、エラー発生」
「そのまま大人しく立て直させるかと思うかよぉ! もう一度行くぜぇ!」
これを好機とばかりにトンプソンは遮蔽物から飛び出しセキュリトロンに向かって銃弾を掃射しながらM9を庇う為にフォースシールドを展開、セキュリトロンも大人しくしている訳もなくミサイルポッドを解放して次々とミサイル発射するがなんとか防ぐことができた。
そして──
「負傷したぐらいで冷静さを欠くだなんて……機械らしからぬことです」
その言葉はどういう意味で誰に言ったのか、無意識のうちに呟いていたトカレフが自身の銃から発射された弾丸はセキュリトロンのミサイルポッド内のミサイル弾頭に命中した。
手榴弾の応用を利かせた使い方や汎用性が好きなんです。
一番好きな使い方は……バット片手にスワッターしてホームランすることですかねぇ(ストライクすると死ぬやつ)
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ドルフロ知ってるけどFallout知らん
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両方とも知ってるぞ
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