そりゃ、派手にドンパチやって弾薬費がお安く済むはずないよなぁ?
「実に素晴らしい戦闘の結果を見せてもらいました! これはお世辞じゃありませんよ!」
先程の訓練でミサイルポッドが爆発し大破したセキュリトロンが別のセキュリトロン達に回収されていくのを尻目にイエスマンは少年指揮官に告げる。
訓練の結果はトカレフの一発の銃弾のトドメにより見事にセキュリトロンに勝利して見せた。
新たなセキュリトロンを引き連れたイエスマンがやってきたのはその後日だった。
「この結果をヘリアンさんに見せつければ晴れて正式な指揮官の仲間入りですね! おめでとうございます!」
「……そんな、結局自分は何もしていない。 勝てたのは彼女たちのお陰だよ」
「部下の手柄は全て上司のもの! 別に気にすることなんてありません!」
少年指揮官を煽てるイエスマンだが、当の本人である彼は浮かない顔のままで自信なさげであった。
「このロボットの言うことに賛同するのは本当に癪ですが、その通りです。 指揮官がいたから皆ここまでやれたんです」
「そうだぜボス、アンタの狙い通りミサイルを暴発させたことで勝ったんだ。 ボスの作戦勝ちさ」
「そうなの!」
トカレフやトンプソンとM9も同じ様に少年指揮官を励ますように声をかける。
そうしてようやく少年指揮官は顔を上げるが、そこで突然別の声がかかった。
「なるほど…… たしかにこれは大戦果だな」
全員がその声の方へ注意を向けるとそこに居たのはなんとヘリアンだった。
その傍には護衛として本部所属であるFN小隊の戦術人形、FALとFive-sevenが控えていた。
「へ、ヘリアントス上級代行官!? こんなところへ何故いらっしゃるんです!?」
「君がイエスマンと接触していたというのを耳にしてな。 気になって顔を出したのだが案の定だったようだ」
突然の訪問に驚く少年指揮官、だがヘリアンはそれを後してイエスマンに詰め寄る。
厳しい目付きのヘリアンの顔を見るに相当ご立腹なのはこの場のセキュリトロンもといイエスマン以外は誰の目にも明らかであった。
「おや、ヘリアンさん丁度良い所にいらっしゃいました! どうです素晴らしい戦果じゃないですか! グリフィンにまた新たに有望な指揮官が現れましたよ! 実に喜ばしいことです!」
「……その有望な指揮官を借金で縛り付けて喜ばしいと?」
「だっ、大丈夫です。 支払いは正式な指揮官になれればすぐに支払いは終わらせます!」
ヘリアンが言う言葉に呆気にとられた少年指揮官だったが、貸付けで借りを作っている分も直ぐに支払える算段を伝えるも、
「ハァ……君は分かってないようだな。 ならば聞こう……イエスマン、この基地の訓練でかかった支払い費用額は?」
「はい、セキュリトロン本体の破損を含める費用は今回は無料になりますからね。 これが現状の請求額です!」
イエスマンの顔が映されていたモニタースクリーンが切り替わり今回の件の請求額明細が表示された。
それを見た瞬間、少年指揮官の顔から血の気が失せ真っ青になる。
「──え? え? そんな、かかる費用は弾薬費だけじゃ……あっ!」
「ええ、そうです! 今回の請求額に含まれているのは弾薬費だけです! 其方の要望でMkⅡOSを解放したことにより想定されていた弾薬費に加えてグレネード弾やミサイルの分も追加されています。 少々お高い費用になってしまいましたが……そちらのステップアップの助けとなったのであれば安いものですよね! 大丈夫、お支払いは何時でもかまいませんので!」
かかる費用は弾薬費のみ、つまりは先程の訓練でセキュリトロンが手当たり次第に撃ちまくっていたミサイルやグレネードも含まれるわけでその費用は膨大に膨れ上がっていた。
「あ…… そんな…… 私は指揮官の為を思って」
その現状を原因を作ってしまったトカレフは自身のしでかしたことに気が付き膝を折り崩れ落ちる。
もし失敗しても自分達人形がバックアップから立ち直るだけ、そう思っていたが、イエスマンの提示する額は正式な指揮官でも簡単に支払いきれる額を大幅に超えていた。
だがそこでヘリアンから予想外の提案がされるのだった。
「その請求額分は本部から、もしくはそれに不都合が起こるのならば私のポケットマネーから支払わせてもらう」
「えっ!」
まさかの助け舟に驚く少年指揮官、そしてヘリアンの突然の意外な発言に護衛役としていたFive-sevenは小声で隣のFALに耳打ちする。
「合コンに負け続けてついに部下に恩を売って漁るだなんて、よほど追い詰められてたのね」
「でもさすがに年齢差が厳しくないかしら、それに本部資金を動かすだなんてもはや職権乱用だし」
「……お前等聞こえてるからな。 後で覚えとけ」
コソコソと言いたい放題に言い合っている二人の護衛に対して額に青筋を立てるヘリアンだったが、その後にコホンと咳払いし真面目な表情に戻す。
「つまりこの基地の指揮官の負債はなしということだ。 わかったらとっとと失せろ」
「なんとも太っ腹ですね! ええ、もちろん支払いさえして頂ければ私共にとってはなんの問題もありませんとも!」
支払いで色々と揉めるのではと思われた交渉だが、意外なことにイエスマンはそう言い終えると早々に他のセキュリトロン達を引き連れてあっさりと基地を去っていった。
モハビ・エクスプレスとしては支払いさえ確実にされるのならば問題は無いということらしい、口約束とはいえグリフィンの上級代行官であるヘリアンの発言力はそこまで大きいものなのだ。
その場に残ったグリフィンの面々、特にこの基地の指揮官である少年と人形達の気の落ち込みようは大きいものだった。
「申し訳ありません指揮官っ! 私の勝手な進言でこのようなことに!」
危うく自身の独断のせいで指揮官に大きな負債を抱えさせるところであったトカレフは大きく頭を下げて少年指揮官に謝る。
「い、いや…… いいんだトカレフ。 それを許可したのは僕だし、結局はあのロボットをここに連れてきたのも僕の責任なんだ」
謝るトカレフの肩に手を置いて宥めながら少年指揮官はヘリアンの方を向き礼をする。
「ですから今回の件は僕が勝手に──」
「いや勘違いしてるようだが、別に今回の件は君が違反を起こしたわけではない。 グリフィンは別に他社からの協力や融資に対して罰則するような規則はないしな」
そもそもグリフィンの基地は運営に関しては各々の指揮官は個々にかなりの裁量権があり、担当する基地の資金のやり繰りを含めて束縛はかなり緩い。
というか本部としてはそれぐらいは各自で賄ってもらわないと困るのが実の所である。
正式な指揮官にまだなれていなかった少年指揮官はそれ故に今回の問題に頭を悩ますことになったとも言えるが。
「だが今回は選んだ相手が悪かったな…… 本部内を連中に我が物顔でうろつかせることになったのは私のせいでもある。 本当に君達には迷惑をかける……」
「い、いえ、そんな…… 本当に助かったのは僕達のほうです!」
その後はヘリアンは少年指揮官を正式な指揮官とし、イエスマンからの請求も立て替えることを約束した後に二人の護衛共に本部へと帰還していった。
その時、帰還しようとするヘリアンの後ろ姿を見つめながら少年指揮官は人に対しての敬意というものを初めてヘリアンに対して抱き、この恩は一生忘れまいと心に誓ったのだった。
「あの指揮官、ヘリアンにすごく熱い眼差しを送ってたわよ~」
「なっ、なに! そうなのか! い、いやぁまいったなぁ!」
「その気はないとか言っときながら、にやけてるわよヘリアン」
帰還中のヘリの中、Five-sevenの言葉にだらしない顔をするヘリアンに呆れるFALだった。
(そもそもあの顔付は恋慕というよりは敬意と忠誠って感じよね)
後にその少年指揮官はヘリアンに近づくために驚くべき大戦果を上げる指揮官となる。
ヘリアンに対する思いは本物であったが残念ながらヘリアンが期待するような恋心からの慕われかたではなく、少年指揮官が抱くのは敬意からの絶対の忠誠心であったという。
残念ながらヘリアンさんに出来たのは恋人ではなく絶対の忠誠を誓う部下でした。
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ドルフロ知ってるけどFallout知らん
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両方とも知ってるぞ
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