FALL OUT GIRLS   作:WarBoss

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まだこれプロローグなんだよね……

遅々とした更新で本当に申し訳ない(無能博士並感)


Cross Road Blues

 運び屋は意識のないUMP45を抱きかかえながら廃ビルの階段を上がり屋上を目指していた。

 彼がロボット工学の専門知識(Robotics Expert)を頼りに強制シャットダウンさせたUMP45は外傷こそないものの、一向に起きる気配がない。

 

「おや、坊や、そのお人形を持って帰るのかい?」

 

 そこに突如として青肌の巨漢が現れた、ステルス状態を解除したリリーだった。

 

 もとからそのつもりだったと、運び屋は言うがリリーは頭を掻きながら首を傾げる。

 

「そうだったかい? ばーちゃん最近物忘れが酷くてねぇ、もう一人のお人形はぶん殴っちまったよ! だから言ったんだいレオ!」

 

 もしかして再起不能なまでに破壊したのかと運び屋は問いかけるが、リリーは頭の中のレオと言い合って聞いちゃいない。

 もしその人形が破壊されてしまったのなら今回の依頼人から苦情が来るだろうことを考えてどうしたものかと思考をめぐらしていた。

 

「壊れてなくて残念だったね!」

 

 だが突如、声が聞こえたかと思うと銃声がし、足元の床に銃弾が数発撃ち込まれる。

 運び屋が振り向くとその先には息も絶え絶えのUMP9が硝煙を漂わせて銃を向けていた。

 

「はぁっ、こふっ、どうやら完全に負けってやつみたいだけど…… だけど、45姉は返してもらうから! げほっ」

 

「またあの人形かい! 今度こそ壊しちまうよ!」

 

 口から血を流しながらも銃を向けるUMP9にリリーは吼えるが、運び屋はリリーを宥め、そのまま抱き抱えていたUMP45を床に下ろした。

 その様子を見ながらUMP9は銃口を向けたまま、ほんの些細な動きも見逃すまいとしていたが、その瞬間だった。

 

 ──続けざまに銃声が三発鳴った。

 

「っ!? えっ?」

 

 UMP9が気が付いた時には既に、自身の半身である銃が弾き飛ばされていた。

 そして弾き飛ばした本人である運び屋の手には硝煙を漂わせたハンドガンが握られている。

 恐らくはコルトM1911であろうその銃は、更に銃身が短かくスライド部分に文字が彫られていたりと特注品(オーダーメイド)のようであった。

 

 UMP9は何が起こったかわからなかった。

 銃を撃ち込まれたのは見えていたが、()()()()()()()が見えなかったのだ。

 一瞬呆けていたUMP9だったが、気が付くと同時に自らの銃をすぐに拾い構えるが……

 

「もう撃てる状態じゃない……か…… 」

 

 ASST(烙印システム)によって自身の銃の状態がもはやまともに射撃できる状態じゃないと気が付くと諦めてそのまま銃を下げた。

 

「ごほっ、ねぇ…… 45姉をどうするつもり?」

 

 まだ抵抗されて格闘戦を挑まれるぐらいの覚悟はしていた運び屋だったが、どうやら抵抗は諦めたらしい。

 だが、UMP45を助け出すことに関しては未だ諦める気はないようだと、UMP9の目付きで察した運び屋はどうしたものかとまたも思考する。

 

 実の所、今回モハビ・エクスプレスに運ぶように依頼された輸送物とはUMP45のことであったのだ、つまりは誘拐して来いということである。

 しかも依頼人にはUMP45はもちろん、他の404小隊メンバーも大破や破壊することは避けるように言われていた。

 ……リリーが少し暴走して少し危うかったが。

 

 色々と考えを巡らせるが、いい加減めんどくさくなった運び屋は正直にUMP45を連れていく事情を言い、そしてUMP9に心配なら付いてきてもいいと言った。

 一緒にUMP9を連れてきてはいけないとは言われてないのだから。

 

「嵌められたのは運び屋さん達じゃなくて私達ってことか…… これはもう、今の基地に居られないどころか404はお役御免ってことなのかな」

 

 そのまま腰を下ろしたUMP9は、膝を抱えて座り込んだ。

 

 

 

 

 

 運び屋と抱きかかえられたUMP45、リリーと担がれたUMP9が屋上へと辿り着く。

 

「……できればもうちょっと丁寧に扱ってほしいんだけど!」

 

「なんだい、我儘なお人形ちゃんだねぇ! 折角ばーちゃんが運んであげてるっていうのに!」

 

「運ばれるような状態にしたのはそっちだよ」

 

「それはレオのせいだよ、ばーちゃんは知らないよ」

 

 リリーに片腕で担がれているUMP9は扱いの荒さに文句を言うが、リリーは扱いを変えるつもりはないらしい。

 ちなみにUMP9の怪我のほうは、ED-Eやレックスにも効果があるんだから効くだろうといい加減な根拠で運び屋にスティムパックを投与された、実際ある程度は回復した。

 スティムパックを投与された本人であるUMP9はその効果の程にかなり驚いたが、回復したのは人口の生体部分だけで機械部分になる骨格フレーム等はやはり治らなかったようで結局はリリーに担がれることになったのだ。

 

「それで? 屋上まで来てどうするの?」

 

 リリーに担がれながらUMP9は運び屋に問うと、迎えが来る、そう一言だけ運び屋は返した。

 

 暫くすると微かなプロペラ音が聴こえ、その方向から回転翼式のヘリコプターが近づいてきているのがわかった。

 

「ヘリまで持ってるなんて……」

 

 驚くUMP9、グリフィンでもヘリコプターは最前線の優遇された指揮官が申請してやっと使わせてもらえるぐらいで、辺境基地や入って間もないような指揮官にはなかなか使用許可が下りてこないのが普通だった。

 404小隊の場合はグリフィン内での特殊な立場故に、送迎で使われたりすることがあるが、中規模のPMCでもヘリコプター等の空輸手段を持っている会社は珍しいのだ。

 

 やがて回転翼式のヘリコプター、ベルチバードは屋上の真上まで近づくと、着陸し後部ハッチが開く。

 そこから出てきたのは作業着にフルフェイスヘルメットを被った人物だった。

 

「ボス、運ぶ人形は一体だって聞いてたが?」

 

 その掠れ嗄れた声で問いただしてきたが、運び屋が事情を説明すると、リリーに顔を向けて呆れた風にオーバーなジェスチャーをする。

 

「……リリーのばあさん、もうちょい薬増やしたほうがいいんじゃないか? さすがに制御がきかないのはまずいだろ」

 

「煩いよラウル! レオがやれって言ったんだよ、あたしじゃないよ!」

 

「……そうかい、まぁ嬢ちゃんも気の毒だったな、ばあさん加減が利かないからな」

 

【ラウル】と呼ばれた彼は呆れてリリーに言うが、そのまま担がれているUMP9に同情の言葉をかける。

 

「E.L.I.Dを薬物投与で制御? うーん、意識を保たせてるのかな?」

 

「あぁ、そういう解釈になるのか……」

 

 先ほどの会話の内容を聞いたUMP9は勝手に憶測を言っているUMP9、その様子にラウルはなんとも微妙な反応を見せた。

 

 そんなやり取りを屋上でしていると、ED-Eが空からレックスが運び屋たちの後からやってくる。

 

<~~♪>

 

「ワンッ!」

 

「……」

 

 ED-Eとレックスが無傷で現れたのをみたUMP9は、ここで404小隊がモハビ・エクスプレスに手も足も出せなかったのだと悟り顔をうつむけて黙り込んだ。

 

「まぁ嬢ちゃん、ボスを狙うことになったのは逆に不運だったと思うか気にしないほうがいい、災害に自分から突っ込んだようなもんだ…… というかボス、他に引き連れてたナイトストーカーはどうしたんだ?」

 

 自然に帰してあげた、と答える運び屋に頭を抱えるラウル。

 

「ボス、本来ナイトストーカーはここではいないはずの生き物だぞ、モハビの二の舞にする気かよ…… モビウスの爺さんも言ってただろ、無暗に生態系破壊するなって」

 

 運び屋は我関せずといった風にそのままUMP45を抱えたままベルチバードの後部ハッチへ入っていき、それに続いてED-Eとレックスも運び屋の後を追う。

 

「いいから坊やたちをさっさと送っておやり!」

 

 挙句にリリーからこの言われようである、ラウルの溜め息がヘルメットの中から漏れる。

 

「グールじゃなかったら、グリフィンにでも転職でも考えてる所だな、まったく…… あと嬢ちゃん」

 

 UMP9が運び屋に抱きかかえられていたUMP45を心配そうに見ていたのに気づいていたラウル。

 

「なに、あんな感じだがボスはあらゆる最善を選んできたぐらいにはぶっ飛んでる奴だ、あの人形の嬢ちゃんも他も最悪にはならんだろうさ」

 

 そう呟きながらベルチバードの操縦席へ向かっていった。




ナイトストーカーはきっと他の司令官やPMCが駆除してくれるでしょ(えぇ……)

生態系レイプ! フリー素材と化したナイトストーカー先輩



【Robotics Expert】
運び屋は専門的なロボット工学知識を持っている為、ロボットや自立人形に対して効率的な攻撃ができる。
また、直接弄ってシャットダウンしてノンアクティブ化することもできる。
だが再起動の仕方はどうやらわからないらしい。


【スティムパック】
鎮痛剤と回復薬が入っている注射器、何故か完全なロボットであるED-Eにも効果がある不思議。


【ベルチバード】
回転翼式のヘリコプター、見た目で言えばオスプレイ。
武装等も積めるがモハビ・エクスプレスが所有しているものは輸送が主な目的の為、大きな武装は積まれていない。

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