FALL OUT GIRLS   作:WarBoss

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いやあ…… モハビ・エクスプレスは強敵でしたね。


運び屋はカフェにいる

 ──404小隊がモハビ・エクスプレスと接触した事件から一週間が経った。

 

 あれから、416とG11も無事回収され戦いで傷ついた404小隊はペルシカから直々に修理をしてもらい、所属している基地に戻ることとなった。

 修理してくれたペルシカには御礼に一発殴っておいたUMP45だったが、腹の虫は収まるわけもなく、基地の中を当ても無く彷徨っていた。

 

 そこへ今一番顔を合わせたくない連中だった、AR小隊の片目に眼帯が特徴的なM16A1と後ろについている首にかけたフェイスマスクのためのスカーフが特徴のM4A1の二人と鉢合わせする。

 

「随分と機嫌が悪いようにみえるなUMP45……聞いたぞペルシカに」

 

「なに? ペルシカのお礼参りでもしにきたのかしら?」

 

「正直事情を聞いてなかったらしてただろうな」

 

「M16姉さん!」

 

 M4が止めに入ろうとするが、そのつもりはないと肩をすぼめ苦笑いするM16。

 

「別になにもしないさ、軽はずみなことをしたペルシカも悪い」

 

「あら、ずいぶん丸くなったものねM16A1」

 

「そりゃお互い様だ。 聞いたぞ、帰ってきた途端に指揮官に泣きながら抱きつかれて顔真っ赤にしてたんだって?」

 

「「なっ!?」」

 

 M16の言葉にUMP45とM4が顔を真っ赤にして驚愕する。

 

「一歩先を行かれて残念だったなM4、大丈夫まだまだチャンスはあるさ」

 

「なっ! 何を言ってるんですかM16姉さん!?」

 

「  」

 

 知られたくない話を暴露された恥ずかしさと、その時のことを思い出した恥ずかしさが思考を混ぜっ返し、UMP45ずっと赤い顔で口をあけたままフリーズしていた。

 

 二人をからかっていたM16だったが、急に眼帯で隠されていないほうの眼が鋭く睨む。

 

「だが、少し油断が過ぎたんじゃないか? 作戦任務を利用されたってのもそうだ、これからも指揮官の傍を守っていくつもりなら猶更だ」

 

「……っ! そうね、その通りだったわ。 9や416とG11がああなったのは私のせいよ」

 

「自覚があるなら結構だ」

 

 そう言い終えるとM16は鋭い目つきはなくなり、にやけ顔になる。

 

「ならあとは気分を切り替えな、どうだいスプリングフィールドのカフェで一杯ひっかけるか?」

 

「なにを真昼間から飲む気でいるんですか!」

 

「M4とUMP45の指揮官攻略の進展も聞きたいしな、それを肴に飲ましてもらうさ」

 

「な……なな、何を言い出すんですか姉さん!」

 

「……M16、あんたねぇ!」

 

 ちなみに、基地内では二人のどちらが先に指揮官とくっつくかで賭博が行われており、更には新しい候補者もでるのではと裏で盛り上がっていたりする。

 主催者はお互いの姉妹を推しているM16とUMP9である。

 現在のレートはUMP45がやや有利とのこと……

 

 M16は笑いながら恥ずかしがる二人の肩を両腕で捕まえ、そのままカフェへ足を運ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 基地の屋内にある一部屋にそのカフェはあった。

 扉にはシンプルに【cafe】と書かれており、その文字の下には【Not Bar!】と書かれた小さな掛け看板が吊るされている。

 戦術人形であるスプリングフィールドが切り盛りするこのカフェは、コーヒーやお茶、菓子からお酒に軽食まで揃っているという、物資や嗜好品に困窮している今の時代としては破格の品ぞろえをしている。

 しかも、見た目や味を似せたような代替品ではなく純正品ばかりである。

 他の基地のどころか本部でもここまで揃えることは難しいはずなのだが、他から移ってきた人形達等は最初は驚愕していたものの、いつしかそれが当たり前になり気にしないようになっていった。

 

 

 

「おーい、三人分の席は空いてるかスプリングフィール……ド? 誰だ?」

 

「誰でしょう……初めて見る人ですね」

 

 カフェに入るなりスプリングフィールドに声をかけたM16だったが、カウンター席に一人見慣れない人物がいることに戸惑う。

 M4も怪訝な顔で、その知らない出で立ちの人物を見る。

 

 だが、UMP45の反応はまた違い、冷たい視線でその知った人物を睨みつけていた。

 

「……なんで運び屋がいるのよ」

 

 その人物は──落書きされたヘルメットとフルフェイスガスマスク、そしてコンバットアーマーの上に手直ししたボロのズボンとロングコートを着用している。

 そう、モハビ・エクスプレスの運び屋だった。

 

「あの人が!?」

 

「へぇ、あいつが……」

 

 カフェに入ってきた三人にスプリングフィールドは気付くとカウンター越しにいる運び屋のことを気にした風もなく挨拶した。

 

「いらっしゃいませ、M16さん、M4さん……とUMP45さんとは珍しい三人の組み合わせですね」

 

「……いつからこのカフェは部外者の客まで来るようになったのかしら?」

 

「あぁ、運び屋さんのことですか?」

 

 ジト目のUMP45からの質問にスプリングフィールドは不思議そうな顔をする。

 運び屋は特に反応なくただカウンターに座っているだけだった。

 

「この運び屋さんにはいくつかの仕入れ品を持ってきてもらってるんです。 最近このカフェでも好評なサンセット・サルサパリラも運び屋さんの仕入れ品ですよ」

 

「あぁ、あの何とも言い難い味の飲み物ですか」

 

 スプリングフィールドの言葉にM4がちょっと微妙な顔をした、M4はそのサンセット・サルサパリラと呼ばれている飲料が少し苦手であった。

 逆にM16は割と好みだったらしく、

 

「そうか? 結構好きだけどなあの味」

 

「そんなことはどうでもいいの、その話を聞いてると以前からここに入りこんでたってことかしら? 運び屋さん?」

 

 UMP45の運び屋に、当人の運び屋はまったく気にしてる様子はなく振り向く素振りすらせず、ずっとカウンター席に座りっぱなしだ。

 

「しかし、たしかに妙だな。 以前からここに仕入れに来てるなら一回ぐらいは誰かが見かけてもおかしくはないと思うが」

 

「運び屋さんは急にいらっしゃったり、いつの間にやらいなくなってるのが普通ですから」

 

 M16の疑問にもスプリングフィールドは苦笑を浮かべながら答える。

 

「……そう、最初から潜入してたってわけね、やってくれるわ」

 

「あの…… UMP45さん?」

 

「あーっとなんだ、UMP45はついこの前そっちの運び屋に痛い目に遭わされたらしくてな」

 

 戸惑うスプリングフィールドに裏事情の詳細をバラすわけにもいかないM16は大雑把な説明をしつつUMP45を宥めようとする。

 

「UMP45も落ち着きな、あれはもう終わった話なんだ。 そこの運び屋とやらも知らん振りせずに今は仲良くしようじゃないか、スプリングフィールドも困ってる」

 

 そう言いながらM16はカウンターの運び屋の隣の席に座り、M4が続いてその隣へ、最後に不承不承といったふうに続けて横に座っていく。

 

「それでは何か注文なさいますか?」

 

「とりあえず、いつものジャックダニエルで」

 

「だから、ここはバーじゃないんですよ姉さん!」

 

「でもお酒は置いてあるじゃないか」

 

「M16さんはまだ静かに飲んでくれるので構わないんですけどね…… お二人は?」

 

 苦笑しながらスプリングフィールドはM4とUMP45にも注文を聞く。

 

「えっと、それじゃあスイートロールで」

 

「私はコーヒーのブラックで」

 

「運び屋は何か頼まないのかい?」

 

「いつも何も頼まないんですよ運び屋さんは、遠慮なさらなくてもいいといつも言ってるんですけど」

 

「こいつに出してやる必要なんてないわ、あくまで仕入れ業者なんでしょ」

 

 M16は運び屋に聞くがUMP45が嫌そうな顔で横槍を入れる。

 そんな様子にもまったく動じてないのか聞いてないのか運び屋は目立った反応はしなかった。

 

「はぁ、UMP45もそうだが、運び屋ももうちょっと愛想よくしたらどうだ。 ん? 嫌われてるようだから黙っておいたほうがいいと思ったって? なんかあんたも不器用な性格してるな……」

 

 ちょっと呆れ気味なM16、だがふと思いついたことを口に出す。

 

「別に敵意がないつもりなら、詫びのつもりで何か珍しい仕入れ品でも出してやったらどうだ?」

 

「遠慮しておくわ、返り討ちにあって大人げない態度してるのは自分でもわかってるつもりだから……」

 

 M16の提案をUMP45は断るが、運び屋は顎に手を当てて考える仕草をした後に何やら持ってきていた荷物の中を漁り始めた。

 

「えっ、本当に何か…… 私達にも? それは流石に悪いような」

 

「なんだい、上手いこと気が利かせれるじゃないか」

 

 どうやら、UMP45だけでなくM4とM16にもサプライズとして何か出してくれるらしい。

 運び屋は荷物から取り出した其々違う形状のボトルを3つ、カウンターテーブルの上に置きそのまま三人の前に滑らせた。

 

 M16前に出されたのは手書きのラベルが張り出されたスキットルボトル、M4には白く発光しているコーラのボトルが出され、UMP45はロケットを模ったようなボトルだった。

 

「シエラマドレマティーニって読むのかこれ?」

 

「ヌカ・コーラ・クォーツ? ……なんか光ってるんですけど」

 

「アトミックカクテルねぇ、なかなか物騒な名前のよこすじゃない、喧嘩売ってんの?」

 

 

 

 その後、運び屋は三人にボトルを差し出した後に、そのまますぐにカフェを出ていってしまった。

 残された三人はそれぞれ目の前のボトルを見つめる。

 

「手製のマティーニか、頼んでいたジャックダニエルが来るまで少し飲んでみるか」

 

「瓶に仕掛けがしてあるわけじゃなくて本当に中身が光ってる…… でも、折角頂いたのに飲まないのも……どうしよう」

 

 スキットルボトルを掴みながら眺めるM16、白く光るコーラ瓶を見ながら悩むM4。

 

「私は遠慮しとくわ、嫌な予感しかしないし」

 

「なんだ、折角くれたんだからせめて貰ってやれよ」

 

 UMP45は運び屋から差し出された物を飲む気はないらしく、頼んだコーヒーをスプリングフィールドが出してくるのを待つつもりらしい。

 この時、スプリングフィールドが受けた注文のために厨房側に行っていなければ、真っ先に飲む前に止めてくれていただろう。

 何故なら三人に差し出された其々の飲み物は全てスプリングフィールドが運び屋からの仕入れ時に問題があると判断して入荷を断ったものだからだ。

 

「じゃあ、まずは一口っと」

 

「わ、私もいただきます!」

 

「どうなっても知らないわよ」

 

 M16は瓶を口につけ、M4も意を決し続いて瓶を掴み飲み始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「@@[#-!!!!-#]@@ @@[#-!!!!-#]@@ @@[#-!!!!-#]@@!?」

 

「なんだか急に視界が明るく…… でも結構美味しいかも」

 

「ほら、言わんこっちゃない」

 

 呆れたUMP45を他所に、M16はシエラ・マドレ・マティーニを一口飲んだ途端に言葉にならない言葉を叫んで絶叫し、M4は意外といける飲み口にちょっと驚いたのだった。

 

 後日、カフェに仕入れに来た運び屋はスプリングフィールドにこっ酷く怒られた。




ほのぼの(被害者がいないとは言っていない)
運び屋はあくまで、いずれ役立つかもしれないアイテム程度の考えで渡したので、その場で嗜好品として飲むとは思ってなかった模様。



【サンセット・サルサパリラ】
運び屋がいた土地で主流になっていた清涼飲料水、ドクターペッパーやルートビアのようなものに近い。
瓶の蓋にはスターキャップと呼ばれる星マークのついたキャップが稀にあり、数を集めると運び屋が何かと交換してくれるらしい。(スプリングフィールド談)


【シエラ・マドレ・マティーニ】
ジャンクフードに腐食性の毒物を混ぜ合わせて作られたお酒っぽいナニカ。
飲んでも害があるわけでもなく、体力等を一時的に増強する効果がある。
考案した人物曰く「驚くほど強烈で回復作用があり、この世の物とは思えないマズさの飲み物」とのこと。


【ヌカ・コーラ・クォーツ】
白光し輝く不思議なコーラ、原因はおそらく含まれている放射性物質のせい。
飲むと一時的に皮膚が固くなり、若干の暗視効果がでる。
直ちに影響はない。


【アトミックカクテル】
ロケットを模ったボトルに入った飲み物、飲めば宇宙まで眠気が吹っ飛ぶ。
もちろん、放射性物質入り。
一時的にエネルギー兵器や火炎に対しての耐性を得ることができる。

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  • ドルフロ知ってるけどFallout知らん
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