魔法科高校の第三魔法使い 作:揖蒜 亜衣
真由美ねぇに確保された俺は観念して生徒会室に連行された。どうせ逃げてもマルチスコープで追跡されるからだ。
「ほう。彼が噂の義弟くんか。」
部屋に入ると早速3年の先輩から興味深げに観察された。
先輩は渡辺摩利と名乗った。先輩はこの学校の風紀委員長を務めていて司波の上司に当たるらしい。
「いつも真由美ねぇがお世話になってます。」
「いやいや。こちらこそ真由美には助けてもらってるよ。」
「何か変なことしたりいたずらしてますよね?」
「まあな。だが皆とっくに適応したさ。」
「なんで摩利は何時日くんの台詞に突っ込まないの!?」
真由美ねぇが頬を膨らましているが完全に自業自得だ。
「日頃の行いだろ。中学からまるで成長してないし。」
「あっ⁉︎今私の触れてはいけないところに触れたわね⁉︎何時日くんの馬鹿っ!デリカシー皆無!あーちゃんも何か言って!」
「わ、私は会長はすごいって知ってますよ⁉︎いろんな人を手玉に取ったり!」
「日頃の行いが丸分かりだな。」
「あーちゃん⁉︎」
「す、すみません〜⁉︎」
まあ、激変されていても俺が困っていただろうから少し安心した。
それからしばらく真由美ねぇと生徒会メンバーで机を囲み昔話に花を咲かせた。
「そもそも、会長と幾年はどういうきっかけで知り合ったんですか?」
「何時日くんが私を守ってくれたことがきっかけね。護衛の人がたまたま少ない時を狙われて人質にされかけたら何時日くんが不意打ちで助け出してくれたの。」
「なるほど。会長にとって幾年くんはナイトだったんですね。」
司波さんの不穏な台詞に、真由美ねぇは案の定顔を真っ赤に染めていた。一方の俺は黒歴史を発掘された気分だ。
「あんなの黒歴史だ。今ならもっとうまくやる。大体背後から石を投げて振り向かせるなんて今時小学生ですらやらないようなことを...」
「それでも上手くいったんだから上々じゃない。下策で結果を出すのは上策で結果を出すよりすごいことよ。」
「私も同意だな。過程だけ見れば失敗かもしれないが結果はここに真由美が居る。それだけで十分だろう。」
「...ありがとうございます。」
この生徒会はやりにくい...。話しているだけですぐに先輩達におもちゃにされそうな感じが特に。
しばらくして、ふと真由美ねぇが思い出したように口を開いた。
「何時日くん。久しぶりに私の家に来ない?妹達も喜ぶと思うの。」
するとそれを聞いた渡辺先輩がやや呆れたようにため息をつく。
「君は七草と家ぐるみ付き合いがあるのか。」
「真由美ねぇの一件で家に招かれてからですね。弘一さんにはよくしてもらいました。」
「幾年くんをうちの養子に取ろうとしたこともあったわね。父がとても興味を持って一度聞いてみたんだけれど。」
真由美ねぇがやれやれとばかりに首をすくめる。まるで聞き分けの悪い弟に苦労させられたと言わんばかりに。
「まさか、断ったのか?」
「ええ。」
当時はまだ祖母が存命で祖母の家に住んでいた俺は断った。それでも気を悪くせずに親身に接してくれたのは感謝している。
「信じられないな。君は権力に興味はないのかい?」
「俺は権力者を裏で操ったり混乱させたりしてそれを鑑賞する方が好きですね。」
「なるほどな...。真由美の性格が大分移っている。」
「...元からですよ。」
俺がため息をついて時計を確認すると授業開始まであと10分ほどだった。
「それでは、俺はこれで失礼します。真由美ねぇ、ごめんけど今日は先約があるから明日でいい?」
「...先約って誰?お友達なら私も一緒に」
「過保護だから止めろ。真由美ねぇには関係ないから。」
「なっ...!待ちなさい何時日くん!年上に対してそんな口の聞き方は」「はいはいもう少し背を伸ばしてから言おうかペッタン娘」
「」
あ、ヤベ。つい口を滑らせた。
俺は自らの失言を悟り背後から悲鳴と騒音が響き渡る中、戦略的撤退を決め込み教室へと逃げ去った。