魔法科高校の第三魔法使い   作:揖蒜 亜衣

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遅れを取り戻すつもりで書きあがり次第どんどん投稿していくつもりです。今後ともどうぞよろしくお願いします。

最近イラストの練習を始めたので、今後出来が良ければいくつか押絵として載せるかもしれません


第8話:When done it.(Ⅰ)

 俺たちは雫と合流した後、俺の昔話を種に盛り上がっていた。

 ...俺としては何としても止めてしまいたいところだったが、都度誰かに邪魔をされてずるずると黒歴史を暴露され続けた。

 

 ___帰りたい。

 

 心を無にして嵐が過ぎ去るのをじっと待つ。やがてようやく俺の過去話はひと段落して最近の近況に話題が移った。それぞれどの部活動に所属するか、あるいは所属したかを報告しあう。

「何時日は部活動はするの?」

「いま検討中。適当に射撃でもいいかと思ったけど敷地が足りないしな。」

「敷地が足りない?」

 俺と雫の話に興味を示したのは意外にも達也だった。

「ああ。俺は狙撃がメインでな。それも市街戦に特化したタイプの。」

「昔から遠くのものを狙って当てるのは得意だった。昔言ってたキャンプではよく飛んでる野鳥を石で打ち落としてた」

「途中からは体の狙った部位に当てることに切り替えてたな。あれはなかなか楽しかった。鳥をさばいて調理したりもしたし。」

「随分と器用だな。次の動きや風向きを計算に入れないといけない分見た目よりも難しいだろう。まして部位を狙うなんてなおさらだ。」

「おや?随分詳しいな。もしかして同類か?」

 やはりというか日常生活ではなじみのないことに強い反応を示すあたり家柄は普通じゃないのだろう。

 ____尤も、魔法科高校では普通の家柄を探すほうが難しい。皆何かしらの魔法技能を用いた職業に就いた親を持っているのだから世間一般で見れば普通の家庭なんてまるでいない。

 だからこの時も俺は特に気にすることはせず、ただ軍務関係の家柄なのだろうと解釈した。

「いや、少し馴染みがあってな。」

「そうか。」

 そしてこの話はここで終わった。はずだった。

「ところで何時日。夏になったら___」

「あ!そろそろ時間だな。悪い。俺はこの後用事があるんだそれじゃなみんなまた明日!」

 自分の分の会計を手早く済ませると俺は脱兎として逃げ出した。こういう時電子マネー式は便利だな、と前世の記憶が掘り起こされる。前世の俺は何かと巻き込まれやすい性質だったのだろうか?

 

 雫がいないことを確認して自宅にたどり着くとほっと安堵のため息が出た。思えば自宅に戻るのも数日ぶりだ。

 俺は早々に用事を済ませるべく仮想端末のメールを開いた。

 するとそこには___ズラッと並ぶ同じ差出人からの安否を尋ねるメールがたまっていた。

「これは、そうとうお怒りだな...」

 今から気が重くなりながらも丁寧な謝罪と弁解を並べすぐに送信する。時差の関係で返信は今日の夜中...

そう思っていたらすぐに新着メールの着信音が鳴る。びくっとして恐る恐るメールをのぞいてみると...

『今からそちらに連絡をかけるわ。ちゃんと許可も取ったので。』

 早ええええええ!!!

 怖い!毎度のことながら怖いよこいつ!

 震えながらじりじりと後ずさりをしているとビデオ通話の着信を知らせる音が鳴り響いた。

 俺の手は震えて受信を拒むが3コール内にでなければ余計に怒られるのは目に見えている。

 諦めて通話を取り___USNA(あちら側)の親友に声をかける。

 

「...久しぶり。リーナ」

 

「ハイ、イツカ。しばらく連絡がなかったけれど元気そうで安心したわ」

 たいそうお怒りであった。怒髪天であった。激おこ(死語)であった。

「よしまず話をしよう。話せばわかる。だからそのCADをしまうんだ!」

魔法に物理的距離は関係ない。それでなくとも死亡フラグが立ってるんだこっちは!

「冗談よ。まずは改めて、魔法科高校に入学おめでとう。イツカ。」

「ありがとう。こっちは何人か友達もできたし今のところはうまくいってるよ。」

「ならよかった。ところでイツカ。一つ聞きたいことがあるんだけれど。」

「あ、ああ。どうしたんだ?」

 

「この二日間、どうして連絡くれなかったの?毎日メールするって約束だったでしょう?」

 

 あーーーーーぁうーーーーーーーーん

 

 必死に言い訳を探す。ここで雫の家に泊まったなんて言ったら数少ない親友すらなくしてしまう!

 

「入学のいろいろで忙しかったんだ。それにほら、友達もできたし」

「それってワタシより大事なの?」

 表情はそのかわいい顔をわずかに膨らませて拗ねているだけのように見える。はたから見ればとてもかわいいだけのものだろう。

 だが、その瞳が笑っていなかった。というか笑い事じゃなかった。ハイライト消えてる!ハイライトさん仕事して!

「いやいや!まさかリーナが一番大事だよ本当に!だけどちょーっとやむを得ない事情というか俺としても苦渋の決断で断腸の思いで日夜苦悩を重ねて誠心誠意お詫びの謝罪を致そうと___」

「イツカ」

「はい」

「全部。正直に話して?」

「アッハイ...」

 

 

 ここ2日間の全てを洗いざらい白状させられた俺は椅子の上に正座して小さくなっていた。画面なんて到底見れたものじゃない。

 そこには、魔王がいた。二つにくくった金髪が逆立ち背後霊でもいそうなほどゴゴゴゴゴゴと音を立てている。

「イツカって浮気癖があったのね。知らなかった。」

「いや待ってくれ誤解だ!あの二人とも断じてそういう関係じゃない!誓って本当!」

「でも幼馴染とは昔ごっこ遊びでって」

「遊びは遊び!本気じゃない!」

「この流れで聞くとますます最低に聞こえるわね」

「ああ俺もそう思ってたところだよチクショウ!」

「それじゃあ。」

 リーナは腕組みをして俺に判決を下す裁判官のような重みで告げた。

「今後絶対、あの二人と踏み込んだ中にならないって誓える?」

「.........」

「誓える?」

「いや、ちょっと待ってほしい。そういうのはいささか早計というか」

「ワタシのことが一番大事って言ってたのはうそだったの?」

「それは本当だけど未来は誰にもわからないっていうか万が一のことがあった時のための保険というかね?せっかく花の高校生なんだし一度は青春ってやつを体験したくですね?」

「それで二人もキープするの?両方とも高嶺の花なのに?本当に堕とせるの?」

「厳しい現実を突きつけないでくれえ!!!」

 最低の目論見もリーナの一言で現実に帰らされる。

 俺だってわかってますよ!こんな見た目じゃ彼女なんて一生できやしないことぐらい!寄ってくるのは変わった趣味の連中だけ!でもせめて...高校生生活で一度は彼女が欲し「イツカ?」

 リーナは憐れむような喜ぶような表情で告げた。

「ここは潔くあきらめたほうがいいと思うわよ?それに...」

「それに?」

「っ!イイエ、何でもないわ。それよりもイツカまだお説教は終わってないわよ!」

「ええ...いやそろそろこっちは晩御飯の準備を...」

『ピンポーン』

 玄関のチャイムを鳴らす音がした。

 ドアの向こうの相手を確認するとそこには幼馴染が立っていた。

 ここだけ聞けばラブコメの導入なんだがな!?生憎とこのままだとしゅらばらから俺がバラバラにされる未来しか見えない!

 考えろ考えろ...

「何時日?いないの?」

「イツカ?出なくていいの?」

 考えろ考えろ考えろ!何としても生き抜くために!

 

 そして俺の出した結論は____

 

黄金衝撃(ゴールデンスパーク)!!!」

 

 膨大な電流を流しブレーカーを落とすこと...!

 

「ふう、これで安心...ってうわあ仮想端末が!」

 当然のことながら電子機器から発火しあわや大火災になりかけた。

「急いで危ないところを凍てつかせろ!疾走・精霊眼球(ヴィイ・ヴィイ・ヴィイ)!」

 宝具で弱点を炙り出し瞬く間に凍てつかせることで火災報知機が作動する前に何とか食い止めることができた。

 

「.........」

 

 惨憺たる状況となった自室を後にして俺はにこやかに雫を出迎える。

「悪いな雫。遅くなってそれよりしばらくの間そっちに泊ってもいいか?久しぶりに昔みたいに仲良くしてみないか?」

「...何があったかは聞かないから、必要なものだけまとめて。今お父さんを呼ぶから。」

「...助かる。」

 

 こうしてこれからの一か月ほどを雫の家で過ごすことになり完全に誤解が定着してしまうのであった...

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