魔法科高校の第三魔法使い   作:揖蒜 亜衣

9 / 10

そういえば劣等生のアニメ、10月に延期になってますが間に合うといいんですが...。
あと、雫不在の期間なのがつらい。代わりにリーナが出るので差し引きゼロですが...
薄い本増えろ(別名義でなんか出すかも)


第9話:革命と嘲笑

 弔鐘を鳴らせ。総べては喜劇に、最期に悲劇を。

 

 

 部屋の修繕にはかなりの時間がかかると言われた。幸いにしてデータはクラウド上に保管していたため無事だったがハードがことごとく死んでしまったらしい。まあ、宝具の雷を受ければ当然なのだが。

 そんなわけで俺は再び雫の家に泊まることになった。しかも今度は長期間だ。もはや誤解は避けられまい。ここは潔く切り替えてもっと楽しいことを考えよう。

「それでは、USNAの叔父方にも連絡は済ませたんだね?」

「はい。叔父からはご迷惑をおかけするがよろしくお願いしますと言伝を預かりました。」

「気にすることはないさ。君は私たちの息子のようなものだからね。」

「ありがとうございます。これからしばらくお世話になります。」

 俺は潮さんに頭を下げた。彼は笑ってこれからしばらくの間の生活に必要なものを買いそろえると言ってくれたがそこはさすがに丁重に遠慮した。そこまで面倒を見てもらうわけにはいかない。

「幸い、臨時の端末は用意してあったのでしばらくはそちらを使います。スペックは落ちますが実用には耐えるので。」

「そうかい。では、今日はもうゆっくりと休むといい。色々疲れただろうからね。」

「ありがとうございます。では、おやすみなさい。」

 応接間を後にした俺は部屋の外で待っていた雫と目が合った。風呂上りなのか頬は僅かに蒸気して髪も少し湿っていた。

「どれぐらいかかりそうなの?」

「半月から1か月。」

「じゃあ、当分は一緒だね。」

「...何なら合わせてもいいけど。」

「わかった。じゃあ、部長に伝えておく。」

 幼馴染特有の主語を省いた短い会話で互いの言いたいことがわかる。もともとの俺は雫に似て非常に無口だったが傍を離れて数年間で必要に駆られて話すようになった。

 だがこうして雫の前では特に気を使う必要もないので気を抜いて話せる。それだけでも得難い存在だった。

「結局、負けちゃったんだね。」

「ああ。まさか反則負けなんてな。不甲斐ない。」

「でも、少し、ほっとした。」

「...悪かったよ。」

「ううん。気にしてないよ。何時日なら達也さんとも互角以上だって思ってたから。」

「それは光栄だな、次はぜひ実戦でやりあいたいところだが。」

「ほのかがいるからダメ。」

「えー。」

 まるで昔に戻ったみたいに会話を続ける。それは雫の部屋に場所を移しても続いた。

 その日は夜遅くまで話続け、翌日は危うく寝坊しかけてしまった

 

「...というわけでやむを得ない状況なんだ。部屋が復旧次第すぐに出る予定だし俺は悪くない。」

「そういう問題じゃないでしょう!?男女が一つ屋根の下で当面寝泊まりだなんて...!」

「何を想像したか知らないけどあの無駄に広い家でわざわざ同じ部屋で寝るわけないだろ。それよりも兄弟でアレな達也たちのほうがよっぽどやばい。」

 放課後、真由美ねえに呼び出され生徒会室に入ると猛然と詰問された。こちらとしても苦渋の決断のため納得いかない。

 そのままいつも通りのらりくらりとかわし続けていると、突如音割れした爆音が部屋に響き渡った。

 

 

「全校生徒の皆さん!僕たちは学内の差別撤廃を目指す有志同盟です!」

 

 

「なかなか愉快な人たちみたいだけど、真由美ねえは何か知ってる?」

「いいえ。今から先生方のところへ行ってくるわ!」

「じゃあ俺は現場に行ってくるよ。数はわからないけど妨害がないとも限らないしな。」

「そうね...。何時日くんお願い。私もすぐに向かうわ。」

 退屈しのぎにはなりそうな火種を見つけて俺は久しぶりに気分が良かった。場合によってはガソリンを投下してもいいと思えるぐらいには。

 

現場に着くとすでに達也たちが到着していた。

「鍵を持って立て籠もりね...。随分と荒っぽいことで。強行突破する?」

 ガンドの照準を途に向けると達也がそれを制した。

「いや、俺が直接話をつけます。」

「できるのか?」

「中にいる生徒の一人の連絡先があります。」

「と、言うとあの放送をしていた女子生徒の?意外と抜け目ないのな。」

 俺が茶化すと予想どおり司波さんが反応を示した。

「お兄様?後で詳しく聞かせてもらえますか?」

 俺はざまあみろと笑いをこらえ扉から照準を外した。

 

 そのあとは達也の謀略通り、のこのこと釣られた生徒たちを風紀委員が制圧していった。

 騙しただの騙されただのわめく先輩を心の内で嘲笑しながら俺は彼女ににこやかに声をかけた。

「ところで壬生先輩。少しお話があるのですが。」

「何かしら。あなたは...風紀委員ではないようだけど。」

「俺は会長の付き添いの幾年何時日です。先輩と同じ二科生です。」

「そう。それで、話って何かしら?」

 

 この退屈な日常に飽き飽きしていた俺は、壬生紗耶香という火種にガソリンを注ぐことにした。

 

「先輩たちの考えに興味を持ちました。ぜひ、協力させていただきたいのですが。」

 

「何時日くん!?」

「悪い、真由美ねえ。俺は今回こっち側だから。」

 ___まあ、死にはしないよ。

「よろしくお願いします。幾年くん。私はこれから協議に行くけれど...」

「もちろん俺も出席しますよ。協力者ですからね。」

 絶句する真由美ねえから視線を外し壬生先輩と握手をする。

 その視線はどこか空虚で、どこかをまっすぐに見つめていた。

 

 だからこそ。

 

 彼女はどこまでも愉快な喜劇になるのだ。

 

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