藤丸立香はふと、彼、ロマ二・アーキマンの言葉を思い出す。

ロマぐだ♀風味
終章後、新宿前あたりの時系列です
終章バレ注意

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終章後の世界観です、
終章ネタバレ注意


Dear Doctor Romantic

少し湾曲した白い壁。窓枠に腰かけながら猛吹雪の空を眺める。

数か月と少しの前彼女と見上げた晴天の空の面影はとうに失せ

数か月と少し前まで半年間彼と、彼らと見続けた空虚な暗闇は、

この数か月の間の様々な出来事があろうとも、薄れることはなかった。

きっと、死ぬまであの暗闇を夢に見るのだろう。

 

そんなことを思っていると、足元から

白いリスのような小動物がすり寄って来る。

 

「フォウくん。どうしたの?」

 

てしてしと、かわいらしい右足で叩かれる。

そうやってフォウ君と遊んでいると、壁の向こうから

可愛い後輩がやってくる

 

「フォウさん。どこへ行ったんですか?

あっ、先輩。フォウさんも、何をされているんですか?」

「何もしていないよ。なんとなく空を眺めていたんだ。」

 

肩をすくめながら返事を返す。

 

「なるほど。では、お隣失礼しますね。」

 

マシュが、肩と肩が触れ合うほどの距離に座る。

外の冷気が入り込むことはないが、機械や魔術礼装の保全のために、

カルデア内は室温が低く設定されている。

ほとんど大丈夫とは言え、多少は肌寒く感じていた。

そんな頃合いで、マシュの体温は心地良いものだった。

その体温に影響されてか、思考が散漫になる。

 

またどこかで微小な特異点が発見されるのだろうか。

日本はもうじき春だろうか。そろそろ過ごしやすい気温になっただろう。

そうなったらマシュを連れてお花見にでもいこうか。

せっかくだしお団子を買っていこう。

とそこまで思考をとばしたところで、ふと(ロマ二)の発言を思い出す。

なぜ今なのか。

きっと、彼と共にいきたかったという思いが、思い出させたのだろう。

 

時計を見て時刻を確認する。

そろそろお昼時。

マシュと共にお昼を食べて、そのあとに彼の部屋に行こう。

 

「マシュ?そろそろお昼にしようか。」

 

マシュが時計を見てから、返事をくれる。

同意が得られたところで、マシュと並んで食堂へ向かう。

 

道中様々なサーヴァントとすれ違う。

もう人理修復は終了したのにも関わらず、

「マスターのことが心配」「この世を満喫したい」「コミケいきたいでござる」etc...

等様々な理由をつけてカルデアにとどまってくれている。

何人か私欲でとどまっているサーヴァントもいるけれど、誰もが共に半年を駆けた戦友である。

 

もちろん職員の方々ともすれ違う。

サーヴァントもそうだが、彼ら無くして人理修復は成されなかっただろう。

彼らがいなかったら私は向こう(レイシフト先)で存在を保つことはできないのだから。

 

すれ違ったサーヴァントや職員たちに挨拶しながら歩くこと数分。

人通りの少ない外縁部とは違い、内縁部には人が多い。

先ほどまでの静けさとは異なり、こちら側はがやがやと騒がしい。

食堂につくまでに並び歩くサーヴァントがどんどん増えていく。

ジャックにナーサリーにバニヤン。某黒髭曰く幼女系サーヴァント達を筆頭に

色々なサーヴァントが周りに集う。

一緒にお昼を食べることはもう確定だろう。

 

食堂に足を踏み入れると、タマモキャットが真っ先に声をかけてくる

 

「ご主人。今日のお昼は何にする?

おすすめはキャット特製のオムライスなのだがな?」

「私はそれで。」

「了解したワン。他はならんで注文するワン。」

 

それだけ言い残すとキャットは厨房に引っ込んでいく。

あの様子だと、持ってきてくれるだろう。

マシュを含めた皆が食堂の注文列に並んだのを見ながら

席の確保を始める。

 

数分後、料理の準備が終わったのか、予想通りタマモキャットが運んできてくれる。

 

「ありがとう。キャット。」

「どういたしましてなのだワン。おいしくいただくがよいぞ。」

 

そこから1分も経たないうちに、みんなも席につく。

 

「いただきます」

「「「いただきます」」」

 

わいわいがやがやと多少騒がしい状況が続くが、それも一人、また一人と完食して席を立ち、静まって来る。

 

「ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでした。おいしかったですね。先輩。」

「おいしかったね。マシュ。」

 

完食し、マシュと共に食器を返却する。

その返却口でキャットに話しかけられる

 

「どうだったかな?キャット特製オムライスの味は」

「とてもおいしかったよ。」

「なら良かったのだな。夕食も腕によりをかけてつくるから、期待するといいワン。」

「うん。わかった。」

 

食堂を後にし、多少邪魔にならないところに移動してからマシュの予定を聞く

 

「今日はこれから、ケイローン先生に学問を教えてもらう予定です。先輩はこれからどうなされるんですか?」

「レポートの清書かな。そろそろ第六特異点の分が終わりそうなんだ。」

「わかりました。レポート頑張ってくださいね!」

「マシュも勉強頑張ってね」

 

マシュには悪いが、多少うそをついた。レポートが終わりそうなのは本当だが、今日は手を付けない予定だ。

ああ、彼の何気ない発言を思い出したのはレポートを書いているからかもしれない。

そう、酷く感傷的になってしまう。

彼の部屋に足を運ぶ。内縁部でも特に人通りが少ない彼の部屋。

完全に0ではないが、こちらの方には倉庫が多いのもまた一因だろう。

 

さて、彼の部屋の前にたどり着いた。

意味もなく深呼吸をする。

いや意味はある。緊張をほぐすためだ。

 

通いなれた筈の部屋に入るのに緊張するのはおかしいなぁ。

足を一歩踏み出す。自動ドアが開き、部屋の中に入る。

完全に足を踏み入れたところで自動ドアが閉まる。

 

部屋は外からの明かりが入らない暗闇になった。

手探りで部屋の明かりをつける。

 

部屋に埃は積もっておらず、定期的に誰かが掃除していることがわかる。

正面の壁にはドクターが愛用していた白衣がかかっている。

 

不思議と視界がぼやけてきた。

ベットに腰かける。

腰かけた正面には愛用していたPCが鎮座しており、

使用者のいないそれは物言わぬ骸のようだと、そう、思ってしまった。

 

虚空に声をかける。返事はないとわかっているが、それでも、声を出さずにはいられなかった。

きっと、一切の音がないこの部屋を直視するのが、自分以外に声を、音を出すことがないもの

で満ちているこの部屋が、怖いのだ。

 

 

「ねえ、ロマン、約束通り、部屋に来たよ。」

 

声が震える。ここで泣いてはいけない。

だって、まだ最後まで言っていないから。

 

「だから、ほら、いつものように、」

 

うつむいてしまう、声が震えてしまう。

涙がこぼれ落ちる。

 

「「立香ちゃん、おいしいお菓子があるぞう」って、言ってよ・・・。」

 

下手な声真似に思わず笑いがこぼれるが、それもすぐに涙で押し流される。

 

 

 

 

(ああ、ドクターロマンティック。貴方に会えて・・・本当に良かった)

 

 

 

 

 

頬を撫でられる感覚で意識が浮上する。

 

「あれ・・・?ロマン?」

「おはようございます。先輩、残念ながら貴女の後輩のマシュです。」

 

ベットに腰かけ、膝枕をしてくれていたのは、マシュであった

ああ、なぜか、彼女がロマンに重なってしまう。

 

「もう夕方ですが、レポートは大丈夫でしょうか?」

「レポートはもう終盤だから大丈夫だよ。マシュもありがとう」

 

そう言って体を起こすと何かが体から落ちる

それは壁にかかっていたはずのロマンの白衣だった。

 

「あれ、これ、マシュが?」

「私が来た時にはすでにかかっていました。

先輩が自分で掛けたのだとおもいそのままにしていましたが、違ったのですか?」

 

この様子をみるにかけたのはマシュではないようだ。

 

「ダウィンチちゃんかな、聞いてみるね。」

「ご一緒します、先輩。」

 

伸びをして、しわにならないように白衣を壁にかけなおし、

管制室に顔を出す。

予想通りダウィンチちゃんがいる。

 

「ダウィンチちゃん!ちょっと聞きたいことが」

「なんだい?立香ちゃん。第六特異点の記録が欲しいのかい?」

「そ・・・れはぜひとも欲しいけど、聞きたいことが。」

「おや?違うのかい?じゃあなにかな?」

 

ちょっとだけ深呼吸

 

「ダウィンチちゃん、私がお昼寝しているところに来た?」

「いいや。行っていないとも。今日は一日ここに缶詰さ。」

 

どうやら本当のようだ。

 

「それにしても急にどうしたんだい?なにかあったの?」

 

実は・・・。と訳を話す。

 

じゃあさ、とダウィンチちゃんが言う

 

「それはきっとロマ二の仕業だよ。だって、そっちのほうがロマンがあるだろう?」

 

 

 




先日の第六特異点のミュージカル生放送(録画)のタイムシフトを見た衝動で書き上げたものです。


出来れば、感想、評価よろしくお願いします。

あと、最後に一つ。
一か所だけ、文字を透明にしている箇所があります。
きっとすぐに見つかるでしょうが、念のためってやつです。

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