SeeDは何故と問うなかれ。しかし候補生は問わず語る。   作:ボブ鈴木

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多分、投稿サイトではなかなか珍しいFF8原作SSです。
拙い所は多々有りますが、珍妙な物を見る物珍しい気分で読んでいただければ幸いです。


第一話 候補生と女性教師

SeeD養成学校、バラムガーデン。

世界地図で見た丁度真ん中に位置する島国、バラムに設立された傭兵を育てる学校だ。

知らずに聞けば、たかが傭兵と思われるかもしれない。だがSeeDだけは別格なのだ。

 

『ガーディアン・フォース』

エスタ共和国が世界に誇る天才科学者、オダイン博士の発見した"意思を持つエネルギー体"をそう呼ぶ。

G.F.は己の認めた人間に対して力を貸し与え、その肉体を媒介にして様々な特殊能力を発揮する事が出来る。

古代に失伝されたとされる魔法の行使、肉体の強化、G.F.その物の実体化―――その他、G.F.固有の物も含めれば非常に多岐にわたる。

そんな極めて戦闘に特化した技術は"G.F.システム"と称され、世界の軍に革命的な進化をもたらした。

とはいえ、G.F.にも欠点は有る。その力を得る為に、高い戦闘能力をもつG.F.に戦って勝利しなければならないのはその筆頭とも言えよう。

それに加え技術の習得自体の難しさ。近年では過度の使用によって記憶障害が起こるとの指摘もあり、各国のG.F.研究は年々縮小傾向にある。

 

現状バラムガーデンとは世界で唯一、G.F.システムを専門的に学べる学校だということなのだ。

G.F.を駆使するSeeDの強さたるや、一個小隊で戦場のバランスを崩壊させるとまで言われる程である。

諸外国はSeeDの助力を得る為に湯水の様に金を使い、その教えを学ぼうと世界中から生徒が集まってくる。

漁業と交易で細々と暮らしていた小国バラムが、今や世界有数の富裕国家なのだから、その経済効果の凄まじさも分かるというものだろう。

 

エリート中のエリートと言えるSeeDになれるのは、ガーデンの中でも本当にひと握りの人物だけだ。

しかしSeeDを目指す中で培った経験は、ガーデンを離れた後になっても非常に価値にある物として重宝される。

軍、警備会社、武術講師やスポーツ関係……ガーデン卒業生はとにかく引く手あまたなのだ。

そんな輝かしい将来を夢見て、今日もガーデンは勉学に励む生徒で賑わう。

これはそんな数ある中にあって少しだけ変わった、SeeDになるための道半ばにある少年の話しである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バラムガーデンの談話室。主に教師と生徒の個人的な相談に使われる部屋だ。

その談話室で一人の教師と、一人の男子生徒が対面して座る。

弱冠18歳にして教職にある才女、キスティス・トゥリープ。そして17歳でSeeD候補生になった期待の生徒、ビリー・パーカーだ。

 

「ねえ、ビリー。最初に聞いておくけど貴方、呼ばれた理由は分かってる?」

「いえ、あんまり。進路相談か何かかと思って来たんですけど」

 

その美貌と才覚から校内にファンクラブまであるキスティスは、その秀麗な容姿に憂いげな表情を見せた。

大抵の男子生徒はキスティスの前となると緊張で固くなるのだが、ビリーは何処吹く風と平然な様子を見せる。

キスティスは自分が受け持つ生徒の中で、変わり者ランキングのナンバー3に君臨する少年を見た。

そこまで高くない身長と線の細い面立ちに、色素の薄い白みがかった金髪。人に何処か中性的なイメージを与える少年だ。

 

「それもあるわ。けど、差し当たっての問題は次のSeeD試験の事ね。貴方、かなりヤバいわよ」

「え、ええ!? 筆記は受かってますよ? 指定G.F.の取得も先週に終わらせますし、特に問題ないと思うんですが」

「そうね、流石は学年主席クン。筆記は満点、担任の私も鼻が高いわ。でも、ねえ……」

 

慌てるビリーに、キスティスは手元のファイルに目を落とした。

学年で"筆記に関しては"主席である彼の成績に関する詳細の載ったそれをキスティスは目で追った。

 

ビリー・パーカー SeeD候補生

ファイガクラス・マスター、サンダガクラス・マスター、ブリザガクラス・マスター。

剣闘術クラス免許皆伝、筆記試験判定S……まあ、ここまでは良い。模範的な候補生の見本みたいな物だ。

 

バトル試験判定B。

習得G.F. 下位炎属性G.F.イフリート――――以上。

 

備考

素行に些か問題有り。

ガーデン未確認のG.F.を意図して所持している嫌疑有り。

重大な校則違反に抵触する可能性の在る生徒である事に留意されたし。

 

「ぶっちゃけ、貴方ギリギリよ? 次の実地試験、よっぽどいい結果でない限り落とされるわ」

「ああ、何だ。そんな事ですか、てっきり実地に行けないって話しかと思いましたよ」

「そんな事って、貴方ね……」

 

ほっとした様子で、全候補生の目標である最終試験をそんな事扱いするビリー。

思わずキスティスは頭痛を感じて眉間に手を当てる。彼が最大の問題児二人に次ぐ厄介者である所以がこれだ。

彼はSeeD候補生にありながら、SeeDになる事を重要視していない。

それを隠そうともしない態度から、多くの教員に煙たがられている。

 

「ビリー、あのね。言っておくけど、貴方がたまにやらかす馬鹿がなければ今でも十分合格ラインなのよ? ホントにあと少しでSeeDになれるんだから、もう少しだけ真面目にやろうって気にはなれないのかしら」

「僕は今でも十分真面目ですよ。でなきゃ、あのスコールを抑えて筆記でトップになんてなれる訳ないでしょう」

「そりゃあそうでしょうけど……本気でSeeDにならないつもり?」

「何も候補生の進路がSeeDだけって事はない筈です。実際、大多数の卒業生はSeeD以外の道に進んでるんですから」

 

ビリーの言っている事はある意味では正論だ。

SeeDが狭き門であるのは言うまでもないが、そのSeeDにしても任期を過ぎれば卒業生として学園を出る事になるのだから。

過酷なSeeDの仕事で無事に任期満了出来る人材であれば、大抵はガーデン関係の職を斡旋されるのだが……

何にしたって目先に最高の結果があるのに、それを早々に諦める理由にはならないとキスティスは思うのだ。

 

「一応参考までに聞くけれど、ビリーは卒業後はどうするつもりでいるのかしら」

「ガルバディア陸軍に外国人向けの教導部隊があるんです。そこに志願する予定でいます」

「ガ、ガルバディア軍? そりゃあ、貴方の成績なら向こうも諸手を挙げて歓迎するでしょうけど……」

 

何でまた……とキスティスは困惑せずにはいられない。

世界最大の軍事大国、ガルバディア。国軍の規模と強さなら確かに世界随一だが、質で考えると微妙な所だ。

ガルバディア軍の強さを支えるのは先進国故の技術力と、国土差に物を言わせた物量作戦だ。

兵士の練度はお世辞にも高いとは言えず、軍官僚的な体勢が蔓延し、組織としては腐敗していると思って間違いはない。

加えて、現大統領の独裁的な政治思想は他国にまで知れ渡っている。とにかく何かとキナ臭い国なのだ。

 

「他に働き口なんて幾らでもあるのに、態々軍に入るの? 出世して選挙の出馬でも狙う気じゃないでしょうね」

「別にガルバディア国籍を取るつもりは無いですよ。兵役期間中に教導官の資格を取って、ガルバディアガーデンに教師の面接を受けてみようかと」

「さらっと凄いこと言ってるわね……でも、将来的に見れば確かにそれが安定かしら」

 

ガーデンは独自の軍事力を持ちながら、国際的に中立な立場である事を世界に表明している。

とはいえ、それは理念の話だ。ガーデンも人が営み、国の土地を間借りしている以上、ある程度はその影響を受ける。

そんな理由もあってガルバディアガーデンでは、資格持ちのガルバディア教導隊出身というステータスは非常に強く働く。

恐らくは願書を送った次点でほぼ採用。そこでガーデン教師という経歴を得れば、次は世界の何処にいっても通用するだろう。

 

「でも、何でガルバディアなのよ。貴方の考える事は本当によく分からないわ」

「それが一番手っ取り早いからですよ……そんな話より、せっかくですから今の内に何時ものアレ、チェックお願いしますよ」

 

そう言ってビリーは自分の鞄をガサゴソと漁り出す。

取り出した封筒をテーブルの上で逆さまに引っくり返すと、中からはバサバサと何枚もの紙が散らばっていった。

 

 

 

 

 

僕の名前はビリー・パーカー。

歳は十七。SeeD候補生として、そこそこ優秀な部類として上から数えた方が早い位置にはいる。

まあSeeD候補生なんて言っても親のスネ齧って通ってる奴が大半なんだから、本気でやれば平均より上に行く位は訳ない。

学生だから当然なんだけどね。極稀に、聞いてぎょっとする様なハードな過去送ってる奴も居るけど。

戦災児とか孤児とか、こんな学校だから意外と居るんだよね。斯く言う僕も、普通より少しだけ変わってはいるんだけど。

 

―――唐突だけど、前世の記憶って信じるかい? 所謂オカルト雑誌が取り上げるスピリチュアル的なアレ。

それが僕には在る。それも此処とは別の世界での……いや、何を馬鹿な話って自分でも思うんだけどさ。

前世の僕は、このガーデンの事を"テレビゲームの物語に登場するフィクションの存在"と認識していた。

その時の僕は、ファイナルファンタジーⅧというゲームのプレイヤーであり、この世界の事を非常によく理解していた。

 

武器や魔法の特性や、世界各地のモンスターの強さと弱点、G.F.システムの複雑さと重要性。

そして、より効率的なジャンクション。これらの知識が僕の優秀さの一旦を担っているのは間違いない。

それに加えて、各国の情勢や政治なんかの裏事情……とはいえ、憶えているのはここまでなんだよな……

 

僕にはガーデンに通う以前の記憶が無い。

恐らくは知識の中にある、G.F.の人の記憶を奪う特性。それにやられたのだろう。

何せバラムガーデンに籍を置く以上、G.F.との縁は切っても切れない物だしねえ。

前世の記憶も知識以外は全滅。前の人生での自分の名前や、何をしていたのかも憶えていないのだから困った物だ。

未来で何が起こるのか、誰がゲームの主人公だったのか。そんなのまでサッパリ失われてしまっている。

そんな物があったとしても、生きていく上では邪魔にしかならない気がするから別に良いんだけど。

 

何より記憶が無い自分自身に、可笑しなくらいに違和感が無い。

まるで初めからそうだった様に綺麗さっぱり真っ白で、モヤモヤした物がまるで沸かないのだ。

G.F.の特性に関する知識がなければ、自分が記憶喪失だって事にも気が付かなかった筈だ。

 

 

 

 

 

とまあ、自分語りはここまでにしておいて。今はキスティス先生への用事を済ませてしまおう。

二人にならないと中々言い出しにくい話題だからね。

僕は封筒から取り出した紙―――写真の束を整え、彼女へと手渡す。

 

「キスティス・トゥリープ・ファンクラブで、今月の会報に使う分の写真です。検問して下さい」

「また何時にも増して多いわねえ……やだ、こんなの何時撮らせたっけ」

 

若くして教鞭を振るうキスティス先生。しかも見た目麗しく人当たりも良い。

これでSeeDの資格もあるんだから、傍から見れば完璧超人だ。当然ファンも相当多い。

何時しかそんな有志たちが集り、彼女への尊敬を競い合う様に発展していったのが例のファンクラブである。

ちなみに僕も会員だ。No.111、ゾロ目である。記念に会報のバックナンバー全部貰っちゃったよ。

 

「"セクシーポーズで悩殺するトゥリープ様"ですね。今月の表紙にするって言ってましたけど」

「却下よ却下。こんなの職員にバレたら、晒し者の上に謹慎か何かになるわよ」

「じゃあこの、寡黙なクラス一の美形に流し目を送るトゥリープ様は?」

「うわ、スコールまでバッチリ写っちゃってるし……ていうか横目になってるだけじゃないの」

「ちなみに本誌ではスコールに目線が入るので、闇討ちの危険はありません。安全です」

「何一つ安全じゃないわよ。却下」

 

残念だ。しかしスコールの奴、写真写り良すぎ。腹が立つくらいに格好良い。

僕は線が細くて童顔だから、ああいう頼りがいのある逞しさとは程遠いんだよねえ……今の容姿が嫌いな訳じゃないけど。

まあ、友人が背後を狙われるのを回避されたのに素直に喜んでおこう。

これでキスティス先生にOK出されたら、僕が根回ししなきゃいけなかったし。めんどくせぇ。

 

「これと、これと……これも良しとしましょう。あら、これは……」

「あ、それは僕が編集担当に捩じ込む予定のヤツです。構いませんよね?」

「いや、構いませんよねって……これ、ヤバくない?」

 

その写真は、先生が金髪オールバックのガラの悪い男に絡まれて若干圧されてる姿だ。

その男こそがサイファー・アルマシー。SeeD候補生最強の男にして最大の問題児である。

何を隠そう、僕は奴に恨みがあるのだ。ここで少し借りを返してやろうと画策しているのである。

 

「あのメリケンヤクザ、この前のバトル試験で僕の事ボコボコにしてくれましたからね。あいつの悪評に一つ色を付けてやろうかと」

「せせこましいわねえ。ところで、メリケンヤクザって何?」

「造語です。先生は知らなくて良い類の」

 

SeeD本試験を間近にしたバトル試験は、候補生同士の総当り戦でその評価が割り振られたのだ。

僕もまあ、それなりには自信があった。既に正SeeDより強いんじゃないかって噂のスコールとサイファーみたいな規格外の化物はともかく、ギリギリSに届いてなかったゼル・ディン辺りならいい勝負になると楽観的に考えていた。

それが悪かったのか……なんと、二回戦であのクソったれなチンピラと当たってしまったのだ。

 

僕としては勝てない相手に全力で挑んで、後の試合の響かせたくなかったのだが……

適度に流して負けてしまおうと考えた僕に、何を思ったかサイファーは端から全力全開で挑んでくる始末。

結果、判定役の職員が止めに入るまでの間、僕はサイファーのガンブレードで滅多切りにされたのである。

試合後に担架で医務室まで運ばれるハメになるし、後の試合は棄権扱いとで散々だ。

奴のお陰で今では、僕のバトル判定はB。SeeDになれなかった時のための第二プランまで実行に移す事に。

まあ良いんだけどね。そこまでしてSeeDになりたかったって訳でもないし。

 

「まあ、一応OKしときましょうか。彼が今さらその程度を気にするタマとは思えないし、ビリーにはお世話になってるから」

「ホントですよ。僕が見張ってなきゃ、今のファンクラブの会報がどんな有様だったかは想像もしたくないですからね」

 

キスティス先生は美人で優しいし、僕も尊敬はしている。

けど、彼女を崇拝している連中に混じってファン活動をする程かと聞かれれば反応に困る所だ。

僕が例のファンクラブに入るきっかけになったのは、他でもないキスティス先生からの相談を受けた時の事だ。

最近、自分のファンを自称する生徒の動きが怪しいので、それとなく様子を探ってくれないか。

……安請け合いした僕も迂闊だったんだけど、先生もそんな事を生徒に頼まないで欲しい。

 

「僕が入った当時なんて、先生の湯上り写真集とか普通に在りましたからね。しかも全部盗撮の」

「あの頃は、何時も後ろを見れば誰かが居たのよね。本当に、本当に助かってるわ、ビリー……」

 

遠い目をして空中を眺める先生。心中お察しします。

当時のファンクラブは先生への行き過ぎた好意のせいで、ストーカー一歩手前の生徒が続出していたのだ。

このままでは相当不味い不祥事に発展すると危惧した僕は、極めて迅速かつ性急に行動を起こした。

ファンクラブ内の良識有る生徒に呼びかけ、先生のプライバシーを尊守するように働きかけたのだ。

結果として、ファンクラブ内の秩序は辛うじて許容範囲内を保っている。

いや、本当によくやったよ僕。人生で一番疲れた期間だったよ、あの時期は……

 

 

 

 

 

 

 

写真の確認をしてもらって、一息付いた時だ。

ふいに、キスティス先生が思い出したように切り出してきた。

 

「もう一度だけ聞いておくけど、ビリーはSeeDになれなくて本当に良いの?」

「そりゃあ、なれるに越したことは無いですけど。現状だとかなり厳しいですし」

 

SeeDの肩書きはかなり大きい。何せ、世界最高水準の兵士である証明なのだから。

とはいえ、僕としては安定した将来が約束されるのなら結局は何処でも良いのだ。

戦うしか能がないのはアレだけど、それも特技かと今では割り切ってはいるし。

 

「何なら、今からガンブレードの専門講習でも受けてみる? あの武器は学園長が推してるから、評価に結構色を付けて貰えると思うわよ」

「冗談止めて下さい。今から実地に間に合う訳ないし、大体あの講習って整備メインで実用部分は皆無じゃないですか」

「身近に達人クラスが二人もいるんだから、貴方ならなんとかなるでしょう?」

「なりません、しません」

 

ガンブレードは数十年前からある武器だが、それを扱う技術は既に衰退しきってしまっている。

剣に銃の機構を取り込み、専用の薬莢を使う事で斬撃の威力を数倍に跳ね上げるという、何ともイカれた思想の兵器だ。

その扱いづらさから、近代のネタ兵器として真っ先に挙げられるロマン武装。それがガンブレードである。

なんで剣に火薬を使う必要が有るんだ。普通に銃剣で良いじゃないか。

 

「あの二人は別格でしょうに。我流で一流派立ち上げられるレベルとか頭おかしいですよ。あれだけで食っていけるじゃないですか」

「そうねえ。でも仮に門下生を募っても、よっぽどの趣味人でなきゃ習わないでしょうから結局食いっぱぐれそうよね」

「学園長も何であんな欠陥兵器の推奨なんかしてるんでしょうね……」

 

そもそも歩兵の近接武器で、対機動兵器レベルの威力を持たせようってのが異常としか思えない。

一応ガンブレードには使用者への衝撃をカットする機構も取り付けられているが、そんなのは気休めだ。

トリガーを引くタイミング、斬撃の角度、衝撃を逃がす技術……既存の剣術がまるで応用出来ない、別次元の存在だ。

俄仕込みで使えば怪我をするだけだろう。一度あの武器で、両肩の関節を吹っ飛ばしている僕が言うんだから間違いない。

スコールもサイファーも、何であんな微妙極まる武器に固執するのか理解に苦しむ。

あいつら、まともな武器使ってたら正SeeDより絶対強いよ。冗談抜きで。

 

「でも、ビリーだってこのガーデンには愛着が在るでしょう? SeeDになれば、私みたいにここで教える事が出来るのよ」

「それも考えたんですけどね。けど、SeeDになったら教師は無理かなって思うんですよ」

「どうして?」

 

疑問を浮かべるキスティス先生に、僕は一瞬だけ言い淀む。

確かにバラムガーデンは好きだし、エリート中のエリートの道を進めるだろう。

問題は此処にいる教員だ。全員じゃない、一部の……あの黄色い笠を被った連中だ。

 

「キスティス先生を見てると、窮屈そうだなって。先生だって理事長派の教員は好きじゃないでしょう?」

「……私としては何も言えないわ。何処の職場だって全部が全部、上手く行きっこなんてないもの」

「それが言える先生はお世辞じゃなくて、本当に凄いと思います」

 

理事長派を主張する教員は、ガーデン教員の実に半数を占める。

彼らは何より数字上の結果を重んじ、SeeDを学園経営のための資金源……商品と考えている。

その価値観を未だ子供の生徒たちへと押し付け、学園のための道具となれと当たり前の顔で言うのだ。

規律を定めるのは学園の秩序を保つ上での義務でも、彼らのそれは自分たちの都合の良い部分が多々目に付く。

 

「僕は、あの人たちが嫌いです。大人のエゴで、子供を言いなりにしようとするんですから」

「私たちはSeeDよ。武器を持って戦争をしに行く立場なの。子供だからは、言い訳にならないわ」

「だったら、初めから学校なんかにしなければ良いんですよ。子供だけを集めているのは学園の方なんですから」

「……本当に変わってるわね、貴方」

「でしょうね。よく言われます」

 

そう言うと、先生はクスクスと可笑しそうに笑った。

僕はまあ、同年代よりは幾分か達観しているだろう。何せ前世なんて妙な物がある。

とはいえ前世でも二十と少しくらいしか生きてなかった気がするから、今の年齢に毛が生えた程度だろうけど。

それに幾ら不満を垂れた所で、僕が学園のお世話になってるのは事実な訳で。

手に職を付けさせてくれるのは本当に有難いし。先立つ物がないってのは本気で辛いよなあ……

 

「いいわ。貴方の決意が固いのなら、私もとやかく言うのは止めましょう。けど、頼んでおいた例のレポートは必ず提出してね?」

「アレの、ですか……使ってる僕が言うのもなんですけど、今のG.F.システムとは相性悪いですよ?」

「何言ってるの。あんな効率的な技術、初めて見たわよ。来年度からは伸び悩んだ生徒に教える予定なんだから、絶対に忘れないでよ。ちゃんと成績には加算してあげるから」

「分かりましたよ。アレのレポートとか、もう論文並の量になるじゃないですか、まったく……」

 

今さら内申点なんか欲しくないんだけどね……まあ、キスティス先生のためと思って諦めよう。

ここだけの話、先生だから大目に見て貰ってる所も多々ある訳で。正直、頭が上がらないのだ。

まあ、それだけこの先生が僕を買ってくれてるんだから、悪い気はしないんだよなあ。

そんなこんなで、先生との面談はお開きになったのだった。

 




お初にお目にかかります、ボブ鈴木です。
何を思ったかのFF8。中学時代に狂った様にプレイしてました。
SSを書くに当たって設定を調べ直したのですが、想像以上にざっくばらんな感じ驚いています。
それもあって、目に見えない設定を考察するのは中々楽しいですね。

実は、以前に投稿しやハリポタSSをこっそり消したのは内緒の話で……
どうもあっちはしっくりこなかったので、今度こそはキチンと執筆したい……
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