アカメが斬る!〜闇のキバが裁きを下す〜   作:マスティ魔

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第11話 資格者の条件

 首斬りザンクとの攻防から数日の月日が流れた朝のこと。

ハドーは修練場でブラートと剣を交えていた。本来ならブラートはインクルシオの槍ノインテーターがあるのだが鎧が解けた時でもインクルシオの鍵である剣で戦える様にしている。そのためブラートとハドーは互いに木刀を持ち鍛錬している。ブラートとハドーは同時に土を蹴り凄まじい速さで駆け出す。そして、ブラートは豪腕による上段から両手で持った木刀を振り下ろしに対し、ハドーは木刀を横へ構えで防御する。筋力ではまだまだブラートの方が上回っているため、木刀から伝わる衝撃にハドーは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべてしまう。振り下された衝撃が身体を伝って地面に伝わり、その場が足の形にメコッと凹んでしまう。しかし、ハドーはなんとか木刀を振り上げ鍔迫り合いへと持ち込んだ状態のまま鋭い蹴り上げを放つ。そして、対するブラートも鍔迫り合いの状態のまま蹴り上げを出すことに慌てることなく、バックステップで躱す。蹴りを躱されたことで自由となったハドーは、後退するブラートへ追撃とばかりに連続刺突を繰り出す。

 

「以前よりも鋭いなッ!」

「まだまだお前には追いつけていない!」

 

 ナイトレイドへ加入してからアカメやブラートたちと修練を積み、バリアズを含んだ数々の強敵によりレベルアップしたハドーの刺突はより鋭さと速さが増していたことでブラートの剣速と互角といえるレベルにまで上がっている。しかし、ブラートは繰り出される刺突の雨を総て同等の剣速による剣戟で防ぎきってみせた。

 

「ック!」

 

 中々決定打を出せないことに悔しげの表情を浮かべるが、焦りや感情の変動は動きの遅れにも繋がるためすぐ感情の波を鎮め冷静になるとブラートから一旦距離を置く。明らかに感情の切り替えの速さが増していたことにブラートは密かに喜びを感じながら、挑発的な笑みをハドーへ送る。ブラートの挑発を受ける形でハドーは深く腰を落とし、木刀の切っ先をブラートの心臓へ狙いを定め、その峰に軽く左手を添えた構えをとる。

 

「(!さっきよりも気迫が鋭くなった)」

 

木刀を両手で握り締め上段の構えを取り、互いに戦意を高ぶらせる。そして、2人が同時に踏み出そうとした所で第三者の声が2人の耳に入る。

 

「2人ともボスがこれからタツミにザンクから奪った帝具が適合するかどうか試すみたいだから呼んでいるぞ」

 

 声のする方向を見ると2人分のタオルを持ったアカメがいた。アカメの制止でブラートと共に修練をやめ、彼女から貰ったタオルで汗を拭き3人で会議室へ向かう。会議室の道中へ向かう途中でリーゼントを整えながらブラートが思い出したように声を上げる。

 

「そういえば今日のタツミの教育係はシェーレだったな?」

「合っているぞ」

「今日のシェーレは張り切っていたしな」

 

 仕事以外でのシェーレの姿を脳裏に浮かべたハドーは割と失礼な発言をする。

 

「シェーレで大丈夫か?」

「問題ないだろう。シェーレは家事全般は出来ないが、戦闘はずば抜けているしな」

「肉を焦がすのは本当にダメだがな」

 

 どうやらアカメは割とシェーレが肉をマル焦げにしたことを根に持っているようだ。そんなことを密かに呆れながらたわいもない会話をはずみながら会議室へ向かう。

 

 

 

 

 

 

♦♦♫♦・*:..。♦♫♦・*:..。♦♫♦♦

 

 

 

 アカメ、ブラート、ハドーが会議室へ入ると既に他のメンバーが集まっていた。メンバーが揃ったことを確認したナジェンダはタツミにザンクの帝具スペクテッドを差し出す。

 

 

「全員揃ったな……ではタツミ、お前の傷も癒えたことだしザンクから奪取したこの帝具をつけてみろ」

「!いいの!?皆んなは?」

 

 若干興奮した面持ちでタツミがスペクテッドを手にとりながら、疑問を投げかける。

 

「帝具は1人1つまでだからな。体力・精神力の疲労がハンパないからな」

『常人が扱えばその肉体は崩壊するからな。力を無策に求め、帝具の同時発動を試みた愚か者がいたが呆気なく死んだ』

 

 ブラートの意見に続く様にハドーの頭の上に乗ったキバットが過去の実体験を語る。ハドーは頭上のキバットの言葉に重みがあるのを感じ帝具による同時発動は自身が考えているよりも危険であることを痛感する。心の中でハドーがそう思っているとアカメがタツミに告げる。

 

「確か心を覗ける能力があったろう。私の心を見てみろ」

「アカメの心は……夜に肉を食いたいと思っている」

 

「完璧だな!」

「それはいつものことでしょーが!」

 

どうやらタツミもアカメの好物を大体把握してできたのだろう。明らかに能力を発動していないのを確認しながら、ハドーはアカメに残念なお知らせをする。

 

「残念だが、今晩の献立はきのこたっぷりのバター醤油スパゲティとシチュー、生春巻きだ」

「な、なん、だと!?」

 

 アカメがまるであり得ないという顔をしながらレオーネに慰められている。そこまで落ち込まなくていいでは……と思いながら密かに唐揚げでもトッピングに入れてあげようという気になってしまう辺りハドーもアカメにとても甘い一面がある。そんなアカメを置いて、マインか心を覗かれるのは拒否したためタツミは自身の知らないスペクテッドの能力を発動させる。しかし、タツミが女性陣を見て驚いているのはどうしたことだろう。

 

『ククク。青いな小僧』

「ん?どういうことだ?」

 

『スペクテッドには透視の能力があると言えば分かるだろ』

「なるほど。ラバックが欲しがりそうな能力だな」

「おいおい、まさか今のタツミはまさか!?」

 

「お前の予想通り。今のタツミは女性陣の下着が見えているということだ」

「何それ!すっげーうらやましいんだけど!!」

『欲望に忠実的だな貴様は……』

 

 興奮した面持ちでいるラバックにキバットと共に溜息を送りつつ、タツミを見ると突然彼の頭から少量の血しぶきが飛び出した。

 

「まずい拒絶反応だ!」

 

 驚いた様に声を上げながらハドーは急いでタツミからスペクテッドを取り外した。突然のことだったためタツミは何が起こったのかわからないと言う顔をしていたが、ナジェンダが静かに事実を告げる。

 

「相性が悪かったようだな。スペクテッドがお前には合わなかったのさ」

「どうせだっさい外見だなーとか思ってたんでしょ」

「それと相性が関係してくるのか!?」

「あるぞ。帝具との相性は基本的に第一印象で決まるからな。最初に抱いた感情が好印象であれば相性がいいって感じだ。俺とキバットの場合は、コイツから何か引き寄せられるような強いモノを感じたと言った例もある」

『相性以外にも“闇のキバの鎧”を纏うには初代の資格者の血(・・・・・・・・)を引いていることが大前提だがな』

 

「ん?初耳だな」

 

 ハドーの説明に続く様にキバットも自身が管理するダークキバについての追加情報を提供する。ハドーも流石にそんな事を聴いたのは初めてであるためキバットの話を詳しく聴くため頭ではなく、腕にキバットをとまらせる。流石に現在の資格者であるハドーも知らないことに驚いたアカメ達だが、仲間として知っておきたいためキバットの話を静かに聴くことにする。

 

『はじめて言ったからな。もう事実を告げて構わんだろ。はじめてダークキバの鎧を纏ったのは………始皇帝だ』

 

「「「「ええぇぇぇぇぇぇ!!!」」」」」

 

突然のカミングアウトに全員が度肝抜かれた。

 

『闇のキバの鎧を纏えるのは皇帝の血を受け継ぎ、王の資質を持つ者だけだ』

「ちょ、ちょっと待て!俺が皇帝の血を!?」

「いやいやいや!なんで資格者のお前が驚くんだよ!」

 

『どうやら母親の事を何も知らなかった様だな』

「何処かの名家で、父上に一目惚れし結婚するために絶縁したとしか聴いていない」

「色々ツッコミたいがキバットよ。ハドーは皇帝の血を受け継いでおり、王の資質?を持っているからダークキバになれるという事だな?」

 

 未だに慌て続けるハドーやラバックたちを置いて1番冷静さを取り戻したナジェンダはキバットに確認を取る。

 

『その通りだ。始皇帝は魔皇石の魔皇力を扱う事に長けている魔族であるこの俺キバットバット二世との間に交わした“血の契約”により闇のキバの鎧を纏いダークキバとなった。だが、ハドー同様に吸血衝動を発症したため、自分の子息の中で最も王の資質を持つ者に鎧を継承させ、自身は“至高の帝具”シコウテイザーを駆り他国と戦った。加えて、始皇帝はハドー同様にアカメの様な自身の衝動を抑え込める血の提供者を運良く見つけ、吸血衝動を抑えこんだ。その後、歴史書にある通り不治の病で始皇帝はその生涯を終えた。そして、始皇帝との間に交わした“血の契約”の下で俺は皇帝の血を受け継ぎ王の資質を持つ者を資格者としながら、資格者と共に戦い続けた。まぁ、俺からすれば始皇帝以外はろくな奴ではなかったがな。付け加えるなら、資格者はお前で10代目だ』

「ハドーが……大将軍だけじゃなく皇帝の血も継いでいるとかヤベェーイな」

「かなりの情報でパンクしそうだが話を切り替える事にしよう。いいか、タツミ。私たちは殺し屋チームだが、今回のように帝具集めもサブミッションに行っている。ザンクのような帝具使いとの戦闘では一番いいのは相手の帝具を奪取すること。最低でも破壊がミッションだ」

「帝国に渡さないためか」

 

「そういうことだ。とりあえずこの文献でも読んでおけ、帝具のことについて書かれている」

 

 ナジェンダが言いながら文献を放り投げた。それを受け取ったタツミは早速本を開く。

 

「結構あるけど……これで一部なのか?」

「そうだ。出来ればその本に書いてある帝具の情報だけでも頭に入れておけ」

 

「わかった……でもさ、ボス。一番強い帝具ってなんなんだ?」

「……相性や用途で変わってくるが……強いてあげるなら“氷を操る帝具”だと思う。キバットから聞いた話だと名前はデモンズエキスだったとか。まぁ幸い使用者は北の異民族征伐に向かっているがな」

 

 本来なら感じない筈なのにエスデスから受けた傷が疼くのか眼帯を抑えながら言うナジェンダはキバットを見ながら言ってくる。タツミもそれにつられて肩に乗っているキバットを見やってくるが、ハドーも頷き、脳裏にかつて相対ひた一人の女を浮かび上がらせる。

 

 

……私のモノ(配下)になれ……

 

……私なら今よりもっとお前に力をつけさす事ができるぞ?

 

……ククク、私の誘いを断るか……

 

……面白い!弱ければ死ぬだけだ……

 

……せいぜい足掻いてみせろよ?

 

 

 一度話した程度だが、彼女の威圧感は忘れもしない。帝具と同じくまさしく氷の女と言った感じだったが、アレはもはや人外と言える存在としか思えない。そんな事を思い出しているとタツミが笑みを零して笑い始める。

 

「フッフッフ、強敵上等!どんどん帝具を集めようぜ」

「随分とご機嫌だなー、いきなりどーした?」

 

彼の言動を不審に思ったレオーネが聞くと、タツミは皆のほうを向きながら笑みを崩さずに告げた。

 

「帝具ってのはまだまだ未知の能力を秘めてる奴もあるかもしれないんだろ?そこで俺はピンと来たんだよ。これだけの力がある帝具ならさ、もしかしたらだけど……死者を生き返らせる帝具だってあるだろ!そしたらさ、サヨとイエヤスだって生き返るかもしれねぇだろ?だからオレは帝具を集め————」

「————ねぇよ」

 

 タツミの発言をそこで終わりにさせたのはブラートだった。見ると彼以外のキバットを含めた全員が顔を伏せており、瞳の色が見えないようにしている。

 

「帝具であろうと死んだものは生き返らねぇ。命は一つだけだ」

「で、でもよ!そんなの探してみなくちゃわからねぇじゃねぇかよ!!」

 

 悲しい声を上げるタツミ。しかし、誰もそれに首を縦に振る事はなかった。無論ハドーも同じだが、彼はタツミがそう望むことも仕方がないと思っていると一見非情とも思える言葉がアカメから発せられる。

 

「タツミ、キバットが言った始皇帝のことを考えてみろ。もしそんな帝具があるのなら、彼はまだ生きているはずだ」

「不老不死の力を得る帝具がなかったから死んだ……ようはそういうことだ」

『そんなモノは存在しない。死者に拘るな小僧。それに貴様は死者となった友にもう一度死んだ時の記憶を思い出させる気か?』

 

 アカメとブラート、そしてキバットの痛烈な一言に悲痛な表情を浮かべながら顔を伏せてしまう。

 

「あきらめろタツミ。でないとその心の隙を敵に利用されて……お前が死んでしまうぞ、タツミ」

 

 アカメの声を最後にタツミは最後まで声を発することがなく、夕食にも現れる事はなかった。そんな夕食時、ハドーはタツミに重い言葉を投げたキバット、ブラートとアカメの3人に告げる。

 

「もうすこし優しく言ってやってもよかったのではないか。タツミの気持ちが分からないお前達でも無いだろ?」

「いや、アレぐらい言っておかなかければ」

「変な希望を持たせてやるよりスッパリ忘れさせたほうがいいからな」

『死者はどこまで行っても死者だ』

 

「そういうものか……だが、オレはタツミの気持ちわかってしまうよ。オレも初めてキバットの力を手に入れたときは、もしかして兄を……と思ってしまったよ」

 

グラスを傾けるハドーにレオーネが驚いた様子を見せる。

 

「ハドーはそういうのはないと思っていたから意外だな〜医師だし〜」

「そうか?だが、一度は思ってしまったよ。魔皇力といった人外のチカラを使えばあるいは……ってな」

 

 何処か寂しそうに見えてしまったアカメは不安そうな表情を浮かべながらそっと袖口を引いて問う。

 

「今はそういう事は思っていないだろう?」

 

はじめての吸血の時同様こちらを心配して聞いているのだろう。それに対してハドーは穏やかな表情でアカメの頭を優しく撫でる。

 

「ああ。ダークキバになって初めて襲いかかってきた吸血衝動のおかげでそんな甘い考えは捨てたさ。さっきお前やブラート、キバットが言ったようにそんなもんがあれ先祖であるば始皇帝はまだ生きているだろうしな」

「…ん」

 

撫でてもらいながら安堵したようにアカメは少し嬉しそうな顔となる。

 

「今のタツミもきっとその事をきちんと理解はしているだろう……ごちそうさま、今日も美味しかったぞハドー、アカメ」

「あぁ、お粗末さまでした」

「口に合って何よりだ、ボス」

 

 1番最初にナジェンダがそう言って席を立ち、それにつられるように他のメンバーも食事を終えて各々の部屋で戻っていった。

しかし、ハドーはまだ部屋には戻らず、食堂でキバットと共にグラスに酒を注いで煽っていた。2年程前から嗜む程度に飲み始めた酒だが、今は飲みなれてくると美味いと感じるものになっていた。

 

「お前からのカミングアウトに驚いたぞ」

『お前は自分の事を知らなすぎるぞ。お前の母の家系ぐらい知っておけ』

 

「あまり興味がなかったものだからな。例え知っても、俺やお前、ナイトレイドの皆んなとの関係が変わるわけでもないだろ」

『ふっ、そうだな』

 

キバットと酒を酌み交わしていると、食堂の入り口からシェーレがひょっこりと顔を出した。

 

「まだ起きていたんですか、ハドー?」

『俺もいるぞ』

「俺は炊事係かつ医師だからな。お前達の健康を整える役目もあるからな。そろそろ来る頃だろうと思ってシチューを温め直しておいたぞ」

 

 首を傾けてシェーレの後ろにいるタツミを視線を送る。彼は何か言いたげだったが、キバットを頭に乗せたハドーは調理台に立って温め直したシチューをシェーレとタツミの前に差し出す。

 

「食べろよ。腹にモノを貯めなければ明日の訓練は耐えられないぞ?」

「あ、あぁ……」

「ありがとうございますねハドー」

 

タツミとシェーレはシチューを口にし始めたのを確認すると別の料理を暖め始める。

 

「今までシェーレに慰められたんだろうからそこまで言わないが。お前が思った事は決して恥ずかしいことでも悪いことではない。だから気にするな。アカメやブラート、コイツもお前を心配して言ってくれたわけだからな」

『心配なぞせん。ムカついただけだ』

 

「おい!」

「……ありがとうな、ハドー、キバット」

 

「気にするな」

『ふんっ!』

 

ふくれっ面のままキバットは部屋へ戻り、そんなキバットを流し目で見ながら、それ以降言葉を発さなかった。そして、タツミも少しだけ気が楽になったようで彼の口元が緩んだのだった。

 




とうとう判明しましたダークキバを使うために必要な3つの条件!
1つ目が皇帝の一族であること。
2つ目が王の資質を持っていること。
3つ目が帝具との相性。
という感じです。このためハドーと始皇帝を含めても資格者は10人しか居ません。

余談として、イェーガーズのオリキャラライダーのヒントを出します。

ヒントは、“赤くて速いライダー”です!!

では、次回もまたお楽しみ下さい!!

アカメが斬る!完結後についてのアンケートです!

  • 続編のヒノワが征くもやるべき!
  • アカメが斬る!まででいい
  • どっちでもいい

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