アカメが斬る!〜闇のキバが裁きを下す〜 作:マスティ魔
『良いか、ハドーよ。国とは人だ。民草がいなければ国は成り立たん』
『私の剣は陛下が居らせる宮殿を守護する為のものだ。オマエの剣は何を守護するのか、必ず見つけろ』
オレにそう教えた貴方が…………
なぜ!
「すまない………ハ、ドォ……私は…失敗し……
……て、しまった……よう…だ」
オレが16歳の時、兄は父であるブドー大将軍の手で謀殺された。
兄が殺された理由は、この国の内政によって苦しみ続ける民を救うため、革命軍に内通していたことをこの国の醜悪の根源たるオネスト大臣に察知された。
そして、兄はオレの目の前で殺された。
「あぁ…あ、あぁぁあ………」
父の持つ雷を操る帝具によって、兄は……さっきまで生きていた筈の兄は、黒焦げの肉塊となった。
「ヌフフ、流石でこざいますねぇ〜ブドー将軍?。実の息子でさえ迷い無く殺すとは。まぁ〜死んだ彼の方は、貴方に対して迷いを持っていたようですがねぇ〜?」
なぜ、なぜなんですか父上……!?
なぜなんですか父上!?
あの日々は……、楽しかった日々の……オレたちに見せくれた父上の笑顔は、全部偽物だったのですか!?
言葉に伝えようとしても、声がでない…出てくれない
それほどまでに、オレにとってこの事態は受け入れがたいものだったのだ。父が兄を殺したということが。
「いやはや、この私も愛する息子がいる親の身として、処理を他の者に任せようとしたのですが、まさか貴方が自らの手で自慢の長男を殺すとは思いませんでしたよ?」
「口を閉じろ大臣。確かに私は彼女と………………
「おぉ〜それは怖い怖い。私も用心せねばなりませんねぇ。ヌフフフフフ……」
オレには二人の話は全く耳に入らなかった。
目の前にある兄上の死体が、まるで血の一滴すらも蒸発していき、各所が廃になっていくことで頭がいっぱいだった。
そして、突然胸のうちからせりあがってくる吐瀉物をそのまま我慢することもできずに床に吐き出す。
「あぁーなんとも可哀想に16歳の少年にはまだまだ刺激が強すぎましたかねぇ?」
どこから取り出したのか、特大の肉にかぶりつきながら大臣が悲しそうな面持ちでオレを見る。
だが、オレにはこの顔が嘘であり、裏でオレたちを嘲笑っていることは容易に理解できた。
なぜなら、顔では悲しそうな表情をしていても、瞳の奥で笑っていることがわかっていたからだ。
「リョウエン、ハドーを部屋に送ってやれ。私はまだやる事がある」
「かしこまりました旦那様。さぁ行きましょう坊っちゃま」
幼い頃から教育係である老執事のリョウエンに連れられる形で、オレは部屋に戻った。もう何も考えたくはなかった。
だが、現実はそんな弱いオレを許さなかった。
「坊っちゃま。どうか
そう言って、ベットで静かに泣くオレを置いてリョウエンは、近くにテーブルに置いて部屋を出て行った。
そして、扉を閉め切る前に、
「何時迄もメソメソしていてはシドー様がお叱りに来ますよ」
静かにオレを叱って出て行った。
暫く泣いた後、リョウエンが置いて行った兄上の遺品を確認すると、ソレは先ほどまで父上と闘い、そして殺された兄上が使っていた臣具—————ジャコーダーと手紙が置かれていた。
ジャコーダーを握り、また、涙が出そうになるが、歯を食いしばり涙を無理矢理止め、手紙を開けた。
『親愛なる弟ハドーへ
コレを読んでいるという事は、私は既にこの世にはいないということになる。
私は友でるロクゴウ将軍の話を聞き、どうしても、この国を、もう一度民が笑う国に変えたかった。まだ、16歳という幼いお前にとてつもない苦しみを与えてしまった愚兄をどうか許さないでくれ。
この国を腐らせる醜悪の根源たるオネスト大臣によって街の治安が悪く、悪しき者達がやりたい放題が出来る街へと変わっている。そして、街は罪なき者達の血で穢れている。父上が私達を宮殿から出さなかったのはその事が原因であると私は思っている。そして、父上もこの国の現状を憂いているのも事実。
そして、どうか…私の代わりにこの国を……何の罪もなく毎日のように殺されていく民を救ってくれ。
オマエになら私の出来なかった革命を仲間達と共に出来ると信じている。何故なら、私とオマエには、誇り高い父上と誰よりも優しい母上の血が流れているのだから。
さらばだ———————我が最愛の弟よ。
私は……オマエを何時迄も愛している』
…………兄上
手紙にはところどころ涙でできたかと思われるシミがあり、それには兄上の………深い決意を感じさせた。
そして、兄の臣具であるジャコーダーを強く握り、誓う。
兄の遺志を継ぎチカラを付け革命を成し遂げること
もう一度、この国を民が心から笑い合える国にすること
そして、必ず父を………ブドー将軍を葬ることを
『オモシロイな人間』
「誰だ!?」
オレ以外誰もいない筈の部屋に響き渡る厳格ある声。
周囲を見渡すといつのまにかベランダに赤黒い蝙蝠のような存在がいた。
『俺の名はキバットバット二世。誇り高き魔族であるキバット族の生き残りだ』
「ならば、何をしに来た」
ジャコーダーをロッド剣状のジャコーダーロッドへと形態を変え、キバットバット二世を名乗る蝙蝠擬きに切っ先を向け、警戒心を強める。
『そう慌てるな。俺はお前にチカラを与えに来た。今のお前は哀しみと決意………そして、憎悪を持っている。俺の力を受け取りに相応しい存在へと成長したお前に俺は会いに来た』
キバットバット二世が言っている内容になんとか付いていっているハドーは、改めてキバットバット二世からの申し出を
「分かった。オマエのチカラを俺にくれ」
『よかろう』
「だが、しかしもう少しだけ待ってくれないか」
『ナニッ!?』
延期する形で応えた。
流石にこれは予想外であったのか、キバットバットは驚きの声を上げた。
「今のオレの実力は兄上の足元にも及ばない。だから、もう少しこの国でチカラを付ける。よりオマエのチカラを受け取るに相応しい男となるまで………三年待っていて欲しい」
『………いいだろう。まだまだチカラが開花していないオマエよりも其方の方が面白そうだ』
「ありがとう、キバット」
『気にするな。それと一つ忠告しておくが俺のチカラを受け取れば、オマエは……………人ではなくなる。それでもオマエは俺のチカラを求めるか?』
「ああ、構わない。この国を変えるためならそれでも構わない」
『……クックク。オモシロイなオマエは。気に入ったぞ人間』
この日、オレは兄と死別したが、
同時に、これから共に闘い続ける
♦♦♫♦・*:..。♦♫♦・*:..。♦♫♦♦
そして、月日は流れ三年の月日が流れた。
19歳となり、遠方にいる蛮族を狩る任務に準じて、自分の死を偽装し、行方を絡ませたハドーは、数ヶ月間の間に帝都に蔓延る己が快楽の為に罪なき者達を殺す者達、それを知りながら見逃す者達を自らをキバと名乗り、闇に紛れて暗殺していた。
そんなある日。
依頼人と落ち合うはずの待ち合わせ場所へ到着すると、
「お前が最近帝都を騒がせているキバだな?」
革命軍へと身を投じたはずのナジェンダ将軍に加えて、指名手配犯の100人斬りのブラート、暗殺者アカメの三人がいた。
今のオレはフード付きのコートのフードを深く被り、口元をスカーフで覆っているため他の者から貌は判らない。キバットは服の中で様子をうかがっている。
「そうだと言ったらどうする。革命軍」
「お前は何の為に敵を斬っている?」
革命軍のナジェンダがオレたちの元へ危険を犯してまで来るという事は、オレを見極めに来たという事だろう。最近帝都で噂になっている暗殺集団ナイトレイドの精鋭を連れてまで来ているのに、真っ先にオレを殺していないのなら、スカウト方面で間違いないだろう。
ならざ、こちらもそれなりの誠意を見せなくてはダメだな。
「この臣具を残した者の遺志を継ぐために」
ジャコーダーをナジェンダ達に分かりやすく見せた。すると、ブラート、ナジェンダは驚きを露わにした。この二人は帝国軍にいた時に兄に会っている筈。
「……どうして貴様がソレを持っている!?」
「………託されたからだ。疑うのであれば、この場でオレ達の決意とチカラを示させてもらう」
少し、ナジェンダたちは考えるそぶりを見せ、声に出さずアイコンタクトのみを行うと、手配書と違うリーゼンヘアーのブラートが前へ出てきた。
「…よーし。シドーの武器を受け継いでいるなら、半端な覚悟じゃないことを見せて貰うぜぇキバ?」
「そのつもりだ。お互い鎧使いである以上肉弾戦で拳を交えさせて貰う」
「へぇ〜お前も鎧の帝具使いか。オレが勝ったら、酒を飲みながらシドーの話を聴かせて貰うぞ」
「承知した。では、オレが勝ったら、貴方が知るあにぃ………シドー殿のことを聴かせて貰う」
「良かったのか、ボス。あんな勝手に賭け事みたいにして」
「気にするなアカメ。恐らくヤツはこちら側の人間だ。周囲に何かあれば、ラバックやレオーネたちが知らせてくれるさ」
「ボスがそう言うなら私は従う」
「では、見届けよう」
「じゃあ行くぜぇ!!インクルシオォォォォォ!!!!」
離れていても熱い魂が伝わる掛け声と共にブラートは、その身に帝具—————悪鬼纏身 インクルシオを纏わせた。
そして、対するハドーたちは、
「行くぞキバット!」
『ありがたく思え!絶滅タイムだ!』
カブリと右手をキバットに噛ませ、腰に黒色の止まり木状のベルトを出現させ、
「変身」
掛け声と共に変身する。
その身を帝具—————魔皇一身 ダークキバへと変える。