アカメが斬る!〜闇のキバが裁きを下す〜 作:マスティ魔
富裕層での一件から3日目がたった昼頃、ハドーは頭にキバットを乗せながら薬草を摘み取りながら、ある目的地に向かっていく。
『あの小僧はまだ仲間に加わらんようだな』
「無理もないだろ。兄弟同然の友をあんな風に殺されたんだからな。気持ちの整理がつかないのも仕方ないだろ」
『まるで兄を失った時の自分を重ねているのか?』
「………かもなー」
『で、今日の獲物は何だ?』
「タイコウバチの巣を狙う。前に見つけた時はまだ巣は小さかったが、今なら良い蜂蜜が実っているはずだ。それに気配訓練にもなるからな。後、毒消しはポーチの中に入っているから準備は万全だ」
キバットとともにたわいない会話をしながら歩いていると、目的地である森の中で一際大きい木の下へ到着する。キバットと共にこの木へ到着する前にラバックの間抜けな叫び声が聴こえた気がしたが気のせいである事にした。
到着し荷物と共にキバットを下ろし、懐から目隠し用の布を取り出し目を覆う。目隠しをしたハドーは木の根元へ来ると鋭く重い回し蹴りを木に叩き込んだ。ドカーン!!という炸裂音を立てた木から全長1メートル半くらいのハチの巣がハドーの近くへ落下する。蜂の巣が地面へ落下する前にキャッチするや否や洒落にならない量の蜂が飛び出して来た。しかし、ハドーは慌てることはなく腰にさしている剣を取り、迫り来る人を余裕で殺せる毒針を持つタイコウバチの群れの動きを事細かに察知し、最低限の動きで躱し斬り殺していく。まるで舞のような鮮やかな剣舞で蜂達を瞬く間に翻弄し数分足らずで絶滅させる。そして、キバットの近くに気配が2つ増えた事を感じとり、目隠しを外すと頭にキバットを乗せたレオーネと絶句しているタツミがいた。
「ん?どうしたレオーネ、招集か?」
「イヤイヤ、この少年にアジトを案内していた所だ」
「そうか。で、お前は俺達の仲間に加わる気になったのか?」
耳だけタツミ達に傾けながら巣の解体作業を続ける。テキパキと幼虫を取り出し、蜂蜜を回収しているハドーを見ながらタツミは返答を濁す。
「い、いや………」
「早急に決めろというのも無理な話だからな、ゆっくり自分で決めろ。改めて自己紹介しよう。俺はハドー。で、レオーネの頭の上にいるのが俺の相棒の………」
『キバットバット二世だ』
「蝙蝠が喋った!?」
「気にするな。そういう種族だと思えばいい」
「ちなみ言えばハドーは、紅い方の鎧を着ている奴だから」
キバットが言葉を話すことに当然のようにリアクションをするタツミを面白がりながらレオーネはハドーに関する情報を追加する。
「それにしてもタイコウバチの蜂蜜かぁ〜甘くて美味いんだよなぁ〜何で食べるんだ?」
取れ立ての蜂蜜をキラキラした瞳で見ながら、炊事担当のハドーに問う。
「今のところは、今晩のデザートのホットケーキに使うこととレモンの蜂蜜漬けに使うことしか考えてないな。リクエストはあるか?」
「いやいや〜じゅーぶんじゅーぶん♪」
僅かに口から涎を垂らしながらレオーネは夜食の後が楽しみになったようでルンルン気分となっている。
「そういえばアンタだったよな。サヨとイエヤスを運んでくれたの。ありがとう、2人を連れて来てくれて」
「気にするな」
そう言ってハドーは解体したタイコウバチの巣と蜂蜜を持ち、アジトへ向かっていく。
アジトを案内されているタツミはレオーネに無理矢理連れて行かれる形でアカメがいるであろう河辺へと向かっていく。
「タツミはブドー大将軍のことは知ってるよな?」
「え?知ってるけど、急にどうしたんだ?」
「ハドーは…………その大将軍の息子なんだ」
「ええぇぇぇ!?」
「そんで、ハドーは実の兄ちゃんを目の前で父親に殺されたんだ。理由は革命軍に内通していた事に対する国家反逆罪として。で、死んだ兄ちゃんの悲願“誰もが心から笑い合える国を作る”っていう意志を継いで私達と一緒にいるんだ」
レオーネの言葉にタツミは表情が強張ったのを感じた。ハドーの身分と、その暗い過去と決意を聴いたことで自分もつい先日に兄弟同然の二人の親友を殺されているから、ハドーの気持ちも少しだけわかったような気もした。
「よし!じゃあ気を取り直して今度はアカメの方に行くぞー」
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タイコウバチの巣の搾取による気配強化訓練を終了し、アジトの自室で瞑想していると、ボスであるナジェンダが革命軍本部から戻って来た知らせを受け、ナイトレイド全員を会議室へ集められた。そして、ボスとタツミは改めてナイトレイドに加わるのかを尋ねているところを見ると、レオーネがボスにタツミのことを話したようだ。
「さて、事情はここに来る途中話してもらったから大体納得はした。それでどうだ?タツミ、我々ナイトレイドに加入する気はないか?」
ナジェンダが義手の掌を向けてタツミに問うたが、彼はまだ決心がついていないのか言いよどむ。
「でも断ったりしたらあの世行きって聞いたぞ」
「そんなことはしないさ、しかしアジトを見られた以上故郷に返してやるわけにも行かないな。革命軍の本部にある工房で働いてもらうことになる。別に断ったところで命が危ないとかそういうのはない。それを踏まえたうえでどうする?」
ナジェンダの鋭い視線がタツミに向けられる。すると彼は拳をグッと握り締めてポツリと語りだした。
「俺は、帝都で稼いで故郷を少しでも救いたかったんだ。でも、いざ帝都に来てみれば国を治めるはずの都市や人が腐りきってた……ッ!」
「トップがあんな感じだからな。なぁブラート」
「ああ、中央のお偉いさん方が腐ってるから、地方はどんどん貧困にあえぐことになるんだ。だから俺達はその根幹を取っ払おうとしてるってわけだ」
ハドーの声に頷きつつタツミに告げるブラートに続いてナジェンダが補足を入れた。
「ブラートとハドーは元帝国の有能な軍人だ。しかし、二人とも帝国の腐敗を知って革命軍に入ったんだ」
「でも、この前みたいな政治に直接関係のない悪人をちょいちょい殺していっても国を変えるには至らないんじゃないか?」
「確かにお前の言っている通りではあるがタツミ。さっきボスがいったこと忘れているぞ。オレたちは何もオレたちだけで帝国と戦おうってわけじゃないんだ。オレ達ナイトレイドは元々革命軍にその身をおいているんだ」
そして、ハドーの言葉に続くようにナジェンダは説明する。
帝都の遥か南に革命軍が存在している。
初めは小さな軍隊だったが、総大将ベルサルクの元へその思想に賛同する者達が次々と集まり、次第にその勢力を大きくし、今や帝国軍に負けない程の大規模な軍隊となった。すると必然的に諜報や暗殺を受け持つ組織が必要となってくる。
それこそがナイトレイドだ。
今は帝都のダニ退治をしているが、革命軍の決起とともに、その混乱に乗じて腐敗の根源たる大臣を
この手で討つ!
「大臣を……!」
驚愕するタツミにナジェンダは更なる革命軍の話を語る。
「それが我々の目的だ。他にもあるが、今は置いておく。決起の情報は詳しくは言えんが………勝つ為の策は用意してある。その時が来れば、
「……………」
「その国は…
「無論だ」
即答するナジェンダ。
「スゲェ……!」
ナジェンダたちナイトレイドの目的を聴いたタツミが関心の声を上げる。
「じゃあ、今までの殺しも悪い奴を狙ってゴミ掃除してるだけで……いわゆる
ナイトレイドが掲げる志に感動しタツミは感服するが、彼の言葉を聴いたナイトレイドのメンバーは誰もが笑う(アカメとハドーは無表情)。
「それは違うぞ。オレ達がやっている事は確かに聞こえ的には気持ちがいいものかもしれない。でも、結局のところ、殺しは殺しだ。そこに正義なんてものはない」
「ここにいるオレ達全員、いずれ報いをうけてもおかしくはないんだぜ」
『人が死ねば怨みが、憎しみが生まれ負の連鎖が続く』
ハドーの言葉にブラートとキバットが続けるようにタツミに殺し屋としての履き違えてはならないモノを教える。そして、二人だけでなくナイトレイド全員の瞳には暗い影が落ちており、酷く冷たい目をしていた。それこそが闇の世界に生きる者達の瞳。
それに対しタツミがゴクリと生唾を飲み込んだが、ナジェンダが最後の問いを投げかける。
「3人の言うとおり、ここにいる全員相応の覚悟を持っている。それでもお前の意見は変わらないか?」
「……ああ、変わらないさ。それに報酬がもらえるんだったら、それを故郷に送って少しでも故郷を豊かにしてやりたい!」
「殺しの稼業を始めたら大手を振って故郷に帰れなくなるかもしれないわよ?」
マインが意地悪げな笑みを浮かべて言うものの、タツミはそれに被りを振って答える。
「構わないさ。オレの力で村の皆が少しでも幸せになるならな」
「……決まりだな。修羅の道へようこそ、タツミ」
ナジェンダいいつつ、彼に手をさしのべた瞬間、ラバックのクローステールが巻かれる音が部屋に響く。
「ナジェンダさん、敵襲だ!」
「何人だ?」
「オレの結界のなかだと……合計で9人……いや、11人だ!全員がアジト近くまで来てます!」
「ここを嗅ぎつけたとなると、異民族の傭兵あたりか。仕方あるまい———」
ボスとしてアジトの危険を耳にしたナジェンダは煙草にライターで火をつけると皆に向かって冷徹な声で告げた。
「—————全員生かして返すな」
瞬間、その場の空気が一気に重くなり、さらにそれぞれの殺気が鋭くなった。
「全員散開、行け!」
言うが早いかその場にいた全員が一気に駆け出し、ハドーとキバットも外へ向かう。侵入者を絶滅させるため駆け出すハドーは近くにいるラバックに侵入者の情報を問う。
「ラバック、侵入者はどんな感じだ?」
「一番遠くに逃げてる奴はマインちゃんとシェーレさんコンビにお任せ、アカメちゃんは河原の方、ブラートとレオーネ姐さんは各単体の敵担当、残っているのは洞窟か、森の奥にいる三人組」
「よし、俺は3人組をヤるから洞窟の方は頼むぞ」
「りょーかい。そういえばタツミはブラートと合流するしたみたいだから多分大丈夫だと思うぞ」
「今のアイツはメンタル面はまだまだだから敵の戯言で隙を突かれる恐れもあるからな」
『お前が気にすることではない。殺し屋となった以上、自己責任だ』
「相変わらずだな、この蝙蝠擬きは」
『黙れカエル頭』
「っんだとコラァァァ!!」
「やれやれ……」
相変わらずの仲の悪さに呆れながら、ハドーはダークキバに変身し侵入者の抹殺のため駆け出す。
とんでもなくどうでもいい余談です。
タイコウバチの見た目はスズメバチサイズのポケモンのスピアーです。危険種としてのクラスは2級です。