ARMORED CORE VIOLATER 作:フラグ建築したい男
国はなく、企業が全てを支配する世界。この世界は、そういう世界だ。
元来、政治というものは国が、つまりは政府が行うもの。しかしここではその認識は間違っている。企業が国であり、規範であり、そして秩序なのだ。
だがそんな世界にも例外が存在する。
・・・世は混迷を極めつつあった。
◆ ◆ ◆
「それでは依頼を確認しますね?依頼主はウェイブ社。依頼内容は、工場内に潜伏している暴徒達の鎮圧だそうです。・・・でも、きっとパートナーならすぐに達成できるでしょう」
コックピットの中にオペレーターの声が響く。手早く依頼内容を確認させてくれるその存在は、傭兵達には欠かせない存在だ。同時、オペレーターにとっても傭兵達は、自分を守ってくれる雇用主という、互いに互いが欠かせない存在。まさしくパートナーなのだ。
大昔には、傭兵達を管理する機構があったそうだが、今はそのようなものはない。互いに専属契約をし、互いにこの世界を生き抜いていくのが主流だ。
パートナー―――エリック・ブラウンが行動時間と報酬金を伝えてくる。今回は比較的小さい工場ゆえか、行動時間が一時間とのことだ。留意事項としては、重要機材等は特に置いていないから好きに暴れろ、とのお達し。・・・やり易い依頼で誠にありがたい。その上、それなりに無視できない施設ゆえか報酬金も高い。美味しい仕事だ。
「ミッションフィールド到達!パートナー、ミッションスタートです!御健闘をお祈りしてます!」
言葉とともにヘリのロック機能が解除され、アーマード・コアが空中に放り出される。すぐに姿勢制御システムが起動し、空中でも姿勢を保ってくれた。
まずは工場周辺の敵を殲滅しなければいけない。幸い、周囲の警戒用に置いているのだろう
「流石!工場外部目標、残り三機です」
レーダーを見るに、工場の四方から警戒をしていたようだ。だが索敵用のMTを単機で配備するのは悪手だったとだけ言おう。
―――時計回りに破壊するか。
そう決めた俺はOBを起動する。
OB。正確にはオーバードブーストと言い、通常航行モードはおろか、戦闘モードですら出すことができない出力でブースターを起動し、巨大な推進力を得るシステムである。その推進力たるや、普段の速度が100km/hなのに対し、起動時は400km/hオーバー等を軽く叩き出す。しかし、その速度を制御するのは難しく、とてもではないがその速度で戦闘などは難しい。
熟練の傭兵でないなら、だが。
熟練の傭兵は、OBで敵AC等に接近し、ブレードの連撃を叩き込むという絶技を持っている。成り立ての傭兵や才能がない傭兵ならば、その速度に振り回されて終わるだろう。そう、才能がなければ。
幸いにも自分は、その手の才能があったらしい。最初のミッション時、逃げ出そうとした航空機にOBで近づいて切り落としたことがある。それ故に―――
東部MT、ブレードにより撃破、次いで北部MT、右腕用シーザー社製ライフル『SZ-240-RF』で撃破、クールタイムを挟まず、遠距離からウェイブ社製肩武装ミサイル『WA-30/1-VM』による遠距離砲撃をMTに直撃させる。
「3・・・2・・・1・・・凄い・・・!周囲のMT、全滅しました!工場内部に侵入してください。工場奥部に敵部隊がいるようです。それまではこれから送るルートを辿るだけです」
言葉と共にルートが送られる。情報によると、この工場は地下に広がっているタイプのようで、存外広めの面積を取っている。このまま内部を進むだけか、と拍子抜けする。
―――取りあえずは通常航行モードで省電力設定でいいか。
言葉と共に、俺は体の力を少しだけ抜いた。
「目標との接触間近です!戦闘モードに移行してください!」
エミールからの通信。マップを見れば、敵の反応が複数。パッと数えるだけで20はいるだろう。だが、それがどうした?そんなもの、右肩に積んでいるこの大投擲砲(ヘスティア工業製肩武装投擲砲『HT-C20-GR』)を使えばすぐに終わる。
工場の扉にブレードを近づける。後は起動するだけでCALIUSはその橙色の刀身を露わにし、扉を無残に引き裂くだろう。
―――いざ。
ブレードを起動すると同時にOBを起動。投擲砲とライフルを使い、壁際につくまでに半数以上を破壊した。しかしそれでも残っている半数近くの敵部隊。こういうときはどうするべきか。答えは単純明快、ブレードで切る。それだけで充分だ。
「クソッ、レイヴンがくるとは聞いてないぞ!幾らなんでも仕事が速すぎる!」
「美味しい仕事だったのに・・・なんでこうなるんだ!」
「こんなんなら話に乗らなきゃよかった・・・」
これが彼らの最後の言葉だった。
◆ ◆ ◆
「いやぁ、パートナーにとっては楽な依頼でしたね!なにせ依頼を達成するまでにかかった時間が、合計16分41秒!流石、としか言えませんよ!」
帰投のヘリの最中、興奮冷めやらぬ様子のエリックが先のミッションに賛辞を送ってきた。実際、先ほどのミッションは楽だったのだが、時間がどうかしたのだろうか?自分としては普通だという旨をエリックに伝える。
するとエリックは、心底驚いたように「これが普通だなんて」と言った。
「やっぱりパートナーは最高です!」
興奮が冷めるどころか、むしろヒートアップしていったエリックだが、ふと声のトーンを変えて、真面目に話しかけてきた。
「・・・絶対に生き残りましょう、パートナー・・・いえ、『インコンピテント』!」
思わず零れそうになった笑みを誤魔化すように、そうだなと呟いた。
依頼名:ケルド工場内制圧
ミッションコード:Empty box
依頼主:ウェイブ社
依頼内容:我が社が所有している工場が正体不明の部隊に占拠された。奴らの目的は我が社が開
発を計画している、新型兵器の設計図等の情報だ。もしもこの情報が社外に漏洩した
場合、多大な損害を負うことは想像するに難くない。工場は建設直後だったため、重
要機材等の搬入はしていない状況だ。工場の損害は考えず、好きに暴れて奴らを殲滅
してくれ。頼む。
契約金:5000c
報酬金:30000c
ミッション開始時刻:02:30
ミッションリザルト AMMO -14450c
AC-DAMAGE -2694c
PRISE 30000c
ALL 12856c
◆ ◆ ◆
帰投後、シャワーを浴びてからエリックと通信を繋いで話し合いをする。内容は次のミッションについてだ。傭兵の中には一日に一回しか依頼を受けない、企業専属の傭兵がいるらしいが、自分達は企業の恩恵を受けることがない(受ける気もない)ため、一日に3回以上の依頼をこなすなどザラにある。
明日の依頼数をどうするか、受ける依頼はどれにするか、それらを決める大事な話し合いだ。
いくつかの依頼は既に見繕っているが、もう一つ受ける依頼だが・・・。
エリックにある一つの依頼内容を見せた。するとエリックは、少しだけ顔を歪めながらこう言った。
「・・・この依頼・・・ですか?なんだか皮肉られているみたいですね」
「今日守った施設を、間接的に襲撃するなんて・・・」
◆ ◆ ◆
本日最初の依頼はヘスティア工業からの依頼だ。新型兵器の運搬の護衛を頼みたいとのことだ。なにやら反抗組織が不穏な動きをしているため、それを防ぐ意味合いでも護衛を依頼したようだ。
「今日はよろしく頼む、傭兵『インコンピテント』」
言葉とともに握手を求められたためそれに応じつつ、護衛対象を確認する。護衛対象はどこにでもある重機関銃を取り付けた武装車両ともう一つ―――どちらかといえばこちらがメインの護衛対称だろうが―――重装甲車だ。確かこのタイプは同等の防御力を誇っている装甲車の中では最速だとか。しかもその速度、中装甲車と同等だったはず。
よくここまでの性能の物を作り出せたものだと、発売当初は自分も夢中だった(この装甲車を一定領域から逃さないように破壊する方法を考えることに)。
「パートナーにかかれば、護衛対象は安心ですよ!」
「そこまで言われるほどとはな。頼りにしているぞ」
護衛対象は順調に目的地まで進んでいた。確か目的地は、ヘスティア工業ハイド兵器開発研究所だったか。今回もまた”ステキな実験”でもするのだろうか。試作品でもいいから”ステキな武装”が出来たら是非とも購入したい。
現在位置は砂漠だ。砂漠と言ってもしっかりとした道がある場所を通っているわけだが。
AC内に情報としてあるマップによると、カイロス砂漠辺りのようだ。目的地まではおよそ120km。このまま行くと、08:00前には依頼は終了するだろう。戦闘が無いのは懐的にはありがたいのだが、正直言うと護衛任務中に襲撃があるほうが自分の特訓にもなっていいのだが・・・。
と、そんな不謹慎なことを考えていたからか、護衛車両にいる者から通信が入った。
「傭兵!どうやらこの先に、武装部隊が待ち構えているらしい!幸いにも敵はMTと武装ヘリのみだそうだ!接近すると同時、速やかに排除してくれ!」
了解の旨を伝え、護衛を続けていく。
敵部隊がいるのはそれなりに離れた場所だ。ここで護衛対象から離れると、急速接近できる戦闘機などで護衛対象が蹂躙される恐れもある。
であるならば、多少護衛対象に流れ弾が当たるかもしれないが、自分が最速で敵を倒せばいい方法を選べばいいだろう。過信しているわけではないが慢心しているわけでもない。純粋に実力を鑑みているだけだ。
「敵勢力接近!傭兵、頼んだ!」
「パートナー、戦闘開始してください!敵勢力は現在8機!内、MT5機、武装ヘリ3機です!」
言葉とともにOBを起動、戦場を駆け回る。
今回の武装は、右腕にシーザー社製マシンガン『SZ-700R-MG』、左腕にウェイブ社製『炸裂性』マシンガン『WA-400L-BM』を装備。肩にはシーザー社製ジャミングレーダー『SZ-UJV-RD』とヘスティア工業製ECMジャミング兵器射出装置『HT-HIDE-ECMC』を装備している。肩内部にもある武装を入れているがこれは後々。
まず上空から茶々を入れてくるヘリを右腕マシンガンで撃ち落とす。ついでにもう一機近づいてきたのは左腕の炸裂性マシンガンで。
一機目はマシンガンの弾が機体を貫いて墜落。もう一機は炸裂性の名に違わず、弾が機体に当たった瞬間に弾が爆発。内部から無数の鉄片が飛び、それが乗っていた敵を無残なオブジェに変える。同時にプロペラの回転に鉄片が巻き込まれることで機体は制御を失って墜落した。
たった数発の弾で仮にも武装した装甲ヘリを撃墜する。
―――これが
そのチャンスを
肩内部武装、ウェイブ社製フラッシュロケットキャノン『WA-24-FR』を射出、敵機の操縦者の目を潰す。棒立ちになったが最後、後は両手のマシンガンで全MTを蜂の巣にする。ヘリがミサイルを撃つことがないように、ECMキャンセラーも忘れずに展開。
全MTを破壊したときにキャンセラーの効果も切れたが、ヘリ一機がACを落とすなど、よっぽどのことがない限り有り得ず。
その後は何も襲撃がなく、依頼を達成できた。
依頼名:物資輸送装甲車護衛
ミッションコード:Bait trap
依頼主:ヘスティア工業
依頼内容:最近、我が社だけではないが、各地域にて反乱部隊が暗躍しているとの情報がある。
我々が輸送しようとしている建造中の兵器パーツが襲撃されてはひとたまりもない。
そこで今回は、最近名を上げてきた君に依頼をした次第だ。我々も君には期待してい
る。頑張ってくれ。
契約金:8000c
報酬金:37000c
ミッション開始時刻:06:00
ミッションリザルト AMMO -4244c
AC-DAMAGE 0c
PRISE 37000c
ALL 32756c
◆ ◆ ◆
次の依頼だが、こちらは少々、いや、かなり面倒だった。
依頼人は不明だが、ウェイブ社が所有している大型ダム、その中にある発電施設をダムごと壊してほしい、とのことだった。また何の目的で名前を隠すことやら・・・。どうせシーザーかヘスティアのどちらか・・・ヘスティアは穏健派だからシーザーだろう。
まあどうでもいいのだが。
自分はあくまでも一傭兵。余計な詮索は無し、依頼で得た情報を外部に漏らさない、それが傭兵のルールだ。破ったものは、この世界では爪弾きされる。それは行った側も等しくだ。
ACの格納庫部分に、破壊用の爆弾(C4の強化版)を積み、経年劣化しかけている発電施設内壁部分破壊用のグレネード砲(『SZ-10-GC』)を右肩に積む。それ以外は、仮にACが出てきても大丈夫なように、基本装備(右腕『SZ-240-RF』、左腕『SZ-CALIUS-BL』、左肩『SZ-UJV-RD』)にしておく。これで最低限、何が出ても大丈夫だろう。
しかし面倒だったのは、ダムの内部構造だった。
破壊する側としては面倒極まりないが、一傭兵としてみればいい判断、そしていい構造としか言えない。
「パートナー、第一設備へのルート情報送ります。それを元に侵入してください」
通信と共に送られてきたデータを見て思わず感心の声を出した。
―――このダム、侵入口も別々だ。実にいい構造をしている。
「・・・?どうかしましたか?」
エリックの言葉になんでもないと返しつつ、侵入を防ぐ目的のシャッターをCALIUSで切り裂く。するとそこかしこで
『侵入者発見 攻撃システムを起動します』
『各攻撃システム 正常に起動』
『侵入者に対し 攻撃を行います』
侵入してすぐに三叉路だ。内部のデータが無ければすぐに迷うことだっただろうが、内部データは既に所持している。迷うことなど無かった。
まずは左、次に左右の分れ道を右に。上下の分れ道は下、左に曲がった所で、情報にあった別ルートを取る。
情報が無ければそのまま直進しての遠回りルートを取っていたのだが、連絡用なのか何らかの目的で作られている隠し通路へ。場所は曲がってすぐ上。そこをライフルで破壊すると隠し通路が出てくる。そしてその通路を上がって出た場所から北方向に向かい・・・似たようなことを繰り返すことはや13回。ようやく一つ目の発電設備に辿り着いた。
格納庫から爆弾を取り出して取り付け、帰り際に内壁に二発ほどグレネードを撃ち込む。すぐに軽い内部崩壊を起こし始めたため、急いで脱出をする。
同じルートを辿って急速で脱出し、次の侵入口に入る。今度は下に降りていくタイプだ。途中途中に脇道があり、そっちに進むときもあれば自由落下をして一気に降りていくところもある。そうして約1分。二つ目の発電設備に到達。ここは脱出が面倒なため、爆弾を使って内部崩壊を起こす。
今度はゆったりと上昇して脱出、最後の侵入口へ。ここは最後、グレネードを乱射して一気に内部崩壊を起こす。それと同時に給電ケーブルをブレードで切断し、一気に脱出する形だ。
ここのルートは水平移動が多い分、OBで一気に駆け抜けれそうだ。直線移動が比較的長い道など、余計な手間がなくてこちらとしては有難い。道中にいる警備ロボットなどは、ライフルを撃っていれば勝手にお陀仏だ。
・・・何故かここだけ、設備前に部屋がある。何があるか分からない、警戒をして進まなければいけないだろう。
扉を開ける・・・と同時、前方から大口径ロケット砲が撃たれてきた。
やはり警戒をしていて正解だった。ロケット砲を確認すると同時、ブーストを吹かして機体を右に動かしたことで、ギリギリ避けることができた。
ロケット砲が飛んできた方を確認すれば、重装甲型MTが4機。このタイプ、ACのグレネードキャノンを数発耐えたヤツか。・・・面白いことをしてくれる。
フィールドは奥行き130m、横幅60m、高さ20mという中々に狭い空間だ。相手は別段、素早く動く必要もない。じっくりとこちらに迫ってくればいいだけだ。ならばこちらは、急に接近しては切り付けてやればいいだろう。いくらグレネードを数発耐えるからと言って、グレネードキャノンに匹敵する威力のブレードをどれだけ耐えることができるか・・・。お手並み拝見といこう。
相手はロケット砲以外にバーストライフルも装備している。面倒だが、それらも避けていかなければいけない。故に急に動いたり急に止まったりを繰り返して、相手のFCSを混乱させればいいのだ。
右に動いたかと思えば左に動き、かと思えば急にジャンプをする。流石にこの動きにはついてこれないと判断したのか、敵はロケット砲やライフルを乱射し始めた。どこを狙っているのか分からない攻撃ほど避けづらいものはなく、いくらか被弾してしまう。だがそうやって相手が乱射している間に敵MTに接近完了した。
接近完了すれば後は楽なものだ。一発ブレードを入れては離れ、違うMTに近づいてはまたブレードを入れる。こうなってしまえば敵はただの的でしかないのだ。
MTを破壊し終えたため、後は・・・ケーブルを発見、ブレードで切断する。そうしたら、先の戦闘で既にボロボロな内壁部分にグレネード砲を打ち込む。ダメ押しと言わんばかりに、露出した鉄筋部分をブレードで切断、後は爆弾をたんまりと置くだけだ。
内部崩壊が始まった。OBを使用し、急いで脱出する。
脱出が成功したため、後は爆弾を起動してもらうだけだ。その旨をパートナーに伝える。
「了解です、パートナー。・・・よし、起動しましたよ!」
爆弾はすべて着火まで3秒に設定してある。ヘリに回収されつつ、爆発する光景を見る。しっかり3秒後、各部で爆発音、同時にダム表面に罅が入る。後は水圧で崩壊していくだけだ。
その光景は、年甲斐にもなくワクワクとした気持ちを生み出した。
依頼名:ローゼン貯水発電施設破壊
ミッションコード:Spilt water
依頼主:不明
依頼内容:ウェイブ社が所有している、ローゼン貯水発電施設を破壊してほしい。今回の依頼は
それに尽きる。内部構造は非常に複雑となっており、何の情報も無しに侵入すれば迷
うことは間違いない。発電施設への道程はそちらにデータとして送っておく。また、
後日だが発電設備破壊用の爆弾をそちらに送っておく。上手く使ってくれ。
契約金:5000c
報酬金:43000c
ミッション開始時刻:10:15
ミッションリザルト AMMO -12800c
AC-DAMAGE -8048c
PRISE 43000c
ALL 22152c
◆ ◆ ◆
眼下に広がる大峡谷と、峡谷の上で監視している専用MT。それらを見ながら、今回のミッションブリーフィングを聞く。
「依頼主はシーザー社。目標は・・・先日制圧したケルド工場への補給部隊です。今回の依頼はその部隊の壊滅が目標ですが・・・」
先ほどから言い淀むエリックにどうかしたのかと聞く。すると、先日助けた会社を今度は襲うなんて、そんなのはいいのだろうか、というとても綺麗なお話だった。
だが傭兵というのは、綺麗事に関わる仕事から、汚れ仕事までなんでもござれなのが売りなのだ。この程度は普通、むしろ優しいほうだということを教えておく。自分は勿論、エリックも同様にまだ若い。故にここは、自分が師匠から学んだことをそのまま伝えた。
「・・・そう・・・ですか。ですよね、傭兵はそういう仕事です・・・覚悟してきたんだ」
その言葉とともに、通信の向こうからパチンッという音が聞こえてきた。喝でも入れたかと聞くと、とても元気のいい声で「はい!」と帰ってきた。
もう大丈夫そうだ。安心してオペレートを任せられる。
さて、情報に間違いがなければ、そろそろウェイブ社の部隊が通過し始める頃だが・・・。そう思っていると、シーザー社所有の監視用MTから連絡が入った。
「傭兵!敵部隊が来た!後は頼む!」
ACを投下、峡谷内に降下中に装備を確認した。
右腕『SZ-700R-MG』、左腕『SZ-CALIUS-BL』、左肩『SZ-UJV-RD』、右肩に以前買った、ウェイブ社製高機動ミサイル『WWM-HA40/4』。
空中を飛ぶ輸送ヘリには落ち着いてミサイルを撃つ。情報によると、護衛の為に雇った
ACがバランサーによって安全に着地。同時に前方からゆっくりと飛んでくるヘリをロック、ミサイルを発射。ミサイルはプログラムに従い、ヘリに着弾、爆発した。それを確認すると同時、後続のヘリをロックしつつ、前進しながら上昇する。
当然、敵もやられてばかりでたまるかと言わんばかりに抵抗する。だがそれも、精々が武装車等でこちらを撃つ程度なので、適当に機体を動かしてヘリを盾にすればどうということはない。
・・・脅威と成り得るのは、やはりコイツだけか。
レーダーに映りこんだ、デカい敵の反応。それは真っ直ぐにこちらに向かってきており、同時にミサイルを発射したことがレーダーでわかった。
すぐさまヘリを盾にするが、その前にコアパーツに搭載されていたミサイル迎撃装置が、それらのミサイルを墜としてしまう。
―――上手く行けば、相手のミサイルで同士討ちできると考えたが・・・。そういえばこのコア、迎撃装置ついていたな。
いや、無論迎撃装置はあるほうがいいのだが、今の状況ではそれが起動しないでほしかった。ただそれだけだ。戦場でそういったたらればは何度も起こることであり、それ故に「こうだったら」などと思うのは時間の無駄だ。
先ほど自分を攻撃してきたミサイルは、やはりACのミサイルだった。
「敵AC確認!傭兵リトルマウス『ソリッドメソッド』です!敵の武装は四門ミサイルと3バーストライフル、右腕に同じく3バーストライフルを装備していますね」
バーストライフルか・・・操作の手間が少ない分、新人には扱いやすいかもしれん。全弾当たれば流石にアーマーが削られるが、その分緩急をつければすぐに避けられるだろう。
そう考えていると、敵がこちらに迫ってきた。機体もすぐに動かし、応戦する。三連バーストによる弾幕形成は非常に面倒だが、別段焦ることはない。隙を見てブレードを叩き込めば済む話だ。だが今回の目的は、ウェイブ社の補給部隊の壊滅。ACを相手する必要はない。タイミングを見計らい、近場のヘリから順々に破壊していくか、短期決戦をするかだ。武装車はヘリの護衛が主目的故、破壊優先度は低い。ならば。
後方にブーストを吹かし、引きながらマシンガンで小鼠を撃つ。時折ミサイルによる牽制も忘れない。
それなりに引き付けたので、後は斬る。ブーストを吹かし、瞬時に肉薄して一文字に斬り付ける。まさか斬られると思っていなかったのか、驚きのあまり一瞬硬直する小鼠。・・・終わったな。
二撃目を食らいやっと状況を把握できたのか、ようやく後退しようとするがもう遅い。OBと共に近づき三撃目、空中で食らったためにバランスを崩し、横倒しの状態で墜落した。
無力化に成功したため、後はヘリと装甲車を片すのみとなった。
残りはヘリのみ。そうなるともう、ただの蹂躙でしかなかった。
依頼名:補給部隊襲撃
ミッションコード:Tiger tail
依頼主:シーザー社
依頼内容:先日、ウェイブ社の工場にて戦闘が発生したとの情報があった。恐らく奴らは、準備
が整い次第、工場の復帰作業のための部隊を派遣するだろう。今回の依頼は、その補
給部隊の殲滅だ。こちらでは、周辺地域にいくつもの部隊を用意し、ウェイブ社の部
隊の監視をしている。奴らが動けば、君に情報が行く。そのタイミングで動いてくれ
。また、情報によると奴らは傭兵を雇ったようだ。ACの撃破は報酬の加算対象とな
る。頑張ってくれ。健闘を祈る。
契約金:8000c
報酬金:60000c
ミッション開始時刻:15:45
ミッションリザルト AMMO 2692c
AC-DAMAGE 9088c
PRISE 60000c+10000c
ALL 58220c
この小説を・・・
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続けたまえ
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続けるな、やめちまえください
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フロム脳が疼く・・・