本当にありがとうございます。
化物を処理した後、晩御飯は何にしようか?などと考えながら歩いていたのが悪かったのだろう。
「あ、千佳ちゃん…こんばんは。」
三雲 修、兄が家庭教師のバイトをしている時に出会った少年、どうも私をあまりよく思わないみたいだけど。
「こんばんわ三雲さん、別に無理に声をかけなくても大丈夫ですよ?」
気まずげな顔をするくらいなら話しかけなければ良いのに。
「いや、別に無理にってわけじゃ…」
-------------------------------
お兄ちゃん!!!!!
目の前で兄が潰れた家の下敷になった。
白い、化物のせいで。
千佳、無事か?
なんて気丈に振る舞っているがお腹の下辺りから足の先、片手を潰されている。どう見ても兄の方が辛いはずなのに私の事ばかり気にする。
私は大丈夫…でも、おにいちゃんが
俺の上着の左のポケット漁ってくれ
何を言うのだろうか、今はそんな事をしている場合では
白い、グリップ?これ、なに?
千佳ちゃん!!!!
おねえさん!お兄ちゃんが!!
ごめんよ、もう少し早ければ千佳ちゃんも、お兄ちゃんも両方助けられたんだけど…千佳ちゃん?それ、トリガー?
え?
トリガー?トリガーって、お姉さんのブレスレットの…?
あんた、それ知ってんのか。
お兄ちゃん?
そうか、それは君の持ち物か、なら、少年 君を助けることはできない、だが、千佳ちゃんは必ず守り通そう。 だから、このトリガーを譲っていただきたい。
もうそれは 千佳のもの だ。俺、がどうこう言えるもんじゃない。
息も絶え絶えに、兄が言葉を紡ぐ。
お兄ちゃん!無理に喋らないで!!
千佳ちゃん、少し借りるね。
おねえさんが徐に手を伸ばす。
トリガー、オフ。
発声、そして顔の一部分、それも両目を横に裂くような傷のついたお姉さんの姿が、
トリガー、オン。千佳ちゃん、これ付けて
オウル…オウル、起動
あんた、約束、違えるなよ…
勿論だ、彼女は必ず…
視界が薄れる中、そんな会話が聞こえた
フラッシュ、そして違和感。
羽が、美しい世界を見せてくれたそれが、私の背中に生えていた。
-------------------------------
「麟児さんにお世話になったんだし、それに…」
そんな言葉を遮るように
「そうですか、では。」
私は言葉を置いて、また歩き始めた。
何より、
「あっ…」
急いで帰ろう、あの人を見ると、兄を思い出して…
ダッ
走る。うるさい心臓を誤魔化すように、心が折れてしまわないように。
「ハァ、ハァッ」
バンッ
乱暴に戸を開け
「おや、千佳ちゃんかい?おかえ…っと」
おねえさんに身体を預けた。
不謹慎ながら、おねえさんが目が見えなくてよかった。
こんな顔を見せなくて済むから。
「落ち着いたかい?千佳ちゃん。」
「はい、すみませんでした、もう大丈夫です。」
「そっか、じゃあ何があったか教えてほしい、と言いたいけど、辛そうだからそれは良いよ、でも…」
クゥ
「お腹すいたから、何か作ってもらって良いかな?」
ああ、この人は本当に人が良い。いつも、私に気を使ってくれる。
「ふふっ、そうですね。お腹、すいちゃいましたね、ちょっと待っててください。」
だから、こんな日常を、お姉さんを、きちんと守っていかなきゃ。
いや、最初はここまで千佳ちゃん情緒不安定じゃなかったんですよ。
書いてる途中にこう、指がですね(言い訳)