第一話
体感にして恐らく七時ほど。
「ふわぁぁぁぁ……。ん?ここ……どこだ?」
カーテンの隙間から差し込んで、顔を照らしている眩しい朝日で目が覚めた。
「太陽をこんな朝っぱらから見るのいつぶりだろ……」
まだ眠いと訴えている体を無理やり起こし辺りを見回す。
まず最初に目に入ったものは寝ていたベッドだ。それは安物のそれではなく、高級ホテルに設置されているようなもふもふ感。天井も明らかに一般とは言い難いデザインをしており、何といっても一部屋の広さが尋常じゃない。
ボキャブラリーが容量不足のスバルでは、この程度しか表現ができないのが残念なほど素晴らしい部屋だった。
「はぁー。すっごい……。お……!ケガが治ってる!さっすがエミリア!」
下に目をやり腹部を見てみると、切り裂かれた傷はすっかり無くなっており痛みも全く感じられない。
「にしてもここは本当にどこなんだ?……ちょっと辺りを探索してみるか」
重く大きいドアを開け、無駄に長い廊下を見回す。
「ひっろ!!何だこれ広すぎだな。ここまで広いと迷子になんねえかな。……お、ちょうどいいところに花瓶だ」
部屋の真横に花瓶があった。これを目印にし歩みを進める。
「……花瓶」
そこそこの歩数を歩いたところでまた花瓶を発見した。
「……また花瓶」
だんだん、スバルの中で落ちが見えてた。
「……またまた花瓶……」
四周目に入る直前でようやくループしていることに気づいた。
どうやら勝手に屋敷の中を歩き回れないようにされているらしい。
「はぁ、まぁいきなりきた客を無警戒で置いとく奴の方がおかしいよな……」
昨日関係者でもなんでもなく、あの場に居ただけでいきなり殺されかけたのだ。
それほどまでに殺伐としてる世の中なら、このような塩対応が普通でもおかしいことはなんらない。
渋々先ほどまで寝ていた部屋のドアを開け、ベッドに大の字で不貞腐れながら寝転ぶ。
「寝るか……」
部屋からの脱出を諦め、スバルはもう一度眠りについた。
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「……誰なのかしらあなたは」
「お前こそ誰だ」
士と対峙しているのは、金髪ツインロールの少女。
見た目は11~12歳。フリルの多いドレスに身を包み、その美しさに相応しい可愛らしさとひねくれた性格を持ち合わせ、クルリと巻いたクリーム色の髪がよく似合う美少女だ。
「まずここはどこなんだ?」
士が居るのは、書庫だった。しかし士自ら探し出して入ったわけではない。
眠りから覚めドアを開けると、ドアの向こうが書庫に変わっていたのだ。
そして本を読みながら歩いていると、角でこの少女とぶつかり、今この状況に至る、というわけだ。
「質問の答えになってないわ。あなたは誰なの?」
「相手に名前を聞くときはまず自分からって習わなかったのか?おっとすまない。見た目からして5歳のお前がそんなこと知ってるわけないか」
「……いいわ、私から名乗ってあげる。私の名前はベアトリスよ」
「何だ、分かっているじゃないか。俺の名前は門矢士。ディケイドだ」
その言葉を放った瞬間、ベアトリスの表情が変わり、
「ディケイド……!?くらうかしら!?」
「うぉ……!?」
突如、目に見えない何かが士の体を突き飛ばし体が叩きつけられた。
「イテテテ……。いきなり何すんだ”」
「とぼけないで、ディケイド」
「何で俺に攻撃すんだよ。まず質問に答えろ」
先ほどまで幼女特有の可愛さを残していた顔はもうそこにはなく、その視線は何か軽蔑したものに変わり、表情は憎悪で埋め尽くされていた。
「……いいわ。答えてあげる。ディケイド……この世界にいずれ現れる破壊者……悪魔……。サテラと同じ存在!!」
聞きなれないワードに士の表情が疑問に変わる。
「サテラ?誰だそいつ」
「とぼけないで!!」
怒鳴り声が書庫中に響き渡る。
(マズイなこりゃ……)
視界に入る大気が歪み、心なしか部屋の明るさが一段階失われたように思える。
もちろん原因はベアトリスとみて間違いないだろう。
「ッチ……。逃げるか」
危機を察知し、入ってきたドアから士は逃げた。
「待ちなさい!」
補足
士がこの世界の文字を読めているのは、原作でクウガの敵キャラのグロンギ語を話すことができていたので、どんな世界の文字も読めると解釈したからです。
かなーり説明回に時間を割いたため、王選候補者一人ずつの自己紹介はダイジェストみたいな感じでよろしいでしょうか?
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YES
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NO