オデノカラダハボドボドダ!
「落ち着いたか?」
「……あぁ、サンキューな」
士より一足先にその事実を知ったスバルは、まるで全てを失ったかのようにどこか色薄く見えた。話しかけても応えることはなく、ただその薄まった顔を俯かせるだけ。
「まぁその気持ちは分かる。現に俺も今そんな感じだ」
「っく……」
耐えがたい感覚。
こちらが見知った人間に、あちらからは知らない他人扱いされる感覚。
つい先日、同じ感覚を雑踏で、路地裏で、廃屋で味わったばかりだ。だが、そのときとは決定的に違う。状況が違う、時間が違う、経験が違う。
ほとんど互いを知らなかった彼女らとのやり直しではない。確かに信頼を結んだはずの相手との、一方的なやり直しなのだ。
「チクショウ……チクショウ……」
スバルの目から涙がこぼれる。最初は一粒。その後に二粒三粒と量が多くなり、そして涙がとめどなく流れるようになった。
士はただそれを見ていた。何もすることなく。ただただ見ていた。
「で?これからどうする?」
なんとか冷静さを取り戻せたようだ。涙をぬぐったその目は決意に溢れていることが分かる鋭い目だった。
「そうだな……とりあえずは状況の把握が先だ。スバル。お前は昨日の夜何をしていた?」
「何もしてねぇな……。昨日は仕事してエミリアたんと話して寝たくらいだったからな……。」
「じゃあこの五日間全ての出来事を洗いざらい話せ」
若干困ったような顔をしながらもスバルは話を開始する。
「お、おう。えーとじゃあまずは……」
「大体分かった」
スバルがしていたことは村へ仕入れに行く、飯を作る、洗濯をするなど色々あったがどれも関係なさそうなものばかりだった。
「だったらやっぱり考えうるのは……襲撃者だな」
しかしあのベアトリスやロズワールが居るというのにおめおめと襲撃を仕掛けるか?
十分可能性が低いがそれしか思いつかないのが現状だ。
「で。これからどうすんだ?」
「まずは屋敷の奴らの信頼をつかみ取らなきゃいけない。いいかスバル。間違っても馴れ馴れしい行動はするな。どんな些細なことでも一気に信頼を失ない、怪しまれる可能性があるからな。襲撃者の対策は五日間の内に考えればいい。つまり後回しだ」
「その方法はどうするんだ?」
「あいつらに俺達を監視させればいい」
「え?」
その発言が意外なものだったのかスバルは目を丸くする。
「実はお前が前回に行った行動。あれは結構効果的だった」
「え?そりゃまたどうして?」
「やっぱ分かってなくて雇ってくれって言ったのか……まぁいい。仕事をするなら屋敷の案内をしなければいけないだろ?だが俺たちはどこの誰かも分からない馬の骨だ。そんな奴らに屋敷を隅々まで案内するってことは自分から情報を明け渡すようなもんだ。つまり必然的に行動を制限するために監視が付く。今の場合で言うとレムとラムがそのポジションだ。しかもあいつらはかなり長い間屋敷に居る感じだ。そんな奴らの話で『怪しくはない』と口から喋らせれば信頼を掴めるってことだ」
「な、なるほど。やっぱお前頭いいな」
「組織の首領をやってたからな。敵情視察のためにこういうことをやってたんだ」
「なんか触れちゃいけない感じの話が出てきた!?」
自分の体を抱き、少しだけ後ずさるスバル。
「過去の話だ。だから最初の食事では前回と同じルートをたどるぞ」
「分かった。じゃあ早速食堂に行く――「バカやめろ」
善は急げと言わんばかりに食堂に直行しようとするスバルを慌てて引き留め、尻を床に付かせる。
「イッテ!何すんだよ!」
「さっき言ったばっかだろ。お前が最初に食堂に行ったときにエミリアと一緒に来てただろ。エミリアを自分の部屋で寝たふりして待て」
「なるほど。やっぱ頭いいな士」
「速く行け!」
スバルを強引に部屋に入れ、自分は食堂へ直行する。
「じゃ……勝負だ。運命」
自分のガラにもない事を言い、士は一歩一歩を踏み出し始めた。
急遽作った小説のせいで、オデノカラダハボドボドダ!
かなーり説明回に時間を割いたため、王選候補者一人ずつの自己紹介はダイジェストみたいな感じでよろしいでしょうか?
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