Re:ゼロから始める世界の破壊者   作:muryoku

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第十一話六日目の朝は遠く

「俺たちが望むのはただ一つ!!」

 朝食の時間は前回と大体同じ流れを沿った。所々内容がずれていた部分もあったが、最終的な着地点はしっかり確保できたため結果オーライ。

 スバルはそこで間を空けて大きく息を吸うと、

「俺たちをここで雇ってくれ!!」

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 その日から早五日が経過した。

 時刻は夜――すでに太陽は西の空の彼方へ沈み、空にはやや上弦の欠けた月がかかる頃にスバルと士は同じ部屋に居た。

「……来ねえな」

「そう慌てるな。まだ夜明けまで時間はある」

 体感的に今は深夜1時くらいだろう。すでに屋敷の奴らは全員寝ている。つまり襲撃にはベストなタイミングだ。

 その時間に緊張感の欠片もなく気持ちよく寝ていたスバルを叩き起こし、今は二人で見張りをしている、というわけだ。こいつは雑魚だが俺がいれば大抵の奴らは何とかなるからな。

「……なあ。士はこの世界に来る前にどんな仕事をしてたんだ?」

「さぁな。もう覚えてない俺が通りすがった世界の数俺の仕事はあるわけだからな」

 そのセリフを聞いた途端スバルの口があんぐりと空き、次の時にはキラキラとした目つきでこちらを見ていた。

「おいおいそれってどういう意味だよ!何だ通りすがった世界って。中二病なりかけの俺にとっちゃ興味を惹かれないわけにはいかない!!」

「はぁ……今度教えてやるよ」

「約束だかんな!」

 興奮状態のスバルをひとまず抑え、見張りを再開して十分ほど立ったころだろうか。

「…………」

「おいどうした。さっきからそわそわして」

 いきなり不審な動きを開始するスバル。股間に手をあてもじもじしてしきりにドアの方をチラチラとみている。

 ……まさか……。

「トイレに行きたいとか言うんじゃないだろうな……」

「な、なぜ分かった」

「……バカ。とっとと行ってこい。居るのが俺なら対処はできるからな」

「恩に着る!うう、トイレトイレ」

 全く……。ドアを開け、ダッシュで用を足しに走る音がここまで聞こえてくる。どんだけ我慢してたんだ、あいつ。

 そう思いながら闇夜に目を凝らし、スバルの帰りを待っていた時だった。

 スバルの悲鳴が聞こえたのは。

「ッ!!」

 瞬間、士の体は弾けるようにドアを開け、廊下に飛び出していた。

 そこに立っていたのは――

「お前だったのか……レム!!」

 尻もちをついて怯えているスバルと、凶器、モーニングスターを手に持っているレムだった、

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「な……んでレム」

 スバルは怯えながらも必死になってレムに質問をする。

「ロズワール様の邪魔になるものは排除します。それがレムの役目です」

「そ……んな。……ロズワールはこのこと知ってんのかよ……?」

「お答えする必要はありません」

「…………」

 最後の一言を聞き、スバルは黙って下を向いてしまう。完全に戦意を喪失してしまったようだ。

 もしこれがロズワールの命令だとしたらこれほどまでに絶望していないだろう。

 しかしこれはレムの独断。多少とはいえ、確かに「友情」が芽生えていたと確信していた相手の裏切りなのだ。

「では……抵抗はしないでくださいね?」

 鎖のジャラジャラという音を鳴らし、モーニングスターを構えるレム。元々攻撃力の高い刺鉄球にレムの力が加わり、触れたもの全てを破壊するような攻撃が放たれる。

「スバル!!」

 スバルの体を両手に持ちとっさに横っ飛び。何とかスバルの半身がえぐられるのを防ぐ。

「スバル逃げろ!」

「クソ……クソ!!」

 最後まで恨めしそうにレムの顔を見て、スバルは走り去っていった。

「邪魔をしないでください。殺しますよ?」

「……やるしかないみたいだな……」

(ガシャン)

「変身!」

(KAMENRIDE DECADE!!)

「行くぞ!」

「ディケイド……!?……どうやらあなたも殺さなくてはならないようですね……」

「お前も俺を憎んでんのか。人気者は困るな!」

「死んでください」

 先ほどの比ではないほどのスピードで鉄球が放たれる。

「おっと」

 空気を切り裂き顔の横を鉄球が掠める。

「危ないな。ったく」

「『ウルヒューマ』」

 間髪入れずに魔法を発動させ氷のつぶてを士に向け飛ばす。

「っく……がっ!!」

 ほとんどをライドブッカーではじき返すが、その内の一発が士に命中。火花が散り、体が吹き飛ばされる。

「あまり時間もありません。そろそろ終わりにしましょう」

「っく……こええ女だな。鬼みたいなお前にはこいつがお似合いだ!」

 そう言って新たなカードをライドブッカーから取り出す。

「……さっきから何なんですかそれ」

「ただのカードだ」

 そのカードに書かれているのは仮面ライダー電王。

(KAMEMRIDE DENOU!)

「俺参上っと」

「姿が……変わった?」

「第二ラウンドと行こうぜ!!」

 デンガッシャーを構え、レムに向かって走り出す。

「おらっ!!」

「単純な攻撃ですね。そんなのでは私は倒せませんよ」

 身軽な動きで士を翻弄。複数回の斬撃をいともたやすくかわし、攻撃の体制に素早く移る。

「えい!!」

 可愛い掛け声と共に拳を突き出し一撃。それを士がデンガッシャーで受け止めると――

「おわっ!? 折れたぁ!?」

 そのパンチを喰らった部分からポッキリと半分に折れてしまっている。

 可愛い掛け声とは裏腹に、その一撃は恐らく骨を砕くほど重いだろう。

「だったら……」

 そう言って士が次の手を打とうとしたところで――

「なっ……!」

 空間がぐにゃりと歪み意識を強制的に消され、その勝負は永遠に中断された。

 

 




「…よーし、なんだか…分かんないけど、俺も!」
「だあああ〜!!」
ドタドタドタ(足音)
「やあっ!!」
バキンッ!!
「おわっ!? 折れたぁ!?」

かなーり説明回に時間を割いたため、王選候補者一人ずつの自己紹介はダイジェストみたいな感じでよろしいでしょうか?

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