Re:ゼロから始める世界の破壊者   作:muryoku

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第十二話決意

「……」

 一瞬にして目覚めが訪れる。

 窓から光が差し込み、それが士のまぶたを照らしている。

「……どうなってんだ……」

 ついさっきまで俺はレムと戦っていたはずなのだ。しかし今士が居るのは自分の部屋のベッドの上。さらには先ほどまで深夜だったのにいきなり朝になっている。

 これらを足して考えると浮かび上がるのはただ一つ。

「……また時間が戻ったのか……」

 その最悪の事実を認めざるを得なかったのだ。

「ッチ……」

 記憶が呼び戻されそれを思い出すたびに士の気分が悪くなっていく。

 レムが俺達を殺そうとした。その事実は永久に捻じ曲げることができないからだ。

 今までのどんな目覚めより最悪な気分で起こされた今日。それは士だけではなく――

 

「ッ!!」

 一緒にその光景を目の当たりにしたナツキ・スバルもその一人のなのだ。

 嫌だ。嫌だ。

 思い出したくない。

 あの時のレムの目を。あの時の鎖の音を。あの時の言葉を。

「「どうかされましたか?お客様」」

「ッ!!!!!」

 スバルの目の前に居るのはレムとラム。不安げな目でスバルを見ている。

 やめろ。やめろ。来るな。来るな!近づくな。殺される。殺される!!

「はぁはぁはぁ……」

 自然と呼吸が荒くなり、それと比例してどんどん記憶が掘り返される。

(ロズワール様の邪魔になるものは排除します。それがレムの役目です)

 ノイズのようなものと共にその声が脳内で再生される。

 何度も何度も何度も何度も繰り返される。

「「大丈夫ですか?お客様」」

(そ……んな。……ロズワールはこのこと知ってんのかよ……?)

 その次に聞こえてきたのは自分の声。

 必死の思いで、殺される覚悟でした質問。

(お答えする必要はありません)

 その声が聞こえた瞬間に、スバルはレムに殴りかかっていた。

「「……落ち着きましたか?お客様」」

「はっ……」

 その攻撃はやんわりと受け止められその拳と、もう片方の腕が優しい感覚に包まれているのが分かった。

 手を握ってくれているのだ。

「……ごめん」

「大丈夫ですよお客様」

 その言葉と共にレムがささやかな笑みを浮かべた。

 可愛い顔だった。全てを許せそうな――慈愛に満ちた顔だった。

「……悪い。一人にさせてくれないか?」

「「はい分かりました」」

 最後まで見事なステレオボイスを披露し、双子たちは去っていった。

「……あれも全部演技なのかよ……」

 複雑な気持ちだった。

 今スバルの中にはどうして、という気持ちと、悲しい気持ちでいっぱいだった。

「……あれもどれもこれも全部演技だってのかよ!!」

 レムと一緒に過ごした一周目と二周目が思い出される。

 辛辣な対応ながらも、そこには明らかに「友情」が芽生えてるはずだった。

 しかしそれはスバルの勝手な思い込みだったのだ。レムはスバルのことなど邪魔としか思っていなかったのだ。

「…………チクショウ……チクショウ!!!」

 今の微笑みだって手の温もりだって全ては「演技」でしかないのだ。

「全部嘘だったのか……全部嘘だったのか!!」

 いや違う。スバルは確かに過ごしたのだ。五日間の日々を二回も。それは嘘ではない。

「……そうだ。……士は。……士はどう思ってるんだ?」

 ふと疑問に思ったのだ。士はこの二回目の五日間を全て嘘だと思っているのか否か。

 重すぎる足取りと絶望の表情を浮かべながらスバルは隣の士の部屋にたどり着いた。

「スバルか……」

「なぁ士……俺達あの五日間を一緒に過ごしたよな?」

 当たり前すぎる質問。傍から見たら頭がおかしいと思われるかもしれない。しかし士はいつものようにバカにすることはなかった。まじめな顔でスバルを見ていた。

「ああ……」

「じゃあ……答えてくれ。お前はあの五日間を嘘だと思うか?」

「…………嘘だろ。事実じゃなくなってしまってるんだからな……」

「……やっぱそうか……」

 次の瞬間スバルの目からは涙が滝のように溢れていた。

「クソ……クソ……クソ……クソ」

「……スバル……」

 感情が制御できない。

 一度爆発したそれは堰を切ったように溢れ出し、微笑の仮面をかぶった臆病者の顔を涙で盛大に汚していく。

 涙が止まらない。鼻水が垂れてくる。口の中にわけのわからない液体が溢れ返り、嗚咽まじりのスバルの泣き声をさらに聞き苦しいものへと変える。

「いつまでも未来(・・・)にこだわるのはやめろ」

「……え?」

「確かに裏切られたのは俺だって悲しい。だけどな、だからと言って泣いてばかりいるのは違う。今の俺達にとってはこの出来事は未来なんだ」

 士はそこで一旦言葉を区切り、部屋中に響く声で、

「未来ならこれから変えられる。そのためには」

「……行動しろってことか?」

「それしかないだろ」

 滅茶苦茶な理論だ。そんなことができればもうとっくにやっている。

 しかしそういう士の目は真剣で――どこか懐かしく思うような目だった。

「……分かった」

 涙を拭い震える足を叩き、立ち上がる。

「そうだよな。泣いたってどうにもなりゃしねぇ……。俺は今の俺にできることをやんなきゃな!!」

 そうだ。何故俺は泣いてたんだ。

 確かに俺達はレムに裏切られた。だけど今の俺達にとっちゃそれは未来なんだ。だったら――

「三度目の正直を起こしに行こうぜ!!士!!」

「ああ!」

 その時のスバルの表情は、どこか明るいものに変わっていた。

 もちろんそれがカラ元気であることは士にもスバル自身にも分かっていた。

 それでも俺達はドアを開け、食堂に向かっていった。

 ――運命に抗うために。

 

 




なんか微妙なとこあったら教えてください。
あと懐かしく思うような目って言うのは士自身も裏切られたことが過去に何度もあったので、それと照らし合わせてスバルを見てる。って解釈です。

かなーり説明回に時間を割いたため、王選候補者一人ずつの自己紹介はダイジェストみたいな感じでよろしいでしょうか?

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