Re:ゼロから始める世界の破壊者   作:muryoku

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第三章、開幕です。
ここから結構オリジナル展開が増えてきます。アナザーライダーもかなり増えます。
お楽しみに!


第三章
第一話 謎の使者たちと友人との再会


「なぁ、士。あれ何だか分かるか?」

 スバルのこじつけ誕生日から約二週間ほど。

 結局あの後、スバルがラムとパックに殺されることは無かった。

 だが、朝の光が差し込んできたころにレムとエミリアがスバルより速く目を覚まし、お互いに状況を理解して、耳まで茹でダコよりも真っ赤に染まって、レムはそのまま気絶し、エミリアはスバルを正座させ説教を開始した。

 そこにパックとラムが乱入。スバルの襟を掴み氷の槍で脅し、何もしてないんだろうなと割とマジな顔で迫られた。

 幸いにもロズワールと士の仲介により事なきを得たが、あのまま行けばもしかするとスバルは殺されていたかもしれない。

 それから数日間は屋敷のメンバー全員からの視線が厳しいものになったのを感じながらいそいそと働くことになったのは、言うまでもないだろう。

 そして何事もなく日にちは過ぎいったが、今日は何かアクションが起ったようだ。

 面倒なことじゃなければいいがと考えながら、窓の外を指さしているスバルの元へと向かいその方向を見てみると、何か馬車のようなものが正門の扉の前に停まっていた。

 そこには二人と同じような使用人の服を着ている白髪の老人と、銀髪の美しい少女の姿があった。

「俺が分かるわけないだろ。まぁ予想するとするなら……王様選びの関係者だとか、そんな感じの所だろ」

「あー。はいはい、なるほどね」

 スバルはこの時まですっかり忘れていたようだが、ああ見えてもエミリアは一応、次の王様の候補なのだ。そのため、この国のお偉いさん方たちが訪問して来たって何ら不思議ではない。

「うーし!じゃ、士。俺あそこまで行ってくっから、後の仕事よろしくな―」

「は!?おい、待ちやがれスバル!」

 行動の方針を練り、悪だくみに頬を歪めるスバルの足が動き出す。

 向かう先は厨房――そこで、温かい茶を入れることから始めよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずーっと表で待ってるのも退屈しません? 一服いかがッスか」

 御者台に腰掛けていた老人は、そう言ってお盆を手に戻ってきたスバルを見下ろし、驚いたように軽く目を見開いていた。

 場所は屋敷の外、正門前に止められた竜車のすぐ傍らだ。

 どうやら好都合なことに丁度エミリアとは入れ違いになったらしい。

 相変わらず見慣れないトカゲの巨体に若干ビビりつつ、茶を差し出すスバルは驚き顔の老紳士を半笑いで見上げている。と、

「おい、何勝手にやってんだ」

「イダダダダダ!痛い、士、痛い!」

「お前が仕事をほっぽり出すのが行けないんだろうが。ほら、とっとと戻るぞ」

 スバルの耳を千切れるほどに引っ張りながら屋敷内に帰ろうとしたとき、後ろから突如として、

「もしかして、そこにいるのは士、君かい?」

 と士には聞き覚えのある声が聞こえてきた。が、その引き留める声を無視し、スバルを引きずっていく。

「つ、士!呼んでる、誰かが呼んでるって!」

「あんなムカつく声をした奴なんざ俺は知らん。行くぞ」

「待ちたまえ、士」

 竜車の中から軽やかに御者台からひらりと地面の上へ舞い降りる男の姿。

 かなり高い場所から降りるというのに、着地の音は全くスバルの耳の中に入ってこない。

 そしてその男の正体は――。

「海東……」

「久しぶりだね。士」

 屋敷の門の前で出てきたのは、士の親友であり、仲間。そして最大の敵でもある海東大樹だった。

 しかし、いつもの海東とは、決定的に違う点があった。

「……ぷっ。アッハッハッハ!海東、何だお前、その格好は!」

 煌びやかな装飾が施された制服。龍の意匠があしらわれた制服に袖を通し、腰にはレイピアを下げている。

 着る人が着る人ならば一級品の格好良さを放つ代物であり、海東はそれを確かに着こなしている。だが普段の海東のイメージからは想像の出来ないような服の為、士にとっては笑いの種でしかないのだ。

「ああ、これのことかい?似合っているだろう。僕の格好良さならば、どんな服でも着こなすことができるからね」

「冗談キツいぜ、海東。お前が、その格好……アッハッハ!」

「士の方こそ、だいぶお似合いの服を着ているじゃないか。さしずめ、シンデレラと言ったところかな?」

「ほざけ。俺はお前と違って似合わない服なんて物は無いんだよ」

 互いに笑いあいながらも、その間にはバチバチと火花が散っているのが見える。仲がいいのか悪いのか。一目見ただけのスバルには、二人の関係がよく分からなかった。

「随分と仲がいいようですな、カイトウ殿」

 後ろにいる白髪の老人が、その無益な争いを止めようとしたのか、片方の男、海東へと話題を振る。

「ああ、昔からの知り合いなんだ」

 そんな海東の言葉を聞き、スバルはふと疑問を浮かべる。

 士はこの世界から見れば異世界人。そしてこの謎の男は、そんな士と知り合いだと言った。それも昔からの。

 これらから導き出される結論は、

「え?ってことはこの人も……」

「非常に不愉快だが、こいつも俺たちと同郷、日本生まれってことでいい」

 ぼやかしたような回答に多少もやっとしたような感覚を覚えるが、とにかくこの男も異世界に迷い込んでしまったのだと予想する。

「ん?もしかしてキミも、違う世界から来た人かい?」

「あ、ああ。俺の名前は菜月昴!この屋敷の主人に仕え、士と同僚の相棒だ!以後よろしく!」

「……士。こんな子供と一緒に働いてるのかい?」

「うぉい!海東、さん?いきなりは子供扱いは酷いだろ!士!ビシっと言ってやってくれ!」

「俺もこんな奴と働きたくて働いてるわけじゃない。成り行き上そうなっただけだ」

「おい!」

 味方がだれ一人としていないこの状況に怒りを覚えながら

「それにしても士。不愉快とは酷いじゃないか。随分と長いこと一緒に旅を続けているというのに」

「お前が一方的に俺の後を付けて、押し掛けてきてるだけだろ」

「え?それってストーカー……」

「言いがかりはよしてくれ、少年くん。そんな不名誉なものと僕を一緒にしないでくれたまえ」

 そこだけはなぜか怒気を多少孕んだ声で否定する。本当の悪人は自分の罪を意識していないと言うが、恐らく海東がそこに位置しているのだろう。スバルはそんなことを感じていた。

「にしても、お前が騎士をやってるなんて、珍しいじゃないか。頭でも打ち抜かれて再改造でもされたのか?」

「士みたいに成り行き上そうなってしまっただけさ。ちなみに、僕は騎士団の中ではトップクラスに強いよ。当然だけどね」

 そう言いながら、先ほどの一言から黙ってそこに立っている老人を指さし、士とスバルへと挨拶をするように促す。

「申し遅れました。私、クルシュ様に従っております、ヴィルヘルムというものです」

「で、ヴィルヘルム。お前らは何の用事があってここに来たんだ?」

「王選の開始をするために、エミリアとかいう半魔の女の子に報告をしに、ね」

 お前には聞いてないと、士が冷たくあしらうが、長年の士の態度に慣れているせいか海東は不敵な笑みを浮かべながら話を続ける。

「それと、ナツキ・スバル。君を治療してくれという依頼をついでに受けに来たのさ」

「えっ?ってことは……フェリックスって奴の所に行くのか?」

 忘れもしない魔獣討伐の翌日。レムから聞いたその名前はスバルの記憶の片隅に残っている。

 怖い人じゃなければいいな、などと魔獣たちの群れから帰ってきたときと同じ考えをしている内に両開きの扉の向こうから姿を見せたのは、見慣れた青髪のメイド。そして、彼女を伴う見知らぬ人物だ。

「ほぇー。あんな感じのファンタジーの住人初めて見たぜ」

 そんな反応をしたのも、その人物の容姿がスバルからすればかなり異質なものだったからだろう。

 亜麻色の髪をセミロングで切り揃えた、愛らしい顔立ちの少女。ここまで書けば普通の女性のように思われる。その頭の上にぴょこぴょこ動いている猫耳さえなければの話だが。

「カイトウきゅん、お待たせ―」

「フェリス、その呼び方は止めてくれと言っているはずだよ」

「えー。だってカイトウきゅんはカイトウきゅんじゃん。それ以外に呼び方思いつかないし」

「普通に海東と呼んでくれ。不愉快だ」

「はいはい。素直じゃないんだから」

 海東の表情からは、じゃれつくのが嫌だからだとか面倒だからとかそういうものではなく、何かもっと生理的にその呼び名を嫌っているように見える。

「ヴィル爺もゴメンねー。待たせちゃって」

「いえ、少しの間この二人と話していましたので」

「ふみゅ?」

 先ほどまでのやり取りをそう飾るヴィルヘルムの言葉に、少女が自分の頬に指を立てながら鋭敏に反応。士とスバルの全身を隅々まで観察する。

「ふっ。そんなに見られてたら恥ずかしいぜ」

「あーなるほど。君が治療をして欲しいって言ってた子ねー。なるほどなるほど」

 するといきなりスバルの左腕に自身の腕を絡め、子供の頭を触るように優しく撫でる。そのいやらしい手つきに全身がゾワゾワと震える。身長がほとんど同じなだけに、抱き着く彼女の顔はスバルのすぐ真横。

「う、え、え!?」

「動かない。今、ちょっと調べてるから。……あー、こりゃ大変だ。何とかしてあげたいけどねー。今は無理かにゃー」

 心臓がうるさく鳴り、一気に頬が紅潮しだす。このままではマズイ。誰かに助けを求めようと周囲をぐるりと見渡しそこで士と視線が合うが、

「エミリアに言いつけるぞ」

「やめてくれー!」

 放たれた無慈悲な弾丸の効果は絶大なようだ。スバルの力が突然強くなり、少女の肩を掴んで遠ざける。むしろそのあとに尻餅をついたのは、よろよろと後ろに下がったスバルの方である。

「ねぇ士!俺とお前って仲間だよね!最近なんか冷たくない!?何回も夜を共に過ごしたって言うのに!」

「……何?」

「適当なこと言うな。海東もそれに反応しなくていい」

 心なしかスバルと士に向けられる視線が冷たくなった、いや、一歩引いたように感じる。スバルの投下した爆弾も、効果をかなり放っているようだった。

「まぁいいや。それじゃ、早く愛しのクルシュ様のところへ戻りましょ、ヴィル爺。カイトウきゅん。あんまり長く空けてると、なにをされるかわからないお方だから」

「確かにね。じゃあ士、また今度、次は王都になるのかな?そこで会おう」

「まだ聞きたいことが山ほどあるんだが」

「それも今度、キチンと話してあげるよ。じゃあ行こうか、ヴィルヘルム」

 てきぱきと方針を伝える海東に、ヴィルヘルムは言葉少なに従う。

 最後にスバルに一礼すると、空になったカップを地に落ちていたお盆の上に戻して、

「ご馳走様でした。では、これで」

「それじゃ、ご挨拶もまだだけど、私も忙しいからごめんネ」

 それだけ言って竜車の中へと入りトカゲの嘶きと共に出発する。

 その姿が遠くに行き見えなくなるのは、それから数分後の事だった。

 

 

 

 

「やるべきことはちゃんとやってきたのかい?」

「もう。心配性だな、カイトウきゅんは。ちゃーんとやってきましたよー」

 竜車を操る御者台にて、その会話は交わされている。

 御者台に座り、トカゲを難なく操っているヴィルヘルム。その彼のすぐ背後、トカゲの引く個室の窓から亜麻色の髪の少女が顔を外に出し、海東が座って会話をしている形だ。

「にしても意外だったかな。カイトウきゅんがあんなに楽しそうに話しているなんて。カイトウきゅんって他人大嫌いでしょー」

「彼とは他人ではないからね。仲間、というのが一番いい表現かな」

 即座の否定の言葉に少女は少しだけ語気を強め、

「カイトウきゅんはスパイって訳ではないんだよね?」

「……ああ、なるほど。だからさっきから視線が少々強かったんだね。別に、仲間ではあるがそういう訳ではないさ。今はちゃんと、クルシュさんの付き人だよ」

「ふーん。ならいいんだけどねー」

「フェリスは僕を疑っているのかい?」

「別に?ただ、ちょーっと思ってみたから言っただけだよ」

 少々拗ねているような態度の猫耳の少女は、海東からヴィルヘルムに視線を移し、

「ヴィル爺も、他人と話してるなんて珍しいじゃない。あの二人に何か特別なものでも見出したの?」

「そうですね。カイトウ殿とお知り合いの方からは、確かに特別な才能の片鱗を感じ取りました。恐らく、剣に十年ほどの歳月を費やせば、私よりも遥かに強くなるでしょうな」

「へー、凄い強いじゃない。で?もう一人の子からは?」

「彼からは何も特別なものは感じませんでした。毛も生えていない素人です。才能も特にありはしませんね。あの二人では天と地ほどの差があります。ただ――目が」

「目?」

 問い返す少女の声に顎を引き、ヴィルヘルムはただ思い返すように視線を上げ、

「あの二人に共通する、目が気になったのです。あれは、何度か死域に踏み込んだものの目です。あのように何度も死域から舞い戻った人間を私は知りません。それ故にでしょうな」

「それは当然さ」

 二人の会話に割って入ってくる海東。それはどこか遠くを見るような目で、

「彼は、門矢士は、僕が唯一認めている人間だからね」

 

 

 

かなーり説明回に時間を割いたため、王選候補者一人ずつの自己紹介はダイジェストみたいな感じでよろしいでしょうか?

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