Re:ゼロから始める世界の破壊者   作:muryoku

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デデン、デン、デデン!(~♪)
やーみーの、なーかー。みーつめーてーる。

どうも!お気に入り登録数見てみたら二百人超えてるじゃないですか!やたー!
これからも投稿は続けていきますので、よろしくお願いいたします!
よーし、ご褒美として真骨彫の電王を買っちゃうぞー!


第二話 不穏な影

 海東と会った日から翌日。

 どうやら二人の知らない所で話は勝手に進められていたようで、スバルと士は王都へと療養のため王選の関係者、この場合だとエミリアとロズワールと一緒に旅行に行くことになってしまった。

 昨日海東たちが帰った後に突如告げられた旅の出発宣言に、何で俺が……。と士は悪態をついていたが、ロズワール曰く『スバル君がなぁーにをするか分からないからぁーね。二人には見張りをしてもらぁいたいんだ』とのことだった。

 と、言われた本人はロズワールに物凄く怒っていたが、青髪のメイドとマゼンタ色の使用人は、それを当然の判断だと頷き、結局ロズワール邸の中でラムを除く全員が王都に行くことになったのだ。

 ちなみにラムが行かない理由は、『面倒だから』らしい。ラムらしい理由である。

「さぁ、行くぞー!」

「恥ずかしいからジッとしてろ」

 まるで遠足に行く子供のように両手を挙げて叫ぶスバルを、いつものように軽く頭を小突いてなだめる士。

 しかしスバルのテンションはそんなことでは収まらず、ロズワール邸の正門に停まっている竜車のすぐ近くへと走って行ってしまう。

 緑色の固い肌に触り、黄色い複眼と目が合う。何回も見たことはあるものの、触ることはできていなかったため、男の子としてのスバルのテンションが最高潮になっているのだ。

 そして少しの間、竜に厄介者扱いされているように見えなくもないが、しつようなアタックを繰り返した後、突然背中を少し折り曲げ、右足を少し上げ右の手で目の前に置いてある竜車を指さし、

「安全確認、ヨシ!」

「全く、本当に子供みたいね」

 その姿を眺めながら、唇をゆるめるエミリアは呆れたような吐息。彼女は自分の隣に控えるレムに同意を求めるように肩をすくめる。が、

「あんな風に子供みたいに騒ぐスバル君も可愛いです……」

「うーん……可愛いかもしれないけれど……」

「うひょー!やべぇ、カッケエェ!そうだ!ガラケーで写真撮らなきゃ……。ハイ、チーぶべらぁ!」

 うなりを上げて旋回するトカゲの尾がしなり、スバルの肩あたりを思い切り殴りつける。威力に体の軸がぶれ、残像を生みそうな速度でスバルが飛ぶ。

 その先にいるのはレムとエミリアという二人の天使。そこへと弾丸と化したスバルの体が向かう。

 しかしエミリアに着弾する前にレムと士が割り込んで勢いをストップさせる。

 そして前に進むスピードが消えたことにより、重力に逆らうことができなくなったためスバルの体が硬い地面に叩きつけられる。

「ったく、落ち着けって言ってるだろ」

「スバル君は可愛いですが、少し騒ぎすぎですよ」

「すいま……せん……。……ってか痛ってぇ!」

「はいはい。今治療してあげますよ」

 地面に付いたときに鳴った鈍い音と痛がるスバルの様子を見かねて、多少その行動を咎めながらも慈悲の心で治療を施すレムの姿は、まるで聖母のようだ。

「スバルくん。地竜はとても賢い生き物で、言葉は通じなくても大体の意思が通じます。だから扱いに関しても丁寧にしないとダメですよ」

「結構丁寧に触ってたと思うんですけど……。もしかして写真撮られるのダメなタイプ?」

 本当に意志が通じているのか、スバルが竜の目を見て質問を投げつけると、それにYESと答えるかのように、ブルルと鼻息を鳴らした。

「はい、治りましたよ。これから治療をしに行くんですから、怪我しないようにしてくださいね」

「分かりましたよ。……ってかロズワールは?あいつ遅くね?」

「誰か呼んだかーな?」

「ウェ!?」

 耳元にかかる気持ちの悪い吐息を受け、素っ頓狂な声と共にスバルの地面に付いていた体が跳ねる。

 慌てて飛びあがったため、体勢が崩れまたもや地面に頭を打ちそうになるが、レムが体を支えてくれたおかげで、何とか転ぶことは回避できた。

 いつの間にやら屋敷の主人、ロズワールはスバルの真後ろに立っていたのだ。

「何すんだ、気持ちわりぃ!転んで頭打って頭蓋骨粉砕したらどーすんだよ!」

 指を指し、唾をまき散らしながらロズワールへと叫ぶスバルの様子を見て、少しの微笑を浮かべながら、

「スバル君は本当にいい反応をしてくれぇーるね。ビクン!って跳ねてたーよ」

「ちょっとその言い方やめてくれる!?俺の尊厳に関わりそうだから!」

 子供のようなスバルとロズワールが口論を始めた頃、士はある人物の姿を探していた。

「……あのロリは来てくれない、か」

 結局、ベアトリスは士に回答を返すことも、襲撃してくることもなかった。屋敷を当分離れる今だからこそ、答えを聞いておきたかったのだが、この場にはあのクリーム色の髪の少女はいなかった。この場には。

「お」

 ほんのちょっぴりだけ開いた扉の陰、こっそりとこちらを眺めていたドレスの人物と目が合った。

 相手は士が気付いたことに一瞬だけたじろいだが、開き直ったかのようにスニーキングを続行させていた。

『お前に伝えたいことは、帰ってきたら教えてやるよ』

 と、そんな負けず嫌いな少女に思いを込めてジェスチャー。

 それだけ見ると、少女はしっしとでも言うように手を振って、屋敷の中へと消えていった。その頬が少しだけ上がっていたのは、触れないでおいてやろう。

「ん?どうしたんだ?士」

「別に、挨拶をあのロリにしてやっただけだ」

「スバル、ツカサー。速く乗ってー」

 振り返ると、竜車の客室から身を乗り出すエミリアがこちらを見下ろしていた。気付かぬうちに乗り込み始まっていたらしく、すでに出発組で地べたに足をつけているのは二人のみ。士は持ち前の運動能力の高さで素早く乗り込み、慌てて、スバルも客室の戸に手を伸ばし、不格好に乗り込んだ。

「よーし!行くゾー!」

「車内で騒ぐな。少しは落ち着け」

 喉元過ぎれば熱さを忘れると言うが、その言葉はスバルのために作られたらしい。

 そんなことを思いながらスバルを見る士の表情は、なぜだか少し曇っていた。

 元々士は、この旅にそこまで乗り気という訳ではないのだ。屋敷のメンバーを全員連れて行けばいいというのに、ロズワールはなぜかラムだけを置いて行くことにした。

 当然普通に考えれば、士がラムに質問した際の面倒くさいから。というのが理由になる。しかし、士はその時、ラムの視線が一瞬だけ泳ぐのを、確かに確認したのだ。

 以前も二人は夜に会って二人の監視について報告をしたりしていた。そのため、ほんの少しではあるが、士はラムを警戒していた。

 なぜか、なぜだか分からない。分からないのだが、士の胸の中はそれらが点ではなく、線として結びつき、嫌な予感を発生させその感情で埋め尽くしていた。

 そしてその士の考えはベクトルは多少違うものの、本当に最悪なことに、見事に的中し、そして今も実行されていたのだ。

「……あいつらが王都に向かい始めた、俺も王都に向かう。引き続き監視と定期連絡を行う」

 その証拠として、誰にも見えないように森の中であの黒いフードの男が、密談をしているのだから。

 

 

 

 

 その後、車内ではしゃぎ過ぎたスバルが外に吹き飛ばされそうになったのを、レムがモーニングスターを使って物凄い精度で助けたり、途中スバルが死にかけていたため下車をして、少し早めの昼飯を食べたりしながら、竜車に乗ること約四時間ほどでようやく王都に到着した。

 マシンディケイダーで来たときは約一時間で着いたためか、士には移動がかなり長く感じられたようで欠伸をかいていた。少々眠たいらしい。

「確かこの辺りに……お!あったあった!」

 そして現在。眠そうな士の腕を引っ張り、二人は『二度』通った道を歩いてき、ある店へと向かっていた。

 そうして店先で棒立ちしている二人に、店の中で作業をしていた店主が気付いた。振り返り、こちらに視線を向けてくる男性、あの人相の悪い果物屋の店主だ。

「へい、らっしゃ……あー!テメェは仕事ほっぽり出して逃げだしたガキと偽金渡してきたガキじゃねえか!」

「ちょいちょい、そんな怒鳴んないでって」

「何度も言ってやるが、俺は二十歳だ。ガキじゃない」

「お前らどんだけ失礼なガキなんだ」

 ちなみにスバルがここに来た理由は、士の尻拭いをするためらしい。どうやら士はここの従業員だったらしく、スバルとエミリアを助けるために仕事を放棄して来てくれたのだとか。

 そのため、スバルはほんの少しだけ罪悪感を抱いていたという。

 なぜ士があそこで働いていたのかの説明をしたが、スバルは変なところで義理堅かった。エミリアから少々の自由時間を頂いて、士を引っ張ってここまで来たというのが今の状況だ。

「すまねぇなオッチャン。今日は士が仕事ほっぽり出した分、買い物しに来たんだよ」

「おお、そういう事か。中々義理堅いじゃねえか。んじゃ、特別にリンガ一個で銅貨二枚のところを、リンガ五個で銅貨六枚にしてやるよ。その代わり……たくさん買ってくれんだろうな?」

「当然よ。今の俺はしっかりとした使用人として働いて、給料も出てるからな!」

 ビシッと本人は決めたつもりなのだろうが、実のところスバルは全くという訳ではないが、屋敷内で役に立っている訳でもないため、同期のはずの士と給料の差が三倍ほど付いているのだ。

 とはいえ、あの時の魔獣退治の臨時収入なども多々あるため、二人は今結構な金持ちになっているのだ。

「じゃ、リンガを十二個くれ。銀貨一枚と銅貨二枚でいいか?」

「うんにゃ。今は銀貨一枚で銅貨九枚分だから銅貨は三枚頂かねえとな」

「おけおけ」

 ぱっぱと革袋を出してその中から貨幣を手に取り、それを店主へと手渡すスバル。それに対して店主は憮然と押し黙り、その反応を訝しみながらスバルは首を傾げる。

「兄ちゃん、騙されやすすぎだぜ?交換率の変動は市場の入口、そこの立て看板に書いてあんだ。それも見ないでのこのこやってきて……性質の悪い商人に食い物にされんぞ」

「え?マジ?」

 素直というより危うげなものでも見るような店主の忠告に、スバルは少しだけ頷く。日本とは全く環境も何もかも違うのだから、そこら辺も違うのも当たり前の事だろう。 

「オッチャンいい人だな。じゃ、その余分な銅貨は情報代ってことで受け取っといてくれ」

「そういう兄ちゃんも大概だな。ありがたく受け取っとくぜ」

 スバルは手渡されたリンガの袋を抱え、店の前から離れる。

「あんがとよ、おっちゃん。縁があったらまた会おうぜ」

「次も買い物してくれんなら歓迎だ。せいぜい、用心深く生きろよ」

 おう、とスバルは言おうとしたのか。それとも違う言葉を言おうとしたのか。それは士には分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なぜなら、突如道の奥の方にある日本で言う三階建てほどの建物が、突如真ん中から切断され、崩れ落ちてきたからだ。

「――え」

「ッチ!」

 スバルが言葉を漏らす前に、士の足は動いていた。

 変身する暇はない。街の人々の命が優先だ。持ち前の脚力ですぐに五メートルほど先の現場に到着し、瓦礫の着弾地点にいる人々を掴まえて投げることにより、回避させる。

 四人ほど救った後、子供が小さい瓦礫に足を挟まれているのを見つけた。

 しかしその子を救う前に、ひときわ大きな瓦礫が落ちてきてしまった。さすがの士でも、あの子を助け出すのはかなり難しい。その子に必死で手を伸ばすが、無慈悲に頭上に迫る瓦礫に子供が圧し潰されそうになる瞬間、

「フン!」

 突如として現れた長身の青年が手に持っているレイピアを使い瓦礫を細切れにし、子供に当たらないようにすぐさま脇に抱きかかえてその場から離脱し、子供を地面に優しく置いて救助活動を再開させる。

 それを見た士もその場から離れると、建物の半分から上が全て崩れ落ち、地面に直撃。ものすごい音と共に砕け散った建物の欠片が吹き飛び、大量の土煙をあげ辺り一帯に風が吹いた。

 土煙が引いた後、何が起こったのか理解しきれていない人々たちが騒然とし始める。

 が、士と謎の青年が全ての人間を安全圏内まで連れて行っていたため、軽症者はチラホラと見えるが、幸いにも死者はいないように思える。

 そして周囲の人々の安全確認をした後、先ほど現れ子供を助けた青年を見やる。

 身長はスバルよりおよそ十センチばかり高く見えるので、大体百八十センチ前半。髪の色は青みのかかった紫で、海東と同じ洋服を着ていた。

「ありがとな。おかげで助かった」

「ああ、君もありがとう。私一人では全員を救うことはできなかった。感謝する」

 漠然とはしているが、少し話しただけでこの青年は自分自身が毛嫌いするタイプだと士は薄々勘づく。

 本来このようなタイプの人間と話すのは極力避けているのだが、聞きたいことがいくつかあったので仕方なく問いを投げかける。

「で、犯人らしき人物はいたのか?」

「いや、まだ見つけられてはいないが、じきに騒ぎを聞きつけた近衛騎士団の兵士たちが捜索を開始するはずだ。……と、ここまで話したところで、私からも一つだろうか」

「何だ?」

「君は何者だ?あの身のこなし、到底素人が成せるものではない。無論、ただの使用人にもね」

 士の着ている服を指さして、青年は少しばかり強い口調で今度は士に問う。

 怪しまれるのも当然だ。士の身体能力の高さは、訓練を行っていない一般人からすれば、ハッキリ言って異常というほかないのだから。

「あんまり立場を明かしたくはないんだが……王候補の内の一人の付き人、とでも言っておこう。お前も、服装で職業は分かっているが、名前は知らないんでな。教えてはくれないか?」

「ええ、もちろん。私の名前はユリウス・ユークリウス。巷では『最優』と呼ばれている近衛騎士団の団員の一人。よろしく、君の名前は……」

「門矢士だ、よろしくな」

 手を差し伸べるユリウスと名乗った青年に、士も手を差し伸べ握手をしていると、何やら考え込むような表情へとユリウスの顔が変化し、

「カドヤ……そうか、君がラインハルトの言っていた人物か」

「俺の事を知ってるのか?」

「噂程度ではあるが確かに聞いている。『腸狩り』からエミリア様を死守した騎士だ、と。……しかし、ラインハルトの話では、もう一人隣に人がいたらしいが……」

「おーい、士ー!無事かー!?」

 その声を聞いて士は振り向き、ユリウスは少し目を細めて声の主の方を見やる。リンガの入った袋を抱え、使用人の服のせいで窮屈そう足を動かしこちらに向かっているスバルの姿があった。

「ああ、こいつのおかげで何とか死者もいなさそうだ」

「そうか……よかった。でこの人誰?」

「もしかして、君も腸狩りと遭遇したという人物かい?」

「え?あ、ああ……俺の名前はナツキ・スバル!我が天使エミリアの下で働いている使用人だ!」

「私はユリウスと言う者だ。よろしく」

 先ほどの士のように手を差し伸べ両者の挨拶が終わると、今度はユリウスの後ろ側から何人もの足音が聞こえてくる。大量の兵士たちがこちらに向かってきているのだ。

 その先頭に立っていたのはほんの少し髪が青色に染まっている男、海東大樹だった。

 いつもの胡散臭い笑みでやぁ士、と話しかけてくる海東を、士はいつも通りの心底面倒くさそうな目で見ていた。

「ユリウス、被害の状況はどのくらいだい?」

「軽症者が十六名、重傷者が一名、幸いなことに死者は0だ」

「被害者は少ないな、分かった。皆は街に散って、怪しげな人物がいないか包囲網を作成してくれ。疑わしき人物がいた場合、すぐ騎士団に報告を頼む」

『ハッ!』と一斉に何十人もの兵士が海東の呼びかけに応じ、街へと無数に散っていく。

 海東が真面目に仕事をしている光景というのは、士にとっては控えめに言って違和感の固まりという他ない。海東の性根は誰がどう見ても腐りきっているものであり、『お宝の為なら何でもする』というのが海東大樹という人間なのだ。

 その海東が、自分の一番嫌いそうな騎士という職業で働いているのは、異常としか思えないのだ。

「また何かを企んでるんじゃないだろうな」

「心外だね。悪いが僕にも働く理由があるのさ」

「ほう、お前が働く理由なんて気になるな。聞かせてもらおうか」

「士もとっくに気づいてると思うが……なぜかオーロラカーテンを出現させることができないんだ」

 士もそこには疑問を感じていた。士は世界ごとに与えられた使命を遂行するまでは、決して世界から出ていこうとはしない。そのため、オーロラカーテンを使うことは時間や場所の移動くらいしかないのだ。

 しかしこの世界でオーロラカーテンを使えるのは、マシンディケイダーを出す時くらいで、当然異世界に渡ることもできない。

「それにこの世界では日本の貨幣が使えない。流石の僕でも食べ物無しで生きられるほど丈夫じゃない。だから」

「この世界で一般人が入れるであろう最も給料の高い仕事に成り行き上就けたから、できるだけ高い金を貰うために勤勉に働いている。というところか?」

「察しがよくて何よりだ。僕はこんな仕事は大嫌いだからね。騎士の誇りとかいうやつも、嫌々守ってるだけさ」

「それでいい。お前が善意でこの仕事をやってるなんて聞いたら、俺はお前をワームと断定してただろうからな」

 これで本人と断定できるのは嫌になるが、こうでなくては海東ではない。絶対に別の何かだ。

 と、二人の一見親しげに見えなくもない言い合いを傍観していたユリウスが海東の傍へと歩き、

「カイトウ、君はツカサと知り合いなのか?」

「ああ、仲間というやつだよ」

「何度も言わせるな、腐れ縁だ」

「そんな事よりも、士。君が王都へ来たのは、少年君とあの銀髪の王様候補のためじゃないのかい?こんなところで油を売っていて、いいのかな?」

 お得意のしたり顔でそう告げられ、商店に掛けられている時計を見やると、そろそろエミリアの下へ行かなければいけない時間になっていた。

 しかしこの場を放ってはおけないという士の思考を先読みしたかのように、

「後始末は僕たちの方でしておくよ。クルシュ様に会ったら、事情があって遅れるって伝えておいてくれ」

「そうか、なら頼む。じゃスバル。とっと行くぞ」

「え?ま、待ってくれよ士ー!」

 士に追いつく途中で落としたリンガを拾いながら、二人は駆け足で海東と見えない所まで走っていく。

「さて……僕たちも行こうか」

「ああ」

 必要最低限の会話をした後、二人もまたその場から飛びのいて他の騎士たちと共に犯人の捜索へと向かっていった。

 だが犯人が見つかることは無いと断言できてしまう。

 なぜなら、すでに犯人は怪物の姿からただの一般市民へと変貌し、紛れ込んでいるからだ。

 人目がこちらに向いていないことを確認し、大通りから逃れ裏路地を全力で走り、街外れの木の陰に隠れ黒いフードの中にある通信機を起動させる。

 鏡のような

『どうだ?奴は現れたか?』

「ああ、アンタの想像通りの反応だったよ。仕留めることはできなかったが、王選関係者が集まっている場所は突き止められそうだ」

『そうか、ご苦労。交渉の方はどうだ?』

「そっちも既に手配済みだよ。ちゃーんと条件を付けて、尾行をさせ……。少し待て」

 カサカサと葉が擦れる音と人の足音が聞こえ、一度通話を切って周囲の警戒へと注意を向ける。予想通り、音の主は騎士団の連中だった。

「おい、いたか?」

「いや、まだ見つからない。けどじきに見つかるだろ。王都を騎士団が百人以上で探してるんだからよ」

 すぐこんな所に来るとは予想外だったのか、男は少し焦りながら、しかし冷静に音を立ててしまわないように森の奥へと進んでいく。

 恐らく、すでに伝達が行き渡り、包囲網が完成しているのだろう。

 それに明日は王選が開始される日。それなりに警備も強固にされていたはず。ならばこの捜索の速さもうなずける。

「騎士サマたちはご苦労なこった。ま、結局無駄なんだけどな」

『おい、大丈夫か?』

 先ほどポケットの中にしまい込んだ手鏡のような通信用のミーティアから、通話先の男の声が聞こえてくる。かなりのスピードで逃げたため、恐らく兵士どもには見つかることは無いだろう。

 念のため死角になるように木の上に飛び乗って、通信を再開させる。

「ああ、ちっとばかし見つかりそうになっただけだ。これから少し迂回して、奴の様子を見てくる」

『了解だ。くれぐれも失敗はするなよ。一番のチャンスは明日なんだからな』

「分かってら。じゃ、一旦切るぜ」

 通話が終了しミーティアを半分に折り畳んだところで、謎の男はため息をついて、

「はぁ……。今日と明日は長い一日になりそうだ」

 と、天を仰いで静かにそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、前書きでは多少ふざけました。大変申し訳ございません。
アンケートの回答によっては、かーなーり展開が変わってきますので、ご協力をお願いいたします!
ってかユリウスって士より一つ年上なんですね。調べてて驚きました。
スバルがタメ口聞いてたせいで、てっきり同い年くらいかと思ってました。
おのれスバルゥゥゥゥゥ!

かなーり説明回に時間を割いたため、王選候補者一人ずつの自己紹介はダイジェストみたいな感じでよろしいでしょうか?

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