Re:ゼロから始める世界の破壊者   作:muryoku

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第八話

 殺人鬼の体が触れた瞬間に盗品蔵の壁はいとも容易く砕け散り、さらにその直線上にあった家の壁をぶち壊し、殺人鬼の体が壁へとめり込み、そこで動きがようやく止まった。

「な……なんっじゃこれぇぇぇぇぇ!!??」

 スバルがその光景を全て脳にインプットするまでに数十秒はかかった。

 それほどまでにおかしい現象が目の前に広がっている。

「いやいやいやお前何なんだよ士!バケモンじゃねえか!?」

 壁は原型を留めておらず、本当の意味で粉砕されていた。

「すっ……ごーーい」

 サテラもこの異常な状況をスバルより遅れて理解したらしく、今更ながら感嘆の声が後ろから聞こえてくる。

「ちょっとやり過ぎたか?」

 その四角い物体からカードを抜き取ると、士の体が一瞬だけ発行し士の体が元の人間の形へと戻る。

「なぁなぁ!今のどうやったんだよ!!これか?これにカードぶっさせば俺もあんな風になれんのか?」

「これはディケイドライバーって言う奴だ。……で、流石に死んだよな?」

 少し呆れ気味に言いつつ、置かれていた牛乳瓶も、錆びついていた武器たちも何もかもが吹き飛んだ方向殺人鬼の状態を確かめるためにに数歩歩いたところで、

 瓦礫と共に、銀色に輝くナイフが飛んできた。

「なっ……!?」

「狙いは腹ァァァァァァァァっァァァァァ!!!!!!!」

 本日二度目の不意打ち。殺人鬼が体をかがめながら、士の命を刈り取るために急接近。それはまさに閃光。この距離ではスバルも先ほどのように二人の間に割って入ることはできない。

 それを飲み込み、喉元までスバルが張り裂けんばかりの声を出したところで―

「何とか、僕の出番はあるみたいだね」

「かっはぁ……?」

 突如現れた、赤髮の男性。彼がエルザに強烈な蹴りを叩きこむ。

 その蹴りでエルザの壁は横に吹き飛び、士にもう刃は届かなくなり、まだマシな状態だったもう一方の壁へと激突した!

「け、(剣聖)ラインハルト……?」

「あなたの容姿、そして手に持っているそのククリナイフ。あなたが(腸狩り)エルザ・グランヒルテですか」

「何だよその超物騒な二つ名……」

「ぐ……ここは逃げないと行けないみたいね。覚えておきなさい!!この借りは高くつくわよ、ディケイド!」

 手に持っていた最後の凶器をこの場で一番無力なスバルへと投擲する。赤髪の青年はそれを簡単に叩き落すが、その隙を見てエルザと呼ばれた殺人鬼は、その場から飛び出してしまった。

「ま、待て!」

 追跡しようと外にすぐさま青年も出ていくが、既にエルザの姿は消えていた。

「……おいおい。生身でライダーキックを喰らってまだ生きてたのかよ……。どうなってんだ、あいつの生命力」

 士がそうぼやいていると、エルザの出ていった穴から入ってきた赤髪の青年がサテラに話しかける。

「お怪我はありませんか?」

「私のことはどうでもいいの!!大丈夫?スバル」

「お、おう平気平気」

 先ほど士の間へと割り込んだことにより、かなりボロボロになってはいるが大丈夫なようだ。

「まぁ何はともあれ、事件解決だな」

「ああ、よかったぜ。……結局あの謎の真相は分かんなかったけどな」

 何故時間が巻き戻ったのか、何故スバルは生き返ったのか。

 疑問は大量にあるが、二人はまずこの場を解決できたことに安堵していた。

「お前、本当の名前って何なんだ?」

「え?」

「お前の事をサテラって呼べ、って言われたんだが、お前別の名前があるんだろ?」

「……ええ」

「え?どういうことだ?」

 士は見抜いていたのだ。前の世界でスバルがサテラと呼ぶたびに、彼女の顔に一瞬だけ影が浮かぶのを。

「でも何でそんなことをあなたに教えなければいけないの?」

「それは――」

「君を助けたことのお礼ってことでどうかな?」

 士と偽サテラの会話に入ってくるスバル。

 その言葉に驚いた表情を浮かべ、

「そんなことでいいの?」

「ああ、いいよ。俺は君の本当の名前が知りたい」

「……分からない人ね。(エミリア)よ」

「え?」

「だから、私の名前。よろしくね、スバル」

 差し出された奇麗な白い腕。その手をしっかりと掴む。

 しっかりと血の通った、可愛い女の子の腕だ。

「ったく。何とも割に合わないな」

「そこ!余計なことを言うんじゃない!」

 一言多い士を叱責し、偽サテラ、もといエミリアの方を向き、

「よろしく、エミリア」

 言いながらスバルもまた笑い、繋いでいる手に力を込めた。

 

 

 

 

「にしてもスバル、よく無事だったな」

 士が床に転がる棍棒を指差す。

 軽く痛む腹部を軽く押さえてからスバルがそれを持ち上げ、まじまじと見つめる。

 棘付きの棍棒はその太くたくましい見た目通り、立派な盾として働いてくれた。

「ああこいつがなければ――」

 BADEND2は回避できなかった、とあっけらかんとスバルは笑う。

 しかし士は笑うことなく、神妙な顔つきでスバルの手にあるそれを凝視する。 

 その手の中で、棍棒は滑らかな切断面をさらして鈍い音を立てて落ちた。

 それはど真ん中で二つに切り落とされ、その役目を完全に終えている。

「おい……スバルこれって」

「よ、よしてくれ士……」

 ふいに、スバルの腹一直線に赤い筋ができた。

「あ、やばい、これ俺にも先が読めた」

 その時、スバルの体から血液が噴き出し崩れ落ちる。

 そのまま意識は痛みの濁流に飲まれ消えていった。

 

 

 

 

かなーり説明回に時間を割いたため、王選候補者一人ずつの自己紹介はダイジェストみたいな感じでよろしいでしょうか?

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