ルパン三世 レッドスカルの財宝をねらえ!   作:来海杏

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九話

言いたい事があるなら言いなさい。

 

一番最初の記憶だ

 

「言いたい事があるなら言いなさい」

 

 

沈黙する事、それが一番最初に学習した重要な事

 

「いいえ、お父さん何もありません、何も、全ては完全です」

 

相手の求める事を言う事、それが二番目に学習した重要な事

 

 

必要とされる情報を抜き出す為に必要とされている人間になる。

必要とされている情報を見つけ出す為に必要とされている人間になる。

必要になる情報を生み出すために必要とされる人間になる。

必要な

必要な

必要な

必要な

 

 

 

ヘッドセットからの電気刺激でもって脳に書き込まれていく私に与えられた役割、歯が砕けるほどの苦痛と共に与えられるそれらを夜眠る前に何度も何度も思い返し自分の力に変えていく。私は、私は、そうあらねばならない。

 

いずれこの疑念すら消されてしまう、恐怖や、怒りすら。だから今のうちに苦痛と知識と共に私の脳に刻み込むのだ。なんども爪で破った掌の皮、老人の様にしわがれたその場所を何度も舐める、血の味で私を思い出せる様に、蟲の様に頭の中に湧き上がる知識を口に出して何度も唱える、喉と耳で私を思い出せる様に。毎晩毎晩私は恐怖に涙を流す、眼球と肌が私を忘れないように。

 

消えてやるものか、私は、絶対に消えてやるものか。

 

 

そうして、酷く長い時間が経った。何時の間にか私には個体としての名前が与えられ、並列して訓練を受けていた私と同じプロジェクトの子供達は消えている。生き残ったと言うよりは「まだ生きている、まだ消える事が出来ないのか」そう言う諦めが、その頃の私の心を絶えず支配していた。

 

 

そんな時私は彼女に出会ったのだ、我々の完成形にして雛形、かくあれかしとイカレた科学者連中が定めた理想形。

 

 

彼女は月と共に私に会いに来た

 

 

「イヤぁね、そんなに怖い顔しちゃって、初めまして」

 

???

 

「貴女は誰ですか?」

 

「そうねー、貴女のお姉ちゃんって所かしら?」

 

それは、つまり、どういう事ですか?

 

「んー、そうねー」

 

何よあいつ等、偉そうに言うからどれぐらい凄いのかと思ったんだけど。

 

 

「とりあえず、一緒にくる??甘いもの食べたくない?」

 

 

その言葉に私は彼女の手を取ったのです、彼女は悪い泥棒でしたが、私には何時も優しい素敵なお姉ちゃんでした。彼女と一緒にいた日々は夢の様でした

 

ーーーーー

 

 

銃弾の雨の中をソニア達5人が駆け抜ける、作戦のタイミングはロジャース次第。兎にも角にも先ずは一番高い場所に上らねばならん。

 

「おいおい、ちょっときついぜこりゃ」

「確かにこりゃちょっとマズイかもな、弾がいくつあっても足りゃあしない」

 

相手は一体どれ程の準備をして来たのか、絶え間ない銃弾の雨にロケットランチャーによる爆発音。弾薬はタダでは無い、それをこれだけ垂れ流せるのだから敵ながら大したものだ。

 

 

「とにかく、出来るだけ早くいくしかない」

 

そうだな?そう言って銭形の方を向くロジャースに銭形は渋い顔をしながら深く頷いた。

 

 

「やるしかない」

 

 

さあさあさあ!何時まで逃げ切れる!キャープテーーン!!

 

 

 

悪党のだみ声が鳴り響き至近に撃ち込まれたロケット弾が爆発し石礫が跳ぶ、次元とルパンがレーザーサイトに反応し敵が引き金を引くより早く銃撃し赤い線を銃弾が遡る。そうして繰り返す銃弾のやり取りで辛うじて歩みを進め、5人はやっと港の中で一番大きいクレーンの下へ辿り着いたのだった。

 

 

「こっちだ!乗れ!」

 

5人が乗り込んだ所で格子状の扉を閉め運転席へと繋がるエレベーターを次元が起動させる。バンの扉を使った盾とロジャースの盾に5人は身を寄せる様に隠れ何十秒かの時間を凌ぐ。

 

「本当に上手くいくと思ってんのかよ、兵隊さんよぉ」

 

次元が鋭い視線をロジャースに送る、銃弾が通り抜けたトレードマークの帽子をあーあと言う顔で眺め熱を持った弾痕で煙草に火をつけた。

 

上手く行くかどうか、どうなのか、僕自身は一体どれだけ自分を信じているのか。

 

「信じてくれ」

 

揺れる瞳でそう言ったロジャースに次元は深く煙を吐きながら気だるげに煙草をエレベーターの外に投げ捨てる、どうするねルパン、乗るか??今更乗るも反るもない、それでも問いかけたのは彼の中の、安い言葉で敢えて表現する所の信念が、彼に問いかけたのだった。

 

「決まってるさ、何時だって俺たちは面白い方。だろ?」

 

その言葉に次元はまた深く息を吐く、大丈夫かよ?吐いた言葉は煙より早く銃声に溶けた。

 

 

ーーーーー

 

「ロマノフ、準備はいいか?」

最上部に到着したエレベーターから降り運転席の影に隠れる、今現在5人とも無事で居られるのは相手がロジャースの身柄を無傷で確保したがっているからだ、ロケット弾の一発ではじけ飛ぶ状況が逆に安全を生んでいた。

 

「ごめんなさいキャプテン20秒待って」

電話の先、背後から聞こえる聞き覚えのある艶やかな声に苦笑が漏れる。何事も状況次第か、あんなにも魅力的だった声も姦しくはしゃげば艶やかというよりも女の子と言う印象が先立つ。

 

「分かった、20秒だな」

盾で隙間を縫うように撃たれた銃弾を弾き落としロジャースが銭形に視線を送る

 

「聞こえとる、20秒だな」

各々が頷き、ソニアだけが小さく悲鳴を上げる。

 

 

5秒

「うぁっちゃちゃ!」

ケツ擦ったケツケツ!踊るルパン

 

10秒

「あー、クソっ、やっっぱり正気の沙汰じゃねぇ!!」

流れる様にローダーで装填を済ませるが脂汗がジットリと浮かぶ次元

 

 

15秒

「あーもうムリ、吐きそう、ホントダメ、ダメ吐く死ぬムリ誰か助けて」

思いつく限りの全てに祈るソニア

 

20秒

 

数える程しか積んでいないミサイルをばら撒き、クインジェットがクレーンに近づく。後部ハッチが開いたのを確認しロジャースが叫んだ。

 

「今だ!!走れ!!!」

 

「くぅぅぅーおぉぉぉぉ!!!」

「いぃぃぃぃぃやぁぁぁあああぁぁあーーーーー!!!!!!!」

足のもつれたソニアを抱え、俗に言うお姫様抱っこの状態でクレーンからクインジェットの後部ハッチ目掛け銭形が跳ぶ。

 

 

クソが!!逃がすな!!かまうなぶちこんじまえ!!

 

首領の指示により4つのロケット弾が我先にと迫る中、残る3人も飛び降りる準備をする。

 

「お先にどうぞ」

「兵隊さんよぉ、そう言う態度を取るんならこっちにも考えがあるぜ!!」

 

ロジャースの煽りに次元がキレる。

 

バッとジャケットを翻しマグナムの抜き打ちで殆ど重なる様に銃声が4発、ロケット弾が爆発し火炎の花が港に4つ咲いた。

 

そうして口をへの字に曲げたまま振り向きざまに次元は人差し指でロジャースの胸をどんと押し、そのまま顔を指さし後ろ向きに後部ハッチ目掛け飛び降りる。

 

「モンローとボガートのファンは今日までだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

「参ったな」

次元からの思わぬ反撃は地味にロジャースに効いていた。マリリンモンローに罪はない、彼女はとても素晴らしい(事によっては携帯電話よりも衝撃的だった)

 

「んーじゃ、お先ぃぃー」

特に躊躇する素振りも見せずルパンが飛び降りてロジャースは正気に返る、新たに先ほどより多い6発のロケット弾が此方に迫っていた。

 

 

コミカルな彼らを見ていると妙な気分になってくる。何か言うべきか、祈るべきか。どちらにせよ目前に迫るロケット弾より優先すべきこととも思えない。

 

 

「…参ったな」

 

 

スタークに毒されてきたか?内臓が浮き上がる感覚を感じながらロジャースはそんな事を考えていた。

 

 

5人を収容しクインジェットが大急ぎで上空を逃げ去っていく、悪党連中は銃撃を止め警察が来ないうちに逃げ去る準備を進める。

 

「計画通りだ、そうだろ?」

 

何もかも計画通りだ、誰に言う訳でもない。歓喜と血の匂いが溢れた笑顔でぽつりと男が呟いた。

 

 

 




銭「ふんぬぁぁー!!」お姫さまだっこのまま
ヒゲ「あたーー!」ケツ強打
三世「ぅぅあっちゃぁぁぁ!!!」 ケツ三連打
アメ(ズゥゥゥン)スーパーヒーロー着地
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