ルパン三世 レッドスカルの財宝をねらえ!   作:来海杏

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十話

轟々と風を切る音が僅かに外から聞こえて來る

 

昔の輸送機はこんなにも静かじゃ無かった、チーズフォンデュ。思い出と共に僅かな羞恥心に眉をひそめながらロジャースはそんな事を考えている、少なくとも妙に嵩張るヘッドセットを付ける必要はもう無いらしい。

 

コックピットから美女が二人歩み出て来る。

 

「で、誰か説明してもらえる?」

「ロマノフ、そう攻撃的になるな」

「あら、ロジャースさん。感謝した方が良いわよ?彼女アナタが襲撃を受けてるって伝えたら酷く慌ててた」

 

眉を器用に片方だけ釣り上げてロジャースがロマノフを見る。

 

「止めて、何も言わないで」

 

口を開けて何かを言おうとしたロジャースをロマノフが先んじて止める

 

「……そこまで慌ててないわ」

 

止めて、重ねてロマノフが掌でロジャースを制した。

 

「ちょっと待って?」

 

機内後部の両端、二の字を縦にした形のシートは実に軍用らしい武骨なデザインと尻に優しくない硬さであったが少なくとも多少はソニアの精神を落ち着かせる効果があったらしい、ほんの20秒程は。

 

「コックピットが空なんだけどパイロットは!!??」

 

「自動操縦よ」

 

ロマノフがヒラヒラと右手を振り、大丈夫よと不二子がソニアのすぐ横に腰掛けて脚を組む、楽し気にこちらを見る不二子に居心地の悪さを感じながらソニアは深くシートに腰掛けた。

 

「はぁ……もう充分」

 

心底そう思い天井を仰ぐ。

 

もう充分、充分だった。

 

 

「…ルパン、すぐにでも貴様を捕まえてやりたい所だが色々と貴様等に聞かねばならん事がある」

 

ガチャリと手錠が銭形の手の中で威嚇する様に音を鳴らす、やれやれとルパンは肩を竦めた。冴えない男の妙にサマになるその仕草に不二子は艶やかに微笑みナターシャは腕を組みルパンを睨んだ。

 

「わーってるよとっつぁん、皆ですり合わせと行こうじゃないの」

 

懐から煙草を取り出した次元にロジャースが壁の火気厳禁のプレートを叩いた、僅かな睨み合いの後に次元が懐に煙草を戻す。

 

「わーったよ」

 

糞、ここも禁煙かよ。そう言って次元は帽子を目元まで引き下げシートに深く腰掛けた。

 

ここは軍用機だ、人員以外にも弾薬や薬品を載せる事もある。ロジャースのそんな言葉に次元は犬を払うように手を動かす。

 

どこもかしこも禁煙禁煙禁煙

 

もう充分、充分だ

 

「うんざりだぜ」

 

より深く帽子を引き下げ懐から飴を取り出した、まさかこんなもん舐める羽目になるとは。

 

 

渋い顔で飴を転がす次元を尻目に楽しげな表情でルパンは懐から紙を取り出しロマノフに手渡した。

 

「とりあえずここに向かってくれ」

 

紙には何桁かの数字が書かれている

 

「何かの座標?ここになにが?」

「落ち着いて話をするための場所さ」

「大丈夫だ、頼むよ」

 

そう言ってロジャースはロマノフを送り出す、信頼と言うには奇妙な何かをロジャースはルパンから感じて居る。とりあえずとして戦場で培った第六感が大丈夫だと告げているのだ、それで充分だ

 

何より深く疲れて居た、心も身体も

 

もう充分、充分だった。

 

 




ソニア「あのー、私は帰りたいんですけど」

ウィドウ「後で家まで送るわ」

ソニア「出来ればすぐが良いなぁとか思ったりとかしちゃったりとか」

ウィドウ「後で、家まで、送るわ」

ソニア「…ハァーイ」小声


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