ルパン三世 レッドスカルの財宝をねらえ!   作:来海杏

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ソニアだけ一人称視点?で行こうと思ったけどしっちゃかめっちゃかするから何時も通りで。

ゴーストちゃん、可愛いよゴーストちゃん



四話

ワシントンDC・スミソニアン博物館 館内

 

協力を頼んでから直ぐ、銭形はソニアにキャプテンアメリカに関する展示品の説明を受けながら館内を案内させ、外で簡単な食事をとった後にまた同じ事を、展示品の隅々まで繰り返した。

 

本来ならそこまで長い時間の掛かる事では無かったが、ソニアとしても展示品についての質問やちょっとした、それでいて鋭い疑問を切り出す銭形に答えるのが楽しく、普段こう言った仕事を任せて貰えない鬱憤を張らすように知っていることを全て話した為だ。

 

殆どの展示品を回り終わった時、展示品のスーツの前で銭形が腕時計を見ると夜の22時と言う所であった。

 

銭形の動きにつられソニアも着慣れない様子のスーツから端末を取り出し時間を確認する。年頃の女性にしては嫌にゴツいそれを扱い辛そうに両手で操作していた

 

「……珍しい端末を使っておられるのですな、ソニアさん」

 

半軍用品の様な、デザイン性よりも実用性を優先した端末に職業病と言うのだろうか、反射的に銭形は問い掛けた。

 

 

「へぇ?あぁ!これですか!そうなんですよ、普段からあんまり使わないんでそこまで困っては居ないんですけど、大事な人から貰った物なので買い換える切っ掛けも中々無くて」

 

 

そう言って、端末を仕舞ったソニアが不安げに銭形に問い掛けた。

 

 

「そのぉ……私達何にもしてなかったんですけど、大丈夫なんでしょうか?」

 

 

 

半日以上あった時間が、残り2時間に迫っている。その間にしたことと言えば貴重な展示品の数々を説明しただけ、言っては悪いが今でなくとも出来ることだ。早い話が不安だった。

 

 

「そうですな……折角協力していただいたんです、私の考えも少しで良ければお話しておきましょう」

 

本来、民間人にこの様な事は話したりせんのですが

 

「そうですなぁ、ソニアさん、ルパンが予告状を出したと連中が言っているこのスーツ、どれぐらいの価値があると思いますか?」

 

そんなの計り知れません。彼はこの国の自由の為に戦った英雄で、これはその彼が使っていたスーツなんですから。ソニアは迷わずそう答える、それは学芸員としての答えではなく、ソニア個人としての心の底から答えであった。

 

「それが正しい答えだ、ソニアさん」

 

優しい目をして銭形はそうソニアに言う、正しい生き方だ、若者らしい情熱と潔癖さだ、と。少しだけ疲れた様な煤けた心持ちを感じ、柔らかく微笑んだ

 

 

「仮にルパンが盗んだあと、このスーツを売り捌くとして一体誰が幾らくらいの値段をつけるんでしょうなぁ」

 

銭形がスーツを見上げた先には、ボロボロの派手な衣装があるだけだ。

 

 

「値段なんて、そんな!」

 

「だがヤツは、ルパンは泥棒です。盗むからには金になる」

 

それに、とそこから先の言葉を銭形は呑み込む。このお嬢さんには刺激が強すぎる話になる。

 

 

分からない、

 

それがソニアの感じた答えであった。歴史的な価値に関してなら幾らでも並べる事が出来る。だが、値段は幾らだと言われると全く検討もつかない、付く筈もない。だが、考え込む内ふと、気付いた事があった。

 

「……まるでルパンが彼のスーツを盗むのはお金の為じゃ無いみたいな言い方ですね」

 

 

「そうですなぁ、私はそう考えております。このスーツの、その先の狙いがヤツにはある筈だ」

 

 

その糸口を掴むために色々と説明をお願いしたのですが、

 

「すいませんなぁ、長々とお付き合いさせてしまって」

 

ここらで解散にしましょう、銭形はそう言いソニアを送るようにゲートに向かう、それぐらいの時間はあるだろう。そんなことを考えながらも頭の中はシールドの連中の事で溢れていた、

 

先程はソニアには敢えて言わなかったが、奴等殆ど俺に何もさせる気が無い様で監視まで付けていた、だが長々と展示品の説明を聞いてるだけの様子に今は撤収したのだろう。気配は消えている。

 

 

展示品の説明を受けながら回った館内、増設された監視カメラやセンサー類、人員の配置は警察と言うより軍隊のもの、逮捕より迎撃や殺害を意図したものだ。

 

そんなことをさせるものか、ヤツは、ルパンは逮捕してキッチリと法の裁きを受けさせる。

 

監視は剥がれた、カメラやセンサーの位置も頭に叩き込んだ。悪党どもめ、俺は俺のやり方でやるだけだ。ソニアがタクシーに乗るのを見届けた後、そのまま銭形も影に飛び込むように路地裏に入る。

 

手にした紙片にはキャプテンアメリカの住所が書いてあった、スーツや個人的な書簡を展示する関係で博物館がキャプテンに代理人を介して連絡を取ろうとしたことがあったのだ。結果その試みはシールドに阻まれて失敗したが、その中でソニアが盗み見たものだった。

 

本人は偶々目に入ったと言っていたが、泳いだ目に関しては銭形は見ないふりをした。その貸しは大まかに検討の付いているルパンの本当の狙いを黙っていた事でおあいこだろう。

 

 

 

 

 

「まったく」

 

焦臭い態度に勘違いしてるのを敢えて黙っていたが。

 

英雄は、スーツで決まるもんじゃないだろうバカモン

 

 


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