ワシントンDC・スティーブ・ロジャース宅 アパートメント
結局、ロジャースがやっと家に帰ることが出来たのはまもなく24時に到ろうかと言う時であった。
ロマノフから受けた説明によればルパン三世と言う世界的な怪盗がロジャースの昔のスーツを盗み出そうとしており、その為シールド全体が慌ただしく動いていると言う事、また、ロジャースとストライクチームに関しては今回上からの指示により自宅にて待機と言う事。
家の鍵を開けながらも、不満気なロマノフの顔を思い出し苦い笑いが漏れる。
……何かおかしい、人の気配が中からする。
第六感の重要性は理解している、戦場に長く居れば一種の信心深さと言うべきか、その手の事は信じる様になる。
音を立てない様に扉から離れ、一度建物の外に出て非常階段から窓に飛び移り室内へ。建物を出たとき確認したが周囲に怪しい人影は無く、路地には見慣れないバンが停まって居るが運転席に人影は無かった。
窓から見える範囲に人影は無い、鍵を開けてある寝室の窓から室内に入り盾を手に取る
やはり誰か居る。
確信を持って、盾を握りしめリビングに向かうと
「キャプテン、事情が変わった。着いて来てくれ」
「……玄関から入って来れなかったのか?」
肩の力を抜き、盾を壁に立て掛ける。今となっては盾の次に付き合いの長いフューリーが居た。
ーーーーー
「表に車を用意してある」
そう言って歩き出すフューリーに盾を手に取り着いていく、ここまで慌てた様子のフューリーは初めて見た。
「何があったフューリー?僕は自宅で待機の筈だろう」
何かがあった、僕を必要とする様な何かが。
「詳しくは車内で話すが、ヒドラだ」
誰にも追えない車輌を用意した、誰も信じるな。
その後、会話らしい会話も無いまま外に出ると、路地に停まっていたバンが正面玄関に移動していた。銀行か軍隊が使う様な輸送や護送用の車輌。街並みから浮かない様な偽装がされており普段のシールドから考えれば比較的大人しい車輌と言えた。
「着いてこい」
バンの荷台に乗り込んだフューリーの後を追う、ロジャースが座ったのを確認し運転席側の扉をフューリーが叩く
「出せ」
運転席のスリットが開き男の顔が覗くが
「……すまねぇ、ルパン」
バンの扉が再度開いた、トレンチコートの男が乗り込んで来てフューリーに拳銃を突き付ける。動こうとしたロジャースは視線一つで押さえ付けられた。
鋭い視線と身の置き方、ただ者ではない
「そこまでだ、両手を壁につけて動くなよルパン、逮捕する」
ロジャースさん、初めまして。私はICPOの銭形と申します。
こいつはルパン三世の変装です
「キャプテン!誰も信じるなと言っただろ!コイツを早く叩きのめせ!」
「誰も信じるなだぁ?お前はどうだ?お前は信じるに値するのか?」
そう言って銭形がフューリーの頭に手を掛けると頭皮に皺が寄る、いや?違う、何か、別の?
そのまま銭形が力強く引っ張るとフューリーの皮が剥がれる
「何を!!……んん?!」
「……ヌフフフ、とっつぁーん久しぶりだなぁ」
たまにぁ休み取れよ、休み
「やかましぃ!誰のせいだ!誰の!」
ソニアさん!出してください!
ちょっと!あの!私マニュアルはあんまり運転したこと無くて!!
あーもー!知りませんよ!
そんな女の子の声と共にバンが急発進する中、ロジャースは酷く混乱しているのであった。
ーーーーー
同・15分前
「何故貴女が居るんです!ソニアさん!」
「迷惑は掛けません!それに!」
彼が危ない目に遭うなら何もしないで家に帰るなんて出来ません!
ソニア「あー、えーっと、クラッチ押しながらアクセル。クラッチ押しながらアクセル」
ヒゲ「……大丈夫かよお嬢ちゃん?」
ソニア「今忙しいの!黙っててよヒゲ面!!」
ヒゲ「ハハッ、お嬢ちゃんにはこいつの良さがわかんねぇ見たいだな」
的な、次元の大人の余裕がダンディ