戦国†恋姫 短編集   作:レモンジュース

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「戦国†恋姫」の明命万能説は異常。



剣丞くんのおねえさん

 俺、新田剣丞には52人もの姉がいる。姉といっても、実の姉ではない。1人を除いた全員が叔父の嫁である。

 嘘は言ってないぞ。信じられないだろうけど、本当のことなんだ。

 ちなみに、『叔母』ではなく『姉』と呼んでいるのは、初めて出会ったときに『姉と呼んで欲しい』と言われたからだ。

 ある日、学友から『そんなにたくさんお姉さんがいたら居心地悪いんじゃないか?』と言われたことがある。だけど俺はその言葉をきっぱりと否定した。姉さん全員、皆個性があって、毎日が楽しいからだ。

 例えば――

 

 

 

 いつも甲斐甲斐しく面倒を見てくれる、メイドさんの格好をした姉。

 

「剣丞くん、お茶をどうぞ。いつもお勉強お疲れ様です」

 

 どう見ても俺より年下にしか見えない姉。

 

「はわわ、おねーさんをバカにしないでくだしゃい!」

「あわわ、これから大きくなりましゅ!」

 

 いつも俺を酒盛りに誘う姉。

 

「なんや剣丞、ウチらの酒が飲めんのか~?」

「そうそう、男なら一升瓶くらいグイッといけるわよね~?」

「メンマもあるぞ、剣丞」

 

 普通が特徴の姉。

 

「普通って言うなー!」

 

 料理がとても苦手な姉。

 

「剣丞、今日の夕飯は肉じゃがだ…………なぜ逃げる」

 

 戦国†恋姫において実は最も活躍してるんじゃね? と思われる姉。

 

「お猫様~♪」

 

 そして――

 

「あ。おはよう、紫苑おば――」

 

――ヒュッ! ドスッ!

 

「オハヨウゴザイマス、シオンオネエサマキョウモオウツクシイデスネ」

 

「ええ、おはよう♪」

 

 『姉』と呼ばなかったり、年齢のことを言うと怖い姉。

 

 

 

 そんな姉達に囲まれながら、今日も俺は修行に明け暮れる。

 

 

 

 

 

 そして時は流れ――

 

 

 

「なあ、剣丞。少し……聞きたいことがあるんだが」

「どうしたの久遠、そんな改まって」

 

 鬼との決戦が終わり、しばらく経ったある日のこと。正室や側室、剣丞隊の皆で一緒に温泉に浸かっていると、久遠が言いづらそうに訪ねてきた。

 

「貴様の初恋の相手は、その、姉の中の誰かだったりする……のか?」

「え?」

「話を聞く限り、大層魅力的な者達だそうではないか。だから、その。誰か1人くらい懸想している者がいたのではないのか?」

「いやいや、何言ってるのさ! 皆伯父さんのお嫁さんだったんだから、惚れるなんてことあるわけが――」

「ふむ、余もその話気になるぞ、主様」

「一葉も!?」

 

 一葉の声を皮切りに、美空や光璃、というか全員が『私も私も!』と声を重ねていく。……小波、お前もか。

 

「……まあ確かに、姉さん達は皆それぞれ魅力があって、尊敬する師匠だ。でも、今も言ったように全員が伯父さんの嫁だったし、好きと言ってもあくまで『姉として』だったよ」

 

 そうだ。だって、俺の初恋の相手は――

 

「つまり、叔父上の嫁ではなかったら惚れていたということか」

「え、そこにつっこむの!?」

 

 これは予想外! 

 というか、一葉達も『そうだそうだ!』とか言わない!

 ああもう、どうすりゃいいんだよ!

 

 

 

 俺はこの後、皆をどれだけ愛しているのかを改めて証明させられることになった。

 その結果、翌日は丸一日布団から起き上がることが出来なくなってしまった。

 15人同時は勘弁して下さい、マジで。……一刀伯父さんなら20人くらい同時に相手できそうな気もするが、どうなんだろう。もしもまた合う時があったなら聞いてみよう。

 




とりあえず剣丞くん爆発しろ!
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