好評の場合、続く可能性があります。
コツコツと足音をたてながら、私は少し騒がしい鉄血の工場内の廊下を歩く。
白衣を着た研究者達が色々と言い合いしている。
ハイエンドモデルのデストロイヤーは最初、この場所の騒がしさに驚いていたようだが、私は何も思わない。
『
もともと、最低限の学習を済ませ、必要な事は現地で学習させる。方向性はその学習環境によって異なる。
そのプロトタイプが私である。
研究者達からは「現地適応自己学習型」と言われている。
最低限の学習を済ませた状態で放置され、私は戦闘も出来ない。電子戦も出来ない。いわば『能無し』だった。
だが彼女のおかげで全てが変わった。
彼女は私を多くのハイエンドの下に配属させてくれた。彼女達、ハイエンドモデルは文字通り十人十色だ。
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彼女達は、一時的な部下の私に多くの知恵を与えてくれた。
彼女以外は、誰もが無理だと言った。
これは使えない、出来損ないだと言われた
学習させたところで、使える筈ない。無理だと言われた
だが違った。彼女は僕を信じた。僕はその期待に答えた。ただ、それだけだ。
彼女のおかげで、戦場でハイエンドモデルに代わり現場で指揮がとれる位には、学習できた・・・と思いたい。
最近は代理人でさえ、私に仕事を丸投げしてくるようになった。せめて自分の仕事はやってもらいたい。
「はぁ」
「どうかした?カラーレス。」
ため息をつくと、通路の奥から声が響いた。
彼女の声だとわかった瞬間、電脳がハッキングを受けていることがわかった。が、あえて何もしない、する必要がないためだ。
「申し訳ありません、エルダーブ「≪エリザと呼びなさい。それに私に敬語を使わなくて良いとも言っているでしょう?忘れたのかしら?≫」・・・すみません。しかし、他のハイエンドモデルにこんな所を見られては、あなたが私を贔屓にしていると思われそうだったので。」
謝罪を口にし、名を呼ぼうとするとハッキングが終わった。そうして、贔屓に見られそうだと言うと、とたんに不機嫌になる。
彼女は『エルダーブレイン』通称エリザ
私達鉄血を管理するために産み出された上位AI、実質の最上位命令権を持っている人形である。
そして、私を拾い、ここまで学習させてくれた存在でもある。
「また、代理人に仕事を押し付けられたの?まったく、一度頼れる人が出来るととことん頼るからな・・・」
ハッキングして記憶領域を覗き見たのだろう。
彼女に嘘をつくのは不可能に近い。
どうせ嘘をついても、読み取られてバレるのだから。
「代理人を攻めないでください。彼女は彼女で苦労しているでしょうから。」
代理人自体、色々忙しい身だ。そこは仕方ない。
そう言うと彼女はお人好しなのね。と言い一つ、真剣な眼差しで質問してきた。
「ねぇ、一つ聞いて良い?カラーレス。」
「あなたは私も他のハイエンドモデルのように、助けてくれる?」
その問に対して僕は・・・
「僕は自由に生きるよ。これはアーキテクトに教えてもらった生き方だ。他にもスケアクロウとエクスキューショナーにハンター、ウロボロスからは生きる術を、デストロイヤーからは子供らしさを、アルケミストとドリーマー、イントゥルーダーからは情報の集め方を。」
「そして、エリザは僕に手を差し出してくれたから。何があっても助けるよ。」
そう言うと彼女は笑顔でなにかを言った。
何を言ったのかはわからない。
そして僕は・・・・・・
死んだ。
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