やはり俺の青春にデジモンが居て、俺がDATS隊員なのはまちがっているのか?(リメイク版)   作:ステルス兄貴

10 / 20
10話

 

湖の中州で一夜を明かそうとしたら、焚火の火が爆ぜてシードラモンの尻尾に火が燃え移り、シードラモンが大激怒。

タケルが湖に落ち、ヤマトはタケルを助けるため、自らを囮として、シードラモンの注意を引く。

しかし、シードラモンに捕まり、絞殺されそうになった時、ガブモンは成熟期デジモン、ガルルモンに進化して、ヤマトを助ける。

湖を後にして、森を歩いていると、空に黒い歯車が飛んでいるのを見つける一行。

だが、この時、この黒い歯車がこの島における騒動の原因だと知る者はまだ誰もいなかった。

森を歩いている中、ピヨモンが過剰なスキンシップを空にしており、空はなんだか迷惑な様子‥‥

 

(こんな甘えん坊とこれから先、やっていけるのかしら?)

 

 「あ、森から抜けるぞ!」

 

標識がたくさんある森をようやく抜けると、その先にあったのは砂漠だった。

ただし、森に標識があったようにこの砂漠には何故か電信柱が立っていた。

 

「ここ、テレビで見たアフリカのサバンナってとこに似ている‥‥」

 

光子郎が汗を拭いながらそう呟いた。

 

「ええ!? じゃあライオンとかキリンとか出てきちゃうのか!?」

 

(ライオンに似ているデジモンはいたけど、キリンはどうだったかな‥‥?)

 

「さあ。そんな普通のやつだったらまだマシだけどな」

 

ヤマトはそう言っているけど、肉食動物が出てきたら、大変なことになりそうだ。

 

「ここにはそんな動物いないよ?」

 

「その通り! ここにはデジモンしかいてまへん」

 

(デジモンは動物にそっくりな形をしているから、あながち間違いではないと思うが‥‥)

 

「光子郎の見たサバンナって、電柱とか建っていたか?」

 

「いいえ。建っていませんでしたね」

 

 ヤマトの問いに光子郎が答える。

 

「サバンナに電柱を建てる意味なんてないだろう」

 

「まっ、普通はそうだよな」

 

八幡の意見にヤマトが頷く。

 

「きっと人間が近くにいるんだ! きっと、そうに違いない!!」

 

丈は随分と力を込めて宣言していた。

 

「ええ? でも、海岸の公衆電話とか、湖の電車みたいなことだってあるじゃん」

 

太一は案外とまだ冷静なようだ。

 

「いや、違う! 絶対絶対人間がいるんだって!」

 

丈はあくまでもこの世界には人間が居ると信じていた。

八幡自身もDATSの隊員がいると信じてい吐いたのだが、一週間待ってもこなかったので、この島はまだ人間が、DATSが発見していない未開発エリアだと判断し、いつかはDATSの調査隊が来るかもしれないが、それはいつになるのかは分からないので、敢えて口にはしなかった。

するとミミが丈の背後にゆっくりと歩み寄った。

 

「ここは一体どこでしょう! じゃーん!」

 

ミミが差し出したものは方位磁石だった。

それをみんなでそれを覗き込む。

 

「やーん! なにこれぇ!!」

 

すると、方位磁石は方角をしめさず、くるくると回り続けていた。

 

それを見て光子郎は足元の砂を拾い上げた。

 

「砂みたいに見えるけど、これよく見たら鉄の粉だ。磁石にくっつきますよ」

 

「あぁーそりゃ回り続けるわな。こんなに地面が鉄まみれじゃ、方角なんてわかるはずがないな」

 

「やっぱりあたしたち、とんでもないところに来ちゃったのかしら?」

 

空が困った顔で問いかけた。

 

「それにしても暑いですね。早く水を確保した方がいいな‥‥このままだと熱中症になっちまう」

 

「うーん……確かにな」

 

一同は空を見上げた。

太陽の光がこれでもかというほど皆に降り注いでいる。

 

「うわーん!! ここは一体どこなのー!!」

 

ミミの叫び声が砂漠に響いた。

 

 

砂漠をそのまま突き進んでいたが、全く景色は変わらなかった。

一面砂、砂、砂、砂、そして時々電信柱。

そして、とにかく暑い。

このままではホントに熱中症になりそうだ。

 

 

「うわぁ~暑い!!」

 

「やっぱり森の中にいた方が良かったんだよ」

 

「このままじゃ、全員干上がっちまうな」

 

みんなそれぞれ辛そうだが、ゴマモンとパルモンは特にそうみたいだ。

 

「暑いのか、ゴマモン?」

 

丈が汗をたらしながら訊ねた。

 

「氷が欲しい‥‥せめて水ぅ~‥‥」

 

「帽子貸してあげようか?パルモン」

 

「ありがと」

 

ミミは自分の帽子をパルモンの頭に被せた。

 

「うん、似合うじゃない!」

 

「ミミちゃん‥‥まっ、いいか」

 

「カマクラ、お前は大丈夫か?」

 

カマクラは八幡の隣を歩いているが、なんかヘトヘトな様子で歩いている。

全身が黒い毛皮なため、太陽の熱を吸収しやすい色合いなので、へばっているようにも見える。

 

「あ、ああ‥‥まだ、ギリギリ大丈夫だ‥‥お前は?」

 

「ま、まぁ、俺もギリギリ大丈夫だ‥‥」

 

本当は水をがぶ飲みしたいし、歩きたくもないが、ここで弱音を吐くわけにはいかない。

 

「そーら! そーら! 頑張って歩こう?」

 

「あなた元気ね‥‥」

 

「そーらー! そーら!」

 

皆がへばっている中、ピヨモンは意外とテンションが高い。

 

「アイツはなんであんなにテンション高いんだ?全身、羽毛だらけなのに暑くないのか?」

 

このクソ暑い中、テンションが高いピヨモンをジト目でみる八幡。

 

「あぁーもう、いい加減にしてよ! あたしはね、今喉が渇いていて疲れているし、歩いていて疲れているし、無邪気にじゃれつかないの! 余計に疲れるわ!」

 

暑い中ピヨモンがベッタリくっついていることにしびれを切らした空はついに怒ってしまった‥‥と言うか、キレた。

 

(ちょっとピヨモンと武ノ内の関係を羨んだけど、あそこまで纏わりつかれたら、キレるのも分かるわぁ~‥‥)

 

八幡は空の態度も分かるものだと納得した。

 

「空、疲れているんだ……ごめん、ピヨモン大人しくする」

 

空に怒鳴られ、シュンとするピヨモン。

 

「うーん、わかった、わかった。一緒に歩こう!」

 

空は両手を上げ、落ち込んでいるピヨモンを誘った。

 

「あは! あたし嬉し!! 空、だーい好き!!」

 

「しかし、歩いても、歩いても何も見えてこないな。本当に森に戻った方がいいかもしれないな」

 

ヤマトは空とピヨモンを見て笑みをこぼした後、そう提案した。

 

「うん、うん」

 

丈は何回も頷いている。

 

「ちょっと待ってよっと……」

 

太一がポケットから単眼鏡を取り出して、先を覗き始めた。

 

「うーん? うん? あっ、村だ!!」

 

「ええ!?」

 

太一の言葉を聞き皆は驚きの声をあげた。

 

「ほら、ほら、ほら、村だって! やっぱり人間がいるんだよ!」

 

人がいるかもしれないと言うことで、丈はいい笑顔だ。

 

「何にせよ、行ってみる価値はありそうですね」

 

光子郎はそう言うとすたすたと歩き始めた。

 

「喉渇いたね、パルモン」

 

「うん」

 

「あぁーお腹空いたよー」

 

「空いた、空いたー!」

 

「よーし! あの村へ行こう!!」

 

「おー!!」

 

というわけで、一行はその村へ向かった。

行く先に村があると言うことで、先ほどとは違って足取りが軽い。

 

(村、村か‥‥人の存在は望み薄だが、とりあえず水が飲みたい)

 

そして、一行は無事村に着いた。

うん、それはいいのだが‥‥

 

「うわぁ‥‥」

 

その村には頭に植物が生えたピンクのデジモンたちがぴょこぴょこ動いている。

村は村でも、ここはピョコモンの村だった。

まぁ、人間が居るなんて思っても居なかったが太一たちは落胆している様子。

 

「ピョコモンの村だったのか‥‥」

 

「ピョコモン! みんなピヨモンの仲間!」

 

「ねぇねぇ、なんていうデジモンなの?」

 

ピョコモンたちが興味津々で空に訊ねてくる。

 

「ええ? あたし?」

 

空が困惑した表情で聞き返した。

 

「違うの、違うの! この人たちはデジモンじゃないの。人間って生き物。とーっても、いい人たち」

 

ピヨモンがピョコモンたちに空たちの事を教える。

 

「にんげん?」

 

「デジモンじゃないの?」

 

「いい人たち?」

 

ピョコモンたちは疑問を口々に出していた。

 

「あーあ、人間がいると思ったのに‥‥」

 

「何もかも全てピョコモンサイズだぜ!」

 

村の建物も幼年期ⅱのピョコモンたちの家なので、ドールハウスの大きさだ。

 

「あたし、前にママに読んでもらったガリバー旅行記を思い出しちゃった! ふふ!」

 

ミミが無邪気に微笑む。

 

「うまくしたらここで一泊くらい出来るかと思ったけど‥‥無理みたいだな」

 

成長期のデジモンでも、ピョコモンの家は狭そうだ。

当然、小学生とはいえ、人間である八幡たちが入れるわけがない。

 

「これじゃあ、家に入ることもできませんね」

 

「僕たちならなんとかなるけどね!」

 

「人間は無理か‥‥」

 

丈はがっくりと肩を落とした。

まぁ、足先くらいなら何とか入るかもしれないが、それなら出ていた方が自由に寝返りをうてるので、外で寝た方がマシだ。

 

(ピョコモン‥‥確か球根型のデジモンだけど、進化したら、鳥形デジモンのピヨモンに進化する‥‥植物から鳥に‥‥どんな構造をしているんだ?)

 

八幡がピョコモンに触ろうとしたら、

 

「ひっぃ!!」

 

何故か、怖がられた。

 

「‥‥解せぬ」

 

「八幡の目、怖いもんな、ハハハハハ‥‥」

 

カマクラがピョコモンに怖がられた八幡を指さしながらゲラゲラ笑う。

 

「そーら! ピョコモンたちがみんなにご馳走してくれるって!」

 

「ほ、本当!?」

 

空が思わず立ち上がった。

ピヨモンがピョコモンと交渉して、村の食糧を分けてくれるみたいだ。

 

「ひゃっほー!」

 

「ピョコモン様大感謝!」

 

丈はすごい喜びようだ。

どうやら、今日はこのピョコモンの村でお泊りの様だ。

そして、今日の晩御飯も探す手間が省けるみたいだ。

 

「あたし、お腹ぺこぺこ!」

 

「腹いっぱい食っちゃおうぜ!」

 

「一体どんなご馳走なんでしょうね?」

 

光子郎が首を傾げた。

 

「植物にも虫を食べる植物があったし、ピョコモンの進化先はピヨモン‥鳥だから、意外と虫だったりして‥‥」

 

「えぇぇー!!」

 

八幡の予想にミミは思わず声を上げる。

 

「噴水がある! 水だ水だー!」

 

タケルは村にある噴水の前へ駆け出した。

 

「この辺りはみはらし山に水源があるの! とっても美味しいんだー!」

 

「この水があの有名な、みはらし山の美味しい水ですわ」

 

「みはらし山?」

 

「あの山!」

 

「あの山?」

 

ピョコモンたちが示した方を向く‥‥なるほど、普通の山だ。

でも、標高があるので、確かに山の上からのみはらしは良さそうだ。

 

「うわっ!?」

 

山を眺めていると、噴水の水が止まり、急に噴水から炎が吹き出した。

 

 

「そんな、喉渇いていたのに!」

 

「まだお水飲んでない!」

 

タケルとミミが落胆する。

 

「さきに水を確保しておくべきだったな‥‥」

 

水が枯れ、水ではなく火が出ている噴水を見ながらぼやく八幡。

 

「どういうことだ!?」

 

「一体どうしてー!?」

 

「だ、大丈夫! あっちに池があるから!」

 

「行ってみよう!」

 

ピョコモンたちの案内の下、皆は池へと走る。

 

「ああ!」

 

たどり着くと、池は完全に干上がっていた。

『水がないー!!』とピョコモンたちが騒ぐ。

(池の水が一瞬で干上がるのは流石のデジタルワールドでも、これは異常だ‥‥さっきの噴水から飛び出た炎‥‥もしかしたら、なにかデジモンの力が関係しているのかもしれないな‥‥)

 

カマクラは干上がった池を見て、この現象はデジモンの仕業かと思った。

 

 

今度は、井戸があると聞き、皆はまた走る。

太一が桶を井戸の中に入れると、井戸の底で燃え尽きるような音が聞こえてきた。

 

「ん?」

 

「とにかくあげてみろ!」

 

「わ、わかった!」

 

そのまま太一が引き上げると、桶の部分がなくなっていた。

 

「うわぁぁぁ!?」

 

その途端、井戸から火が吹き出した。

太一がピョコモンと一緒に飛び跳ねている。

 

 

「実は、みはらし山に何かが落ちるのを見た!」

 

「ああ、俺たちが見たあれか!」

 

ピョコモンの言葉にヤマトがハッとした。

 

「黒い歯車ですね」

 

「でも、みはらし山に歯車が落ちたからって、どうして?」

 

「な、何が起きているんだ‥‥!?」

 

丈が不安げに言って、光子郎は考え込んでいた。

 

「この辺りは全てみはらし山の泉が水源なの。だからみはらし山に何かあったら、水は全部干上がっちゃう!」

 

「そうなんだ……」

 

「でも、みはらし山にはメラモンがいるの!」

 

「みはらし山はメラモンが守ってくれているはずなの!」

 

ピョコモンたちが必死にそう話す。

どうやら、みはらし山にはメラモンと言う守護者が居るようだ。

 

「みはらし山だな、見てみようぜ!」

 

太一が単眼鏡を覗いた。

 

「なんだ、あれ!?」

 

太一が単眼鏡を降ろす。

すると、みはらし山の頂上からは火が吹いていた。

 

「火山の噴火か?」

 

「メラモンが山から降りてくるー!」

 

「メラモンが山を降りてきたー!」

 

「どうして?」

 

「いつものメラモンじゃない!」

 

ピョコモンたちが再び騒ぎ出した。

 

「メラモン……あれが……」

 

そのデジモンは人型のデジモンなのだが、全身が火だるまのデジモンだった。

 

 

メラモン

 

レベル:成熟期 タイプ:火炎型デジモン 属性:データ

 

全身に紅蓮の炎を纏った火炎型デジモン。

その身を包む炎のように激しい気性を持っており、触れるもの全てを焼き尽くそうとする。

必殺技は両腕を燃え上がらせ、相手を殴りぬける『バーニングフィスト』。

 

 

「あいつ、何か言っている‥‥」

 

メラモンは何かを叫びながら山を下りてきた。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。