やはり俺の青春にデジモンが居て、俺がDATS隊員なのはまちがっているのか?(リメイク版)   作:ステルス兄貴

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12話

 

 

ピョコモンの村を出て、一行は再びサバンナの様な場所を歩き続ける。

もう、どのくらい歩いただろうか?

このままだと倒れそうだ。

 

「ああ~もうダメ‥‥」

 

「もう、一歩も歩けないよー」

 

そんな中、ミミとタケルが座り込んでしまった。

ゴマモンとパルモンもぐったりしている。

毛皮が黒いカマクラもややバテ気味だ。

 

「大丈夫か?二人とも‥‥」

 

八幡も額に浮かぶ汗を拭いながら、タケルとミミの二人に訊ねるも、他のメンバーもそろそろ限界の様子‥‥

 

「限界かな」

 

「ずーっと、歩きっぱなしだもん」

 

「よし、ここで休憩しよう」

 

太一のその言葉に力が抜けて、皆はその場に座り込む。

タケルとミミは木の下で寝息をたてていた。

そのすぐ近くで、光子郎はパソコンを操作している。

 

(確か、八神たちはキャンプに来ていたんだよな‥‥?)

 

(なんで、キャンプにパソコンを‥‥?)

 

キャンプなのに、パソコンを持ち込んでいた光子郎の行動に首を傾げる八幡とカマクラだった。

 

「やっぱり動かない‥‥」

 

光子郎がキーボードをいくら叩いてもパソコンは起動しない。

 

「バッテリーが切れているんじゃないか?」

 

八幡が光子郎にパソコンが起動しないのは、パソコンのバッテリーが切れているからではないかと訊ねるが、

 

「最後に見た時はバッテリーは、まだ容量があるはずなんです」

 

「じゃあ、壊れたとか?」

 

これまで自分たちが通った環境下で、パソコンが壊れたのではないかと指摘する。

 

「うーん‥その可能性もありそうですけど‥‥」

 

光子郎は顎に手を当てて、本当にパソコンが壊れていしまったのかと思っていると、

 

「こういうときはこう叩けば直るって!」

 

太一はにやりと笑って光子郎のパソコンを奪ったかと思うと、バンバンと叩き始めた。

 

「うわ、うわ!!やめてくださいよ!!」

 

光子郎はバッと太一からパソコンを奪い返した。

 

「昔のテレビじゃないんだから、そんなことをしたら、余計に壊れるぞ」

 

八幡が太一につっこむ。

 

「俺は、お前のためを思って……」

 

「それはわかるけど、誰だって大切にしている物を他人に触られたくないでしょ?」

 

空が太一をまあまあと宥める。

その時、太一が何かを見つけ、走っていく。

その後ろをアグモンが慌てて後を追う。

 

「八神の奴、どうしたんだ?」

 

「トイレだろう」

 

ヤマトはどうでもよさそうに言った。

意外と太一の扱いがひどい。

 

「やった、直ったぞ!!」

 

光子郎が嬉しそうに声をあげた。

 

「ん?」

 

八幡が覗き込んでみると、光子郎のパソコンが起動した。

 

「でも、バッテリーがゼロになっているのに動いている‥‥」

 

パソコンの右隅に表示されているバッテリー残量は確かに0になっているにも関わらず、パソコンは起動している。

もちろん、コンセットに接続もされていない。

 

(まぁ、ここは常識が通じない世界だからな‥‥)

 

光子郎は首を傾げているが、八幡はこのデジタルワールドでは人間界の常識が通じないので、まぁ、こんなこともあるだろうと思い特に疑問には思わなかった。

 

「おーい、みんな!!」

 

そこへ、太一の呼ぶ声が聞こえた。

どうやら、トイレではなかったみたいだ。

そこで、八幡たちはそちらへ駆け寄った。

 

「工場だ!」

 

丈が目を見開いて驚く。

見下ろすと、そこには確かに丈の言う通り工場があった。

煙突から煙が出ているので、稼働しているようだが、一体あの工場では何を作っているのだろうか?

何かあるかもしれないと思い、一行は工場の中へ足を踏み入れる。

とても大きい工場で、上を高く見上げないと、全貌が見えない。

通った通路の横では歯車がせわしなく動いていた。

ただ、この歯車は、先日、メラモンの体内に入っていた黒い歯車ではなかった。

工場の奥へと進むと、ベルトコンベアーの上で何かが組み立てられていた。

 

「ねぇ、何を作っているの?」

 

「何だろう。調べてみないとわからないな」

 

タケルの問いにヤマトが答える。

ベルトコンベアーの上のモノを見る限り、ロボットのパーツにも見える。

 

「調べるんなら、人がいるかどうかも調べようよ! これだけの工場なら絶対誰かいるはずだ!」

 

丈の力説により、皆は二手に分かれることになった。

ひとつは太一、空、丈のグループ。

もうひとつはヤマト、タケル、ミミ、光子郎のグループだ。

 

そして八幡は――。

 

 

「八幡はどうする? こっちに来るか?」

 

太一が八幡に自分たちと来るかと訊ねると、

 

「俺は、石田たちといくよ」

 

八幡はヤマトたちのグループに行くことにした。

 

「何か理由でもあるのかい?」

 

丈が理由を訊ねてくると、

 

「泉は、何か夢中になると止まらなくなるみたいだから、それで注意散漫になるだろうからな」

 

「わかったわ。比企谷君、よろしくね」

 

「うす」

 

八幡は空に一礼する。

 

「じゃあ、俺たちも行くか」

 

「ああ」

 

太一たちのグループを見届けた後、八幡たちも出発した。

 

順調に進んでいると、ある一つのドアを見つけた。

 

「動力室だ!」

 

光子郎が声を上げる。

そのドアには『POWER SUPPLYR』と書かれていた。

 

「中に入ってみよう」

 

ヤマトはそう言うと、ドアを開けた。

 

「うわぁ~‥‥」

 

「お化け電池とモーターだ!」

 

光子郎は一足先に動力室に入った。

そこにはとんでもなく大きい電池とモーターがあった。

なぜお化け電池かはわからないが、語呂がいいので採用しよう。

 

「こんなので動かしているなんて‥‥」

 

「これで動くようならば、元の世界でもエネルギー問題も解消できるんだろうな‥‥」

 

八幡はお化け電池と巨大モーターを見て、これが人間界でも稼働出来たら、人間界におけるエネルギー問題も解消できるか、環境問題にも貢献できると思った。

それから、光子郎は長い間、あちこちこの部屋を調べていた。

 

「まだ調べるのか?」

 

ヤマトはさすがにしびれを切らしたようだ。

 

「はい、先を急ぐんでしたら皆さんだけどうぞ。僕は残って、もう少し調べます」

 

ヤマトは困った様子でこちらを見た。

 

「比企谷はどうする?」

 

「石田たちは先に行ってくれ、俺が泉を見ているから」

 

「でも、大丈夫か?」

 

「カマクラもテントモンもいるし、いざとなったら、デジヴァイスの追跡機能で追いかける」

 

「そうか、わかった」

 

ヤマトさんを見送る間、光子郎はこちらのことは全く気に止めず調べ続けていた。

 

(多分、俺たちの事も既にアウト・オブ・眼中なんだろうな‥‥)

 

既に光子郎の中では、八幡もカマクラもテントモンの存在も背景なのだろう。

 

「あれ? こんなところにドアが……」

 

お化け電池を探っていると、光子郎が入り口を見つけた。

 

「入ってみましょう!」

 

「そうだな」

 

光子郎がドアを開けて中に入る。

 

「なんだ?こりゃ?」

 

電池の中に入ると部屋全体に色とりどりの文字が並んでいた。

 

「これなんでっか?」

 

「コンピューターのプログラムだ‥‥」

 

光子郎がすっと文字をなぞると、電気が突然消えた。

 

「停電か?」

 

「ありゃ、工場中の機械が止まってまっせ」

 

「この電池が動力源だからか?」

 

テントモンとカマクラが外を覗いて言った。

 

「プログラムを間違って消したせいかな……」

 

「どうでっしゃろ……ああ、せや。消したとこ直せばわかるんちゃいますか?」

 

「それもそうだ」

 

光子郎がマジックで文字を直すと、電気が復旧した。

 

「あっ、明るくなった」

 

一体どうなっているのだろう――。

 

光子郎はパソコンを取り出して床に座り込んだ。

 

「それにしても不思議だ」

 

「何がでっか?」

 

テントモンが光子郎に訊ねた。

 

「電池は金属と溶液の化学変化によって電気を起こすんだ。でもこれは違う。この壁に書かれてあるプログラム、それ自体が電気を起こしている」

 

「うーん、何や難しそうな話でんなあ」

 

「そもそも電池が電力源なんて聞いたことないよ」

 

電池の中身がプログラムというのもかなり驚きだ。

 

「そうだ!」

 

「今度は何しはるんです?」

 

「このプログラムを分析してみるのさ! やっと僕のパソコンの出番ってわけさ」

 

光子郎はうきうきとした様子で答えた。

 

「俺にはパソコンのプログラムはよくわからないけど、まぁ、頑張れ。一応、護衛はしてやるから」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「光子郎はんの顔、なんや今までになく生き生きしてまんな」

 

「そうかい?」

 

「はいな!」

 

光子郎自身、分からないみたいだが、キーボードを打っている彼の顔は生き生きしていた。

 

「どこが楽しいんでっか?」

 

「暗号や古代文字を解読するのに似た楽しさかな」

 

「ふーん、解読する楽しさねえ……。んで、解読して何かええことあるんでっか?」

 

「もしかすると、謎が解けるかもしれないよ。この世界がどういう世界で、君たちが何者かとか」

 

「ここがどこで自分が何者かなんて、うちさっぱり興味おまへんなあ」

 

「そう?」

 

まぁ、デジモンたちにとっては、ここがどこだろうが関係ないのだろう。

 

「光子郎はんは自分が何者かなんて、興味ありまっか?」

 

「僕は……」

 

光子郎はそこで何かを考え込んだ。

テントモンの質問に八幡も一緒に考えてみた自分が何者なのかを‥‥

当然、そんな哲学的な問題の答えを小学生である光子郎も八幡も答えを出せる筈がなかった。

 

「なに、生言っている」

 

「カマクラ?」

 

「あたしら、デジモンが言えることじゃねぇが、自分が何者かなんて、お前らの年で分かるものなのか?」

 

「「‥‥」」

 

「将来何になりたいって話なら分かるが、自分の存在が何者かなんてまだ分かるはずがないだろう」

 

「‥‥確かに、カマクラの言う通りだな」

 

「そうですね」

 

まだ自分たちは小学生‥‥

将来の夢を語るところから始め、その夢をかなえるための努力をしなければならない。

まずは、自分が将来何になりたいかを決める所から始めよう。

 

「光子郎はん、比企谷はん!」

 

「な、何?」

 

「どうした?」

 

「おかしいで、これ」

 

テントモンがパソコンを指差す。

 

「ほれ、見てみなはれ!!」

 

パソコンの画面を見てみると、今まで光子郎が打った文字がバラバラに動いていた。

 

「うわ、なんだ?これ!?」

 

「文字が勝手に動いている……!」

 

常識が通じないデジタルワールドであるが、さすがにこんな現象を見れば、驚きもする。

そうこうしているうちに、光子郎の機械が光り始めた。

 

「あっ、こっちも光り出したぞ!」

 

「一体何が‥‥!?」

 

そしてパソコンに3Dで描かれた島のような画像が浮かび出てきた。

 

「ああ!」

 

「こ、これは……」

 

「あて、あて、あちち!!」

 

「あつ、あつ、あつい!!」

 

その声にテントモンとカマクラを見ると体が内側から光っていた。

 

「あちち! あちちちち! 体が熱いがな!」

 

「だ、大丈夫ですかテントモン!?」

 

「か、身体が燃える‥‥あたしはメラモンじゃねぇぞ‥‥くそっ!!」

 

「か、カマクラ!!」

 

「どうした!?」

 

「どうしたか、うちにもさっばり!! あち、あちー!!」

 

この時、光子郎のデジヴァイスにはゲージのようなものが表示されており、そのゲージは一番上まで到達している。

おまけにチカチカと点滅している。

それは八幡のデジヴァイスでも同様の事が言えたのだが、二人とも自らのパートナーデジモンの異変に動転しており、気づかなかった。

 

「あちゃちゃちゃ、もうたまらんわ!」

 

「体が燃えそうだ!!」

 

ついにテントモンとカマクラの体から煙が出てきた。

熱さからか、テントモンとカマクラはのたうち回っている。

 

「テントモン!」

 

「カマクラ!!‥‥泉!!これ以上は危険だ!一旦ここを出よう!!」

 

「は、はい」

 

光子郎がパソコンの電源を落とすと、テントモンとカマクラの熱も収まった。

 

「大丈夫、テントモン!?」

 

「カマクラも大丈夫か!?」

 

「なんとか……」

 

「ああ、死ぬかと思ったぜ‥‥」

 

萎れていたテントモンとカマクラに声を掛ける。

二体とも熱は治まり、異状は治まったみたいだ。

 

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