やはり俺の青春にデジモンが居て、俺がDATS隊員なのはまちがっているのか?(リメイク版)   作:ステルス兄貴

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14話

 

 

サバンナのど真ん中に変な工場があった。

その工場にて、八幡たちは初めて完全体のデジモンと遭遇し、戦闘を経験した。

そして、光子郎もある発見をして、自身のパートナーデジモン、テントモンを成熟期のデジモン、カブテリモンに進化させることに成功した。

現在、八幡たちは工場に居たデジモン、アンドロモンが教えてくれた地下水道を通っていた。

地下水道を通っている中、人間チームとデジモンチームに別れてしりとり歌合戦をしていた。

 

「遠いふるさと思い出すー」

 

「はい、デジモンチーム思い出すーのす!」

 

太一がデジモンチームに振る。

 

「すっぱいなーすっぱいなーは成功のもとじゃないない!」

 

「はい子どもチーム、ないないなーいの『い』!」

 

「『い』?」

 

太一たちは『い』からの歌が思いつかないみたいだ。

 

(いや、『犬のおまわりさん』とかあるだろう‥‥)

 

八幡は『い』で思いつく歌を思いついたが、そこはボッチ体質なのか?恥ずかしいのか、提案しなかった。

 

「いけないー人ー」

 

すると、ミミが『い』で思いついた歌を歌いだすが、

 

「なに、それ?」

 

ミミが歌いだす歌は聞き覚えのない歌だった。

 

「よく、お父さんがカラオケしていた演歌!」

 

「そんな歌知らないー」

 

小学生で演歌を知っているのは珍しい部類に入る。

当然、八幡も太一たちも知らなかった。

 

「今はー何もー」

 

そこで、次に太一が『い』で始まる歌を思い出し、歌いだす。

 

「ああ! それなら知っている!」

 

「俺も!」

 

「僕も知っています!」

 

(知らない‥‥)

 

光子郎に続いて、みんなで歌い始めた。

ただし、八幡は知らなかったので、口パクで歌っているふりをした。

 

「今はー何もー」

 

「きゃあ!」

 

空の突然の悲鳴に歌声が止まる。

 

「ん?どうした?空」

 

「大丈夫か?」

 

「どうしたんだ?」

 

「水が落ちてきたの……」

 

すると空の服にまた水が一滴落ちた。

 

「汚れましたよ?」

 

「えっ? ああ……」

 

光子郎の指摘に、空は服を擦った。

下水道なので、ここの水滴は汚れていた。

 

「洗濯したい……」

 

空はぽつりと呟いた。

目からは涙も滲んできている。

服が汚れてそのままの状態は女の子にはキツイ。

 

「武ノ内、これで拭え」

 

「えっ?」

 

八幡は空に布切れを渡した。

これで、少しは気持ちが落ち着くといいけど‥‥

 

「俺だって風呂に入ってのんびりと……」

 

そんな空を見てか、太一も自分のしたいことを言い出した。

 

「僕は……」

 

そう言うとタケルはその場にしゃがもうとするので、

 

「武石、座るとズボンが汚れるぞ」

 

「あっ、そっか」

 

八幡が指摘したので、タケルは立ったままの状態で、コントローラーをいじる動作をしていた。

 

「タケルお前なぁ、こんなときにテレビゲームはないだろ? あはははは!」

 

ヤマトはタケルの動作に呆れたように笑っていたが、すぐにやめた。

 

「俺も、タケルのこと笑えない」

 

と、真顔でそう言いながら八幡たちの方へ体を向ける。

 

「今、俺のしたいことは……ジュージュー焼ける焼き肉、腹いっぱい食いたい!」

 

「誰も笑えないさ……。僕は勉強。宿題山ほどやりたい!」

 

眼鏡をくいっと上げながら、丈も続けて言った。

 

 

「変わっているわね……。あたしは、冷たいコーラが飲みたい!」

 

「確かに‥‥」

 

ミミはピンクのテンガロンハットを脱ぎ、腰に手を当ててコーラを飲む真似をした。

そして、丈のしたいことに対して八幡はミミの意見に賛同した。

 

「ミミさん、それいい! 僕も!」

 

「でしょ?」

 

「僕は、インターネットで友達にメールを送りたい!」

 

光子郎も便乗して自分のしたいことを言っていた。

 

「で、八幡はなにしたいんだ?」

 

太一が振り返って、八幡に訊ねる。

 

「んー‥‥俺は‥‥」

 

 全員の視線が一斉に集まった。

 

「俺は、マッ缶が飲みたい」

 

「マッ缶?」

 

「なんだ?それ?」

 

「あっ、そういえば皆は東京のお台場だったな‥‥マッ缶ってのは、千葉のソウルドリンクだ」

 

「ソウルドリンク?」

 

「ドリンクってことは飲み物なんですよね?」

 

「そのとおり、マッ缶は千葉限定の缶コーヒーだ」

 

「缶コーヒー?」

 

「あたし、苦いのダメ」

 

ミミがコーヒーは苦いので無理と言う。

 

「マッ缶をバカにするな!!マッ缶は他の缶コーヒーと比べて甘い!!」

 

「甘いの?」

 

「ああ、甘い」

 

「それなら飲めるかも」

 

八幡の説明を聞いてミミもマッ缶なら飲めるかもと言う。

 

「ああ、ぜひ、千葉に来たら飲んでみてくれ!!」

 

と、八幡にしては珍しく女子と会話が弾んでいるように見えた。

あれから一気に空気が重くなった。

 

「みんな疲れているんだ……」

 

「かわいそう……」

 

パートナーデジモンたちはそんな八幡たちを心配している。

そんな中、下水道の奥ら何らや声がしてきた。

 

「あ、あの声は……」

 

テントモンがそう呟いた。

耳を傾けてみると確かになにやら音が聞こえる。

 

「ヌメモン!」

 

「げっ、マジかよ‥‥」

 

「やっぱり居やがった!!」

 

ヌメモンの名前を聞いて、八幡とカマクラは顔を引き攣らせる。

 

「ヌメモン?」

 

しかし、太一たちはヌメモンについて何も知らないため、首を傾げている。

 

「暗くて、ジメジメしたところが好きで、知性も教養もないデジモン」

 

「強いの?」

 

「弱い」

 

「弱いけど、汚い」

 

「汚いの?」

 

「デジモン界の嫌われ者って言われている」

 

「嫌われ者……?」

 

「それよりも逃げた方がいいぞ」

 

八幡は忠告するが、ヌメモンがどんなデジモンなのか気になるのか、太一たちは逃げようとしない。

奥を見つめていると、緑のなめくじのようなものが大量にやってきた。

 

 

ヌメモン

 

レベル:成熟期  タイプ:軟体型デジモン 属性:ウィルス

 

ナメクジのような体を持った軟体型デジモン。暗くてジメジメした環境を好み、攻撃力も知性も無い。

外敵から身を守るため、自分の排泄物(ウンチ)を投げつける最低の攻撃をする。

 

 

「やっぱりヌメモンだ! に、逃げろ!!」

 

「急げ!!早く!!」

 

アグモンと八幡の必死な叫びに、とりあえず太一たちは走り出した。

 

「弱いのにどうして逃げなくちゃいけないんだよ!?」

 

「今に分かる!!」

 

するとヌメモンたちは自分が排泄したウンチを投げ出した。

 

「なんなのこれー!?」

 

近くにウンチがぶつかると、ミミは叫んでまた走り出した。

 

「あいつらのクソだ!」

 

「なんで、そんなものを投げてくるの!?」

 

「それしか防衛手段を持っていないからだ!!」

 

ミミはなんでウンチなんかを投げてくるのかと大声で叫び、八幡はそれに答えるかのように、ヌメモンにはそれしか技がないことをミミに教える。

 

「でも、かなりの攻撃力だろう?」

 

カマクラもさすがにウンチまみれにはなりたくないので、極力ヌメモンには手を出さずに生きてきた。

 

「そうね、あんなのを大量にまかれて身体に浴びたら‥‥」

 

空はヌメモンのウンチまみれになった姿を想像して身震いする。

 

「あ、こっちー!」

 

先を走っていたタケルが逃げ道を見つけた。

みんなで横道に逸れたが、ヌメモンはまだ追ってきていた。

だんだんと光が強くなっていく。

出口はもうすぐのようだ。

穴から出ると、太陽の光が眩しくて思わず目を細めた。

 

「ああ!?」

 

太一の声に振り向くと、ヌメモンたちが後ろへ下がっていっていた。

 

「ヌメモンたちは太陽の光が苦手なんだ」

 

「ふぅ~」

 

太一がアグモンと顔を見合わせてひと息ついた。

 

下水道でヌメモンに追われた後、八幡たちは小さな川沿いに歩いていた。

 

「……あっ!」

 

不意にミミが声をあげた。

前をみると大量の自動販売機がある。

 

「こんな所に自動販売機が……たくさん!!」

 

「ミミ、まさか飲みたいなんて……」

 

「そのまさか!」

 

「ミミくん、どうせ出やしないよ!」

 

「出ても飲めるか分からないが、でもマッ缶があるなら俺も飲みたい!!」

 

八幡は太一たちよりも長くファイル島にいたのだが、これまでの捜索範囲に自販機はなかった。

そして、自販機にマッ缶があるのであれば飲みたかった。

しかし、自販機にはマッ缶はなく、ミミもお目当てのコーラは変えず、自販機の中にはヌメモンが入っていた。

そして、ヌメモンはミミにナンパしてきた。

当然ミミはそれを拒否して、ヌメモンにボロクソな罵倒をする。

その間になんだか、天候が怪しくなり、ヌメモンの天敵の一つである太陽が雲に隠れた。

太陽が照っているかぎり、ヌメモンは無力だと思っていたミミはその太陽が雲に隠れたことにより顔を引き攣らせる。

反対にヌメモンたちは、ミミからボロクソ言われたことに腹を立てて、ウンチを手に持って追いかけてきた。

皆はバラバラに逃げたが、その過程で一体の黄色い大きなクマのぬいぐるみの様なデジモンと出会った。

 

 

もんざえモン

 

レベル:完全体 タイプ: パペット型デジモン 属性:ワクチン

 

すべてが謎に包まれているデジモン。

見た感じは、そのまま熊のぬいぐるみで、背中の部分にチャックが付いているところから、中に何者かが入っているという噂。

この可愛らしい(目が恐い)体から溢れる愛で敵を包み込んで幸せな気持ちにしてくれる。必殺技はハートを飛ばす“ラブリーアタック”

 

 

「ま、また完全体のデジモンかよ‥‥」

 

もんざえモンと鉢合わせをした八幡は引き続き、完全体デジモンとの遭遇に顔を引き攣らせる。

なりはこんなデジモンでも、完全体のデジモン。

馬鹿には出来ない。

それは成熟期レベルにおいて、テイルモン、ブラックテイルモンを侮るのと同じことだ。

 

「カマクラ、ここは逃げ‥‥って、カマクラ!!」

 

「ネコパンチ!!」

 

カマクラは八幡が止める前にもんざえモンの腹にパンチを打ち込むが、もんざえモンの身体がぬいぐるみのようにできており、カマクラの拳がめり込む。

 

「乱暴な方ですね‥‥ラブリーアタック!!」

 

もんざえモンは腹部から青いハートを出すと、カマクラはそのハートの中に閉じ込められる。

 

「カマクラ!!」

 

「貴方もお仲間にして差し上げます」

 

もんざえモンが怪しい目つきでニヤリと笑みを浮かべながら近づいてくるので、八幡は逃げ出した。

その途中、原っぱに出来た溝に落ちる。

 

「どこですか~?でてきなさーい」

 

もんざえモンは八幡を見失ったらしく、どこかへと行ってしまった。

 

「くそっ、カマクラ‥‥」

 

八幡はカマクラを助け出す為、もんざえモンの後を追いかけた。

すると、もんざえモンは森の中にあるおもちゃの町へと入っていった。

おもちゃの町はその名前の通り、おもちゃだらけの町で、まるで遊園地のようだった。

しかし、人の姿もデジモンの姿もなかった。

町の中を警戒しながら進んで行くと、ミミとパルモンの姿があった。

 

「太刀川、パルモン」

 

「あっ、八幡」

 

「他の皆は!?」

 

「わからない。はぐれちゃったみたいで‥‥」

 

「八幡、カマクラは?」

 

「もんざえモンの奴に捕まっちまって助けに来たんだ」

 

八幡がカマクラの事をミミとパルモンに伝えると、物音がした。

 

「まさか、もんざえモンか!?」

 

「ええええっ!!」

 

もんざえモンかと思っていたら、やってきたのは‥‥

 

「楽しいなぁ‥‥楽しいなぁ‥‥」

 

「太一さん?」

 

「八神?」

 

「おもちゃの町は、楽しいなぁ‥‥楽しいなぁ‥‥楽しいなぁ‥‥」

 

顔を引き攣らせた笑みを浮かべておもちゃの車に追いかけられている太一だった。

 

「全然、楽しそうじゃない‥‥」

 

「そりゃあ、おもちゃとは言え、車に追いかけられちゃあ、そうだろう」

 

すると、太一の他にも、

 

「とってもとっても面白ーい‥‥」

 

「どこが面白いの?」

 

「いや、俺に聞かれてもな‥‥」

 

猿のぬいぐるみに追いかけられる空。

 

「愉快だな、愉快だな‥こんなに愉快なことはない」

 

おもちゃの兵隊たちに追いかけられる光子郎

 

「ちっとも愉快そうじゃない。」

 

「うん」

 

「兵隊に追いかけられて愉快だなんて、マゾか?」

 

「超、超、超嬉しーい‥‥」

 

汽車のおもちゃに追いかけられているヤマト。

 

「石田よ、その光景から見て取れるのはお前が泉と同じくマゾではないかと言うことだけだぞ」

 

「最っ高、文句なしの最っ高!!」

 

丈は大きな鳥もおもちゃに追いかけられ、

 

「ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい」

 

タケルはラジコンのヘリコプターに追われていた。

みんな無理に笑みを浮かべている様子で、感情が楽以外のモノを取られたように見える。

 

「みんな、感情を取られちゃったみたい‥‥」

 

「それにパートナーデジモンが居ない‥‥」

 

現状で太一たちを助ける方法がみつからないので、まずは行方不明になっているカマクラを始めとするデジモンたちを捜す八幡たち。

すると、一軒の家の中にある宝箱が不自然に揺れており、中から声が聞こえた。

 

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